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第133話 同行決定
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「大会ねぇ~~~~」
パーズと共に夕食を食べながら、バトムスは昼間に聞いた話を……王都で開催される学生の大会について考えていた。
(王都かぁ…………一回ぐらいは訪れてみたいとは思ってたけど、面倒そうな街って印象が強いんだよな~)
クレステントでは、バトムス個人の名前がそれなりに広まっていることもあり、面倒なバカ者たちに絡まれることはない。
だが、当然のことながらバトムスの名前は王都には届いておらず、まだ十二歳という年齢を考えれば……あっさりバカ者に絡まれてもおかしくない。
「……どうしよっかな~~~」
バトムスとしては、大会にはアルフォンスも参加するであろうことを考えれば、観に行きたいという気持ちは確かにある。
しかし、どうしてもそこに面倒な事が起こるのでは、という不安が付き纏う。
「まぁ、今年だけじゃないっていうのを考えたら、別に今回行かなくてもって感じか」
機会はいくらでもある。
そう思いながら夕食を完食し、皿洗いに取り掛かる。
「バトムス、良かったら一緒に王都に行かないかい」
「…………」
タイムリー過ぎるギデオンの提案に、バトムスは苦笑いのまま固まってしまう。
「えっと、それは……あれですか。お嬢の活躍を、観に行く為に?」
「おっ、知ってたんだね」
ギデオンとしてはバトムスがルチアに強く興味を持っていないことは知ってていたため、学生の間で行われるトーナメントを知らないと思っていた。
「先日、ジーニスさんから教えてもらって」
「そうかそうか。それで、どうだい。もし観に行くなら、一緒に行った方が好都合だと思ってね」
「そう、ですね……」
ギデオンの言う通り、もし共に王都へと向かうのであれば、観光の時間にアブルシオ辺境伯家の騎士たちが同行してくれる。
そうなれば、面倒なバカ者たちに絡まれることもなくなる。
「…………解りました。それじゃあ、一緒に同行させてもらいます」
「うん! 良かった良かった!! それじゃあ、細かい日程が決まったら伝えるね」
バトムスの答えを聞き、ニコニコ笑顔を返すギデオン。
(そうだよな。いつかいつかって考えてたら、絶対に行かないパターンになりそうだもんな。それを考えたら、有難い護衛の人たちが付いてくる状況を活用した方が良いよな)
流れに押されて……といった感じはあるものの、バトムスがギデオンたちと共に王都へ向かうことが決まった。
ただ、この時…………バトムスは気付けていなかった。
何故……ギデオンがいつもよりニコニコしていたかを。
SIDE ギデオン
「ふぅ~~~~~」
「良かったですね、ギデオン様」
「ふふ、そうだね。バトムスなら断ってもおかしくなかったからね」
バトムスが一緒に王都で行われる大会を観に行かないかという提案に乗ってくれたことに、ギデオンと彼の執事であるシャルトはほっと一安心した表情を浮かべていた。
ギデオンとバトムスの立場を考えれば、一言一緒に行くぞと伝えるだけで済みそうな話ではあるが、辺境伯であるギデオンがそういった関係を望んでいない。
そのため、今回の提案を断られていれば……先方へ謝りの手紙を送らなければならなかった。
「……しかし、中身を伝えれば、流石のバトムス君も素直に付いて来てくれたのではないでしょうか」
「だうだろう……あれよこれよとそれらしい言葉を並べて避けられたかもしれない」
あれよこれよと並べる言葉が正しければ、ギデオンとしても強制は出来ない。
「まぁ、致し方ないと言えば……致し方ないことだ」
ギデオンは決してバトムスに試練を与えるつもりはなく、迷惑を掛けようというつもりもない。
これからもバトムスとは友好な関係を保ち続けたいと思っている。
だが……そんなギデオンでも、バトムスに頼まなければならないことがある。
(彼のせい……と言うつもりはない。勿論、その場に私も同席する。だからバトムス……どうか我慢してほしい)
一先ず安心出来たものの……それだけでその日の仕事が終わりではなく、夕食頃まで書類とにらめっこする時間が続いた。
「それじゃあ、旅行? に行くのね」
「そうなるな」
夕食時、今日はシエルと共に夕食を食べているバトムス。
(旅行……何日ぐらいになるんだろうな………………解らないけど、その間全く鍛冶が出来ないのはな~)
趣味とはいえ、本気で取り組んでいるからこそ、鍛冶を行えない日にちが十日以上も続くと、バトムスとしては苦しいものがある。
「? どうしたんですか」
「旅行に行くってなると、その間鍛冶が出来ないのがちょっとな」
「それは仕方ないよ。錬金術とは訳が違うんだから」
錬金術も造る物によっては多少の設備は必要だが、それでも鍛冶ほど大掛かりな物にはならない。
加えて、ポーション程度であれば大した荷物にもならない。
「鍛冶場がないと話しにならないもんな……鍛冶場が…………………………ん?」
自身で口にした通り、鍛冶というのが鍛冶場が無ければ行えない。
そんな当たり前の事を再確認したバトムスは……何故か、ニヤリと笑みを浮かべるのだった。
パーズと共に夕食を食べながら、バトムスは昼間に聞いた話を……王都で開催される学生の大会について考えていた。
(王都かぁ…………一回ぐらいは訪れてみたいとは思ってたけど、面倒そうな街って印象が強いんだよな~)
クレステントでは、バトムス個人の名前がそれなりに広まっていることもあり、面倒なバカ者たちに絡まれることはない。
だが、当然のことながらバトムスの名前は王都には届いておらず、まだ十二歳という年齢を考えれば……あっさりバカ者に絡まれてもおかしくない。
「……どうしよっかな~~~」
バトムスとしては、大会にはアルフォンスも参加するであろうことを考えれば、観に行きたいという気持ちは確かにある。
しかし、どうしてもそこに面倒な事が起こるのでは、という不安が付き纏う。
「まぁ、今年だけじゃないっていうのを考えたら、別に今回行かなくてもって感じか」
機会はいくらでもある。
そう思いながら夕食を完食し、皿洗いに取り掛かる。
「バトムス、良かったら一緒に王都に行かないかい」
「…………」
タイムリー過ぎるギデオンの提案に、バトムスは苦笑いのまま固まってしまう。
「えっと、それは……あれですか。お嬢の活躍を、観に行く為に?」
「おっ、知ってたんだね」
ギデオンとしてはバトムスがルチアに強く興味を持っていないことは知ってていたため、学生の間で行われるトーナメントを知らないと思っていた。
「先日、ジーニスさんから教えてもらって」
「そうかそうか。それで、どうだい。もし観に行くなら、一緒に行った方が好都合だと思ってね」
「そう、ですね……」
ギデオンの言う通り、もし共に王都へと向かうのであれば、観光の時間にアブルシオ辺境伯家の騎士たちが同行してくれる。
そうなれば、面倒なバカ者たちに絡まれることもなくなる。
「…………解りました。それじゃあ、一緒に同行させてもらいます」
「うん! 良かった良かった!! それじゃあ、細かい日程が決まったら伝えるね」
バトムスの答えを聞き、ニコニコ笑顔を返すギデオン。
(そうだよな。いつかいつかって考えてたら、絶対に行かないパターンになりそうだもんな。それを考えたら、有難い護衛の人たちが付いてくる状況を活用した方が良いよな)
流れに押されて……といった感じはあるものの、バトムスがギデオンたちと共に王都へ向かうことが決まった。
ただ、この時…………バトムスは気付けていなかった。
何故……ギデオンがいつもよりニコニコしていたかを。
SIDE ギデオン
「ふぅ~~~~~」
「良かったですね、ギデオン様」
「ふふ、そうだね。バトムスなら断ってもおかしくなかったからね」
バトムスが一緒に王都で行われる大会を観に行かないかという提案に乗ってくれたことに、ギデオンと彼の執事であるシャルトはほっと一安心した表情を浮かべていた。
ギデオンとバトムスの立場を考えれば、一言一緒に行くぞと伝えるだけで済みそうな話ではあるが、辺境伯であるギデオンがそういった関係を望んでいない。
そのため、今回の提案を断られていれば……先方へ謝りの手紙を送らなければならなかった。
「……しかし、中身を伝えれば、流石のバトムス君も素直に付いて来てくれたのではないでしょうか」
「だうだろう……あれよこれよとそれらしい言葉を並べて避けられたかもしれない」
あれよこれよと並べる言葉が正しければ、ギデオンとしても強制は出来ない。
「まぁ、致し方ないと言えば……致し方ないことだ」
ギデオンは決してバトムスに試練を与えるつもりはなく、迷惑を掛けようというつもりもない。
これからもバトムスとは友好な関係を保ち続けたいと思っている。
だが……そんなギデオンでも、バトムスに頼まなければならないことがある。
(彼のせい……と言うつもりはない。勿論、その場に私も同席する。だからバトムス……どうか我慢してほしい)
一先ず安心出来たものの……それだけでその日の仕事が終わりではなく、夕食頃まで書類とにらめっこする時間が続いた。
「それじゃあ、旅行? に行くのね」
「そうなるな」
夕食時、今日はシエルと共に夕食を食べているバトムス。
(旅行……何日ぐらいになるんだろうな………………解らないけど、その間全く鍛冶が出来ないのはな~)
趣味とはいえ、本気で取り組んでいるからこそ、鍛冶を行えない日にちが十日以上も続くと、バトムスとしては苦しいものがある。
「? どうしたんですか」
「旅行に行くってなると、その間鍛冶が出来ないのがちょっとな」
「それは仕方ないよ。錬金術とは訳が違うんだから」
錬金術も造る物によっては多少の設備は必要だが、それでも鍛冶ほど大掛かりな物にはならない。
加えて、ポーション程度であれば大した荷物にもならない。
「鍛冶場がないと話しにならないもんな……鍛冶場が…………………………ん?」
自身で口にした通り、鍛冶というのが鍛冶場が無ければ行えない。
そんな当たり前の事を再確認したバトムスは……何故か、ニヤリと笑みを浮かべるのだった。
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