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少年期[240]目の前で起こっても

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二人と一体が魔物の大群を全て倒し終えて話し合っているのを離れた場所から見ていた面々の反応は様々だった。

魔物の大群に追われていた六人組の冒険者達はゼルート達の戦いぶりを見て、目の前で起こった事なのだが本当に現実なのか頭が少々混乱していた。

「・・・・・・・・・・・・嘘だろ。ほ、本当に二人と一体であの大群を倒しやがった」

「あ、あの従魔のドラゴンが強いのは分かる。だが、他の二人はまだ子供・・・・・・少年の方に限っては成人すらしてないよな」

「だろうな。耳がとがっていない所を見るとエルフでは無さそうだしな。ただ・・・・・・やはり信じられない気持ちはあるな」

六人組の内、三人の男性冒険者はゼルート達の後ろにいたアレナ達に直ぐに三人に加勢しなければと伝えた。
後ろに残ったのは六人。自身達も含めれば十二人。
この人数ならば魔物の大群にだって対抗できると思った。

しかしアレナはそれを拒否した。
その回答に六人は信じられないという顔をした。チラッと見えたドラゴンは体は大きくは無いが、魔物のヒエラルキーの頂点に君臨するドラゴン。ラルの事はそこまで心配していなかったが、魔物の群れに向かって突っ込んだ二人はまだ子供。

多数の魔物を相手にしては絶対に助からない。今までの経験からそう思わざるを得なかった。

一人がアレナに声を荒げて抗議しようとするとアレナが後ろを見てみろと言われ、六人はそんな事より速くしなけれなと思いながらも後ろを向く。

そこには多数の魔物を相手に互角どころでは無く、圧倒している一人の少年と獣人の少女がいた。

「あの二人はあなた達が思っているより遥かに強いのよ。特に少年の方わね」

そこから六人は戦いが終わるまで一言も発さずに二人と一体の戦いを見続ける。
そして戦いが終わった時、二人と一体の体には殆ど傷がなかった。

ゼルート達が戦った魔物中には基本的には冒険者側で多数で戦わなければならない魔物が最低六体はいた。いたのだが、そんなのは関係ないとばかりゼルート達は当たり前のように立ち向かい、勝利した。

「人を見た目で判断するな。この言葉には色々な意味が込められているわ。その中であの二人・・・・・・特に少年の方は戦闘面に関して当てはまる言葉よ」

事実、ゼルートの戦闘力を見た目で判断し痛い目を、地獄を見た冒険者は多い。そしてこれからも増えていくとアレナは考えていた。

ゼルートが冒険者になってから初めて打ち立てた記録は余りにも新人離れしたものであり、ゼルートの見た目からは予想出来ない物。

これからゼルートの強さが功績と共に広まっても、ゼルートの外見を見て直ぐに信じられる者は少ない。ゼルート自身すらそう思っている。
ただ、本人関してはその部分で楽しんでいる部分もある。

「あの少年・・・・・・ゼルートという名前なのだけれど、あの人に常識という言葉は当てはまらないわ。本人はその認識が薄いみたいだけど」

ゼルートの戦いの最中の表情を見た六人はアレナの説明に納得せざる得なかった。
リザードマンナイトと戦うゼルートの顔に焦りや怯えは無い、真剣でないという訳ではないが表情が真面目でもない。
嬉々として笑い、リザードマンナイトとの戦いを楽しんでいる。まだ成人でない子供が。

それは六人の常識には当てはまらない物だった。

ただ、取りあえず六人はゼルートとルウナ、ラルにお礼をしなければと思い。戦いが終わった二人と一体の元へ向う。
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