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千百十六話 安心して、退けるように
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SIDE フール、アリサ、ガルシアetc……
「………………」
「不安そうなお顔をされてますが、大丈夫ですか。フール様」
「……ふふ、顔に出ていたか」
馬車に乗りながら、目的の最前線の一つとなる街まで向かうフールたち。
そんな中か、騎士団長であるグラストはフールの僅かな表情の変化を把握していた。
「アラッドが強いことは、百も承知してるよ。相棒であるクロも、友人であるスティーム君たちも本当に強い。ただ……戦争とは、これまでアラッドが体験してきた冒険とは異なるからね」
「そうね~~。もしかしたら、そこの違いに少し戸惑うかもしれないね」
二人の会話に、アラッドの母親であるアリサも混ざる。
現役時代から多少なりとも冒険者と交流があったフールと、元冒険者だったアリサは冒険と戦争の違いをある程度理解していた。
冒険者であれば、事前に探索する場所の情報を得て、生息しているモンスターの情報を得られる。
標的が定まっているのであれば、最初からそのモンスターに関して情報を得ようとする。
だが、戦場の舞台が戦争となると、アラッド一個人の力ではそう簡単に情報を集められない。
しかし……国はアラッドのことを良く調べ、削ろうと……攻略しようとしてくる。
「でも、そう簡単に殺されたりしないわよ」
「うん、それは解ってるよ。けど、アラッドはまだ子供だからね」
子供の頃から大人びている。
そう感じてはいたが、それでも……親だからこそ、まだアラッドの中に残っている子供な部分を感じ取れる。
「ん~~~…………それはそうかも。けどさ、そういう時はフローレンスちゃんがビシッと! なんとかしてくれそうじゃない」
年齢的には、アラッドよりも二つ上といった程度の差しかない。
とはいえ、アラッドと明確に違う部分は確かにある。
生まれてから貴族令嬢として生き、途中から善の感情を……目的を持ちながら騎士への道を進み始め、現在その騎士としての道を進んでいる。
そのため、本当の意味での戦場での心構えはアラッドより出来上がっている。
「……そうだね。そうかもしれないね。少し、僕が心配し直ぐていただけかもしれないね」
「そうよ。まっ、心配する気持ちは解るけどね」
今回の戦争に参加する子供は、アラッドだけではない。
パーシブル家の長男であるギーラスに加えて、長女であるルリナ、次男であるガルアも参加する。
(あの子たちも……無事に、戻ってきてほしい)
差別、ではない。
単純な戦闘力を考えれば、親たちがアラッドよりもギーラスたちの事を心配してしまうのは、致し方ないことである。
アリサとしても、血は繋がっていなくとも大切な子供である。
なんなら……常日頃からアラッドを妊娠していた時期以外は訓練場で共に時間を過ごしてたため、平均的な関わっている時間はかなり長い。
(まず、ギーラスは狙われてしまうだろうね)
長兄であり、パーシブル侯爵家の次期当主であるギーラス。
次期当主を侵略戦争ではないとはいえ、小競り合いとは呼べないガチな戦争に参加させても良いのかという声もあるが、現当主のフールが現役騎士の際……バリバリ前線で戦っていたこともあり、次期当主がいざという時に前に出ないというのは、という事情があった。
とはいえ、そういった一般的な常識や、周りの者たちからどう思われるかなど関係無く、ギーラスはこれからゴリディア帝国との戦争が行われると知って……真っ先に最前線に出ようと決めた。
仮に、フールが戦争に参加するのは問題無いが、最前線に出るのは止めろと伝えられても……これまでの人生で初とも言える父親への反抗を行ってでも、最前線に出るつもりだった。
「となると、やはり狙われてしまうのはギーラス様でしょうか」
「うん……ゴリディア帝国がどこまで考えてるのかは知らないけど、狙いたいうちの一人だろうね」
ギーラスはフールが現役時代に殆ど一人で討伐したAランクドラゴン、暴風竜ボレアスの子であるストールと一騎打ちを行った際……黒炎を会得した。
色付きの炎使いということもあり、ゴリディア帝国からすれば優先的に潰したい存在。
そして……ゴリディア帝国が更に先を見据えているのであれば、将来的に多くの騎士を率いる、目標となる存在のギーラスを、そうなる前に潰したい。
(ギーラス…………)
以前、長男であるギーラスから一つの手紙が送られた。
最近の騎士生活に関してや……戦争に参加すること。
そして……最後に、剣鬼の名は必ず自分が受け継ぐと……それを証明すると、記されていた。
アラッドに対するライバル心や、下から迫る弟に負けられないといった、そういう感情を込められた文ではない。
現当主であるフールに対して、あなたがいつでも当主から降りられるよう……安心して自分に託せる様に、強さでもあなたに追い付いてみせるという思いが込められていた。
「ですが、後は祈ることしかないかと」
「そうだね……うん。後は、信じることしか、出来ないもんね」
親として、何が出来るかを考えていた。
考えた上で……過保護にならないラインを見極め、フールはやれる事を既にやっていた。
後……フールに子供たちに対して何か出来ることがあるとすれば、それは……戦場で死なないことである。
「………………」
「不安そうなお顔をされてますが、大丈夫ですか。フール様」
「……ふふ、顔に出ていたか」
馬車に乗りながら、目的の最前線の一つとなる街まで向かうフールたち。
そんな中か、騎士団長であるグラストはフールの僅かな表情の変化を把握していた。
「アラッドが強いことは、百も承知してるよ。相棒であるクロも、友人であるスティーム君たちも本当に強い。ただ……戦争とは、これまでアラッドが体験してきた冒険とは異なるからね」
「そうね~~。もしかしたら、そこの違いに少し戸惑うかもしれないね」
二人の会話に、アラッドの母親であるアリサも混ざる。
現役時代から多少なりとも冒険者と交流があったフールと、元冒険者だったアリサは冒険と戦争の違いをある程度理解していた。
冒険者であれば、事前に探索する場所の情報を得て、生息しているモンスターの情報を得られる。
標的が定まっているのであれば、最初からそのモンスターに関して情報を得ようとする。
だが、戦場の舞台が戦争となると、アラッド一個人の力ではそう簡単に情報を集められない。
しかし……国はアラッドのことを良く調べ、削ろうと……攻略しようとしてくる。
「でも、そう簡単に殺されたりしないわよ」
「うん、それは解ってるよ。けど、アラッドはまだ子供だからね」
子供の頃から大人びている。
そう感じてはいたが、それでも……親だからこそ、まだアラッドの中に残っている子供な部分を感じ取れる。
「ん~~~…………それはそうかも。けどさ、そういう時はフローレンスちゃんがビシッと! なんとかしてくれそうじゃない」
年齢的には、アラッドよりも二つ上といった程度の差しかない。
とはいえ、アラッドと明確に違う部分は確かにある。
生まれてから貴族令嬢として生き、途中から善の感情を……目的を持ちながら騎士への道を進み始め、現在その騎士としての道を進んでいる。
そのため、本当の意味での戦場での心構えはアラッドより出来上がっている。
「……そうだね。そうかもしれないね。少し、僕が心配し直ぐていただけかもしれないね」
「そうよ。まっ、心配する気持ちは解るけどね」
今回の戦争に参加する子供は、アラッドだけではない。
パーシブル家の長男であるギーラスに加えて、長女であるルリナ、次男であるガルアも参加する。
(あの子たちも……無事に、戻ってきてほしい)
差別、ではない。
単純な戦闘力を考えれば、親たちがアラッドよりもギーラスたちの事を心配してしまうのは、致し方ないことである。
アリサとしても、血は繋がっていなくとも大切な子供である。
なんなら……常日頃からアラッドを妊娠していた時期以外は訓練場で共に時間を過ごしてたため、平均的な関わっている時間はかなり長い。
(まず、ギーラスは狙われてしまうだろうね)
長兄であり、パーシブル侯爵家の次期当主であるギーラス。
次期当主を侵略戦争ではないとはいえ、小競り合いとは呼べないガチな戦争に参加させても良いのかという声もあるが、現当主のフールが現役騎士の際……バリバリ前線で戦っていたこともあり、次期当主がいざという時に前に出ないというのは、という事情があった。
とはいえ、そういった一般的な常識や、周りの者たちからどう思われるかなど関係無く、ギーラスはこれからゴリディア帝国との戦争が行われると知って……真っ先に最前線に出ようと決めた。
仮に、フールが戦争に参加するのは問題無いが、最前線に出るのは止めろと伝えられても……これまでの人生で初とも言える父親への反抗を行ってでも、最前線に出るつもりだった。
「となると、やはり狙われてしまうのはギーラス様でしょうか」
「うん……ゴリディア帝国がどこまで考えてるのかは知らないけど、狙いたいうちの一人だろうね」
ギーラスはフールが現役時代に殆ど一人で討伐したAランクドラゴン、暴風竜ボレアスの子であるストールと一騎打ちを行った際……黒炎を会得した。
色付きの炎使いということもあり、ゴリディア帝国からすれば優先的に潰したい存在。
そして……ゴリディア帝国が更に先を見据えているのであれば、将来的に多くの騎士を率いる、目標となる存在のギーラスを、そうなる前に潰したい。
(ギーラス…………)
以前、長男であるギーラスから一つの手紙が送られた。
最近の騎士生活に関してや……戦争に参加すること。
そして……最後に、剣鬼の名は必ず自分が受け継ぐと……それを証明すると、記されていた。
アラッドに対するライバル心や、下から迫る弟に負けられないといった、そういう感情を込められた文ではない。
現当主であるフールに対して、あなたがいつでも当主から降りられるよう……安心して自分に託せる様に、強さでもあなたに追い付いてみせるという思いが込められていた。
「ですが、後は祈ることしかないかと」
「そうだね……うん。後は、信じることしか、出来ないもんね」
親として、何が出来るかを考えていた。
考えた上で……過保護にならないラインを見極め、フールはやれる事を既にやっていた。
後……フールに子供たちに対して何か出来ることがあるとすれば、それは……戦場で死なないことである。
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