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第165話 嬉しいじゃねぇの
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(ふざ、けんな!! ふざけるな!!!! ふざけんじゃ、ねぇぞアルフォンスーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!!)
観客たちが、もうこの決勝戦の結果は決まっている。
アルフォンスの勝利は揺るがない……そう思っていたが、彼と戦っているガルジャスだけは違った。
自分とアルフォンスには力量差がある。
そんな事はガルジャスも解っていた。
しかし、だからといって諦める理由にはならない。
加えて……ガルジャスは、気に入らなかった。
目の前の強敵だと思っていた奴が、多少なりともその強さに敬意を持っていた奴が自分を見ていないことが、なによりも気に入らなかった。
(俺を見ろよ、アルフォンスッッッッ!!!!!!!!!)
「………………」
加速する双斧に、アルフォンスは眉をピクリとすら動かさず、冷静に対処を続けていく。
彼の眼には、先ほど眩しいとすら感じる輝きを魅せていたルチアとラニエしか映っておらず、目の前の自分を何が何でも倒そうとするガルジャス・ノルナーバの姿は映っていなかった。
(ルチアさんなら……ラニエなら…………)
彼女ならばこうしていた。
彼ならばこうしていた……それなりに二人を知っているからこそ、二人ならこうするだろうという幻影が浮かぶ。
ルチアは大剣を使い、ラニエは細剣を使うためガルジャスと武器の強さが異なるため、比べるだけ無駄。
そんなことは、普段のアルフォンスであれば考えずとも解っていた。
それでも……今の彼の脳裏には、二人の輝きが残り続けていた。
「…………」
「ッ!! おらッ!!!! がっ!!!!!?????」
本当の意味で目の前の相手を見れていない。
その状態であればいくらアルフォンスでも足元を掬われかねないと思われそうだが……現実は、非情であった。
振り下ろされる双斧を的確に躱し、腹に蹴りを叩き込み、リング端まで蹴り飛ばした。
アルフォンスのメイン武器は細剣ではあるが、それでも今の一撃で徒手格闘に精通している者たちは現時点で十分サブウェポンとして成り立っていると感じ取った。
「ぐっ!! ……はぁ、はぁ……それ、さっきまでは、見せて、くれてなかったよな!!!!!!!」
「……そうだね」
細剣だけではなく、準決勝で魅せたルチアとラニエのように、徒手格闘の腕も並ではない。
それを理解しても、ガルジャスの闘気は萎えることはなく、今だ勝利への渇望が消えることはない。
(…………速く、なったかな)
理屈は解らない。
しかし、ガルジャスの動きが低下するどころか、寧ろ向上したと感じ取り、アルフォンスは薄っすらと笑みを零した。
それはガルジャスの力を少し認めたと同時に、差を思い知らせることになる。
「っっ……そういえば、そうだったよな」
観客の一人が、ポツリと言葉を零した。
アルフォンスはただ細剣を扱うだけではなく、ウィサーラ・ルナリーズと同じく風を操る。
つまり、アルフォンスは先ほどまで手風を使わず手加減した状態で、本気で挑むガルジャスの動きを対応していたことになる。
(だから、どうしたってんだッッッッ!!!!!!!!!)
元々強かったアルフォンスが更に強くなる。
そんな事、今のガルジャスにはどうでもよかった。
ここが決勝戦で、最後の戦い。
体が動くのであれば、最後まで戦う。
ぶっ倒れるまで戦い、絶対に勝利を掴み取る。
その一心で心を燃やし続け、双斧を振るう。
(うん…………良く、なってきたかな。まだ、いけるかい)
スピードが衰えることなく、寧ろ上がり……比例してパワーも増している。
そんなガルジャスの変化に観客たちも気づき始め、もしかしたらここから逆転があるのかと、鼓動が高まる者たちもいた。
しかし、そんな観客たちの期待を、纏う風を更に強化したアルフォンスの強さが霧散させる。
この戦いが決勝戦……最後の戦いというのは、アルフォンスも同じ。
アルフォンスは確かに目の前の対戦相手、ガルジャス・ノルナーバのことをしっかりと見れていなかった。
それでも、決して負けても構わないという思いを抱きながら戦っている訳ではない。
「ぬぅおらああああああッッッ!!!!!!」
「疾ッ!!!!!!!!!!」
その証拠に……ガルジャスの魂を込めた渾身の一撃よりも早く間合いに踏み込み、連続の疾風突きを放った。
「ッ、ぁ」
心臓や肺などは避けていたが、何度も細剣が彼の体を明確に貫き、穴を空けた。
「ふッ!!」
「っっっっっ!!!!!!!!!!!!!!」
そして……もう動けないであろうガルジャスに対し、アルフォンスは蹴りを叩き込み、先ほどと同じように吹き飛ばした。
(ん、だよ…………嬉しいじゃ、ねぇ、の)
最初こそ、見てはいなかった。
最後も……瞳に映していたのかは解らない。
それでも、最後の蹴りが自分を嘗めていなかった証だと捉え、ガルジャスは笑みを浮かべながらも気を失い、敗北した。
観客たちが、もうこの決勝戦の結果は決まっている。
アルフォンスの勝利は揺るがない……そう思っていたが、彼と戦っているガルジャスだけは違った。
自分とアルフォンスには力量差がある。
そんな事はガルジャスも解っていた。
しかし、だからといって諦める理由にはならない。
加えて……ガルジャスは、気に入らなかった。
目の前の強敵だと思っていた奴が、多少なりともその強さに敬意を持っていた奴が自分を見ていないことが、なによりも気に入らなかった。
(俺を見ろよ、アルフォンスッッッッ!!!!!!!!!)
「………………」
加速する双斧に、アルフォンスは眉をピクリとすら動かさず、冷静に対処を続けていく。
彼の眼には、先ほど眩しいとすら感じる輝きを魅せていたルチアとラニエしか映っておらず、目の前の自分を何が何でも倒そうとするガルジャス・ノルナーバの姿は映っていなかった。
(ルチアさんなら……ラニエなら…………)
彼女ならばこうしていた。
彼ならばこうしていた……それなりに二人を知っているからこそ、二人ならこうするだろうという幻影が浮かぶ。
ルチアは大剣を使い、ラニエは細剣を使うためガルジャスと武器の強さが異なるため、比べるだけ無駄。
そんなことは、普段のアルフォンスであれば考えずとも解っていた。
それでも……今の彼の脳裏には、二人の輝きが残り続けていた。
「…………」
「ッ!! おらッ!!!! がっ!!!!!?????」
本当の意味で目の前の相手を見れていない。
その状態であればいくらアルフォンスでも足元を掬われかねないと思われそうだが……現実は、非情であった。
振り下ろされる双斧を的確に躱し、腹に蹴りを叩き込み、リング端まで蹴り飛ばした。
アルフォンスのメイン武器は細剣ではあるが、それでも今の一撃で徒手格闘に精通している者たちは現時点で十分サブウェポンとして成り立っていると感じ取った。
「ぐっ!! ……はぁ、はぁ……それ、さっきまでは、見せて、くれてなかったよな!!!!!!!」
「……そうだね」
細剣だけではなく、準決勝で魅せたルチアとラニエのように、徒手格闘の腕も並ではない。
それを理解しても、ガルジャスの闘気は萎えることはなく、今だ勝利への渇望が消えることはない。
(…………速く、なったかな)
理屈は解らない。
しかし、ガルジャスの動きが低下するどころか、寧ろ向上したと感じ取り、アルフォンスは薄っすらと笑みを零した。
それはガルジャスの力を少し認めたと同時に、差を思い知らせることになる。
「っっ……そういえば、そうだったよな」
観客の一人が、ポツリと言葉を零した。
アルフォンスはただ細剣を扱うだけではなく、ウィサーラ・ルナリーズと同じく風を操る。
つまり、アルフォンスは先ほどまで手風を使わず手加減した状態で、本気で挑むガルジャスの動きを対応していたことになる。
(だから、どうしたってんだッッッッ!!!!!!!!!)
元々強かったアルフォンスが更に強くなる。
そんな事、今のガルジャスにはどうでもよかった。
ここが決勝戦で、最後の戦い。
体が動くのであれば、最後まで戦う。
ぶっ倒れるまで戦い、絶対に勝利を掴み取る。
その一心で心を燃やし続け、双斧を振るう。
(うん…………良く、なってきたかな。まだ、いけるかい)
スピードが衰えることなく、寧ろ上がり……比例してパワーも増している。
そんなガルジャスの変化に観客たちも気づき始め、もしかしたらここから逆転があるのかと、鼓動が高まる者たちもいた。
しかし、そんな観客たちの期待を、纏う風を更に強化したアルフォンスの強さが霧散させる。
この戦いが決勝戦……最後の戦いというのは、アルフォンスも同じ。
アルフォンスは確かに目の前の対戦相手、ガルジャス・ノルナーバのことをしっかりと見れていなかった。
それでも、決して負けても構わないという思いを抱きながら戦っている訳ではない。
「ぬぅおらああああああッッッ!!!!!!」
「疾ッ!!!!!!!!!!」
その証拠に……ガルジャスの魂を込めた渾身の一撃よりも早く間合いに踏み込み、連続の疾風突きを放った。
「ッ、ぁ」
心臓や肺などは避けていたが、何度も細剣が彼の体を明確に貫き、穴を空けた。
「ふッ!!」
「っっっっっ!!!!!!!!!!!!!!」
そして……もう動けないであろうガルジャスに対し、アルフォンスは蹴りを叩き込み、先ほどと同じように吹き飛ばした。
(ん、だよ…………嬉しいじゃ、ねぇ、の)
最初こそ、見てはいなかった。
最後も……瞳に映していたのかは解らない。
それでも、最後の蹴りが自分を嘗めていなかった証だと捉え、ガルジャスは笑みを浮かべながらも気を失い、敗北した。
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