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第139話 底をついても構わない
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「………………」
「いらっしゃい」
ある武器屋に寄ったバトムスは、その店の店員から武器屋巡りでもしているのかと尋ねられた。
その通りだと正直に答えると、店員はある店を教えてくれた。
そこには面白い武器屋があるぞと。
店員の言葉を信じ、大通りから外れた場所にある武器屋へ移動。
周囲の雰囲気はやや暗いが、それでも店の外装はしっかりしており、綺麗に磨かれている。
店周辺にはゴミもなく、掃除されているのが解る。
(丁寧な人が店主、なのかな)
そう思いながら中に入ると、一人の女性が声をカウンターの奥にいた。
美人だ……非常に、美人である。
だが、バトムスはその女性の美しさに気付くよりも前に、壁に掛けられている物やショーケースの中に並べられている物を見て……眼を輝かせた。
「す、凄ぇ……」
商品として並べられている殆どの作品は、刀剣の類であった。
太刀に大太刀、打刀に脇差、短刀。
他にも槍、薙刀……使い捨てのクナイなどまでもが並べられていた。
元々レドローザ王国に、この大陸にも刀はあり……使う者もいる。
だが、基本的に一般的な武器ではなく、刀を専門にしている鍛冶師……武器屋はあまりいない。
そのため、バトムスはここまで多くの刀剣類を見るのは初めてであり、シエルやノウザス、ライラたちがギョッとするほど目を輝かせ、並べられている商品を眺め始めた。
シエルたちがバトムスの表情に驚きを隠せない中、従業員の黒髪美人は嬉しそうに小さな笑みを浮かべていた。
(どこの貴族の坊ちゃんかは知らないけど、楽しそうな顔で眺めてくれるじゃない)
黒髪美人は……あまり貴族の子供というのが好きではない。
基本的に生意気で面倒というイメージが強い……が、店に並べられている商品をあそこまで楽しそうに眺めてくれると、製作に関わっている一人としては、嬉しいものがある。
「凄ぇ…………マジで凄ぇ……」
実際のところ貴族の令息ではないバトムスは、語彙力が死にながら眺めていた。
(ていうか、刀以外にもロングソードや戦斧とかもちょこちょこ置いてあるけど……普通に質が高い。刀剣類をメインで造ってるけど……あそこまで質の高い他の武器も造れる、のかな)
鍛冶、製作という作業に関わり始めて、既に五年以上が経過。
まだ……新米の域は脱していないものの、入りたてのド新人よりは製作の楽しさや達成感……同時に苦しさ、一定の領域に到達するまでの苦労も解る。
(やべぇ……どれも…………なんなら、全部、欲しい)
アホである。
商品の中には白金貨数枚から数十枚……なんなら、白金貨の更に上、黒曜金貨に届く金額のものすらあr。
だが……言いたい、言ってしまいたい。
端から端までくれと。
最高の大人買いをしたいバトムス。
(そ、そういえば今幾ら持ってたっけ)
武器屋に寄っては、何も買わないのは失礼だと思い、何かしらの武器を購入していた。
それらの武器も、決して鈍らではない。
高過ぎはしないが、それでも性能が確かな物を購入していた。
そのため、それなりの金額が無くなっていた。
「…………………………」
端から端までは、さすがに無理である。
であれば、購入したいと本気で思える商品を絞った場合、どうだろうか。
(…………た、足りない)
残念ながら、足りなかった。
なんなら、全然足りなかった。
太刀や大太刀、薙刀に脇差、クナイなど……絞ったとしても、多くの物を購入したいバトムスが取った行動は……一旦、退店することであった。
「また来ます!!!!!」
「っ……では、待ってますよ」
気合の入った声に一瞬驚くも、黒髪美人店員は小さな笑みを浮かべながら応えた。
その際、バトムスは店員の女性がとんでもない美人であると気付いた。
「バトムス、いったい何処に行くのだ?」
「商人ギルドです!!!」
金がないなら、引き下ろせば良い。
手元の現金では足りないが、商人ギルドに預けている金は大量にある。
商人ギルドのギルドカードを有していれば、商人ギルドでいつでも引き下ろすことが可能。
とはいえ、バトムスほど裏で稼いでいる者であれば、あまり大きくない街で引き下ろそうとするとその商人ギルドから硬貨が消えてしまう可能性があるも……現在バトムスたちがいる場所は、王都。
国内でトップクラスの金の動きがある場所。
「なるほど、そういう事か。して、幾らほど引き出すのだ?」
「……白金貨数百枚。あと、黒曜金貨いくらかを」
「「「っ!!!!!!!???????」」」
先程、バトムスらしくないキラキラと目を輝かせる姿に驚かされた三人だが、今回は別ベクトルで心底驚かされた。
「ば、バトムス、それは……その、だな」
「大丈夫です、俺の金なんで!!!!」
「う、うむ……そ、そうだな」
その通りである。
バトムスはギデオンのお陰でちゃんとした商人を通して利益を得ているため、懐に入ってくる金の一部をギデオンに渡している。
それでもバトムスの懐に大金が、超超超超大金が入ってきている。
家を造ってもらい、鍛冶場を造ってもらい……気に入っている鍛冶場や錬金術師に素材の提供なども行っており、クローゼルと前世の知識を活かして料理を作るために用意する食材、調味料などの額もバカに出来ない。
ここ最近、また莫大な出費があったが……それでも、彼は金が底をついても問題無いと思っており、大股で……速足で王都の商人ギルドへと向かった。
「いらっしゃい」
ある武器屋に寄ったバトムスは、その店の店員から武器屋巡りでもしているのかと尋ねられた。
その通りだと正直に答えると、店員はある店を教えてくれた。
そこには面白い武器屋があるぞと。
店員の言葉を信じ、大通りから外れた場所にある武器屋へ移動。
周囲の雰囲気はやや暗いが、それでも店の外装はしっかりしており、綺麗に磨かれている。
店周辺にはゴミもなく、掃除されているのが解る。
(丁寧な人が店主、なのかな)
そう思いながら中に入ると、一人の女性が声をカウンターの奥にいた。
美人だ……非常に、美人である。
だが、バトムスはその女性の美しさに気付くよりも前に、壁に掛けられている物やショーケースの中に並べられている物を見て……眼を輝かせた。
「す、凄ぇ……」
商品として並べられている殆どの作品は、刀剣の類であった。
太刀に大太刀、打刀に脇差、短刀。
他にも槍、薙刀……使い捨てのクナイなどまでもが並べられていた。
元々レドローザ王国に、この大陸にも刀はあり……使う者もいる。
だが、基本的に一般的な武器ではなく、刀を専門にしている鍛冶師……武器屋はあまりいない。
そのため、バトムスはここまで多くの刀剣類を見るのは初めてであり、シエルやノウザス、ライラたちがギョッとするほど目を輝かせ、並べられている商品を眺め始めた。
シエルたちがバトムスの表情に驚きを隠せない中、従業員の黒髪美人は嬉しそうに小さな笑みを浮かべていた。
(どこの貴族の坊ちゃんかは知らないけど、楽しそうな顔で眺めてくれるじゃない)
黒髪美人は……あまり貴族の子供というのが好きではない。
基本的に生意気で面倒というイメージが強い……が、店に並べられている商品をあそこまで楽しそうに眺めてくれると、製作に関わっている一人としては、嬉しいものがある。
「凄ぇ…………マジで凄ぇ……」
実際のところ貴族の令息ではないバトムスは、語彙力が死にながら眺めていた。
(ていうか、刀以外にもロングソードや戦斧とかもちょこちょこ置いてあるけど……普通に質が高い。刀剣類をメインで造ってるけど……あそこまで質の高い他の武器も造れる、のかな)
鍛冶、製作という作業に関わり始めて、既に五年以上が経過。
まだ……新米の域は脱していないものの、入りたてのド新人よりは製作の楽しさや達成感……同時に苦しさ、一定の領域に到達するまでの苦労も解る。
(やべぇ……どれも…………なんなら、全部、欲しい)
アホである。
商品の中には白金貨数枚から数十枚……なんなら、白金貨の更に上、黒曜金貨に届く金額のものすらあr。
だが……言いたい、言ってしまいたい。
端から端までくれと。
最高の大人買いをしたいバトムス。
(そ、そういえば今幾ら持ってたっけ)
武器屋に寄っては、何も買わないのは失礼だと思い、何かしらの武器を購入していた。
それらの武器も、決して鈍らではない。
高過ぎはしないが、それでも性能が確かな物を購入していた。
そのため、それなりの金額が無くなっていた。
「…………………………」
端から端までは、さすがに無理である。
であれば、購入したいと本気で思える商品を絞った場合、どうだろうか。
(…………た、足りない)
残念ながら、足りなかった。
なんなら、全然足りなかった。
太刀や大太刀、薙刀に脇差、クナイなど……絞ったとしても、多くの物を購入したいバトムスが取った行動は……一旦、退店することであった。
「また来ます!!!!!」
「っ……では、待ってますよ」
気合の入った声に一瞬驚くも、黒髪美人店員は小さな笑みを浮かべながら応えた。
その際、バトムスは店員の女性がとんでもない美人であると気付いた。
「バトムス、いったい何処に行くのだ?」
「商人ギルドです!!!」
金がないなら、引き下ろせば良い。
手元の現金では足りないが、商人ギルドに預けている金は大量にある。
商人ギルドのギルドカードを有していれば、商人ギルドでいつでも引き下ろすことが可能。
とはいえ、バトムスほど裏で稼いでいる者であれば、あまり大きくない街で引き下ろそうとするとその商人ギルドから硬貨が消えてしまう可能性があるも……現在バトムスたちがいる場所は、王都。
国内でトップクラスの金の動きがある場所。
「なるほど、そういう事か。して、幾らほど引き出すのだ?」
「……白金貨数百枚。あと、黒曜金貨いくらかを」
「「「っ!!!!!!!???????」」」
先程、バトムスらしくないキラキラと目を輝かせる姿に驚かされた三人だが、今回は別ベクトルで心底驚かされた。
「ば、バトムス、それは……その、だな」
「大丈夫です、俺の金なんで!!!!」
「う、うむ……そ、そうだな」
その通りである。
バトムスはギデオンのお陰でちゃんとした商人を通して利益を得ているため、懐に入ってくる金の一部をギデオンに渡している。
それでもバトムスの懐に大金が、超超超超大金が入ってきている。
家を造ってもらい、鍛冶場を造ってもらい……気に入っている鍛冶場や錬金術師に素材の提供なども行っており、クローゼルと前世の知識を活かして料理を作るために用意する食材、調味料などの額もバカに出来ない。
ここ最近、また莫大な出費があったが……それでも、彼は金が底をついても問題無いと思っており、大股で……速足で王都の商人ギルドへと向かった。
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