転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。

Gai

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第213話 命は、惜しいだろ?

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「お待たせしました!!!!」

「ありがとう」

「あ、あの。先程は冒険者達がバカな絡み方をしてしまい、大変申し訳ありませんでした!!!!!」

ミノタウロスに関する書類をアドレアスに渡した受付嬢は、声を震わせながらも綺麗に腰を折って謝罪の言葉を告げた。

「ふふ、気にしてませんよ。冒険者がどういった人たちなのか、友人から聞いてします。ですが、あぁいった絡み方をしてしまうと、相手の立場によっては、その場で斬り捨てようとするかもしれないので、警告しておいた方が良いですよ」

(いや、立場的に言えば、お前が一番斬り捨てそうだろ)

(立場で言えば……アドレアス殿が、一番そういった立場なのだが……)

(失礼な考えなのは解ってるんだけど、立場的に一番切り捨てそうなのって……アドレアス様だよね?)

アドレアスの受付嬢に対する言葉に、三人とも同じツッコみを入れた。

「か、かしこまりました!!!!!」

その後、アドレアスたちは書類に書かれた資料に目を通していく。

「これまでで、Cランクの冒険者が三人殺されてる、か…………まっ、別にあり得なくねぇ話か」

「Dランクの冒険者は、その倍以上殺されてるね」

「扱う武器はリーチの長い斧……予想通りの個体、と言って良さそうですね」

「四人以上のパーティーとの交戦経験もある。連携訓練を積んできたけど、全て思い通りにいくと思わない方が良さそうだね」

元々油断してないが、殺された人数などを見て、更に警戒心を高める。

「ミノタウロスが頭を使って潰しに来るとは限らねぇが…………そうだな。そう簡単にこっちの攻撃が通用しねぇって考えてるぐらいが丁度良いか」

Bランクモンスターの中でも、決して頭がよろしい方ではないミノタウロス。
しかし、フィリップはオーガとリザードマン……こちらも比較的頭がよろしくないタイプではあるが、その両方の特徴を併せ持つモンスターが非常に高い思考力を持っていたのを思い出した。

「以外にも頭が切れるという可能性は否定出来ませんが、これまで連戦連勝してきていることを考えれば……変わらず力で押すタイプかもしれません」

「俺も九割以上はそうだと思うんだが、仮に頭が良くなかったとしても、咄嗟に本能が記憶を掘り返して、対応して来るかもしれないだろ」

「っ、なるほど。確かにモンスターの本能的な力は侮れません」

「俺としては、そんな本能発揮せずに、ただただ力押しできてくれた方が戦りやすいんだけどな」

戦斧を振り回すことにしか考えがない個体であれば、万が一イブキ達を飛び越えて自分の方に向かって来ても対処がしやすいと考えるフィリップ。

それは他三人も同じだった。

何故なら……フィリップたちは、身近に力が半端なく強いくせに、なんで? とツッコみたくなる技術力を持つ怪物がいる。

ここ最近は仮想ミノタウロスの相手をしてもらっていたが、普段は様々な方法でフィリップたちを完封していた。
そんなハイレベルな力を技を怪物と比べれば、力だけの怪物は比較的戦りやすい。

「けど、この雷を扱えるってのは厄介だな」

「武器に雷属性が付与されてるみたいだね。ガードして受け止められたらそれが一番なんだけど……少し対処方法を変えた方が良いかな」

今回のミノタウロス戦、イシュドは鬼竜・尖との戦闘時と違って、アタッカーではなくタンクとして動く予定だった。

だが、雷を纏った攻撃は魔力を纏う……もしくは雷属性の耐性を上げるマジックアイテムを装備していれば対処出来る。
しかし、魔力を纏う量を間違えれば痺れが体を走る。
仮想ミノタウロスとして四人に協力したイシュドだが、ガルフの成長を楽しみにしているとはいえ、各属性の耐性を上げるマジックアイテムなどは渡していない。

「だろうな~~。あんまり受け止めず、受け流す方が良いだろうな」

攻撃を受け止めれば、イブキやアドレアスの攻撃が当たり易くなる。
勿論、受け流すという防御方法も十分強力ではあるが、ガルフの受け流し技術はまだ一流には程遠い。

(雷、か……全身にも纏えるみてぇだな、クソが。割と無視出来ないレベルの戦斧なんか? …………そんでも、顔面を狙えば多少は怯んでくれるか)

ギルドが保有している資料を読み終わり、四人はギルドを去った。
それまで、訓練場の方から度々バカ冒険者たちの悲鳴が聞こえ続けた。


「細かい資料を見れて良かったですね」

「やはり、情報収集を行うのは冒険者ギルドが一番の様だね」

イブキ、アドレアスの二人はホッとした、楽し気な表情を浮かべていた。

それに対し、フィリップは盛大に大きなため息を吐いた。

「はぁ~~~~~~~~~……お前、あんな事があったのに、良くそんな事が言えんな」

「冒険者たちに侮辱されたことかい? あぁいった話は事前にイシュド君から聞いていたからね。私も人だから、多少はイラっとした。ただ、彼が教えた通りに対処すれば、全員黙ったじゃないか」

(……あの無言巨人ギルド職員が来なきゃ、まだキャンキャン吠えそうだったけどな)

フィリップは阿呆冒険者たちが、まだ吠えようとしていた事に気付いていた。
ただ、アドレアスの言う通り、阿呆冒険者たちがフィリップたちの殺気、戦意を浴びたことで傲慢なプライドがバキッと折れたのは間違いなかった。

「そもそも、ある程度実力のある者、頭が回る者は僕たちにあんな言葉を投げてこないだろう」

「馬鹿絡みをしてくるのは、本当に何も解ってないポンコツだから、いくらでも対処出来るって言いてぇんだな。けど、世の中にはバカだけど強ぇのもいるだろ」

「それは否定出来ないね…………でも、戦ると死ぬ可能性がると解れば、引き下がるんじゃないかな。イシュドの様な戦い大好き人間であればともかく、考える頭が足りないが強いという人なら、金にならない、誰かを守るような戦いでもないのに死ぬ可能性があると感じれば、意味のない戦いだと思いそうじゃないかい?」

「あぁ………………かも、しれねぇな」

そこまで考えられる奴が、簡単に引いたりするか? と思うものの、アドレアスの考えに納得出来る部分はあったため、それ以上反論はしなかった。

その日は体を休める事、たっぷり食べて明日に備えることだけに時間を使い……翌日、四人はミノタウロスの潜む森に足を踏み入れた。
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