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千百四十七話 禁物
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「なるほど、君か」
「っ!!!」
最前線のある場所に到着したフール。
そこにはゴリディア帝国側の兵士や騎士に魔術師。
そして……アルバース王国側の死者が数名、負傷者が多数いた。
(……遅くなって、すまなかった)
殺されてしまった者たちの覚悟を侮辱するつもりはない。
それでも、倒れ伏した味方に申し訳ないと伝え……その戦場だけではあるが、アルバース王国が押される要因となった人物に目を向ける。
「君が、その部隊のトップだね」
「…………」
フールが急いで戦場の最前線に駆け出す要因となった人物。
その男は髪は赤く、長髪が似合う野性味のあるイケメン騎士。
手にはロングソードを持っているが……遠目から見ていたフールには、死角から奇襲を上手くやれているように思えた。
「その顔、剣の様に鋭い圧……そうか。あんたがフール・パーシブル…………噂の剣鬼か」
「私の名前を知ってくれているとは、後衛だね」
「アルバース王国と戦う上で、知らない方がおかしいというものだ。にしても……ふふ、俺は運が良い」
男は野性味たっぷりの笑みを浮かべ、剣に炎を纏わせた。
「俺はリベル・ガルザーク!!! この戦争で、あんたと一番戦いたいと思っていたっ!!!!」
「なるほど。そういう意味で運が良いと」
「そうだっ!!!! 国の為にと前に前に進んで戦っていれば、どうせ死ぬ……であれば! 戦いってみたかった、殺り合ってみたかった相手と戦いたいというものだろっ!!!!!」
リベルの言葉を聞き、フールは目の前の騎士がただバトルジャンキーなだけではないと悟った。
(しっかりと、国のことを考えてはいる……臆病者でもなく、自分勝手な者でもない…………うん。良い騎士なんだろうね)
彼の周りにいる者たちの表情を見れば、リベルが騎士や人間として慕われていることがよく解る。
「解ったよ。元々君を放っておけば前線の被害が大きくなると思って前に出てきた。君の相手は、私がしよう」
「~~~~っ、ぃよっしゃッッッ!!!!!!」
盛大に雄叫びともとれる喜びの声を上げるリベル。
しかし、フールは小さく呟き零していた……ただ、相手をするのは君だけではないけど……と。
そんな呟きが耳に入ることはなく、リベルはロングソードに纏う炎を更に滾らせ、仲間たちと共に駆け出し……フールを、アルバース王国軍を討伐せんと得物を振るう。
「嘗めんじゃねぇぞッ!!!!!」
「やられっぱなしで、いられるかっ!!!」
「フール様に続けぇええええええええッ!!!!!!!」
押されていたアルバース王国の戦闘者たちだったが、自分たちの大将がわざわざ前線に現れた。
それだけでも、罅が入っていた闘争心が即座に修復され、再び燃え盛る炎へと滾りだす。
「「ッ!!!」」
そんな中、互いに剣に炎を纏わす剣士の得物が激突。
甲高い音が戦場に鳴り響き……両者後方に下がる。
しかし、下がり幅はややリベルの方が長かった。
(俺が、パワーで押されるか!! 流石、剣鬼ッ!!)
肉体だけを見れば、リベルの方が線が太い。
そして肉体だけではなく、レベルもフールと戦うことが一番の目的だったと語れるほどのレベルは有している。
それでも……現段階であってもパワー負けしたという事実に、リベルは武者震いを起こす。
(痺れるね……よく、練られている)
対して、特にパワーが自慢という訳ではないが、外見や声色から把握出来るリベルの年齢をふまえると、それなりに恐ろしいと感じた。
それと同時に、やはり自分が前に出てきた判断は間違ってなかったと思えた。
(私が出なければ……あるいは、ガルシアたちやアリサたちが、異変に気付いて対応しなければ…………間違いなく、彼一人の数十は、もっていかれただろうね)
剣を合わせれば、闘気をぶつけ合えば明確に解る。
彼は死角からの奇襲、ゲリラ戦法も上手いが、本質やレンジャーやアサシンではなく、ファイターやウォーリアーであると。
(冒険者ではなく、騎士にこのような、者がいるなんて、ね。やはり、油断は禁物か)
フールはエリナたちから竜を放つ……正確には、二属性の竜を放つ者、もしくは放てる者たちの報告も忘れていない。
現役時代、共に肩を並べて戦った同期たち。
自分たちの背に追い付こうと、必死に走っていた後輩たち。
任務先で知り合った、自分たちに負けない力を持つ冒険者たち。
そんな記憶や情報があるからこそ、油断は禁物というのは解っていたが、それでも……自分たちは負けないと、自信とも慢心とも取れる思いを持っていた。
だが、やはりそれは慢心だったと、目の前の騎士……リベル・ガルザークと斬り結ぶ中で思い知らされる。
「ぐっ!!??」
「なっ!!??」
「チっ!! この、どこからっ!!!」
「ぎっ!? っ、うわっ!!!!????」
あのフールを相手に、今のところ同じロングソードを使い、同じく炎を纏いながら互角に戦うリベル。
そんな彼の姿に、共に派遣された騎士たちの闘志は更に燃え上がる…………そう、燃え上がりはしていた。
しかし、周囲から聞こえる悲鳴、衝撃を受ける声は……リベルにとって、聞き覚えのあるものが多かった。
「っ!!!」
最前線のある場所に到着したフール。
そこにはゴリディア帝国側の兵士や騎士に魔術師。
そして……アルバース王国側の死者が数名、負傷者が多数いた。
(……遅くなって、すまなかった)
殺されてしまった者たちの覚悟を侮辱するつもりはない。
それでも、倒れ伏した味方に申し訳ないと伝え……その戦場だけではあるが、アルバース王国が押される要因となった人物に目を向ける。
「君が、その部隊のトップだね」
「…………」
フールが急いで戦場の最前線に駆け出す要因となった人物。
その男は髪は赤く、長髪が似合う野性味のあるイケメン騎士。
手にはロングソードを持っているが……遠目から見ていたフールには、死角から奇襲を上手くやれているように思えた。
「その顔、剣の様に鋭い圧……そうか。あんたがフール・パーシブル…………噂の剣鬼か」
「私の名前を知ってくれているとは、後衛だね」
「アルバース王国と戦う上で、知らない方がおかしいというものだ。にしても……ふふ、俺は運が良い」
男は野性味たっぷりの笑みを浮かべ、剣に炎を纏わせた。
「俺はリベル・ガルザーク!!! この戦争で、あんたと一番戦いたいと思っていたっ!!!!」
「なるほど。そういう意味で運が良いと」
「そうだっ!!!! 国の為にと前に前に進んで戦っていれば、どうせ死ぬ……であれば! 戦いってみたかった、殺り合ってみたかった相手と戦いたいというものだろっ!!!!!」
リベルの言葉を聞き、フールは目の前の騎士がただバトルジャンキーなだけではないと悟った。
(しっかりと、国のことを考えてはいる……臆病者でもなく、自分勝手な者でもない…………うん。良い騎士なんだろうね)
彼の周りにいる者たちの表情を見れば、リベルが騎士や人間として慕われていることがよく解る。
「解ったよ。元々君を放っておけば前線の被害が大きくなると思って前に出てきた。君の相手は、私がしよう」
「~~~~っ、ぃよっしゃッッッ!!!!!!」
盛大に雄叫びともとれる喜びの声を上げるリベル。
しかし、フールは小さく呟き零していた……ただ、相手をするのは君だけではないけど……と。
そんな呟きが耳に入ることはなく、リベルはロングソードに纏う炎を更に滾らせ、仲間たちと共に駆け出し……フールを、アルバース王国軍を討伐せんと得物を振るう。
「嘗めんじゃねぇぞッ!!!!!」
「やられっぱなしで、いられるかっ!!!」
「フール様に続けぇええええええええッ!!!!!!!」
押されていたアルバース王国の戦闘者たちだったが、自分たちの大将がわざわざ前線に現れた。
それだけでも、罅が入っていた闘争心が即座に修復され、再び燃え盛る炎へと滾りだす。
「「ッ!!!」」
そんな中、互いに剣に炎を纏わす剣士の得物が激突。
甲高い音が戦場に鳴り響き……両者後方に下がる。
しかし、下がり幅はややリベルの方が長かった。
(俺が、パワーで押されるか!! 流石、剣鬼ッ!!)
肉体だけを見れば、リベルの方が線が太い。
そして肉体だけではなく、レベルもフールと戦うことが一番の目的だったと語れるほどのレベルは有している。
それでも……現段階であってもパワー負けしたという事実に、リベルは武者震いを起こす。
(痺れるね……よく、練られている)
対して、特にパワーが自慢という訳ではないが、外見や声色から把握出来るリベルの年齢をふまえると、それなりに恐ろしいと感じた。
それと同時に、やはり自分が前に出てきた判断は間違ってなかったと思えた。
(私が出なければ……あるいは、ガルシアたちやアリサたちが、異変に気付いて対応しなければ…………間違いなく、彼一人の数十は、もっていかれただろうね)
剣を合わせれば、闘気をぶつけ合えば明確に解る。
彼は死角からの奇襲、ゲリラ戦法も上手いが、本質やレンジャーやアサシンではなく、ファイターやウォーリアーであると。
(冒険者ではなく、騎士にこのような、者がいるなんて、ね。やはり、油断は禁物か)
フールはエリナたちから竜を放つ……正確には、二属性の竜を放つ者、もしくは放てる者たちの報告も忘れていない。
現役時代、共に肩を並べて戦った同期たち。
自分たちの背に追い付こうと、必死に走っていた後輩たち。
任務先で知り合った、自分たちに負けない力を持つ冒険者たち。
そんな記憶や情報があるからこそ、油断は禁物というのは解っていたが、それでも……自分たちは負けないと、自信とも慢心とも取れる思いを持っていた。
だが、やはりそれは慢心だったと、目の前の騎士……リベル・ガルザークと斬り結ぶ中で思い知らされる。
「ぐっ!!??」
「なっ!!??」
「チっ!! この、どこからっ!!!」
「ぎっ!? っ、うわっ!!!!????」
あのフールを相手に、今のところ同じロングソードを使い、同じく炎を纏いながら互角に戦うリベル。
そんな彼の姿に、共に派遣された騎士たちの闘志は更に燃え上がる…………そう、燃え上がりはしていた。
しかし、周囲から聞こえる悲鳴、衝撃を受ける声は……リベルにとって、聞き覚えのあるものが多かった。
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