転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。

Gai

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第360話 自然と決めた役割

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「っ!!!!!!!」

両翼に……全身に炎を纏い、竜星となりてフィリップたちを潰そうとするアサルトワイバーンに対し、横から全力で拳骨を叩き込んだ。

直線の動きは、急に襲いかかる横からの力に弱い。
それは間違いないが……半端な力では弾き返されてしまう。
結果で言えば、ガルフの闘気を纏った拳は弾き飛ばされなかった。
しかし、叩き込まれた拳を炎を纏った翼に裂かれ……この戦いの最中は、使用不可能に追い込まれてしまった。

(好機ッ!!!!!!)

殴り飛ばされ、勢い良く地面に激突したアサルトワイバーンに対し、アドレアスはいきなり我を出すことはなく、翼に向けて連続で渾身の風突を放った。

「セェエエヤアアアアアッ!!!!!」

二年生のレブトも完全に討伐する為にと、喉元や頭部を狙うのではなく、尾を狙って
確実に削りにいく。

「ギッ!!??」

受けが間に合わなかったこともあり、アサルトワイバーンの表情が歪む中……ミシェラの風刃が喉元に迫る。

「……雑な跳び方ですわね」

惜しくもアサルトワイバーンが上空に逃げたことで、ミシェラの風刃は喉に届かなかったが、連続で迫る攻撃に対して後手に回り始めた結果……片翼が根元から切断された。

「ナイス過ぎるぜ、イブキ」

ジャストタイミングで抜刀し、斬撃波を放ち……見事片翼を斬り落としたイブキに賞賛を送りながら、フィリップは投擲スキル、スローイングを発動しながら雷を纏った短剣を投げた。

片翼を失った時点でバランスが大きく崩れるが、万が一を考慮して更にダメ押しを加える。

「フッ!!!!!」

「良いね、流石会長パイセン。ミスなく仕留めてくれるね~~~~」

完全に空中で動きが停止した瞬間、氷刃がアサルトワイバーンの首を斬り裂いた。

斬り裂かれた内から氷、血は流れず……完全に呼吸を止めた。

「ふぅーーー……良い仕事をしますね、フィリップ」

双剣を収めたクリスティールは女神の微笑みを浮かべながら、手のかかる弟の行動を褒めた。



(……思ったよりもあっさり殺ったな。いや、今のあいつらなら……普通のBランクモンスターなら、七人もいれば十分殺れるか……つっても、目立った傷を負ったのがガルフだけってのを考えれば、上出来か)

ガルフたちはイシュドの予想を越える連携で見事アサルトワイバーンの討伐に成功。

Bランクモンスターを討伐したということもあり、全員表情が……そこまで緩むことはなかった。

(ふふ、別に今喜んだって何にも言やしねぇってのによ。けどまぁ、全員解ってるようで何よりではあるか)

ガルフが右拳を負傷したものの、それ以外の被害内容を考えれば、快勝といっても過言ではない内容。

イシュドの力を一切借りずにBランクモンスターの亜竜を討伐したにもかかわらず、慢心が顔に出ている者は一人もいなかった。

「イシュド」

「へいへい、見張りやってっからちゃちゃっと解体しちまえよ」

「ありがとう」

一応、今回はイシュドも依頼を受けている側であるため、見張りぐらいは真面目に行わなければならないと思っている。

(………………チッ、相変わらず嫌な予感だけはするって感じだな……状況が状況だから、あんま素直に喜べねぇんだよな)

本来なら喜べる感覚であるにもかかわらず喜べないという状況に、多少なりとも苛立ちを感じたのか……イシュドは無意識にアイテムバッグの中からマジックアイテムの煙管を取り出していた。




「いやぁ~~、いきなりBランクモンスターかよって思ったけど、上手く戦えたもんだな」

「……そうね。それは、間違いないと思いますわ」

ミシェラは気を引きつつも仕留められる時は全力で仕留める……そんな前衛に徹し、レブトも同じ心構えで前衛を努めた。

そしてイブキ、アドレアスは高火力の遠距離砲として後方から攻め、フィリップは前衛たちの援護を行い続けた。

クリスティールはアサルトワイバーンの意識の外から攻めるように動き、ガルフは闘気を存部に活かして移動する盾に……最後は敵の最大火力を妨害した。

事前にそれぞれの役割を決めていなかったが、一番槍の役割をミシェラが真っ先に実行し始めてから、それぞれが特に話し合うことなく今回の戦いにおける自分の役割を決め始めた。

「けれど、私一人では……まだ無理ですわ」

「おいおい、そりゃ亜竜つったって、Bランクの亜竜だぜ。まだ俺らじゃ無理だろ」

「今無理だとしても、戦場がそれを理解して待ってくれるとは思えませんわ」

理不尽とは突然襲い掛かる。
だからこそ、ミシェラは結果的にイシュドを除いた全員で戦ったが、改めてもし自分一人で戦っていたらと振り返り…………命を懸けたとしても、アサルトワイバーンの首を斬り裂けるイメージが明確に浮かばなかったことを悔いる。

「……どうしたよミシェラ。珍しくおっぱいじゃなくて頭に栄養がいってるじゃん」

「っ!! フィリップ!!!! どうしてあなたは真面目な話をしている時にそういう事を!!!!」

「おいおい、んな怒んなって。普通に褒めてるんだからよ」

どう聞いてもバカにしている様にしか思えないが、フィリップ的には本気で褒めていた。

「ガルフはどうよ。割とソロで戦うならどう戦うかって思い浮かぶか?」

「…………まず、あの両翼をどうにかしなきゃいけないんだろうけど、その案が浮かばないかな」

豪火球をアッパーで弾き飛ばし、炎の竜星をイブキとアドレアスの攻撃のお陰で減速したとはいえ、横から妨害出来たことでアサルトワイバーンの攻撃を上手く対処するイメージは湧くものの、そこからどう仕留めるかが浮かばないガルフ。

「イシュドなら、どう倒すと答えるでしょうか」

「イシュドなら……平気で尻尾を掴んで回して叩きつけるのを繰り返せば倒せるって答えそうかな」

Bランクドラゴンの尾を掴み、ぶん投げて叩きつけて倒す。
まず常人には選択肢にすら浮かばない討伐方法ではあるが、全員あの男が常人な訳がないと理解しているからこそ、誰もアドレアスの言葉にツッコまなかった。
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