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第125話 一旦、置いておく
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「よぅ、バトムス」
「? あぁ、ブランディか」
街中を散歩、買い食いしながら歩いていたバトムスに、一人の青年が声を掛けた。
青年の名はブランディ。
冒険者として活動している青年であり、バトムスが狩りの最中に知り合った冒険者である。
「その、今暇か?」
「暇っちゃ暇だけど……どうかしたか?」
「ちょっと相談したい事があってよ」
バトムスは相変わらずアブルシオ辺境伯家の敷地内に建てた家に暮らしており、狩りや鍛冶、錬金術など自分がやりたい事をやりながら暮らしている。
彼の懐には、前世の知識を利用しているお陰でお金は入っているが、それ以外の収入は殆どない。
半分はニートであるバトムスにとって、冒険者からの質問に正解が出せるとは思えない。
それでも、バトムスにとってブランディは……出会いの流れは悪くなく、一応友人と言えなくもない存在。
「解った。それじゃ、カフェにでも行こうか」
近場に会ったカフェに入り、軽くメニューを注文した後、早速本題に入る。
「それで、俺に相談事ってなんだ?」
相談事に乗るぐらいなら良いと思っていたバトムスだが、頭の中には不穏な未来が浮かんでいた。
(まさか、アルみたいに武器を造ってくれとか、そういう頼み事じゃないよな?)
バトムスにとって一応友人と言えなくもない存在ということもあり、ブランディは友人の少年が鍛冶を行えることを知っている。
ただ、頼み事というのはそれではなかった。
「その…………あれだ。どうやったら、女の気を引ける」
「女の気の引き方? ……………………もしかして、相談って恋愛相談なんか?」
「い、いやっ!! その、あれだ、あれ…………いや、まぁ……そ、そうだな」
バトムスの方が歳下ではあるが、ブランディは自分が相談しているという自覚があり、意地になって訂正することはなく、恥ずかしそうな表情を浮かべながらも、その通りだと認めた。
(…………なんとなく、思い浮かびはするな)
バトムスとブランディが知り合った際、その場にはブランディ以外の冒険者もあり、その中に複数の女性冒険者がいた。
ただ、とりあえず一つの疑問が浮かぶ。
「なぁ、ブランディ。なんで俺にそんな質問するんだよ。そういう質問するなら、もっと適任な人たちがいると思うんだけど」
「バカ野郎。同業者なんかに相談すれば、いつ周り周ってその相手に伝わるか分からないだろ」
「……そういうもんか」
冒険者とある程度交流があるからこそ、多少なりとも知っている部分がある。
それは……若い冒険者、歳をとってもその時の感覚が抜けない冒険者たちの感覚は、バトムスの前世……中学生とあまり変わらない。
(こいつなら話さないだろうと思っても、どこかしらで周って全員に知られてる……なんて事があるってことか…………うん、特に変だとは思わんな)
届いた軽食をつまみながら、思わず苦笑いを零す。
「それでよ、どうしたら良い」
「…………同業者以外の人に相談する理由は解ったけど、それでも俺はどうなんよ」
「いやいや、だってお前はほら、ファエリナさんとタリアさんとかとも仲が良いじゃねぇか」
「あぁ~~~……いや、まぁそれはそうかもしれんけど」
エルフ美女、ファエリナ。
ハーフドワーフの美女、タリア。
この二人と仲が良いということはバトムスも認める。
しかし、バトムスは変な勘違いなどしておらず、二人にとって自分は弟弟子としか認識されてないことを理解している。
「それに、辺境伯家のご令嬢とも仲が良いらしいじゃんか」
「……どっからそんな情報が零れたんだよ」
ムスッとしたくなる情報に、隠すことなくムスッとするバトムス。
「基本的に喧嘩しかしてないぞ」
「ってことはあれだろ、喧嘩するほど仲が良いってことだろ」
「その考え、如何なものかと思うんだけど…………ただ、一応話はするってだけだ」
一定以上の仲がなければ、そもそも喧嘩すらしない。
といった考えを完全否定する気にはなれなかった。
「だろだろ。お前はあんま気にしてねぇのかもしれんけど、割とモテモテ野郎って思われてんだぜ」
「…………とりあえずそこにツッコむのは後にして、気になってる人の気の引き方、だよな」
「お、おぅ。そうだったな。俺は器用な方じゃなくて、そういうのがさっぱりでよ」
ブランディという青年はややヤンチャ寄りの顔をしているが、それなりに顔は整っている。
というのが、前世の記憶を持つバトムス視点の評価。
だが、この世界では対して珍しいレベルの顔という訳でもないので、器用な方ではない……恋愛に関して不器用というのは、事実であった。
「……いきなりデートに誘うのは変だし、贈り物…………あんまり急に高いのを送れば勘繰られる、警戒される、か?」
前世でも今世でもしっかりとした恋愛経験は皆無なバトムスだが、なんとか頭を振り絞って良き方法はないかと考える。
「………………その人って、チョコとかクッキーとか好きだったりする?」
「あぁ……そう、だな。甘い物は結構好きだな」
「だったら、変に高価な奴じゃなくて良いから、こう……依頼を受けてる時とかに、
その人の行動で助けられたり、有難い援護を受けたりした後に、そのお礼だって軽く渡せば良いんじゃないか」
いきなり告白するのではなく、現段階の目標はあくまで気を引くのが目的。
そのため、まずは気になる相手に、自分のことを好印象を持ってもらう必要がある。
「? あぁ、ブランディか」
街中を散歩、買い食いしながら歩いていたバトムスに、一人の青年が声を掛けた。
青年の名はブランディ。
冒険者として活動している青年であり、バトムスが狩りの最中に知り合った冒険者である。
「その、今暇か?」
「暇っちゃ暇だけど……どうかしたか?」
「ちょっと相談したい事があってよ」
バトムスは相変わらずアブルシオ辺境伯家の敷地内に建てた家に暮らしており、狩りや鍛冶、錬金術など自分がやりたい事をやりながら暮らしている。
彼の懐には、前世の知識を利用しているお陰でお金は入っているが、それ以外の収入は殆どない。
半分はニートであるバトムスにとって、冒険者からの質問に正解が出せるとは思えない。
それでも、バトムスにとってブランディは……出会いの流れは悪くなく、一応友人と言えなくもない存在。
「解った。それじゃ、カフェにでも行こうか」
近場に会ったカフェに入り、軽くメニューを注文した後、早速本題に入る。
「それで、俺に相談事ってなんだ?」
相談事に乗るぐらいなら良いと思っていたバトムスだが、頭の中には不穏な未来が浮かんでいた。
(まさか、アルみたいに武器を造ってくれとか、そういう頼み事じゃないよな?)
バトムスにとって一応友人と言えなくもない存在ということもあり、ブランディは友人の少年が鍛冶を行えることを知っている。
ただ、頼み事というのはそれではなかった。
「その…………あれだ。どうやったら、女の気を引ける」
「女の気の引き方? ……………………もしかして、相談って恋愛相談なんか?」
「い、いやっ!! その、あれだ、あれ…………いや、まぁ……そ、そうだな」
バトムスの方が歳下ではあるが、ブランディは自分が相談しているという自覚があり、意地になって訂正することはなく、恥ずかしそうな表情を浮かべながらも、その通りだと認めた。
(…………なんとなく、思い浮かびはするな)
バトムスとブランディが知り合った際、その場にはブランディ以外の冒険者もあり、その中に複数の女性冒険者がいた。
ただ、とりあえず一つの疑問が浮かぶ。
「なぁ、ブランディ。なんで俺にそんな質問するんだよ。そういう質問するなら、もっと適任な人たちがいると思うんだけど」
「バカ野郎。同業者なんかに相談すれば、いつ周り周ってその相手に伝わるか分からないだろ」
「……そういうもんか」
冒険者とある程度交流があるからこそ、多少なりとも知っている部分がある。
それは……若い冒険者、歳をとってもその時の感覚が抜けない冒険者たちの感覚は、バトムスの前世……中学生とあまり変わらない。
(こいつなら話さないだろうと思っても、どこかしらで周って全員に知られてる……なんて事があるってことか…………うん、特に変だとは思わんな)
届いた軽食をつまみながら、思わず苦笑いを零す。
「それでよ、どうしたら良い」
「…………同業者以外の人に相談する理由は解ったけど、それでも俺はどうなんよ」
「いやいや、だってお前はほら、ファエリナさんとタリアさんとかとも仲が良いじゃねぇか」
「あぁ~~~……いや、まぁそれはそうかもしれんけど」
エルフ美女、ファエリナ。
ハーフドワーフの美女、タリア。
この二人と仲が良いということはバトムスも認める。
しかし、バトムスは変な勘違いなどしておらず、二人にとって自分は弟弟子としか認識されてないことを理解している。
「それに、辺境伯家のご令嬢とも仲が良いらしいじゃんか」
「……どっからそんな情報が零れたんだよ」
ムスッとしたくなる情報に、隠すことなくムスッとするバトムス。
「基本的に喧嘩しかしてないぞ」
「ってことはあれだろ、喧嘩するほど仲が良いってことだろ」
「その考え、如何なものかと思うんだけど…………ただ、一応話はするってだけだ」
一定以上の仲がなければ、そもそも喧嘩すらしない。
といった考えを完全否定する気にはなれなかった。
「だろだろ。お前はあんま気にしてねぇのかもしれんけど、割とモテモテ野郎って思われてんだぜ」
「…………とりあえずそこにツッコむのは後にして、気になってる人の気の引き方、だよな」
「お、おぅ。そうだったな。俺は器用な方じゃなくて、そういうのがさっぱりでよ」
ブランディという青年はややヤンチャ寄りの顔をしているが、それなりに顔は整っている。
というのが、前世の記憶を持つバトムス視点の評価。
だが、この世界では対して珍しいレベルの顔という訳でもないので、器用な方ではない……恋愛に関して不器用というのは、事実であった。
「……いきなりデートに誘うのは変だし、贈り物…………あんまり急に高いのを送れば勘繰られる、警戒される、か?」
前世でも今世でもしっかりとした恋愛経験は皆無なバトムスだが、なんとか頭を振り絞って良き方法はないかと考える。
「………………その人って、チョコとかクッキーとか好きだったりする?」
「あぁ……そう、だな。甘い物は結構好きだな」
「だったら、変に高価な奴じゃなくて良いから、こう……依頼を受けてる時とかに、
その人の行動で助けられたり、有難い援護を受けたりした後に、そのお礼だって軽く渡せば良いんじゃないか」
いきなり告白するのではなく、現段階の目標はあくまで気を引くのが目的。
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