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千九十九話 ただ、強さをぶつけ合う
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大剣と細剣のぶつかり合いから、拳と拳のぶつかり合いにチェンジしたフローレンスとイリスの戦い。
互いに避けられる攻撃は避けるが、自身の拳が……脚が、相手のものとぶつかり合うことに躊躇はない。
「おぅらッ!!!!!」
「ハッ!!!!!!」
鬼の拳と筋肉聖女の拳がぶつかり合い、互いの骨が軋む。
(つッッ!! 本当に、楽しませてくれる、お嬢様だねッ!!!!)
(専門では、ありませんが、互角とは…………ふふ。それでこそ、意味があるという、ものなのでしょうッ!!!!)
自身の攻撃をぶつけ、相手の攻撃を受け……紙一重で躱す度に、両者は笑みを零す。
「「ッ!!!!!」」
そして、両者は同じタイミングで体技スキル、発勁を発動。
直前の構えを見れば、相手がどんな攻撃を放とうとしているのか、ある程度は解る技。
当然、二人とも解っていた。
解った上で、避けようとはせず……フェイクに使おうとはせず、そのまま拳をぶつけ合った。
結果…………両者は後方に吹き飛び、ぶつけ合った自身の拳を抑える。
(チッ!! 骨までイったか!!!)
(完全に、ヒビは入ってしまいましたね)
相打ち。
そう思える結果ではあったが、内部の損傷度合いでいえば……聖光を纏っているのに対し、ただの魔力を纏っていたイリスの方がダメージは大きかった。
(それが、どうしたってんだい!!!!!!!)
そんな事知ったことかと、ダメージを感じさせない動きで接近し、決してダメージが軽くない筈の右拳で殴り掛かる。
(あなたなら、そうするでしょうね!!!!!)
「っ!!! ぐっ!!!!!」
知人ではない。ましてや、友人ではない。
寧ろ敵である。
だが、イリスであれば右拳が壊れていても無理矢理握りしめ、そのまま振るうであろうと隠しを持っていたフローレンス。
迫るストレートを左手で掴み、そのまま引き寄せ自身もダメージを負っている右拳で縦拳を腹に叩きこむ。
「ん、ならぁあああああああああッ!!!!!!」
「っ!!!!!!!」
戦いが始まってから、先程の右拳に負けないダメージを叩き込まれた。
骨や肉に留まらず、内臓にまで届き……吐血も零れた。
しかし、その痛みを雄叫びで掻き消し、そのまま体を回転させて蹴り上げた。
(っ、不味い!!)
フローレンスは追撃しようとはせず、なんとか回避することに成功。
それでも完全に回避することは出来ず、イリスの脚先が掠った。
完全に当れば、そこで勝負が終わっていた可能性はあった。
だが……つま先だけ当たるというのは、それはそれでフローレンスにとって痛い。
顎先につま先が当たったことで、頭部がグラっと揺れ……そのまま、脳まで揺れた。
「おおおおおォォアアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ッ!!!!!!!!!」
ふざけるなと、フローレンスは視界が揺れる自分自身に対して吼えた。
フローレンスには似つかわしくない、低く重い雄叫び。
(ほんとに、良い眼を、してくれんじゃないッ!!!!!!!!)
増々フローレンスという女性騎士を、戦士を気に入ったイリスは無意識に口端を吊り上げる。
下から振り上げられる拳に対し、イリスがとった選択は……ヘッドバット。
「「ッッッッッッ!!!!!!!」」
先程はなんとか後ろに回転しながら蹴りを放ったイリスだが、縦拳を腹に食らったダメージは重く、まだまだ抜け切っていない。
そのため、回避という選択肢は取れないと判断し、取った選択はヘッドバットだった。
当たり前だが、先程のやり取りと同じく、モロに食らえばそこで戦いが終わってしまう危険な選択肢。
ぶつかり合った衝撃で、イリスの頭部は跳ね上がり……意識こそ飛びはしなかったものの、先程のフローレンスに負けない揺れが生じる。
それでも……彼女は、耐え切った。
対して、フローレンスの右拳は……ヒビを越え、完全に砕けた。
聖光という強力な鎧を纏っていようと、肉体の強度で言えば額は拳よりも勝っている。
イリスにとっては賭けとも言える選択だったが、勝利を捥ぎ取ったのは……イリスであった。
(砕けた、はずでしょっ!!!!)
勝ちへ一歩前進した。
そう思った瞬間、イリスの腹に左の前蹴りが叩き込まれた。
「がっ!!!!!?????」
一つの武器が壊れたのであれば、違う武器を使えば良い。
至極真っ当な判断ではあるが、拳の骨が完全に砕ければ、ヒビが入る時とは比べ物にならない激痛が襲いかかる。
当たり前の判断が、当たり前に行えなくなる。
しかし、フローレンスは当然のように実行した。
自身が選んだ戦い。
武器が一つ壊れたからなんだと、ある人が本気になった時を真似るように吼え、怪我を厭わず……その背を負う。
「かはっ!!!!!! っ、ァアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!」
二度目の腹部への強烈な一撃を食らい、吹き飛ばされた先で盛大に血を零すイリス。
敗北の二文字が、見えかける。
そんな時、視界に入ったのは……先程後方へ投げた筈の、自身の大剣。
(ふざけんなって、話しよねッ!!!!!!!!!!!)
ここで己の五体ではなく、メイン武器を使う。
悪くない選択であり、一手だけの奇襲にしては悪くない。
右手もまだ柄を握れる。
イリスは……掴もうと、愛剣に手を伸ばさなかった。
負けてたまるかと、全てを振り絞るかのように声を張り上げ、まだ残っている左手で迫るフローレンスに対し、手刀を振り下ろした。
だが、気付いた時には、視界が動いていた。
互いに避けられる攻撃は避けるが、自身の拳が……脚が、相手のものとぶつかり合うことに躊躇はない。
「おぅらッ!!!!!」
「ハッ!!!!!!」
鬼の拳と筋肉聖女の拳がぶつかり合い、互いの骨が軋む。
(つッッ!! 本当に、楽しませてくれる、お嬢様だねッ!!!!)
(専門では、ありませんが、互角とは…………ふふ。それでこそ、意味があるという、ものなのでしょうッ!!!!)
自身の攻撃をぶつけ、相手の攻撃を受け……紙一重で躱す度に、両者は笑みを零す。
「「ッ!!!!!」」
そして、両者は同じタイミングで体技スキル、発勁を発動。
直前の構えを見れば、相手がどんな攻撃を放とうとしているのか、ある程度は解る技。
当然、二人とも解っていた。
解った上で、避けようとはせず……フェイクに使おうとはせず、そのまま拳をぶつけ合った。
結果…………両者は後方に吹き飛び、ぶつけ合った自身の拳を抑える。
(チッ!! 骨までイったか!!!)
(完全に、ヒビは入ってしまいましたね)
相打ち。
そう思える結果ではあったが、内部の損傷度合いでいえば……聖光を纏っているのに対し、ただの魔力を纏っていたイリスの方がダメージは大きかった。
(それが、どうしたってんだい!!!!!!!)
そんな事知ったことかと、ダメージを感じさせない動きで接近し、決してダメージが軽くない筈の右拳で殴り掛かる。
(あなたなら、そうするでしょうね!!!!!)
「っ!!! ぐっ!!!!!」
知人ではない。ましてや、友人ではない。
寧ろ敵である。
だが、イリスであれば右拳が壊れていても無理矢理握りしめ、そのまま振るうであろうと隠しを持っていたフローレンス。
迫るストレートを左手で掴み、そのまま引き寄せ自身もダメージを負っている右拳で縦拳を腹に叩きこむ。
「ん、ならぁあああああああああッ!!!!!!」
「っ!!!!!!!」
戦いが始まってから、先程の右拳に負けないダメージを叩き込まれた。
骨や肉に留まらず、内臓にまで届き……吐血も零れた。
しかし、その痛みを雄叫びで掻き消し、そのまま体を回転させて蹴り上げた。
(っ、不味い!!)
フローレンスは追撃しようとはせず、なんとか回避することに成功。
それでも完全に回避することは出来ず、イリスの脚先が掠った。
完全に当れば、そこで勝負が終わっていた可能性はあった。
だが……つま先だけ当たるというのは、それはそれでフローレンスにとって痛い。
顎先につま先が当たったことで、頭部がグラっと揺れ……そのまま、脳まで揺れた。
「おおおおおォォアアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ッ!!!!!!!!!」
ふざけるなと、フローレンスは視界が揺れる自分自身に対して吼えた。
フローレンスには似つかわしくない、低く重い雄叫び。
(ほんとに、良い眼を、してくれんじゃないッ!!!!!!!!)
増々フローレンスという女性騎士を、戦士を気に入ったイリスは無意識に口端を吊り上げる。
下から振り上げられる拳に対し、イリスがとった選択は……ヘッドバット。
「「ッッッッッッ!!!!!!!」」
先程はなんとか後ろに回転しながら蹴りを放ったイリスだが、縦拳を腹に食らったダメージは重く、まだまだ抜け切っていない。
そのため、回避という選択肢は取れないと判断し、取った選択はヘッドバットだった。
当たり前だが、先程のやり取りと同じく、モロに食らえばそこで戦いが終わってしまう危険な選択肢。
ぶつかり合った衝撃で、イリスの頭部は跳ね上がり……意識こそ飛びはしなかったものの、先程のフローレンスに負けない揺れが生じる。
それでも……彼女は、耐え切った。
対して、フローレンスの右拳は……ヒビを越え、完全に砕けた。
聖光という強力な鎧を纏っていようと、肉体の強度で言えば額は拳よりも勝っている。
イリスにとっては賭けとも言える選択だったが、勝利を捥ぎ取ったのは……イリスであった。
(砕けた、はずでしょっ!!!!)
勝ちへ一歩前進した。
そう思った瞬間、イリスの腹に左の前蹴りが叩き込まれた。
「がっ!!!!!?????」
一つの武器が壊れたのであれば、違う武器を使えば良い。
至極真っ当な判断ではあるが、拳の骨が完全に砕ければ、ヒビが入る時とは比べ物にならない激痛が襲いかかる。
当たり前の判断が、当たり前に行えなくなる。
しかし、フローレンスは当然のように実行した。
自身が選んだ戦い。
武器が一つ壊れたからなんだと、ある人が本気になった時を真似るように吼え、怪我を厭わず……その背を負う。
「かはっ!!!!!! っ、ァアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!」
二度目の腹部への強烈な一撃を食らい、吹き飛ばされた先で盛大に血を零すイリス。
敗北の二文字が、見えかける。
そんな時、視界に入ったのは……先程後方へ投げた筈の、自身の大剣。
(ふざけんなって、話しよねッ!!!!!!!!!!!)
ここで己の五体ではなく、メイン武器を使う。
悪くない選択であり、一手だけの奇襲にしては悪くない。
右手もまだ柄を握れる。
イリスは……掴もうと、愛剣に手を伸ばさなかった。
負けてたまるかと、全てを振り絞るかのように声を張り上げ、まだ残っている左手で迫るフローレンスに対し、手刀を振り下ろした。
だが、気付いた時には、視界が動いていた。
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