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第132話 本気なら口も開く
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「ふっ!!!!」
「ぐっっ……くっ、参った」
ある日、バトムスは訓練場でいずれルチアの騎士を目指す騎士候補の女子、アシェルと模擬戦を行っていた。
結果は……バトムスの短剣脇に添えられ、決着。
「……中々、追いつけないね」
「そりゃどうも」
「…………あなたはあまり自分の実力を評価してない様だけれど、やっぱり強いわ」
「……どうだろうな。そこは……あれんじゃないすか。俺の方がモンスターと戦い始めるのが早かったんで」
「それが一つの理由であるのは解ってる。けれど、それでも私だってここ数年で、それなりにモンスターを討伐してきた」
ルチアの騎士を目指すという言葉、目標に嘘偽りはなく、バトムスに教えを乞うてからも懸命に研鑽を続けており、同年代の騎士候補の男子にも負けない実力を手に入れている。
「身体能力の上がり幅は、そこまで差はない……なのに、まだあなたには一勝も出来ていない」
「…………そう言われましてもね~~」
基本的にゆっくりのんびりと、やりたい事だけをやって生活がしたいバトムスにとって、戦闘力にあまりプライドや信念はない。
どちらかと言えば、鍛冶や錬金術の方が誰かと競い合い際、負けたくないという気持ちが大きい。
ただ……勝負となれば、自然ととりあえず負けたくはないという気持ちが湧き上がる。
いつも世話になっている騎士たちとの模擬戦であればいざしらず、歳が近い者との模擬戦となると、その気持ちは更に大きくなる。
「バトムスの場合、物凄く慣れてるんだと思うぜ」
「ジーニスさん……慣れている、というのは戦うことに関して、でしょうか」
ここ数年の戦闘経験なら負けてない!!! と言いたいところではあるが、先輩からのアドバイスということもあり、アシェルは冷静に受け取る。
「そうだ。もっと言うと、自分が次に取ろうとする行動の選択が速い……っていうのが、バトムスの強味だと俺は思うな」
「行動を選択する、速さ」
「自分が仕掛ける際、接近戦で仕掛けるのか、それとも魔力やスキルを使って遠距離攻撃を仕掛けるのか。仕掛けられれば、その攻撃を弾き飛ばすのか躱すのか、それとも受け流して反撃に繋げるのか。俺から見てて、バトムスはそこが速い……んで、上手い印象が強い」
ジーニスの言葉に、普段から模擬戦の相手を行ったり、護衛として同行していた騎士たちが同意するように頷く。
騎士たちから見て、バトムスには複数の強さがあるが、そこに関しては完全に頭二つか三つ……その速さはそこら辺の冒険者や騎士よりも上なのではないかと思っている。
「だから、男子たちに負けてないアシェルでもまだ敵わないってことだ」
「なるほど……」
「それに、ガチ勝負になればバトムスの強さは更に加速するだろうからな」
「ジーニスさん、なんですかその勝手な予想は」
「そうだな…………例えば、これから行う試合に勝てばミスリルインゴットが五十個もらえるとしたら、普通に戦うか?」
「本気で戦いますね」
自身の実力では、まだまだ扱える代物ではない事は理解している。
それでも、力を完全に引き出すことが出来れば一流……その基準となる高級鉱石、ミスリル鉱石のインゴットが手に入るとなれば、戦る気が限界突破。
「だろ。本気で戦うなら、ただ普通に戦うだけじゃないだろ」
「? いや、それは………………あぁ~~~~。なる、ほど……」
「?」
「まぁ、そうですね。普段通りの模擬戦とかとは、色々と違うかと」
チラッとだけ亜hセルの方に視線を向け、バトムスはジーニスが何を言いたいのか把握した。
何かを手に入れる為に本気で戦う……となれば、バトムスは得物や五体を使った攻撃だけではなく、口撃も行う。
当たり前の話だが、バトムスは将来騎士を目指してる子供ではないため、そこら辺に容赦はない。
「……とりあえず、私とバトムスとの大きな差は、行動選択の速さか…………ジーニスさん。それはどのようにして向上させていけば良いのですか」
「ん~~~~…………物凄く無難というか、当たり前のアドバイスしか出来ないけど、模擬戦と実戦を繰り返すしかないかな。なぁ」
ジーニスの言葉に、耳に届いていた数名の騎士が頷く。
「なるほど……ありがとうございます」
「いいってことよ。あっ、そういえば二人は大会を観に行くのか?」
「っ、そうですね。私は是非とも観に行きたいのですが……」
「? ジーニスさん、大会ってなんの話っすか」
「っ!!!???」
大会が何の大会なのか解らないバトムスの反応に、アシェルは本気で信じられない!!! といった表情を浮かべる。
「お嬢様やその他のご令嬢、ご子息たちが参加する大会に決まっているでしょう!!!!」
「へぇ~~~~、そんなのがあるんですね」
「…………はぁ~~~~。そうだったな。お前はそういうやつだった」
ルチアが学園に入学してから既に一か月が経過。
二人が言い合う姿を見ていなかったため、アシェルはバトムスがルチアのことを伯爵令嬢と認識していないことをすっかり忘れていた。
「ぐっっ……くっ、参った」
ある日、バトムスは訓練場でいずれルチアの騎士を目指す騎士候補の女子、アシェルと模擬戦を行っていた。
結果は……バトムスの短剣脇に添えられ、決着。
「……中々、追いつけないね」
「そりゃどうも」
「…………あなたはあまり自分の実力を評価してない様だけれど、やっぱり強いわ」
「……どうだろうな。そこは……あれんじゃないすか。俺の方がモンスターと戦い始めるのが早かったんで」
「それが一つの理由であるのは解ってる。けれど、それでも私だってここ数年で、それなりにモンスターを討伐してきた」
ルチアの騎士を目指すという言葉、目標に嘘偽りはなく、バトムスに教えを乞うてからも懸命に研鑽を続けており、同年代の騎士候補の男子にも負けない実力を手に入れている。
「身体能力の上がり幅は、そこまで差はない……なのに、まだあなたには一勝も出来ていない」
「…………そう言われましてもね~~」
基本的にゆっくりのんびりと、やりたい事だけをやって生活がしたいバトムスにとって、戦闘力にあまりプライドや信念はない。
どちらかと言えば、鍛冶や錬金術の方が誰かと競い合い際、負けたくないという気持ちが大きい。
ただ……勝負となれば、自然ととりあえず負けたくはないという気持ちが湧き上がる。
いつも世話になっている騎士たちとの模擬戦であればいざしらず、歳が近い者との模擬戦となると、その気持ちは更に大きくなる。
「バトムスの場合、物凄く慣れてるんだと思うぜ」
「ジーニスさん……慣れている、というのは戦うことに関して、でしょうか」
ここ数年の戦闘経験なら負けてない!!! と言いたいところではあるが、先輩からのアドバイスということもあり、アシェルは冷静に受け取る。
「そうだ。もっと言うと、自分が次に取ろうとする行動の選択が速い……っていうのが、バトムスの強味だと俺は思うな」
「行動を選択する、速さ」
「自分が仕掛ける際、接近戦で仕掛けるのか、それとも魔力やスキルを使って遠距離攻撃を仕掛けるのか。仕掛けられれば、その攻撃を弾き飛ばすのか躱すのか、それとも受け流して反撃に繋げるのか。俺から見てて、バトムスはそこが速い……んで、上手い印象が強い」
ジーニスの言葉に、普段から模擬戦の相手を行ったり、護衛として同行していた騎士たちが同意するように頷く。
騎士たちから見て、バトムスには複数の強さがあるが、そこに関しては完全に頭二つか三つ……その速さはそこら辺の冒険者や騎士よりも上なのではないかと思っている。
「だから、男子たちに負けてないアシェルでもまだ敵わないってことだ」
「なるほど……」
「それに、ガチ勝負になればバトムスの強さは更に加速するだろうからな」
「ジーニスさん、なんですかその勝手な予想は」
「そうだな…………例えば、これから行う試合に勝てばミスリルインゴットが五十個もらえるとしたら、普通に戦うか?」
「本気で戦いますね」
自身の実力では、まだまだ扱える代物ではない事は理解している。
それでも、力を完全に引き出すことが出来れば一流……その基準となる高級鉱石、ミスリル鉱石のインゴットが手に入るとなれば、戦る気が限界突破。
「だろ。本気で戦うなら、ただ普通に戦うだけじゃないだろ」
「? いや、それは………………あぁ~~~~。なる、ほど……」
「?」
「まぁ、そうですね。普段通りの模擬戦とかとは、色々と違うかと」
チラッとだけ亜hセルの方に視線を向け、バトムスはジーニスが何を言いたいのか把握した。
何かを手に入れる為に本気で戦う……となれば、バトムスは得物や五体を使った攻撃だけではなく、口撃も行う。
当たり前の話だが、バトムスは将来騎士を目指してる子供ではないため、そこら辺に容赦はない。
「……とりあえず、私とバトムスとの大きな差は、行動選択の速さか…………ジーニスさん。それはどのようにして向上させていけば良いのですか」
「ん~~~~…………物凄く無難というか、当たり前のアドバイスしか出来ないけど、模擬戦と実戦を繰り返すしかないかな。なぁ」
ジーニスの言葉に、耳に届いていた数名の騎士が頷く。
「なるほど……ありがとうございます」
「いいってことよ。あっ、そういえば二人は大会を観に行くのか?」
「っ、そうですね。私は是非とも観に行きたいのですが……」
「? ジーニスさん、大会ってなんの話っすか」
「っ!!!???」
大会が何の大会なのか解らないバトムスの反応に、アシェルは本気で信じられない!!! といった表情を浮かべる。
「お嬢様やその他のご令嬢、ご子息たちが参加する大会に決まっているでしょう!!!!」
「へぇ~~~~、そんなのがあるんですね」
「…………はぁ~~~~。そうだったな。お前はそういうやつだった」
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