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第155話 結果を知らなかった
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SIDE バトムス
(勝てねぇ相手じゃねぇ!! ビビんな、お嬢っ!!!!!)
バトムスが声援を上げたことで、観客たちに影響を与えた。
その結果、観客たちの半分以上がルチアの事を応援し始めた。
(……ルチア様は深く集中していそうだが、それでもこの状況は有利に働くだろう)
ルチアが大剣使いということもあり、戦闘職の野太い声を持つ者たちが特に彼女を応援し始め、声量という点でもルチアを応援する声の方が大きい。
リングで戦っている者たちの集中具合によって変わる部分はあるが、少なくともルチアの性格上……現在の状況が、不利に働くことはない。
(深く集中されている……あとは、切欠さえあればっ!!)
ノウザスとライラも見守る中、ついに変化が訪れた。
「っ!?」
「せぇええええやあああああああああああッ!!!!!!!!!!」
再びウィサーラとの接近を開始したルチア。
一つ、二つと更に切傷が増えていくが、ルチアは次の風斬が届く前に……全身に纏う魔力量を一気に増加させた。
(くッ、こんなっ、物量でっ!!!!!?????)
纏う魔力が分厚くなれば、それだけ防御力が増す。
ルチアは魔法使いタイプではないが、それでも辺境伯家の娘らしく、魔力量は並外れている。
そこからくる魔力の鎧は見事ウィサーラの風斬を防いだ。
そして、直後に多数の魔力による斬撃刃が放たれた。
今回の試合でルチアはよ~~~く解った。
自分が追いかける展開になればウィサーラを捉えるのは難しい。
であれば、動きを制限すれば良い。
最初の一撃で体勢を崩し、足裏に風を噴射してなんとか回避するも、続いて迫る斬撃波に逃げ戸惑う。
ウィサーラの体幹も中々だが、バランス感覚であればルチアも負けていない。
とにかく斬撃波を途切れさせない。
「っ、しまっ!!!!!!!!????????」
「ふんっ!!!!!!!!!!!!!!」
バトムスが足裏に魔力を集めて噴射し、急加速が出来るように……ルチアもバトムスほど素早くできないが、それでも実行できない技術ではない。
「かっ!!!!!!!!!!??????????」
今回もまた双剣を間に挟んでガードは出来たものの……踏ん張るには不十分な姿勢だったこともあり、リングの外まで吹き飛ばされてしまう。
ウィサーラはそのまま壁に激突。
防衛本能が働き、残っている魔力を全身に纏って衝撃を和らげようとした。
だが……それでもルチアが叩き込んだ大斬撃の威力をどうにかすることはできず、強烈な衝撃が彼女の背中を襲った。
(や、はり、食らっては、いけません……でした、ね)
背中の骨が砕けるだけではなく、大剣をガードした双剣を握っていた両腕の骨まで砕けていた。
「そこまで!!! 勝者、ルチア・アブルシオっ!!!!!!!!!」
背中が無事であっても、両手が使えなければ……現時点でのウィサーラの技量では勝負を続行するのは不可能。
そして、今回は……激突した衝撃でそのまま意識を失ったため、そもそも根性どうこうで試合を続行するのは不可能だった。
「「「「「「「「「「「「ーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!!!」」」」」」」」」」」」
「はぁ、はぁ、はぁ…………」
大歓声を浴びる中、ルチアはリングから降り、一応歓声に応えるように手を挙げるも……頭の中には、今回の試合に関する反省でいっぱいになっていた。
「ふぅーーーーーー」
「ルチア様が勝ちましたね!!!!!」
「……あぁ、そうだな」
ほっと一安心するバトムスに、大興奮状態のシエル。
反応に差はあれど、二人にとって嬉しい結果だったのは間違いない。
(いい感じに追い詰めた。てか……あの感じだと、背中がバキバキなだけじゃなくて、多分両手両腕もやられてそうだよな………………)
バトムスはこれまで何度もルチアと模擬戦、試合を行っていた。
その度に一度はロングソードでルチアの大剣か繰り出される強烈な一撃を綺麗に受け流していた。
(学園に入学して、まだ半年も経ってないよな。たった数か月でパワーが爆上がりしたってことか?)
ルチアが新たなスキルを会得しているとなれば、あり得ない話ではない。
だが、これに関しては一つ誤解があった。
まずルチアは学園に入学してから徐々に成長はしているが、それでも爆発的に腕力が増加したわけではない。
実家にいたころ、主にルチアが本気で戦う相手はバトムスやシエル、そしてジョゼフだった。
バトムスはルチアを相手にするのに慣れており、シエルは狼人族の身体能力を上手く生かして対峙しており……ジョゼフは扱う武器こそバトムスと同じロングソードだが、ルチアよりも歳が一つ上で体格もがっちりしているため、彼女のパワーに真正面から対応できていた。
それもあって、バトムスはルチアの攻撃を防御力が高くない者が受ければ、背中どころか両手両腕までバキバキにされるという結果を知らなかっただけ。
(まっ、あれだな。なんにしても……今回の試合も大剣だけで倒せたな)
ルチアがどういった戦いをしようとしているのかは知らない。
それでも、彼女にはまだ他の武器があることを、バトムスは知っていた。
(勝てねぇ相手じゃねぇ!! ビビんな、お嬢っ!!!!!)
バトムスが声援を上げたことで、観客たちに影響を与えた。
その結果、観客たちの半分以上がルチアの事を応援し始めた。
(……ルチア様は深く集中していそうだが、それでもこの状況は有利に働くだろう)
ルチアが大剣使いということもあり、戦闘職の野太い声を持つ者たちが特に彼女を応援し始め、声量という点でもルチアを応援する声の方が大きい。
リングで戦っている者たちの集中具合によって変わる部分はあるが、少なくともルチアの性格上……現在の状況が、不利に働くことはない。
(深く集中されている……あとは、切欠さえあればっ!!)
ノウザスとライラも見守る中、ついに変化が訪れた。
「っ!?」
「せぇええええやあああああああああああッ!!!!!!!!!!」
再びウィサーラとの接近を開始したルチア。
一つ、二つと更に切傷が増えていくが、ルチアは次の風斬が届く前に……全身に纏う魔力量を一気に増加させた。
(くッ、こんなっ、物量でっ!!!!!?????)
纏う魔力が分厚くなれば、それだけ防御力が増す。
ルチアは魔法使いタイプではないが、それでも辺境伯家の娘らしく、魔力量は並外れている。
そこからくる魔力の鎧は見事ウィサーラの風斬を防いだ。
そして、直後に多数の魔力による斬撃刃が放たれた。
今回の試合でルチアはよ~~~く解った。
自分が追いかける展開になればウィサーラを捉えるのは難しい。
であれば、動きを制限すれば良い。
最初の一撃で体勢を崩し、足裏に風を噴射してなんとか回避するも、続いて迫る斬撃波に逃げ戸惑う。
ウィサーラの体幹も中々だが、バランス感覚であればルチアも負けていない。
とにかく斬撃波を途切れさせない。
「っ、しまっ!!!!!!!!????????」
「ふんっ!!!!!!!!!!!!!!」
バトムスが足裏に魔力を集めて噴射し、急加速が出来るように……ルチアもバトムスほど素早くできないが、それでも実行できない技術ではない。
「かっ!!!!!!!!!!??????????」
今回もまた双剣を間に挟んでガードは出来たものの……踏ん張るには不十分な姿勢だったこともあり、リングの外まで吹き飛ばされてしまう。
ウィサーラはそのまま壁に激突。
防衛本能が働き、残っている魔力を全身に纏って衝撃を和らげようとした。
だが……それでもルチアが叩き込んだ大斬撃の威力をどうにかすることはできず、強烈な衝撃が彼女の背中を襲った。
(や、はり、食らっては、いけません……でした、ね)
背中の骨が砕けるだけではなく、大剣をガードした双剣を握っていた両腕の骨まで砕けていた。
「そこまで!!! 勝者、ルチア・アブルシオっ!!!!!!!!!」
背中が無事であっても、両手が使えなければ……現時点でのウィサーラの技量では勝負を続行するのは不可能。
そして、今回は……激突した衝撃でそのまま意識を失ったため、そもそも根性どうこうで試合を続行するのは不可能だった。
「「「「「「「「「「「「ーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!!!」」」」」」」」」」」」
「はぁ、はぁ、はぁ…………」
大歓声を浴びる中、ルチアはリングから降り、一応歓声に応えるように手を挙げるも……頭の中には、今回の試合に関する反省でいっぱいになっていた。
「ふぅーーーーーー」
「ルチア様が勝ちましたね!!!!!」
「……あぁ、そうだな」
ほっと一安心するバトムスに、大興奮状態のシエル。
反応に差はあれど、二人にとって嬉しい結果だったのは間違いない。
(いい感じに追い詰めた。てか……あの感じだと、背中がバキバキなだけじゃなくて、多分両手両腕もやられてそうだよな………………)
バトムスはこれまで何度もルチアと模擬戦、試合を行っていた。
その度に一度はロングソードでルチアの大剣か繰り出される強烈な一撃を綺麗に受け流していた。
(学園に入学して、まだ半年も経ってないよな。たった数か月でパワーが爆上がりしたってことか?)
ルチアが新たなスキルを会得しているとなれば、あり得ない話ではない。
だが、これに関しては一つ誤解があった。
まずルチアは学園に入学してから徐々に成長はしているが、それでも爆発的に腕力が増加したわけではない。
実家にいたころ、主にルチアが本気で戦う相手はバトムスやシエル、そしてジョゼフだった。
バトムスはルチアを相手にするのに慣れており、シエルは狼人族の身体能力を上手く生かして対峙しており……ジョゼフは扱う武器こそバトムスと同じロングソードだが、ルチアよりも歳が一つ上で体格もがっちりしているため、彼女のパワーに真正面から対応できていた。
それもあって、バトムスはルチアの攻撃を防御力が高くない者が受ければ、背中どころか両手両腕までバキバキにされるという結果を知らなかっただけ。
(まっ、あれだな。なんにしても……今回の試合も大剣だけで倒せたな)
ルチアがどういった戦いをしようとしているのかは知らない。
それでも、彼女にはまだ他の武器があることを、バトムスは知っていた。
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