スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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千五十九話 珍しい

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(なんでこうなったんだか……)

模擬戦……そう、たかが模擬戦である。
だが、フローレンスとディーナからは並々ならぬ戦意が零れていた。

(反応を見た限り、二人は初対面だと思うんだが)

過去に因縁があったようには思えず、どうして初対面での模擬戦でここまで戦意を……闘志を零すのか解らない。

(ディーナさんは……多少、そういった部分があるから、あぁいった反応になるのは解らなくもないが……フローレンス、お前はそういったタイプではないだろう)

ディーナはここ最近まで、両親を殺した虎竜への復讐を原動力として活動していた。
だが、本来のディーナは冒険者の中でもバトルジャンキーよりの人間であった。

そのため、フローレンスという強者との戦闘が出来る喜びから、模擬戦らしからぬ闘志が零れるのは理解出来る。
ただ……アラッドが知る限り、フローレンスはそういったタイプではなかった。

(……まぁ、二人ともバカではないだろうから、加減は出来ると思うが……)

二人とも大人の女性であり、熱くなってもう直ぐ戦争が起こることを忘れることはないだろう……と思いたいアラッドだった。



「うっひゃ~~~~……二人共バチバチだね~~~」

「そうだね……模擬戦にしては、ちょっと激しい気もするけど」

二人の模擬戦が気になるため、スティームとガルーレは一旦鍛錬を止めて二人の模擬戦に注目していた。

両者、木製の細剣と槍を使っているので、大怪我をする心配はない……とは言えない。
フローレンスやディーナの技術、腕力があれば木製の武器であろうと相手の体を貫き、皮膚や肉を斬ることも難しくない。

「……それにしても、あれだね~~」

「何がだい」

「フローレンスさんが一番先に模擬戦を申し込むって、ちょっと珍しくない?」

「…………そうだね。確かに、珍しい気がする」

フローレンスとは知人……より上でも、友人と呼べるほどの関係値ではないスティーム。
彼女の事ならなんでも解るなど口が裂けても言えないが、それでもガルーレやガルシアなどではなく、フローレンスが真っ先に模擬戦を申し込む姿は、珍しいという感想しか出てこなかった。

「僕としては、ガルーレかガルシアさん辺りが真っ先に模擬戦を申し込むかと思ったんだけどね」

「アラッドとの模擬戦が終わったら次は私!!! って思ってた。だから、結構ビックリしたんだよね~~…………ねぇ、なんでだと思う?」

「ん~~~~~~………………なんでだろう、ね」

軽く考えただけでは、これではないかという予想が思い付かない。

(本当に何でだろう。フローレンスは確かにとんでもなく強いけど、ガルーレやアラッドみたいなタイプじゃないし……本能的に、本気を出した自分に届くかもしれないと感じたから?)

有り得ない話ではない。
ただ、やはりフローレンスのイメージには合わない。

「フローレンスさんも、実は強い相手と戦いたかったとか!!」

「それなら、ガルシアさんたちもディーナさんに負けないぐらい強いでしょ。けど、真っ先に模擬戦を挑んだのはガルーレだったよね」

「……ん~~~~~~…………でもさ~、そういう理由じゃなきゃ、本当に解らなくない?」

ガルーレの言う通り、そういった理由でなければ、今回フローレンスが真っ先にディーナに模擬戦を申し込んだ理由が解らない。

(本当になんでだろう。やっぱり、ガルーレの言う通りディーナさんの強さを感じ取った……から? でも、単体の実力に関しては……レオナさんやエリナさんと大きな差はない)

実力で言えば、スティームの考え通り、三人にそこまでの差はない。

では、二人とディーナでは何が違うのか。

(レオナさんとエリナさんは…………立場上、アラッドの従者? だよね。対して、ディーナさんは冒険者……うん。立場だけを考えればCランクの中でも超トップクラスの冒険者…………ん?)

ディーナの立場、冒険者。
対して……フローレンスの立場は、騎士。

アラッドとの距離感という点に関しては、ディーナの方が……立場上、近くはある。

「………………………………」

「スティーム? ……スティーム!!」

「っ!!?? ど、どうしたの?」

「それはこっちのセリフだよ。急に黙りこくっちゃってどうしたのよ」

「あ、ごめん……いや、ちょっと…………」

「ちょっとどうしたのさ。もしかして、強い人と戦いって以外の理由が解ったとか?」

「解ったというか……推測になっちゃうんだけど」

「解ったの!? 教えて教えて!!!!」

「ぼ、僕の個人的な見解だから、そうだって決まった訳じゃないからね」

そう言いつつも、スティームは小さな声でガルーレに耳打ちした。

「っ!!!!!! …………ねぇ、スティーム」

「? なにかな」

「それって……結構、マジでドンピシャじゃない?」

スティームの個人的な見解を聞き、ガルーレは寧ろそれしかないのでは? と思えた。

「そうかな……そうだったら、それはそれで……嬉しいかどうかは、ちょっと解らないか」

嬉しいかどうかは解らない。
ただ、自分が思い付いてしまった内容が……あまり大きな声だけで話せないことだけは解った。
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