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少年期[743]思い付きで出された物は……
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「そういう訳だから、何か良い感じのプレゼントあったりする?」
「えっと……」
レミアが……自身の母親が戦争に参加するという事実は納得した。
できれば領地に残っていて欲しいところだが、本人の意志が固く、自分が何を言っても無駄ということもあり、参加しないように説得するのは諦めた。
(母さんに見合うプレゼントか……何か良いのあったか?)
レミアに相応しい武器は現在手持ちにあるのか。
記憶を掘り返し続けると……一つ、レミアが使うのにぴったりの武器を思い出した。
「これなんてどうかな」
思い出した武器をアイテムバックの中から取り出し、テーブルの上に置いた。
ゼルートがレミアに相応しいと思って取り出した武器は一つの杖。
「ッ!!?? ゼルート……これは、ダンジョンの宝箱から手に入れた、杖?」
「はい。さっき話したコロシアムをクリアした際に手に入れた宝箱の中に入っていました。その杖の名前は群滅の聖杖。ランク八で使用者の魔力量を増幅させ、火と風と光魔法を使う際に効果や威力を増加させます」
ゼルートは群滅の聖杖に付与された効果について、事細かく説明した。
セラスはやはり何を言っているのか分からないといった表情になるが、ガレンとレミアにテーブルの上に置かれている杖がどれだけヤバい物なのかを理解出来る。
全ての説明を聞き終えた二人は、自身の気持ちをどう表現したら良いのか分からず、変な笑い声が出てしまった。
(その気持ち、凄く解ります)
二人の反応を見たアレナは心の底から二人の気持ちに共感できた。
「これが、母さんへのプレゼントです」
「あ、ありがとう」
レミアとしては、冗談で言ったので別になくても機嫌が悪くなることはなく、怒ることもない。
ゼルートが思い付きで何かくれた嬉しいな! 程度にしか考えていなかった。
だが、思い付きで出された杖はレミアの想像を遥かに超える予想外の一品だった。
「えっと……ゼルート、この杖は本当に、私が受け取っても良いのかしら」
「はい、勿論です」
戦争が開戦したタイミングで特大殲滅魔法をぶっ放す時に使おうかと思っていたが、なくとも魔法を行使することは可能なので、ここでレミアに渡してしまっても問題はない。
「この杖が、母さんへの杖です」
「あ、ありがとう……ふふ、戦場で存分に振るわせてもらうわ」
やっぱりプレゼントが欲しいという言葉は冗談なので、返します。
なんてことは言えず、ゼルートからランク八の杖、群滅の聖杖を受け取った。
ガレンが受け取ったホルガストと比べてどちらの方が有能だと断言は出来ないが、ランクだけで言えば群滅の聖杖の方が一つ上。
レミアが冒険者時代に手に入れた杖よりも上。
手に持ちながら気合を入れるレミアだが、杖を持つ手は若干震えていた。
専用技はどちらも広範囲に行うものだが、火と風と光魔法行使する際に魔法の効果や威力も増加するので、接近戦でも役立つ。
当たり前だが、レミアにとって嬉し過ぎるプレゼントだった
「ねぇ、私にはないの? プレゼント」
「……」
目の前で父親と母親がプレゼントを貰った。
であれば、これは自分もプレゼントを貰える流れでは?
そう思ってしまっても仕方ないだろう。
だが、セラスには完全にプレゼントを用意していなかった。
(いや、探せばあるかもしれないけど………まだセラスの体長を考えても杖すら大きくて扱いにく過ぎるよな)
レミアの時と同じく何か良い物はないか、記憶を掘り起こすが……全く適当なプレゼントが思い浮かばない。
「色々とあるけど、セラスが使うにはちょっと大きいからね……セラスがもっと大きくなって杖や他の武器をしっかり使える様になったら、その時は父さんや母さんと同じ様にプレゼントを上げるよ」
「む~~~~………………………分かった」
中々長い沈黙が上がったが、子供ながらゼルートの言葉に駄々をこねることなく納得した。
「えっと……」
レミアが……自身の母親が戦争に参加するという事実は納得した。
できれば領地に残っていて欲しいところだが、本人の意志が固く、自分が何を言っても無駄ということもあり、参加しないように説得するのは諦めた。
(母さんに見合うプレゼントか……何か良いのあったか?)
レミアに相応しい武器は現在手持ちにあるのか。
記憶を掘り返し続けると……一つ、レミアが使うのにぴったりの武器を思い出した。
「これなんてどうかな」
思い出した武器をアイテムバックの中から取り出し、テーブルの上に置いた。
ゼルートがレミアに相応しいと思って取り出した武器は一つの杖。
「ッ!!?? ゼルート……これは、ダンジョンの宝箱から手に入れた、杖?」
「はい。さっき話したコロシアムをクリアした際に手に入れた宝箱の中に入っていました。その杖の名前は群滅の聖杖。ランク八で使用者の魔力量を増幅させ、火と風と光魔法を使う際に効果や威力を増加させます」
ゼルートは群滅の聖杖に付与された効果について、事細かく説明した。
セラスはやはり何を言っているのか分からないといった表情になるが、ガレンとレミアにテーブルの上に置かれている杖がどれだけヤバい物なのかを理解出来る。
全ての説明を聞き終えた二人は、自身の気持ちをどう表現したら良いのか分からず、変な笑い声が出てしまった。
(その気持ち、凄く解ります)
二人の反応を見たアレナは心の底から二人の気持ちに共感できた。
「これが、母さんへのプレゼントです」
「あ、ありがとう」
レミアとしては、冗談で言ったので別になくても機嫌が悪くなることはなく、怒ることもない。
ゼルートが思い付きで何かくれた嬉しいな! 程度にしか考えていなかった。
だが、思い付きで出された杖はレミアの想像を遥かに超える予想外の一品だった。
「えっと……ゼルート、この杖は本当に、私が受け取っても良いのかしら」
「はい、勿論です」
戦争が開戦したタイミングで特大殲滅魔法をぶっ放す時に使おうかと思っていたが、なくとも魔法を行使することは可能なので、ここでレミアに渡してしまっても問題はない。
「この杖が、母さんへの杖です」
「あ、ありがとう……ふふ、戦場で存分に振るわせてもらうわ」
やっぱりプレゼントが欲しいという言葉は冗談なので、返します。
なんてことは言えず、ゼルートからランク八の杖、群滅の聖杖を受け取った。
ガレンが受け取ったホルガストと比べてどちらの方が有能だと断言は出来ないが、ランクだけで言えば群滅の聖杖の方が一つ上。
レミアが冒険者時代に手に入れた杖よりも上。
手に持ちながら気合を入れるレミアだが、杖を持つ手は若干震えていた。
専用技はどちらも広範囲に行うものだが、火と風と光魔法行使する際に魔法の効果や威力も増加するので、接近戦でも役立つ。
当たり前だが、レミアにとって嬉し過ぎるプレゼントだった
「ねぇ、私にはないの? プレゼント」
「……」
目の前で父親と母親がプレゼントを貰った。
であれば、これは自分もプレゼントを貰える流れでは?
そう思ってしまっても仕方ないだろう。
だが、セラスには完全にプレゼントを用意していなかった。
(いや、探せばあるかもしれないけど………まだセラスの体長を考えても杖すら大きくて扱いにく過ぎるよな)
レミアの時と同じく何か良い物はないか、記憶を掘り起こすが……全く適当なプレゼントが思い浮かばない。
「色々とあるけど、セラスが使うにはちょっと大きいからね……セラスがもっと大きくなって杖や他の武器をしっかり使える様になったら、その時は父さんや母さんと同じ様にプレゼントを上げるよ」
「む~~~~………………………分かった」
中々長い沈黙が上がったが、子供ながらゼルートの言葉に駄々をこねることなく納得した。
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