スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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千六十三話 調整

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「アラッドさ~~ん、ディーナさ~~ん。出来ましたよ~~」

ディーナがレグラ家を訪れてから二日後……ついに、ディーナの新しい薙刀を造り終えたディーナ。

報告を受けた二人は直ぐに工房へ移動。

「こちらがディーナさんの薙刀、覇爪」

「…………」

覇爪と名付けられた新しい薙刀を手に持つ、じっくりと眺めるディーナ。

「…………振るっても、良いだろうか」

「勿論大丈夫っすよ」

工房の外に出て、実際に目の前に敵がいると仮定し……覇爪を振るう。

「ッ!!!!!!!」

次の瞬間、空気が切れたと……実際に振るったディーナだけではなく、少し離れた場所から見ていたアラッドたちも同じ感想が零れる。

槍の使い心地に驚きながらも、ディーナは続けて覇爪を二回、三回、十回……数十回ほど振るい、ようやく動きを止めた。

「……素晴らしい、薙刀だ」

「いやぁ~~~、そう言ってもらえると光栄っすね~~」

ディーナがどれほどの実力を有しているのかは、既に友人であるレオナやエリナたちから聞いていた。
誰から褒められても基本的に嬉しいと感じるが、強者に褒められれば、それはそれで更に嬉しいと感じるもの。

(本当に……素晴らしい薙刀だ)

リンに向けた称賛の言葉には、嘘も盛りも一つもなく、本音しかない。

かつて自身の両親を殺し、自身も全身全霊で挑み……戦闘中は常に恐ろしさを感じさせられた強敵。
その強敵の力が……自分の力となっているのを感じ、何とも言えない高揚感を覚える。

「…………」

「ブローズ……お前の母が、生まれ変わった姿だ」

何かを感じて近寄ってきた虎竜の子であるブローズに、爪や牙……骨に魔石などが使用され、薙刀として生まれ変わった姿を見せる。

「……………………」

じっくりと、じっくりと薙刀を眺めるブローズ。

武器……という形に変わってしまった。
それでも、ブローズは薙刀から母だった何かを感じる。

「ッ、ヴァゥ!!!!!!!!!!」

そして、覚悟が決まったブローズは一つ、その意志を表す声を零した。

目の前の形が変わった母と共に、主であるディーナと一緒に戦い続けると。

「あぁ……共に戦おう」

まだ共に活動を始めて半年も経っていないが、リンはある程度ブローズが自分に何を伝えたいのか解かる様になっていた。

「…………アラッド」

「……ふぅーーーーーーーーーーー…………ディーナさん、調整ですからね」

「あぁ、解っている。感謝する」

「良いってことですよ」

アラッドもまた、ディーナが自分に何を頼んだのか直ぐに理解。

モンスターが相手でも良いんじゃないかと思いつつも、これから自分たちが戦う相手は主にモンスターではなく人間。
ならば致し方ないと思い、訓練場へ移動。

「時間は一分間隔で区切ります」

「分かった」

時間設定は一分。
理由としては、今回の戦いは試合どころか模擬戦でもなく、ただの調整。

しかし……二人ともバトルが好きなタイプであるため、調整の時間が長くなればなるほど、調整ということを忘れて本気で戦い始めてしまう可能性が高い。

そのため、一回の調整で戦う時間は一分と決めた。

そして、アラッドは覇爪に対抗するため、切り札の一つ……羅刹を帯剣。

「準備出来ました!!!」

「ありがとうございます……それじゃあ、やりましょうか」

「あぁ」

万が一のことを考え、結界を展開。
しかも、一枚だけでは複数枚展開し、二人はその中で調整を行う。

「「ッ!!」」

誰の合図もなく、二人は直ぐに薙刀と刀をぶつけ合い、何度も……何度も何度も刃をぶつけ合い、時には躱し……また斬り結ぶ。

これまでと同じく、強化系スキルは発動しておらず、なんなら魔力も纏っていない。
そんな状態であるにも関わらず、二人は素早く……スピーディーに動き続ける。

(覇爪、か……まさしく、その通りの、圧を……与えてくるな)

当然、ディーナは調整のつもりで覇爪を振るっている。
しかし、一応戦闘ということもあって、覇爪が持つ圧がアラッドに伝わってくる。

切れ味という点においては、自身が使っている羅刹が負けているとは思わない。
それでも……薙刀が振るわれるたびに、自身が切り裂かれるイメージが迫る。

(そういう効果でも、あるのか?)

竜と虎。
両者の爪は、まさに凶器。
それらの爪が合わされば……まさに覇者の爪といっても過言ではない。

「そこまでっ!!!!」

「「っ…………」」

年配騎士の声が聞こえ、二人は武器を下ろす。

「どうですか」

「先程も言ったが、素晴らしい薙刀だ……それに尽きる」

「それは良かったです。では、選手交代ということで」

アラッドの次に結界の中に入って来たのはスティーム。
当然の事ながら、両手には万雷が握られていた。

「よろしくお願いします」

「あぁ、よろしく頼む」

その後、スティームだけではなくガルーレやフローレンス、ガルシアたちとも一分間の調整を行い続け、それなりに覇爪の扱位に慣れてきた。

翌日、実戦で使おうと屋敷の外に出てモンスターを相手に使おうとしたが……そこでアラッドが調整中に感じた疑問が解消されることとなった。
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