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第137話 残したい光景
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雑談で時間を潰し、ところどころで食事を取り、武器を打ち、寝る。
一つ普通ではない要素があるも、そういったサイクルを何度も何度も繰り返し……ようやった王都に到着した一行。
「……………………」
「ふふ、驚いたかい、バトムス」
「は、はい。その……壁の大きさだけでも、驚くなというのは……無理かと」
この世界に転生してから、バトムスは数えきれないほど驚いてきた。
まだ転生してから十二年ほどしか経っていないが、正直なところ……もう驚くことはないだろうと思っていた。
少なくとも、目玉が飛び出るほど驚愕することはないと。
だが、全くもってそんな事はなかった。
ギデオンが治める都市、クレステントも大きい都市に分類される。
そこまで詳しくは知らないものの、それでもクレステントほど多くの部分で更に大きい都市はないだろうと……大きくて、驚くことはないと思っていたバトムス。
だが、そんな予想をあっさり裏切るのが、国の主要都市である、王都。
(……スマホが無いのが、本当に残念だな)
外から見た光景、そして中に入ってからの光景……どれも、写真として残したい光景だった。
中に入ってからも驚き続けるバトムスに、ギデオンだけではなく執事のシャルトやその他の従者、たちまで微笑ましい笑顔を浮かべていた。
彼らの知るバトムスの浮かべ笑顔と言えば、ルチアと衝突し……言い負かしてる際の笑顔。
そんな悪ガキの様な笑顔や、美味い飯を食べている時の笑顔。
どれも子供らしい笑顔と言えばそうなのだが、今のバトムスが浮かべている笑顔は……純粋な少年のワクワク心が零れだしている笑顔。
バトムス……そんな子供らしい笑顔を浮かべられるのか。
と、誰もが心の中で口にした。
そして暖かい空気が漂い続ける中、特に問題が起こることなく馬車は進み続け、目的の宿へと到着。
「お待ちしておりました、ギデオン様」
「やぁ、お世話になるよ」
複数人の従業員が即座に現れ、全員同じ角度で腰を折ってギデオンに挨拶を行い、案内を行う。
(……前に訪れた宿も豪華だったけど、ここもまぁ…………凄いな)
外装も内装も、煌びやかという言葉がよく似合う。
ただ、それらを見てバトムスは趣味が悪い、とは思わなかった。
(煌びやかだけど、あんまりごちゃごちゃしてないって言うか……下品な感じがする豪華さはないな)
インテリアや芸術に関する視る眼や知識はないものの、バトムスは王都にいる間の拠点となる宿に居心地の良さを感じるのだった。
「ここが俺達の部屋だ」
バトムスは当然一人ではなくシエル、護衛の騎士であるノウザス・リバール、魔術師のライラ・サントラアと共に寝泊まりする。
「…………本当に今更なんですけど、こんなところに俺が泊って良いんですかね」
「……バトムス、お前そういう感覚はあるんだな」
「いや、だって……両親は領地内なら立場は多少ありますけど、俺はほぼ平民みたいなものですよ」
一応バトムスが口にしている内容は間違っていない。
間違ってはいないのだが……ノウザスやライラからすれば、色々とツッコミたい。
「まぁ、間違ってはいないが…………深く話すことではないか。さて、バトムス。まだルチアお嬢様が参加するトーナメントの開始日までには数日ある。どこか行きたい場所などはあるか」
「……やっぱり、武器とか防具、マジックアイテムが売ってる店を見に行きたいですね」
「そうか。では、行くとしようか」
「え……そんな直ぐに良いんですか?」
「あぁ、問題無い。トーナメント開催日まで。終わってからの数日間は基本的に自由に行動しても構わないと告げられている。そして、その間は私たちが護衛として同行する」
ギデオンは自分の都合で王都に連れて来た部分もあるため、バトムスにはなるべく王都観光を楽しんでほしかった。
「……ありがとうございます。っし!!!! それじゃ、行きましょう!!!!!」
あっさりと切り替え、テンション上げ上げ状態になったバトムス。
住んでいる場所、クレステントから何日間も移動し続けるのは面倒だが……それはそれとして、大都市にある武器屋などは非常に気になる。
まだ宿の中にいたギデオンに一声を掛けてから、バトムスは未知の大都市……王都の観光を始めた。
「……すいません、これ買います」
「はいよ! まいどあり!!!」
「これ、買います」
「まいどあり~~~」
「お姉さん、これ買います」
「お買い上げありがとうございます」
一応、入る店は選んでいるバトムス。
ただ、武器屋やマジックアイテム店を訪れ、じっくり商品を眺め……堪能する。
それだけでは、店側にとってはただの冷やかし。
バトムは店こそ経営していないが、そんな客は店側は嫌だろうと思い、毎回毎回入った店の中で気に入った商品を一つだけ購入していく。
従業員は背丈こそ多少あるものの、まだまだ少年と思われる者が購入出来るのかと疑いの目を向けるも、バトムスは商品の値段を見て迷うことなく代金を取り出し、何人かを驚かせる。
(うむ、やはり平民ではないな)
その買い物っぷりを見て、自分の感覚は間違っていなかったと頷くノウザス。
彼が何を思って頷いているのか勘付き、ライラも小さな苦笑いを零し、頷くのだった。
一つ普通ではない要素があるも、そういったサイクルを何度も何度も繰り返し……ようやった王都に到着した一行。
「……………………」
「ふふ、驚いたかい、バトムス」
「は、はい。その……壁の大きさだけでも、驚くなというのは……無理かと」
この世界に転生してから、バトムスは数えきれないほど驚いてきた。
まだ転生してから十二年ほどしか経っていないが、正直なところ……もう驚くことはないだろうと思っていた。
少なくとも、目玉が飛び出るほど驚愕することはないと。
だが、全くもってそんな事はなかった。
ギデオンが治める都市、クレステントも大きい都市に分類される。
そこまで詳しくは知らないものの、それでもクレステントほど多くの部分で更に大きい都市はないだろうと……大きくて、驚くことはないと思っていたバトムス。
だが、そんな予想をあっさり裏切るのが、国の主要都市である、王都。
(……スマホが無いのが、本当に残念だな)
外から見た光景、そして中に入ってからの光景……どれも、写真として残したい光景だった。
中に入ってからも驚き続けるバトムスに、ギデオンだけではなく執事のシャルトやその他の従者、たちまで微笑ましい笑顔を浮かべていた。
彼らの知るバトムスの浮かべ笑顔と言えば、ルチアと衝突し……言い負かしてる際の笑顔。
そんな悪ガキの様な笑顔や、美味い飯を食べている時の笑顔。
どれも子供らしい笑顔と言えばそうなのだが、今のバトムスが浮かべている笑顔は……純粋な少年のワクワク心が零れだしている笑顔。
バトムス……そんな子供らしい笑顔を浮かべられるのか。
と、誰もが心の中で口にした。
そして暖かい空気が漂い続ける中、特に問題が起こることなく馬車は進み続け、目的の宿へと到着。
「お待ちしておりました、ギデオン様」
「やぁ、お世話になるよ」
複数人の従業員が即座に現れ、全員同じ角度で腰を折ってギデオンに挨拶を行い、案内を行う。
(……前に訪れた宿も豪華だったけど、ここもまぁ…………凄いな)
外装も内装も、煌びやかという言葉がよく似合う。
ただ、それらを見てバトムスは趣味が悪い、とは思わなかった。
(煌びやかだけど、あんまりごちゃごちゃしてないって言うか……下品な感じがする豪華さはないな)
インテリアや芸術に関する視る眼や知識はないものの、バトムスは王都にいる間の拠点となる宿に居心地の良さを感じるのだった。
「ここが俺達の部屋だ」
バトムスは当然一人ではなくシエル、護衛の騎士であるノウザス・リバール、魔術師のライラ・サントラアと共に寝泊まりする。
「…………本当に今更なんですけど、こんなところに俺が泊って良いんですかね」
「……バトムス、お前そういう感覚はあるんだな」
「いや、だって……両親は領地内なら立場は多少ありますけど、俺はほぼ平民みたいなものですよ」
一応バトムスが口にしている内容は間違っていない。
間違ってはいないのだが……ノウザスやライラからすれば、色々とツッコミたい。
「まぁ、間違ってはいないが…………深く話すことではないか。さて、バトムス。まだルチアお嬢様が参加するトーナメントの開始日までには数日ある。どこか行きたい場所などはあるか」
「……やっぱり、武器とか防具、マジックアイテムが売ってる店を見に行きたいですね」
「そうか。では、行くとしようか」
「え……そんな直ぐに良いんですか?」
「あぁ、問題無い。トーナメント開催日まで。終わってからの数日間は基本的に自由に行動しても構わないと告げられている。そして、その間は私たちが護衛として同行する」
ギデオンは自分の都合で王都に連れて来た部分もあるため、バトムスにはなるべく王都観光を楽しんでほしかった。
「……ありがとうございます。っし!!!! それじゃ、行きましょう!!!!!」
あっさりと切り替え、テンション上げ上げ状態になったバトムス。
住んでいる場所、クレステントから何日間も移動し続けるのは面倒だが……それはそれとして、大都市にある武器屋などは非常に気になる。
まだ宿の中にいたギデオンに一声を掛けてから、バトムスは未知の大都市……王都の観光を始めた。
「……すいません、これ買います」
「はいよ! まいどあり!!!」
「これ、買います」
「まいどあり~~~」
「お姉さん、これ買います」
「お買い上げありがとうございます」
一応、入る店は選んでいるバトムス。
ただ、武器屋やマジックアイテム店を訪れ、じっくり商品を眺め……堪能する。
それだけでは、店側にとってはただの冷やかし。
バトムは店こそ経営していないが、そんな客は店側は嫌だろうと思い、毎回毎回入った店の中で気に入った商品を一つだけ購入していく。
従業員は背丈こそ多少あるものの、まだまだ少年と思われる者が購入出来るのかと疑いの目を向けるも、バトムスは商品の値段を見て迷うことなく代金を取り出し、何人かを驚かせる。
(うむ、やはり平民ではないな)
その買い物っぷりを見て、自分の感覚は間違っていなかったと頷くノウザス。
彼が何を思って頷いているのか勘付き、ライラも小さな苦笑いを零し、頷くのだった。
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