執事なんかやってられるか!!! 生きたいように生きる転生者のスローライフ?

Gai

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第141話 切れ味特化

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「ご確認ください」

「はい」

バトムスの要望通り、黒曜金貨四枚と白金貨三百枚……金貨百枚を引き下ろしてきた受付嬢。

バトムスは本当に自分の要望通りの金額があるかをチェック。
王都の商人ギルドを疑っているという訳ではないが、バトムスも目の前の金額が大金であることは理解している。

そのため、多少時間が掛かっても全て自分でチェックを行う。

「…………黒曜金貨四枚、白金貨三百枚、金貨百枚、確認させてもらいました」

「ありがとうございます。して、こちらが手数料になりますが、よろしいでしょうか」

商人ギルドは商人、一部の貴族たちから金を預かっている。
預けた金額が、しっかりと残ってある……というのは、簡単な話ではない。

バトムスの時代と違い、盗もうと思えば力業で盗むことが出来なくない。
そのため、そうならないように腕利きの戦闘者を雇い、決して安くない人件費を消費している。

なので、今回のような大金を引き下ろすとなれば、手数料となる金額は……白金貨を越える。

「えぇ、大丈夫です」

(……ですよね)

結局のところ、詳しい正体は予想出来ない。
ただ、とんでもない人物であるということは理解出来たため、受付嬢は少年が白金貨の手数料というのに全くビビっていないことに、特に驚きを感じなかった。

(個室を選んだのは正解でしたね)

接客のプロという自信はある……が、カウンターで対応していた場合、百パーセント焦りなどの感情が出なかったとは思えない。

その点を考慮し、少年は個室を利用した。

であれば、自分も冷静に……普段通りの様子でロビーへ戻らなければならない。

「またのご利用をお待ちしております」

「どうも、ありがとうございました」

少年は最後まで礼儀正しく、最後は軽く頭を下げて外へ向かった。

(私に頭を下げますか…………ということは、貴族の令息や令嬢ではなさそうですね)

感謝の気持ちはあれど、そういった立場のある人間であれば、言葉にしたとしても、体で表すことはない。

しかし、バトムスという少年は、軽くではあるが間違いなく頭を下げた。

そんな礼儀正しい態度が、より正体を解らなくさせた。





「受付嬢さん、驚いてたね」

「そりゃ大金だからな」

自身が引き下ろした金額が大金であるという自覚をバトムスが持ってると分かり、ノウザスとライラはほっと一安心。

「……これからまだま買うから、そんなに引き下ろしたの?」

「それもまぁ、一応あるけど……メインは、あそこの武器屋で色々と買いたいからだな」

「ふ~~~~ん」

シエルはバトムスほど刀剣と呼ばれる武器たちに目を輝かせてなかったが、普段使っている武器との違いに、多少なりとも興味は惹かれた。

ただ、シエルはそれよりも気になっている事があった。
武器だけではなく、あの黒髪美人に興味があるのではないかと。

(バトムスって、あぁいう人が好みなのかな?)

武器屋の従業員は、シエルがこれまで見てきた美女たちと比べて、どのタイプとも違う美人である。

シエルからすれば、大抵の美女たちは自分と違い、大人の魅力がある美人という認識。

「……あれは、刀という武器だったか」

「えぇ、そうですね。ノウザスさんも知ってるんですか?」

「ほんの少しだけな。レイピアと似ている様で違う点がある……切断力という点に関しては、多くの斬撃武器の中でもトップクラスだと……一番だと、口にする者と会ったことがあってな」

「なるほど。まぁ、多分間違ってないんじゃないですかね」

「……主にロングソードを使用しているお前が言ってしまうのか」

切断武器の代名詞であるロングソード。
確かにバトムスはそのロングソードを主に使ってはいるが、それ以外の武器にも多く触れている。

「別に俺はロングソード信者って訳じゃないですからね。簡単分析ですけど、ロングソードは刃が欠けたり、根元から折れなければ最悪鈍器として使えます」

「……無理ではないな」

「けど、刀は折れたら基本的にはそこまでの武器です。本当の意味で、切れ味に特化した武器だと……俺は認識しています」

「ふむ……なるほど………………」

シエルと同じく、ノウザスもバトムスほどではないが、多少は刀剣という武器に興味が湧いた。

そしてバトムスの軽い説明を聞き……更に、興味の火が大きくなった。

(一つ、私も購入してみようか)

バトムスほどの大金は持っていない。
ただ、アブルシオ辺境伯家か支給されている給金はそれなりに良く、ノウザスがあまり散財しないタイプということもあり、一つや二つ購入出来るだけの貯蓄は十分にある。

そして約十分後、バトムスたちは先程の武器屋へ戻ってきた。

「戻りました!!!」

「あ、あぁ……早かったな」

「急いで商人ギルドに行ってきたんで!!!!」

「そ、そうか」

黒髪美人としては、明日か明後日に来ると思っていたので、驚きの早さでの再来店だった。
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