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九十一話 当然、一日では終わらない
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「よし、行くか」
「えぇ、行きましょう」
ロルダンに到着した翌日、二人は早速ダンジョン……誘爆の草原へと向かった。
初めてのダンジョン探索。
用意すべき物はたくさんあるが、クランドとリーゼは予め用意していたため、用意に慌てることなく探索を始められる。
「これが、話しに聞く勧誘と売り込みの嵐か」
ダンジョンの入り口前には多くの冒険者たちが自分たちの要望を叫んでいる。
貴族の令息として現役冒険者と接する機会があったクランドは、予めの目の前の光景について聞いていた。
ダンジョンに潜る冒険者たちは自身のパーティーに入って欲しい人材を声に出して勧誘し、逆に自分の特技を叫びながら売り込む者もいる。
「なぁ、君たち「間に合ってるので遠慮させてもらう」そ、そうか」
当然、二人だけでダンジョンに入ろうとするクランドとリーゼは、どちらともから声を掛けられる。
二人がおそらく並ではないという情報は、先日の間に冒険者間で広まっていた。
加えて、ダンジョン探索を行うのも初めて……といった情報も広まったため、これは色々とチャンスだと考える者が激増。
やましい事も含めて色々と考えていた冒険者たちの勧誘、売り込みを……二人はあっさりと弾き飛ばした。
声を掛けた一人目の勧誘があっさりと失敗。
それだけで他の冒険者たちが諦める理由にはならないのだが、直後に二人から発せられた圧が、勧誘等を思わず止めてしまう要因となった。
そして彼らが再び動く前に二人はあっさりと中へ入った。
「って、マジかよあいつら。二人でダンジョンに入るなんて……もしかして、一階層だけ探索して戻ってくるつもりか?」
ダンジョンという迷宮は、果てしなく広い。
気軽にその日の内に行って帰ってくることは基本的に不可能。
ただし、一階層……もしくは十階層のボスを倒すことで、一瞬で転移が可能な十一階層であれば、日帰りで地上に戻ることが出来る。
(一階層を探索するなら、別に二人だけであんな自信満々な表情で誘いを断れるか)
自身の考えに納得した男は、再び必要な人材の勧誘を開始。
多くの冒険者たちも彼と同じ考えを持っていたが、二人は日帰りでダンジョン探索を行うつもりなど、毛頭ない。
「ここが、ダンジョンか……凄い場所だな」
「えぇ。そう、ですね…………正直、凄いという言葉しか出てきません」
一階層に入った二人の目に飛び込んで来た光景は……ダンジョンの名前にある言葉通り、草原だった。
壁など無いように思えるほどの広さを持つ、もう一つの世界。
邪魔にならない様にその場から離れ、地図を広げながら歩を進めるが、その眼からは未だに感動の色が消えていない。
ダンジョン探索において、素人丸出しな二人。
それを隠そうともしない二人に……早速ダンジョン内に生息するモンスターが襲い掛かる。
「ホーンラビットか」
鋭い角を持つウサギの突進に、クランドは慌てることなく回避。
そしてカウンターのチョップを頭部に叩きこみ、初のダンジョン戦はあっさりと終了。
(……身体能力は、外のホーンラビットと比べて上か)
クランドが感じた通り、一般的な地上に存在するホーンラビットと比べて、誘爆の草原に生息するホーンラビットの身体能力は一回り……個体によっては二回りほど高い。
とはいえ、現状ではクランドがキャントを行う程の強さはなく、リーゼも身体強化系のスキルを使わず討伐が可能。
浅い階層には興味がない二人は、冒険者ギルドから買った地図を元に、文字通り一直線に進んだ。
「今日はこの辺りまでにするか」
「では、夕食の準備を始めましょう」
野営を行うには丁度良い場所を拠点とし、夕食の準備を始める。
事前に購入していた野菜や調味料などを惜しむことなく使用し、栄養が偏らない夕食が完成。
ダンジョン探索の野営では、地上の野営と変わらず食事が大きな課題の一つとなっている。
しかし、クランドは貴族パワーでその点を解決しているため、朝昼晩と腹が膨れる食事を取れる。
(他の同業者たちには悪いが、こういう点は貴族に転生して本当に良かったと思うよ)
夕食を堪能し、普通では考えられない事を実行。
それは……ダンジョン内での風呂。
当然、周囲にモンスターはいるが、そんなのお構いなしに風呂の準備を行い、クランドは素っ裸で疲れを癒す。
「はぁ~~……癒される」
「……こんな事を言うのは従者失格と解っていますが、バカですか?」
「他の冒険者から見ても、そう思われるだろうな。でも、結界を発動してるんだ。問題はないだろ」
クランドの言葉通り、現在発動中の結界が主な高価なマジックアイテムを発動していれば、少なくとも一階層から十階層の間で問題が起こることはない。
「リーゼも入るだろ」
「いえ、結構です」
「数日間はダンジョンにいるんだ。敵はモンスターだけじゃなくてトラップもあるんだから、休める時に休んでおいて損はないぞ」
「…………」
主人の言葉に一理はあるため、リーゼも結局は入浴した。
勿論、事前に用意ししてた岩壁で風呂の周りを覆い、覗き対策はバッチリ。
「えぇ、行きましょう」
ロルダンに到着した翌日、二人は早速ダンジョン……誘爆の草原へと向かった。
初めてのダンジョン探索。
用意すべき物はたくさんあるが、クランドとリーゼは予め用意していたため、用意に慌てることなく探索を始められる。
「これが、話しに聞く勧誘と売り込みの嵐か」
ダンジョンの入り口前には多くの冒険者たちが自分たちの要望を叫んでいる。
貴族の令息として現役冒険者と接する機会があったクランドは、予めの目の前の光景について聞いていた。
ダンジョンに潜る冒険者たちは自身のパーティーに入って欲しい人材を声に出して勧誘し、逆に自分の特技を叫びながら売り込む者もいる。
「なぁ、君たち「間に合ってるので遠慮させてもらう」そ、そうか」
当然、二人だけでダンジョンに入ろうとするクランドとリーゼは、どちらともから声を掛けられる。
二人がおそらく並ではないという情報は、先日の間に冒険者間で広まっていた。
加えて、ダンジョン探索を行うのも初めて……といった情報も広まったため、これは色々とチャンスだと考える者が激増。
やましい事も含めて色々と考えていた冒険者たちの勧誘、売り込みを……二人はあっさりと弾き飛ばした。
声を掛けた一人目の勧誘があっさりと失敗。
それだけで他の冒険者たちが諦める理由にはならないのだが、直後に二人から発せられた圧が、勧誘等を思わず止めてしまう要因となった。
そして彼らが再び動く前に二人はあっさりと中へ入った。
「って、マジかよあいつら。二人でダンジョンに入るなんて……もしかして、一階層だけ探索して戻ってくるつもりか?」
ダンジョンという迷宮は、果てしなく広い。
気軽にその日の内に行って帰ってくることは基本的に不可能。
ただし、一階層……もしくは十階層のボスを倒すことで、一瞬で転移が可能な十一階層であれば、日帰りで地上に戻ることが出来る。
(一階層を探索するなら、別に二人だけであんな自信満々な表情で誘いを断れるか)
自身の考えに納得した男は、再び必要な人材の勧誘を開始。
多くの冒険者たちも彼と同じ考えを持っていたが、二人は日帰りでダンジョン探索を行うつもりなど、毛頭ない。
「ここが、ダンジョンか……凄い場所だな」
「えぇ。そう、ですね…………正直、凄いという言葉しか出てきません」
一階層に入った二人の目に飛び込んで来た光景は……ダンジョンの名前にある言葉通り、草原だった。
壁など無いように思えるほどの広さを持つ、もう一つの世界。
邪魔にならない様にその場から離れ、地図を広げながら歩を進めるが、その眼からは未だに感動の色が消えていない。
ダンジョン探索において、素人丸出しな二人。
それを隠そうともしない二人に……早速ダンジョン内に生息するモンスターが襲い掛かる。
「ホーンラビットか」
鋭い角を持つウサギの突進に、クランドは慌てることなく回避。
そしてカウンターのチョップを頭部に叩きこみ、初のダンジョン戦はあっさりと終了。
(……身体能力は、外のホーンラビットと比べて上か)
クランドが感じた通り、一般的な地上に存在するホーンラビットと比べて、誘爆の草原に生息するホーンラビットの身体能力は一回り……個体によっては二回りほど高い。
とはいえ、現状ではクランドがキャントを行う程の強さはなく、リーゼも身体強化系のスキルを使わず討伐が可能。
浅い階層には興味がない二人は、冒険者ギルドから買った地図を元に、文字通り一直線に進んだ。
「今日はこの辺りまでにするか」
「では、夕食の準備を始めましょう」
野営を行うには丁度良い場所を拠点とし、夕食の準備を始める。
事前に購入していた野菜や調味料などを惜しむことなく使用し、栄養が偏らない夕食が完成。
ダンジョン探索の野営では、地上の野営と変わらず食事が大きな課題の一つとなっている。
しかし、クランドは貴族パワーでその点を解決しているため、朝昼晩と腹が膨れる食事を取れる。
(他の同業者たちには悪いが、こういう点は貴族に転生して本当に良かったと思うよ)
夕食を堪能し、普通では考えられない事を実行。
それは……ダンジョン内での風呂。
当然、周囲にモンスターはいるが、そんなのお構いなしに風呂の準備を行い、クランドは素っ裸で疲れを癒す。
「はぁ~~……癒される」
「……こんな事を言うのは従者失格と解っていますが、バカですか?」
「他の冒険者から見ても、そう思われるだろうな。でも、結界を発動してるんだ。問題はないだろ」
クランドの言葉通り、現在発動中の結界が主な高価なマジックアイテムを発動していれば、少なくとも一階層から十階層の間で問題が起こることはない。
「リーゼも入るだろ」
「いえ、結構です」
「数日間はダンジョンにいるんだ。敵はモンスターだけじゃなくてトラップもあるんだから、休める時に休んでおいて損はないぞ」
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