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第122話 二度目はダメ
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(タリアさんの言葉によって、その少年の視野を狭めてしまうのではないか、か……あながち間違ってはいないんだろうな)
バトムスはタリアが不安に思う内容を聞き、決してタリアの自意識過剰だとは思わなかった。
命を助けられた。
そんな状況で、少年は助けてくれたタリアに恋をした。
そして、タリアは少年の告白を明確には断らなかった。
少年はこれからも、強い男になるために……タリアに相応しい男になるために、冒険者としての活動を続けるだろう。
どんな場面でも、状況であっても、タリアの顔が思い浮かぶことは……十分に考えられる。
「…………その少年が選んだ道だから、俺達が口を出すことではないと言えばそれまでなんですけど、タリアさん的にはそう簡単に割り切れないってことですよね」
「そうだね。本当に若くてさ、これから冒険者として活動を続けていけば色んな出会いがあるだろうし、あの少年に惚れる子だっているかもしれない。その時に、うちなんかのせいで、しっかりと自分を想ってくれてる相手のことを見れなくなるのは、やっぱり良くないじゃん」
自分に告白した少年が今後どう成長するか……それはタリアも解らない。
ただ、パッと見悪い顔はしておらず、ある程度異性から好かれそうな顔をしていとは記憶している。
(…………まぁ、一旦ツッコまずに流すか)
タリアが何を言いたいのかは解るが、弟弟子であるバトムスからすれば、あまり自分を卑下するようなことは言わないでほしい。
「だから、うん…………正直、私のことなんて忘れちゃった方が良いと思うんだよね」
「なるほど。でも、自分から言うのはってことですよね」
「……相談しててあれなんだけど、バトムスはよくそこまで解るね。もしかして鍛冶や錬金術だけじゃなくて、探偵? まで始めた?」
「そんな趣味はないですよ。ただ、なんとなくそうだろうなって思っただけですよ」
前世でも大した人生経験を積んでいないバトムスだが、転生者……だからということもあり、一歩引いて物事を考えられるようになっていた。
(タリアさんから忘れて頂戴とか言われても、絶対に諦めなさそうだし……寧ろ、変に拗らせてタリアさんのストーカー? になられても困るしな)
バトムスの考え過ぎ……とも言えない。
そして、この世界では基本的にストーカーを罰する法は整っていない。
貴族の夫人、令嬢などが付き纏われていれば、罰することも可能ではあるが、残念ながらタリアは貴族の令嬢ではない。
実際に手を出されて、初めて正当防衛が適用される。
「…………ん~~~~~……………………物凄く、難しいですね」
例の勇気ある少年の勇気が反転し、闇落ちしたらバトムスは一応何とかする術は有している。
先日、アルフォンスの短剣を造るために買い込んでいた属性を持つ素材を幾つも使用したが、まだまだバトムスの懐には余裕がある。
それを使えば……世の中の裏の方に住む人間を雇う事が出来る。
(手を出せば、普通にタリアさんがぶっ潰して終わり。その後は牢にぶち込んで終わりだろうけど、ストーカー行為だけが過激になったら……そういう人たちを雇った方が良いよな)
バトムスにとって、実はタリアが想い人……なんてオチはないが、彼にとってタリアは大切な姉弟子である。
そんな姉弟子の為であれば、大金を消費することも惜しくはない。
(つっても、殺すのは…………うん、さすがにあれだよな。でも、ストーカーされたことがないから、どれだけ怖いのか解らんし、場合によっては…………けど、あれか。裏の人たちって殺し以外のことも出来るんだよな)
「? バトムス、何か考え付いたの?」
「いや、ん~~~……難しいっすね。中々パッと良い案は思い付かないっす」
場合によっては殺した方が良いものの、手練れな裏の人間であれば、拷問に近いことを行い、少年のタリアに対する気持ちを無くすことも不可能ではない。
「でも、諦めるのは早いっす。やれることはあると思うんで…………うん。一応確認なんすけど、タリアさんはその少年には自分のことを諦めてほしいってことで良いんすよね」
「…………そうだね。私なんかを意識し続けるてたら、本当に良い出会いを逃しちゃうと思うからさ」
「……タリアさん、二回目ですよ」
「ん?」
バトムスの表情が、薄っすらと変わった。
歳不相応に頼り味のある表情から眼を細め、攻めるような表情に変化。
「あんま、自分を卑下するようなことを言わないでくださいよ」
「ば、バトムス」
「タリアさんがどうしたいのかは解ったすけど、それでも自分を下げないでください。その少年が告白した通り、タリアさんは魅力のある女性なんすから」
「バトムス…………ふふ、あっはっは!!!!!! なになに~~~、いつの間にそんな一丁前にナンパみたいなこと出来るようになっちゃたのよ~~~」
「タリアさん、俺は本気で言ってるんすよ」
呆れた表情を浮かべるバトムスに対し、タリアは悪かったと言いながら頭を撫でた。
それは……本当に姉と弟の様な姿だった。
バトムスはタリアが不安に思う内容を聞き、決してタリアの自意識過剰だとは思わなかった。
命を助けられた。
そんな状況で、少年は助けてくれたタリアに恋をした。
そして、タリアは少年の告白を明確には断らなかった。
少年はこれからも、強い男になるために……タリアに相応しい男になるために、冒険者としての活動を続けるだろう。
どんな場面でも、状況であっても、タリアの顔が思い浮かぶことは……十分に考えられる。
「…………その少年が選んだ道だから、俺達が口を出すことではないと言えばそれまでなんですけど、タリアさん的にはそう簡単に割り切れないってことですよね」
「そうだね。本当に若くてさ、これから冒険者として活動を続けていけば色んな出会いがあるだろうし、あの少年に惚れる子だっているかもしれない。その時に、うちなんかのせいで、しっかりと自分を想ってくれてる相手のことを見れなくなるのは、やっぱり良くないじゃん」
自分に告白した少年が今後どう成長するか……それはタリアも解らない。
ただ、パッと見悪い顔はしておらず、ある程度異性から好かれそうな顔をしていとは記憶している。
(…………まぁ、一旦ツッコまずに流すか)
タリアが何を言いたいのかは解るが、弟弟子であるバトムスからすれば、あまり自分を卑下するようなことは言わないでほしい。
「だから、うん…………正直、私のことなんて忘れちゃった方が良いと思うんだよね」
「なるほど。でも、自分から言うのはってことですよね」
「……相談しててあれなんだけど、バトムスはよくそこまで解るね。もしかして鍛冶や錬金術だけじゃなくて、探偵? まで始めた?」
「そんな趣味はないですよ。ただ、なんとなくそうだろうなって思っただけですよ」
前世でも大した人生経験を積んでいないバトムスだが、転生者……だからということもあり、一歩引いて物事を考えられるようになっていた。
(タリアさんから忘れて頂戴とか言われても、絶対に諦めなさそうだし……寧ろ、変に拗らせてタリアさんのストーカー? になられても困るしな)
バトムスの考え過ぎ……とも言えない。
そして、この世界では基本的にストーカーを罰する法は整っていない。
貴族の夫人、令嬢などが付き纏われていれば、罰することも可能ではあるが、残念ながらタリアは貴族の令嬢ではない。
実際に手を出されて、初めて正当防衛が適用される。
「…………ん~~~~~……………………物凄く、難しいですね」
例の勇気ある少年の勇気が反転し、闇落ちしたらバトムスは一応何とかする術は有している。
先日、アルフォンスの短剣を造るために買い込んでいた属性を持つ素材を幾つも使用したが、まだまだバトムスの懐には余裕がある。
それを使えば……世の中の裏の方に住む人間を雇う事が出来る。
(手を出せば、普通にタリアさんがぶっ潰して終わり。その後は牢にぶち込んで終わりだろうけど、ストーカー行為だけが過激になったら……そういう人たちを雇った方が良いよな)
バトムスにとって、実はタリアが想い人……なんてオチはないが、彼にとってタリアは大切な姉弟子である。
そんな姉弟子の為であれば、大金を消費することも惜しくはない。
(つっても、殺すのは…………うん、さすがにあれだよな。でも、ストーカーされたことがないから、どれだけ怖いのか解らんし、場合によっては…………けど、あれか。裏の人たちって殺し以外のことも出来るんだよな)
「? バトムス、何か考え付いたの?」
「いや、ん~~~……難しいっすね。中々パッと良い案は思い付かないっす」
場合によっては殺した方が良いものの、手練れな裏の人間であれば、拷問に近いことを行い、少年のタリアに対する気持ちを無くすことも不可能ではない。
「でも、諦めるのは早いっす。やれることはあると思うんで…………うん。一応確認なんすけど、タリアさんはその少年には自分のことを諦めてほしいってことで良いんすよね」
「…………そうだね。私なんかを意識し続けるてたら、本当に良い出会いを逃しちゃうと思うからさ」
「……タリアさん、二回目ですよ」
「ん?」
バトムスの表情が、薄っすらと変わった。
歳不相応に頼り味のある表情から眼を細め、攻めるような表情に変化。
「あんま、自分を卑下するようなことを言わないでくださいよ」
「ば、バトムス」
「タリアさんがどうしたいのかは解ったすけど、それでも自分を下げないでください。その少年が告白した通り、タリアさんは魅力のある女性なんすから」
「バトムス…………ふふ、あっはっは!!!!!! なになに~~~、いつの間にそんな一丁前にナンパみたいなこと出来るようになっちゃたのよ~~~」
「タリアさん、俺は本気で言ってるんすよ」
呆れた表情を浮かべるバトムスに対し、タリアは悪かったと言いながら頭を撫でた。
それは……本当に姉と弟の様な姿だった。
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