執事なんかやってられるか!!! 生きたいように生きる転生者のスローライフ?

Gai

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第138話 誰が本命?

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「なんとまぁ、律儀だな。バトムス」

「……そうかもしれませんね」

また次の武器屋へと向かうバトムスに声を掛けたノウザス。

「でも、冷やかしの客にはなりたくないというか……俺自身は経営者じゃないですけど」

「ふむ…………そういえば、バトムスが世話になっている職人は、どちらも一流の者たちだったか」

「えぇ、そうですね」

エルリックとジョラン。
錬金術と鍛冶という違いはあれど、どちらも職人として一流の腕を持つ者であることに変わりはない。

そんな二人は工房のトップであり、直通の店舗も有している。

「しかしバトムス、そういった思いやりで周った店で何かしら買うのは構わないと思うけれど、それらはどうするの? 自分で使うの?」

バトムスの一応のメイン武器はロングソード。
しかし、購入した武器はどれも今のところロングソードではない。

なんなら、本当に普段から全く使わない杖まで購入している。

「どうですかね……多分、あまり使わないんじゃないですか? ジョゼフとか、他の多少仲が良い騎士候補の連中に上げようかなと」

わざわざ購入した物を埃被せておくというのは、バトムスとしても心苦しいところがある。

なので、無償でそれなりに仲の良い人物に渡そうかと考えていた。

「ふふ、本当に太っ腹ね」

「……かもしれませんね」

子供が使える額ではないことは解っているからこそ、否定はしなかった。

「………………」

そんな中、わざわざバトムスの護衛を買って出たシエルは無言のままであり……なんなら、少々不機嫌そうだった。

(……あら……ふふ、まぁそうなってもおかしくないわね)

シエルが何故少々不機嫌そうな顔をしているのか、同じ女性であるライラはなんとなく察し、小さく笑みを零し……バトムスに声を掛ける。

「ねぇ、バトムス。仲の良い子たちに贈るかもしれない物だけじゃなくて、シエルにも何か買ってあげないの?」

「っ!!??」

内心思っていた事を告げられてしまい、やや頬を赤くしてあたふたとするシエル。

だが、バトムスはライラの問いに対して即座に決めている内容を返した。

「シエルに何か買うなら、店への義理? で何かしらを買うんじゃなくて、きっちり何が良いか考えて買いますよ」

「っ!!!!」

「あら、そうだったのね」

バトムスの返答にまだ頬は赤いものの、やや頬が緩むシエル……そんな光景を見て、ライラは微笑ましいものを見るかのように、優しい笑みを零すのだった。

(………………本人は否定するかもしれないが、やはりそいった部分はあるようだな)

保護者のような感情を抱くライラに対し、ノウザスはバトムスのしっかりと気遣いが出来ている点に関してある事を考えていた。

そう……以外にも、バトムスはモテるのではないかと。

まず、それなりに異性と交流が出来ている。
実際のところ、貴族の中にも女性と関わる際に上手く対応出来ない者は多少存在する。

だが、バトムスはそういった様子は一切ない。
まず同年代のルチアと喧嘩、言い合いをすることもあれば……普通に会話することも出来る。

そして、がっつり歳上のお姉さんであるアブルシオ辺境伯家に仕えるメイドたち、エルリックの弟子であるうファエリナにジョランの弟子であるタリア。
同世代の異性だけではなく、歳上の異性たちとも問題無く会話をすることが可能。

バトムス自身が可愛がられている部分もあるが、だとしても簡単な話ではない。

加えて、普段のバトムスを知るからこそ意外に思われるが、割と気遣いが出来る男である。
全員に対してそうではないものの、交流がある人物に対しては気遣いが出来る。

特にメイドの誰かが誕生日を迎えたなどの話を聞くと、サクッとクッキーなどのお菓子を作り、プレゼントしている。
バトムスとしては殆どのメイドがパーズに癒しを求めてもふもふしており、そのもふもふはパーズにとっても嬉しい。

更にメイドの中にはブラッシング道具を用いて、パーズを気持ちよくさせている。
そういった感じで相棒が世話になっているということもあり、その礼を返しているだけなのだが……メイドたちからすれば不意打ちの様なものであり、普段はクソガキな歳下小僧にときめくことがあるとかないとか。

他にも辺境伯家の令嬢であるルチアに対しては合えば言い合いの喧嘩が日常茶飯事ではあるが、男爵家の令嬢であり……将来的にルチアの騎士を目指しているアシェルなどには丁寧に接し、冷静にアドバイスを送る場面が見受けられる。

そのため、一部の騎士たちの間で本命はアシェルなのでは? と盛り上がっているとかいないとか。

(しかし、バトムス自身……そこまで恋愛には興味が無いのか……誰とどうなるかは予想出来ない………………大穴、というより未知数な存在ではあるが、アルフォンス様がバトムスに誰かを紹介するというケースもないとは言えないだろう)

第五王子であるアルフォンスとバトムスが友人だということはアブルシオ辺境伯家の騎士であれば全員知っているため、妄想のし過ぎ……とは言えないのが、恐ろしいところだった。
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