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第136話 凄い
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(ど、どうしようか)
バトムスはギデオンの質問に対して正直に答えても良いのかと迷う。
ただ、これまでの経験上、迷う時間が長ければ長いほど怪しまれると理解しており、なんとか頭をフル回転させた。
「その……歩幅を大きくする靴とかを造ってみようかと思いまして」
「ほぅ~~。歩幅を大きくする靴、か……気になるね」
疑っていないのか、それでも内心では疑っているのか解らない。
それでも話に食いついてくれたという事もあり、なんとか振り絞って浮かんだアイデアに関して語る。
「その、宙に浮かんで飛ぶというのは、現実味がありません」
「そうだね。風魔法のスキルを持っていて、よっぽど魔力操作に優れている者であれば不可能ではない様だけど、誰でも出来ることではないのは確かだね」
空を飛ぶ……というのは、なんともロマンがある。
だが、現実的に考えて非常に……非常に難しい。
「なので、飛ぶのではなく跳ぼうかと思いまして」
「ほほぅ。飛ぶのではなく跳ぶ、ね」
「はい。人間は歩幅に限界があるので、一歩で進める長さに限度があります」
「そうだね。でも、だからといって毎回ジャンプしていると、それはそれで疲れてしまいそうだけど」
「なので、その点を助けようと思うのです」
「…………なるほど」
馬車の中にいる大変の従者、騎士、魔術師は二人が何を話しているのか解らず、首を傾げる。
「簡単に言ってしまうと、ジャンプ力を強化する靴、ということかな」
「そうです」
脚力を強化する道具というのは、この世に多く存在している。
だが、バトムスが咄嗟に思い付いた靴の内容はそこを強化するのではなく、ジャンプ力を強化したい。
「もっと言うと、根本的なジャンプ力ではなく、こう……先へ先へとぴょんぴょん楽に跳ねるように移動出来ればと思ってます」
「うんうん……なるほどなるほど…………良いね。とても良いと思うよ」
実際のところ、自分が使う機会があるとは思えない。
本当にバトムスが考える靴が出来上がったのであれば、利用してみたいが……貴族の当主であるギデオンが使って移動することは、立場上厳しい。
それでも、街から街へ移動する冒険者たちにとっては非常に需要があると思えた。
「ターゲット層は絞ることにはなると思いますけど」
「私は商人ではないけど、大事な事だと思うよ。そうなると……靴全体ではなく、底をイジることになるのかな?」
「おそらく、そうなるかと」
本当に咄嗟に考えたアイデアであるため、どういった構造にすれば良いか、全く考えられていない。
しかし、話を聞いたギデオンはバトムスが教えてくれた内容をいたく気に入った。
「本当に面白いアイデアだね」
「そう言ってもらえるともらえると嬉しいです。ただ、問題点もあります。自分が考えた内容だと、戦闘の際に非常に扱い辛いかと」
「むっ………………となると、魔力を消費することでオンオフが出来る性能の方が良いかな」
「そうなりますね…………本当に考え付いたばかりなので、多くの冒険者たちの手に届く金額になるかは出来上がってからではないと解りませんが」
「……私は、職人ではない。ただ、何かを造るというのは、そういうものなのではないのかい」
職人、という経歴だけであれば、バトムスはギデオンより圧倒的に上。
そもそもギデオンは土俵にすら立ったことがないため、本人が少し遠慮気味に言っている通りである。
しかし……ギデオンの言葉はまさにその通りであり、立場の問題と言うのもあるが、バトムスが不満そうな表情を浮かべることはなかった。
「では、失礼します」
「「「「「「「「「「………………」」」」」」」」」」
道中、野営をすることになった一同。
それなりに腹に溜まる夕食を食べ終えた後……バトムスはアイテムバッグの中から、一つの物を……建物を取り出した。
「……か、鍛冶場?」
バトムスが建物中に消えてから約十秒後、一人の騎士がようやく言葉を零す。
「みたいだね…………一応、バトムスから話を聞いてたけど………………うん、なんと言うか……凄いね」
事前にバトムスから移動する際に腕を鈍らせない為の鍛冶場について聞いていたが、実際に目にすると……やはり驚きを隠せなかった。
「で、ですね……って、こんな場所で鍛冶作業を始めては、音でモンスターを引き寄せてしまうのでは!!??」
「…………どうやら、その心配は必要ないようですね」
「そ、そうなのか?」
「えぇ。あの鍛冶場には中の音を零さないようになっているようです」
「なるほど。であれば、問題はないか……そうだな。バトムスがその様な点を考えていない訳がないか」
多くの騎士たちは多少なりともバトムスと関わったことがあるため、バトムスにはある種の信頼感のようなものがあった。
「しかし……しかしだな………………うむ……ギデオン様と同じく、凄いという言葉しか出てこないな」
「ですね」
騎士の言葉に、その場にいる全員が……シエルも同意するように頷くのだった。
バトムスはギデオンの質問に対して正直に答えても良いのかと迷う。
ただ、これまでの経験上、迷う時間が長ければ長いほど怪しまれると理解しており、なんとか頭をフル回転させた。
「その……歩幅を大きくする靴とかを造ってみようかと思いまして」
「ほぅ~~。歩幅を大きくする靴、か……気になるね」
疑っていないのか、それでも内心では疑っているのか解らない。
それでも話に食いついてくれたという事もあり、なんとか振り絞って浮かんだアイデアに関して語る。
「その、宙に浮かんで飛ぶというのは、現実味がありません」
「そうだね。風魔法のスキルを持っていて、よっぽど魔力操作に優れている者であれば不可能ではない様だけど、誰でも出来ることではないのは確かだね」
空を飛ぶ……というのは、なんともロマンがある。
だが、現実的に考えて非常に……非常に難しい。
「なので、飛ぶのではなく跳ぼうかと思いまして」
「ほほぅ。飛ぶのではなく跳ぶ、ね」
「はい。人間は歩幅に限界があるので、一歩で進める長さに限度があります」
「そうだね。でも、だからといって毎回ジャンプしていると、それはそれで疲れてしまいそうだけど」
「なので、その点を助けようと思うのです」
「…………なるほど」
馬車の中にいる大変の従者、騎士、魔術師は二人が何を話しているのか解らず、首を傾げる。
「簡単に言ってしまうと、ジャンプ力を強化する靴、ということかな」
「そうです」
脚力を強化する道具というのは、この世に多く存在している。
だが、バトムスが咄嗟に思い付いた靴の内容はそこを強化するのではなく、ジャンプ力を強化したい。
「もっと言うと、根本的なジャンプ力ではなく、こう……先へ先へとぴょんぴょん楽に跳ねるように移動出来ればと思ってます」
「うんうん……なるほどなるほど…………良いね。とても良いと思うよ」
実際のところ、自分が使う機会があるとは思えない。
本当にバトムスが考える靴が出来上がったのであれば、利用してみたいが……貴族の当主であるギデオンが使って移動することは、立場上厳しい。
それでも、街から街へ移動する冒険者たちにとっては非常に需要があると思えた。
「ターゲット層は絞ることにはなると思いますけど」
「私は商人ではないけど、大事な事だと思うよ。そうなると……靴全体ではなく、底をイジることになるのかな?」
「おそらく、そうなるかと」
本当に咄嗟に考えたアイデアであるため、どういった構造にすれば良いか、全く考えられていない。
しかし、話を聞いたギデオンはバトムスが教えてくれた内容をいたく気に入った。
「本当に面白いアイデアだね」
「そう言ってもらえるともらえると嬉しいです。ただ、問題点もあります。自分が考えた内容だと、戦闘の際に非常に扱い辛いかと」
「むっ………………となると、魔力を消費することでオンオフが出来る性能の方が良いかな」
「そうなりますね…………本当に考え付いたばかりなので、多くの冒険者たちの手に届く金額になるかは出来上がってからではないと解りませんが」
「……私は、職人ではない。ただ、何かを造るというのは、そういうものなのではないのかい」
職人、という経歴だけであれば、バトムスはギデオンより圧倒的に上。
そもそもギデオンは土俵にすら立ったことがないため、本人が少し遠慮気味に言っている通りである。
しかし……ギデオンの言葉はまさにその通りであり、立場の問題と言うのもあるが、バトムスが不満そうな表情を浮かべることはなかった。
「では、失礼します」
「「「「「「「「「「………………」」」」」」」」」」
道中、野営をすることになった一同。
それなりに腹に溜まる夕食を食べ終えた後……バトムスはアイテムバッグの中から、一つの物を……建物を取り出した。
「……か、鍛冶場?」
バトムスが建物中に消えてから約十秒後、一人の騎士がようやく言葉を零す。
「みたいだね…………一応、バトムスから話を聞いてたけど………………うん、なんと言うか……凄いね」
事前にバトムスから移動する際に腕を鈍らせない為の鍛冶場について聞いていたが、実際に目にすると……やはり驚きを隠せなかった。
「で、ですね……って、こんな場所で鍛冶作業を始めては、音でモンスターを引き寄せてしまうのでは!!??」
「…………どうやら、その心配は必要ないようですね」
「そ、そうなのか?」
「えぇ。あの鍛冶場には中の音を零さないようになっているようです」
「なるほど。であれば、問題はないか……そうだな。バトムスがその様な点を考えていない訳がないか」
多くの騎士たちは多少なりともバトムスと関わったことがあるため、バトムスにはある種の信頼感のようなものがあった。
「しかし……しかしだな………………うむ……ギデオン様と同じく、凄いという言葉しか出てこないな」
「ですね」
騎士の言葉に、その場にいる全員が……シエルも同意するように頷くのだった。
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