冒険がしたい創造スキル持ちの転生者

Gai

文字の大きさ
503 / 1,083
連載

少年期[659]さすがラームだ

しおりを挟む
「まっ、こんなもんだな」

「……五分掛からなかったわね。素材の状態は決して悪くない。一番価値がある魔石には一切傷が付いていない……ボスと戦ったにしては良い状態ね」

「正直な話、ゼルートが脚力を最大にして首を斬りにいけば、大抵の魔物は一斬りで終わるんじゃないか?」

ホーリーミノタウロスとのぶつかり合いは決して悪くなかった。
アレナの言う通り、素材や魔石の状態も良い。

だが、過去にゼルートと対峙して全く動けず負けたルウナはふと思ってしまった。
ゼルートが脚力マックスで近づけば、殆どホーリーミノタウロスを傷付けずに倒せたのではないかと。

「脚力をマックスにしたら、確かにさっきみたいにスパッと斬って終わるかもな。でも、そんなのつまらないだろ」

「そうだな。それに関しては全くもって同感だ。ただ、切断した部分を凍らせるというのは良いな」

「かもな。けど、ルウナだって炎で切断面を焦がせば同じようなことができるだろ」

「それはそうだが……アレナも素材の状態を考えたら、氷の方が良いと思わないか?」

「冒険者としてはあまり素材が傷付かない氷の方良いけど、あんまり気にしない方が良いんじゃないの? ルウナはあまりそういうことを考えるのは性に合わないでしょ」

ルウナに対して若干失礼なことを言ってるのだが、本人は全く気にしていなかった。

「……うむ、確かにそうだな!! 気にするのは止めよう。さて、目的のボスを倒したのだ。早速宝箱の中身を見よう、ゼルート」

「そうだな。できれば一発で目的の物が入ってれば良いんだが……」

ラームが強奪によってダンジョンで生まれた魔物から運を奪い、溜め込んでいた。
なので、欲しいもの……もしくは珍しい物が手に入る確率が高い。

「…………ぃよっしゃっ!!!!!!!」

宝箱の錠を開け、中身を確認すると宝箱の中には目的の物である聖魔石が入っていた。

「ふぅーーー、一発で手に入るなんて本当に運が良いわね。ラーム様々よ」

「あぁ、マジで良かった。ありがとな、ラーム」

「えへへへへへ。どういたしまして!!!!」

六人の実力を考えれば五十一階層からボス部屋まで猛ダッシュで降りることができるが、それでも次のボス戦でも聖魔石が手に入らなかったらと思うと、焦りが止まらない。

だが、六十階層のボス戦一回目で聖魔石が手に入り、一同はほっと一安心した。

「にしても……この聖魔石の大きさなら、聖剣二つ分ぐらいは造れそうじゃないか?」

「鍛冶に詳しくはないけど、この大きさなら二つ分造れてもおかしくなさそうね……真っ二つにするつもり? ゼルートなら綺麗に斬れるでしょうけど、一応鍛冶ギルドに持って行って調べてもらった方が良いと思うわよ」

「それもそうだな。よし、とりあえず目的の物は手に入れた。地上に戻ろう」

地上に転移される魔法陣の上に乗り、六人は一瞬でダンジョンの入り口に到着。
時間はまだ午後三時過ぎ。夕食を食べるには少々早過ぎる。

という訳で、夕食を食べる前にそのまま鍛冶ギルドに向かった。

「……視線が集まるのはいつものことだが、今日はやけに多い気がするが……何故だ?」

「帰ってきたらいつも多くの素材をギルドで売ってるでしょ。だから今回もどれだけ狩ってきたのか気になってるのよ」

「あぁ、なるほど。うちにはゼルートがいるから、いくらでも持って帰られるからな」

よっぽど優れたアイテムバッグやリングを持っていなければ、ダンジョンの中で倒した魔物の素材を全て持ち帰るのは不可能。

故に、同業者たちはゼルートたちがどの階層を探索していたかよりも、それだけの量を持ち帰って売るのかが気になっていた。

「まっ……事情が事情だからな」

魔法の才能が非凡過ぎたため、個人で容量無制限……加えて時間停止のアイテムバッグやリングを造れるのはゼルートしかいない。

この街に来てから溜め込んでいた魔物の素材を売っているが、それでもアイテムバッグやリングの中にはまだまだ多くの素材が溜め込まれている。

「ここが鍛冶ギルドだな」



先日からブックウォーカーで「小説投稿サイトで稼ぐ方法」という電子書籍の発売を始めました。
本人は私が次々幾ら稼いでいるのか。
そしてどういった手順、考え方で大まかな設定やストーリーを考えているのかを記載しています。

もし小説を書くという副業をしてみたいと思う方がいれば、是非ご購入してみてください。
お値段は後九日間は百五十円です!
しおりを挟む
感想 685

あなたにおすすめの小説

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね

章槻雅希
ファンタジー
 よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。 『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。