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第135話 必要
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「では行きましょう!!!!」
「…………おぅ、そうだな」
ややテンションが低いバトムス。
理由は……シエルが同行するからである。
バトムスとしては、パーズと共に留守番で良いと思っていた。
だが、シエルはそれに反対。
王都では何があるか解らない。
バトムスにも護衛はいた方が良い!!! と、力説。
しかし、バトムスはそれでも反対……というより、そもそもシエルは同行出来るのかという話。
今回バトムスは王都で一応観光は出来るものの、遊びに行くのではなく複数の学園が合同で行うトーナメント大会を観に行く。
バトムスの護衛を担当するということは、シエルの分の席もなければならない。
その不安点を伝えると、シエルはなんと……アブルシオ辺境伯家の当主、ギデオンの元へ向かった。
普通に考えて、シエルが気軽に話せる相手ではない。
バトムスの立場は……一応両親が領地内では通じる立場を有していた。
だが、シエルはそのバトムスの両親の子の……妹分。
しかし、そこは考える頭がないわけではないシエル。
相手が辺境伯家の当主という立場は理解しており、丁寧な言葉づかいで……それでいて、しっかりと熱意を乗せてバトムスに護衛が必要であるということを伝えた。
すると……以外にも、あっさりと許可が下りた。
バトムスにも護衛が必要。
それに関しては、ギデオンも考えていた事である。
諸々のアイデアの主がバトムスであるという事は隠されている。
しっかりと隠されているが……それでも、世の中絶対はない。
加えて……以前、バトムスがルチアの執事候補として参加した社交界で起こった一件……あれで恥をかかされた存在がいる。
その存在が王都にいるため、辺境伯家に籍を置いているバトムスを狙うということは、アブルシオ辺境伯家に喧嘩を売っていると気付けない場合があってもおかしくない。
そのため、バトムスの傍に護衛はいた方が良い。
とはいえ、最低限の護衛としての力がなければ話にならない。
後日、シエルは騎士の一人と本気で戦う試験を行った。
結果は……合格。
隔世遺伝で狼人族となった身体能力。
日々の鍛錬、実戦の積み重ね……それらが混ざり合い、今でも伸び続けており、身体能力に関しては完全にバトムスを上回っている。
三年という差があるから、というのは関係無い。
バトムス自身、仮に肉体が三年分急成長したとしても、敵うとは思えない。
戦闘に関しても……真っ向勝負での勝率は低いと断言出来る。
「ふふ、行こうか。バトムス」
「はい」
馬車に乗り込み、出発。
長い長い旅路が始まる。
(………………頑張ってみようかな~~)
流れる景色を見ながら、バトムスはある事を考える。
頑張って……頑張って頑張って、高速移動が出来るマジックアイテム……マジックビークルを造ろうかと。
バトムスは趣味で取り組んでいるものの、現在の腕前を考えると……十分秀才の部類に当て嵌まる。
少なくとも、まだ同世代の中では確実にトップクラスの腕を有している。
だが、将来的にトップクラスを目指せるかというと……難しいところである。
(ん~~~~…………いや、そうだな……新しい物かもしれないけど、出来上がった乗り物が絶対に上級クラスとは限らないよな……うん………………まずは、どういう素材が必要なのか。それを見つけてからだよな)
自分は、一番を目指せる人間ではない。
それでも……今しがた自分の頭の中に浮かんだ内容は、絶対に出来ないという訳ではないと思うと、無意識に笑みを零してしまう。
「……ふふ。バトムス、何か面白いことでも浮かんだのかい」
「え」
「笑みが零れていたよ」
「そ、そうでしたか……その、なんて言いますか……り、理想論? が浮かんだだけと言いますか」
無理ではない。
諦めるのは早過ぎると思った。
それはそれとして、あんまり人に話したくないほど突拍子もない内容であることは理解している。
「理想論か。大事な事だよ。皆、最初は理想論を目標にして歩きだすからね。それで、どんな理想論を考えていたんだい」
当然のように逃がしてくれないギデオン。
「その……えっと…………街から街へ、速く移動するにはどうしたら良いかと考えてまして」
「なるほど……うんうん、解るよ。少人数移動するなら馬に乗って移動すれば良いけど、こういう大所帯だとそうもいかないからね……ん? もしかしてバトムス……クレステント以外の街に興味を持ったのかい」
「興味を持ったという程ではありませんが、もし移動するなら速く移動できるに越したことはないかと思って」
「そうかそうか。それは間違いないね」
ギデオンとしては、バトムスにはアブルシオ辺境伯家から離れ、別の場所に……組織に属してほしくない。
ただ、それはそれとしてもっと多くの体験を、経験をしてほしいという思いもあった。
そのため、バトムスがクレステント以外の街に興味を持つのは、彼としては喜ばしいこと。
「それで、いったいどういった理想論を思い付いたんだい」
ギデオンとしては理想論であったとしても、バトムスが思い付いた考えというのは是非とも知りたかった。
「…………おぅ、そうだな」
ややテンションが低いバトムス。
理由は……シエルが同行するからである。
バトムスとしては、パーズと共に留守番で良いと思っていた。
だが、シエルはそれに反対。
王都では何があるか解らない。
バトムスにも護衛はいた方が良い!!! と、力説。
しかし、バトムスはそれでも反対……というより、そもそもシエルは同行出来るのかという話。
今回バトムスは王都で一応観光は出来るものの、遊びに行くのではなく複数の学園が合同で行うトーナメント大会を観に行く。
バトムスの護衛を担当するということは、シエルの分の席もなければならない。
その不安点を伝えると、シエルはなんと……アブルシオ辺境伯家の当主、ギデオンの元へ向かった。
普通に考えて、シエルが気軽に話せる相手ではない。
バトムスの立場は……一応両親が領地内では通じる立場を有していた。
だが、シエルはそのバトムスの両親の子の……妹分。
しかし、そこは考える頭がないわけではないシエル。
相手が辺境伯家の当主という立場は理解しており、丁寧な言葉づかいで……それでいて、しっかりと熱意を乗せてバトムスに護衛が必要であるということを伝えた。
すると……以外にも、あっさりと許可が下りた。
バトムスにも護衛が必要。
それに関しては、ギデオンも考えていた事である。
諸々のアイデアの主がバトムスであるという事は隠されている。
しっかりと隠されているが……それでも、世の中絶対はない。
加えて……以前、バトムスがルチアの執事候補として参加した社交界で起こった一件……あれで恥をかかされた存在がいる。
その存在が王都にいるため、辺境伯家に籍を置いているバトムスを狙うということは、アブルシオ辺境伯家に喧嘩を売っていると気付けない場合があってもおかしくない。
そのため、バトムスの傍に護衛はいた方が良い。
とはいえ、最低限の護衛としての力がなければ話にならない。
後日、シエルは騎士の一人と本気で戦う試験を行った。
結果は……合格。
隔世遺伝で狼人族となった身体能力。
日々の鍛錬、実戦の積み重ね……それらが混ざり合い、今でも伸び続けており、身体能力に関しては完全にバトムスを上回っている。
三年という差があるから、というのは関係無い。
バトムス自身、仮に肉体が三年分急成長したとしても、敵うとは思えない。
戦闘に関しても……真っ向勝負での勝率は低いと断言出来る。
「ふふ、行こうか。バトムス」
「はい」
馬車に乗り込み、出発。
長い長い旅路が始まる。
(………………頑張ってみようかな~~)
流れる景色を見ながら、バトムスはある事を考える。
頑張って……頑張って頑張って、高速移動が出来るマジックアイテム……マジックビークルを造ろうかと。
バトムスは趣味で取り組んでいるものの、現在の腕前を考えると……十分秀才の部類に当て嵌まる。
少なくとも、まだ同世代の中では確実にトップクラスの腕を有している。
だが、将来的にトップクラスを目指せるかというと……難しいところである。
(ん~~~~…………いや、そうだな……新しい物かもしれないけど、出来上がった乗り物が絶対に上級クラスとは限らないよな……うん………………まずは、どういう素材が必要なのか。それを見つけてからだよな)
自分は、一番を目指せる人間ではない。
それでも……今しがた自分の頭の中に浮かんだ内容は、絶対に出来ないという訳ではないと思うと、無意識に笑みを零してしまう。
「……ふふ。バトムス、何か面白いことでも浮かんだのかい」
「え」
「笑みが零れていたよ」
「そ、そうでしたか……その、なんて言いますか……り、理想論? が浮かんだだけと言いますか」
無理ではない。
諦めるのは早過ぎると思った。
それはそれとして、あんまり人に話したくないほど突拍子もない内容であることは理解している。
「理想論か。大事な事だよ。皆、最初は理想論を目標にして歩きだすからね。それで、どんな理想論を考えていたんだい」
当然のように逃がしてくれないギデオン。
「その……えっと…………街から街へ、速く移動するにはどうしたら良いかと考えてまして」
「なるほど……うんうん、解るよ。少人数移動するなら馬に乗って移動すれば良いけど、こういう大所帯だとそうもいかないからね……ん? もしかしてバトムス……クレステント以外の街に興味を持ったのかい」
「興味を持ったという程ではありませんが、もし移動するなら速く移動できるに越したことはないかと思って」
「そうかそうか。それは間違いないね」
ギデオンとしては、バトムスにはアブルシオ辺境伯家から離れ、別の場所に……組織に属してほしくない。
ただ、それはそれとしてもっと多くの体験を、経験をしてほしいという思いもあった。
そのため、バトムスがクレステント以外の街に興味を持つのは、彼としては喜ばしいこと。
「それで、いったいどういった理想論を思い付いたんだい」
ギデオンとしては理想論であったとしても、バトムスが思い付いた考えというのは是非とも知りたかった。
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