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八十三話 早い者勝ち
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「ッ! リーゼ!!」
「はい!!」
一狩り終えて、就職を食べ終えてから数十分後、激しい戦闘音と……一つの声が聞こえた。
その声に聞き終え覚えがあったクランドはリーゼと共に、即座にその場から動いた。
(絶対に、希少種ワイバーンだ!!!!)
狙っていた敵の存在を感知した。
それは確かにクランドにとって嬉しい出来事ではあるが……激しい戦闘音と、咆哮に近い声が聞こえた。
つまり、現在誰かが希少種のワイバーンと戦闘を行っている。
冷静に考えれば、そのことに気付かない二人ではない。
リーゼに関しては、現場に向かって走る途中に気付いていた。
(現場に着いてから、どうするのでしょうか?)
とりあえず現場に急行するのは止めない。
しかし、獲物を奪うのはルール違反。
明確に冒険者ギルドが宣言している訳ではないが、同業者から嫌われるのは間違いない。
それに関しては、クランドもリーゼに一歩遅れて気付いた。
気付いたが……現場に急行する脚は止めない。
それどころか、更に加速する。
理由はクランド自身も解らない。
だが、解らないながらにも加速する。
(あいつか!!!)
視界には、複数人の冒険者と、一体の普通ではないワイバーンが目に入った。
それと同時に……自分たち以外の気配にも気付いた。
(っ!? ふざ、けるな!!!!!)
現在希少種のワイバーン……エクセルフワイバーンを相手にしている冒険者たちは、武器の質も本人達の実力も足りない。
それを自覚してるが故に、表情は悲痛な叫びを浮かべている。
ここでクランドが戦いに割って入っても、彼らは喜んで選手交代を申し出る。
しかし、自分たちと同じく現場に迫る気配に……見覚えがあるからこそ、クランドは急遽初撃の攻撃方法を変えた。
右手に鋼を纏い、全力の右ストレートを打ち放つ。
鉄の拳を飛ばす……まさにロケットパンチと言える一撃を放った。
それとほぼ同時に風の斬撃がどこからともなく現れたが、コンマ一秒……ほんの少しの差で、クランドが放ったロケットパンチが先に着弾した。
「俺の獲物だ!!! 邪魔すんなよっ!!!!!!」
声を荒げ、盛大に自分の得物だと宣言したクランド。
「……確かに、僕の攻撃の方が、少し遅れたみたいだね」
木影から現れたアルティスはクランドの様に、意図して遠距離攻撃を放ったわけではない。
ただ、少しでも現在狙われている冒険者たちから、エクセルフワイバーンの意識を逸らすため。
決してクランドの様なエゴは、風の斬撃に含まれていなかった。
「先に攻撃を当てたのはクランド様です。ですので、戦いが終わるまでは手だし無用とさせていただきます」
「確かにほんの少し、彼の攻撃が当たるのが早かった……君たちの戦いを邪魔しないと誓うよ」
本当にクランドやリーゼの命が危なくなれば手を出しそうな雰囲気をしているが、クランドの従者であるリーゼとしては、言質を取れればそれで十分だった。
「ところで、君は直ぐにでも戦いに参加しなくて良いのかい?」
「私が全力で参加すれば、それはクランド様の楽しみを奪うことになります」
リーゼの言葉に、アルティスたちは揃って首を傾げる。
全くもってリーゼが何を言ってるのか解らなかった。
「あんた、あの子供の仲間なんでしょ。仲間を一人で戦わせてて良い訳?」
「クランド様の戦いぶりを見て、まだその様な言葉を口にするのであれば、今一度観察眼を養った方がよろしいかと」
「はっ!? それはどういう意味、よ……」
戦況を確認するように、クランドとエクセルフワイバーンの戦いに目を移す斥候の女性冒険者。
そこには……嬉々として殺意と戦意を全力で開放しながら挑み、互角に渡り合うルーキーがいた。
「…………はっ!!!???」
もう一度驚かずにはいられない。
目の前の普通ではないワイバーンについて、リーダーであるアルティスも、魔法使いである物知りな女性冒険者も知らない。
ただ……情報通り、見た目通り普通のワイバーンではない事だけは確実に解かる。
(普通に考えて、確実にランクはCを超えてBだ。いや……最悪の場合、Aに至っているか!?)
つい、本当につい先ほど約束した。
口約束ではあるが、約束した。
目の前の戦いが終わるまで、手を出さないと。
「エクセルフワイバーン、という名のワイバーンらしいですね。ランクはBですが、タフネスに関してはAランククラスでしょうか」
マジックアイテムのモノクルを身に付けたリーゼは、場の流れとしてほんの少しだけアルティスたちに情報を教えた。
「ッ!!!!」
その情報を聞き、アルティスの中で「やはり今すぐ加勢すべきだ!!!」という重いが強くなる。
だが、次の瞬間には風槍と炎槍が自身に向けられていることに気付く。
「先程……戦いが終わるまで、手は出さないと約束したばかりですよね」
「っ!? 君は、本当にあの子が殺されず、勝てると思うのか!!!」
「えぇ、当然です。勿論、最低限の援護はしますが」
アルティスの言葉に、リーゼは即座に返答した。
「あれがクランド様の全力だと思っているのであれば、やはり今一度観察眼を養うことをお勧めします」
現在クランドの中で丁度……ようやくウォーミングアップが終わった。
「はい!!」
一狩り終えて、就職を食べ終えてから数十分後、激しい戦闘音と……一つの声が聞こえた。
その声に聞き終え覚えがあったクランドはリーゼと共に、即座にその場から動いた。
(絶対に、希少種ワイバーンだ!!!!)
狙っていた敵の存在を感知した。
それは確かにクランドにとって嬉しい出来事ではあるが……激しい戦闘音と、咆哮に近い声が聞こえた。
つまり、現在誰かが希少種のワイバーンと戦闘を行っている。
冷静に考えれば、そのことに気付かない二人ではない。
リーゼに関しては、現場に向かって走る途中に気付いていた。
(現場に着いてから、どうするのでしょうか?)
とりあえず現場に急行するのは止めない。
しかし、獲物を奪うのはルール違反。
明確に冒険者ギルドが宣言している訳ではないが、同業者から嫌われるのは間違いない。
それに関しては、クランドもリーゼに一歩遅れて気付いた。
気付いたが……現場に急行する脚は止めない。
それどころか、更に加速する。
理由はクランド自身も解らない。
だが、解らないながらにも加速する。
(あいつか!!!)
視界には、複数人の冒険者と、一体の普通ではないワイバーンが目に入った。
それと同時に……自分たち以外の気配にも気付いた。
(っ!? ふざ、けるな!!!!!)
現在希少種のワイバーン……エクセルフワイバーンを相手にしている冒険者たちは、武器の質も本人達の実力も足りない。
それを自覚してるが故に、表情は悲痛な叫びを浮かべている。
ここでクランドが戦いに割って入っても、彼らは喜んで選手交代を申し出る。
しかし、自分たちと同じく現場に迫る気配に……見覚えがあるからこそ、クランドは急遽初撃の攻撃方法を変えた。
右手に鋼を纏い、全力の右ストレートを打ち放つ。
鉄の拳を飛ばす……まさにロケットパンチと言える一撃を放った。
それとほぼ同時に風の斬撃がどこからともなく現れたが、コンマ一秒……ほんの少しの差で、クランドが放ったロケットパンチが先に着弾した。
「俺の獲物だ!!! 邪魔すんなよっ!!!!!!」
声を荒げ、盛大に自分の得物だと宣言したクランド。
「……確かに、僕の攻撃の方が、少し遅れたみたいだね」
木影から現れたアルティスはクランドの様に、意図して遠距離攻撃を放ったわけではない。
ただ、少しでも現在狙われている冒険者たちから、エクセルフワイバーンの意識を逸らすため。
決してクランドの様なエゴは、風の斬撃に含まれていなかった。
「先に攻撃を当てたのはクランド様です。ですので、戦いが終わるまでは手だし無用とさせていただきます」
「確かにほんの少し、彼の攻撃が当たるのが早かった……君たちの戦いを邪魔しないと誓うよ」
本当にクランドやリーゼの命が危なくなれば手を出しそうな雰囲気をしているが、クランドの従者であるリーゼとしては、言質を取れればそれで十分だった。
「ところで、君は直ぐにでも戦いに参加しなくて良いのかい?」
「私が全力で参加すれば、それはクランド様の楽しみを奪うことになります」
リーゼの言葉に、アルティスたちは揃って首を傾げる。
全くもってリーゼが何を言ってるのか解らなかった。
「あんた、あの子供の仲間なんでしょ。仲間を一人で戦わせてて良い訳?」
「クランド様の戦いぶりを見て、まだその様な言葉を口にするのであれば、今一度観察眼を養った方がよろしいかと」
「はっ!? それはどういう意味、よ……」
戦況を確認するように、クランドとエクセルフワイバーンの戦いに目を移す斥候の女性冒険者。
そこには……嬉々として殺意と戦意を全力で開放しながら挑み、互角に渡り合うルーキーがいた。
「…………はっ!!!???」
もう一度驚かずにはいられない。
目の前の普通ではないワイバーンについて、リーダーであるアルティスも、魔法使いである物知りな女性冒険者も知らない。
ただ……情報通り、見た目通り普通のワイバーンではない事だけは確実に解かる。
(普通に考えて、確実にランクはCを超えてBだ。いや……最悪の場合、Aに至っているか!?)
つい、本当につい先ほど約束した。
口約束ではあるが、約束した。
目の前の戦いが終わるまで、手を出さないと。
「エクセルフワイバーン、という名のワイバーンらしいですね。ランクはBですが、タフネスに関してはAランククラスでしょうか」
マジックアイテムのモノクルを身に付けたリーゼは、場の流れとしてほんの少しだけアルティスたちに情報を教えた。
「ッ!!!!」
その情報を聞き、アルティスの中で「やはり今すぐ加勢すべきだ!!!」という重いが強くなる。
だが、次の瞬間には風槍と炎槍が自身に向けられていることに気付く。
「先程……戦いが終わるまで、手は出さないと約束したばかりですよね」
「っ!? 君は、本当にあの子が殺されず、勝てると思うのか!!!」
「えぇ、当然です。勿論、最低限の援護はしますが」
アルティスの言葉に、リーゼは即座に返答した。
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現在クランドの中で丁度……ようやくウォーミングアップが終わった。
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