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第12話 そこに至るには
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(はぁ~~~~~、クソ緊張する~~~~~)
祖父から楽にしろと言われたバトムスではあるが、父親や母親の説教などに全く屈しないバトムスであっても……目の前の初老男性である祖父、ゼペルにはビビらざるを得なかった。
(五十は過ぎてるんだっけ? そりゃ白髪とか多少の皺があるから、そう見えなくはねぇけど……いやでもって感じだな)
体格は太過ぎず細過ぎず……ただ、服の上から見えないものの、細マッチョな雰囲気は一切隠せていない。
「別に説教しようなどという気はない」
「は、はい……ありがとう、ございます?」
顔に多少の傷が残っているのも、またバトムスがビビる理由の一つ。
「相変わらず、執事の道に進む気はないか?」
「そうですね。誰かを支えようとか、そういった人生を送るつもりにはなれないと言いますか」
ゼペルもまだ現役の執事として働いている事を考えれば、どう考えてもアウトな発言だが……祖父は孫の考えに小さく笑うだけで、本当に本気で説教をするつもりはなかった。
「まだそういった存在に出会えていないからと思われるかもしれませんけど……やっぱり、俺は俺の為に人生を使いたいですね」
「ふっ、ふっふっふ。そこまで考えられているのであれば…………この先も変わることはないだろう」
赤ワインで喉を潤しながら……ジッと、突然変異とも思える孫を見据える。
(人生……その事に関して考える五歳児がいるか? いや、絶対にいないと断言出来る)
異常ではあるが、それでもゼペルはそんな孫が面白いと思っていた。
ただ……異常ではあるものの、間違った方向に……世間一般的に見て悪の方向に進んでいる訳ではないこともあり……やはり惜しいという思い自体はあった。
「だが、まだこれから先どういった道に進もうとは決めてないのだろ」
「そうですね。今のところ生きたいように生きたいとしか考えてません」
「ふむ…………自由さを求めるのであれば、冒険者という選択肢もあるな」
「冒険者、ですか」
冒険者ギルドに登録した者たちの名称であり、ギルドに届いた依頼をこなし……モンスターの素材や薬草などを売却して金を稼ぐ者たち。
バトムスもある程度はどういった存在なのか、どういった活動をしながら生活しているのかは知っているが、そこまで強い興味は持っていなかった。
「……ゆっくり生活出来ないと思うので、多分候補止まりですね」
「そうか。まぁ……バトムスの諸々を考えれば、確かに良い道とは断言出来ないか」
ゼペラには冒険者の知り合いが何人かおり、アブルシオ辺境伯が治める街の冒険者ギルドのトップ、ギルドマスターとも顔見知りであるため、バトムス以上にある程度の事は知っている。
(バトムスの成長具合、性格を考えれば、間違いなく多くの者たちに絡まれてしまうだろう。そしてこのままバトムスが順調に成長すると仮定した場合……屍の山が築き上げられてしまう)
下手な絡み方をしてしまうバカが悪いと言えばそこまでなのだが、全ての芽を摘み取ってしまうのは……街が保有する戦力などを考えれば、あまりよろしくない。
「料理人、にはならないんだったな」
「そうですね。自分で作ることには多少興味はありますけど、仕事にしようとは思いませんね」
まだ身長が足りないということもあって、厨房には立てない。
料理人たちにとっては、ザ・パトロン的な存在ではあるが……自身の現状を理解しているため、料理人たちの領域に下手に踏み込まない様にしようと心がけている。
「…………当然、騎士にも興味はないか」
「執事にすら興味がありませんからね」
愚問であることは解っているが、一応訊いておきたかったゼペラ。
既にモンスターと戦闘して討伐に成功し、戦闘者としての童貞を捨てたことは彼の耳にも入っていた。
故に、もしやそちらの方に興味があるかもしれない……といった淡い希望を抱いていたが、あっさりと打ち砕かれてしまった。
その後も将来の話が続き、他にも友人関係や諸々の話を尋ね続ける。
既に普段は就寝している時間を過ぎており、前世であれば余裕で起き続けることが出来たものの……今現在、精神はともかく肉体は完全に五歳児。
圧倒的に早い眠気が訪れる。
(おっと、では次が最後にしようか)
最後に、祖父は孫にずっと気になっていた事を尋ねた。
「バトムス……お前は、何故これまでのようにルチア様に失礼な態度を取り、執事見習いとして仕事をサボり続ける」
「え、えっと……」
「大丈夫だ。説教をしたい訳じゃない。ただ、純粋に気になっただけだ」
「そ、そうですか…………最初にルチア……様に出会った時に態度が気に食わなかったって言うのもあります。ただ、それ以上に……弟の俺がこんな感じの方が、ハバト兄さんも生きやすいだろうなって思って」
「っ………………そう、か」
悲しくなったのではない。怒りのマグマが湧き上がったわけでもない。
ただ……バトムスに関して、過去最大の衝撃を受けてしまった故に、上手く言葉が出てこなかった。
異常ではあるが、非常に面白い存在。
それが祖父であるゼペラから見て、孫のバトムスであった。
だが、今バトムスが説明した内容は……心が一定レベルまで成熟していなければ、出てこない考え。
(仙人の生まれ変わり……なのか? だとすれば解る部分も…………しかし、それ相応の幼さ……子供らしい部分はある…………)
バトムスと別れた後も、赤ワインを呑みながら考え続けるゼペラであったが、明確な答えが出てくるわけがなく、ついでに全く酔いも回らなかった。
祖父から楽にしろと言われたバトムスではあるが、父親や母親の説教などに全く屈しないバトムスであっても……目の前の初老男性である祖父、ゼペルにはビビらざるを得なかった。
(五十は過ぎてるんだっけ? そりゃ白髪とか多少の皺があるから、そう見えなくはねぇけど……いやでもって感じだな)
体格は太過ぎず細過ぎず……ただ、服の上から見えないものの、細マッチョな雰囲気は一切隠せていない。
「別に説教しようなどという気はない」
「は、はい……ありがとう、ございます?」
顔に多少の傷が残っているのも、またバトムスがビビる理由の一つ。
「相変わらず、執事の道に進む気はないか?」
「そうですね。誰かを支えようとか、そういった人生を送るつもりにはなれないと言いますか」
ゼペルもまだ現役の執事として働いている事を考えれば、どう考えてもアウトな発言だが……祖父は孫の考えに小さく笑うだけで、本当に本気で説教をするつもりはなかった。
「まだそういった存在に出会えていないからと思われるかもしれませんけど……やっぱり、俺は俺の為に人生を使いたいですね」
「ふっ、ふっふっふ。そこまで考えられているのであれば…………この先も変わることはないだろう」
赤ワインで喉を潤しながら……ジッと、突然変異とも思える孫を見据える。
(人生……その事に関して考える五歳児がいるか? いや、絶対にいないと断言出来る)
異常ではあるが、それでもゼペルはそんな孫が面白いと思っていた。
ただ……異常ではあるものの、間違った方向に……世間一般的に見て悪の方向に進んでいる訳ではないこともあり……やはり惜しいという思い自体はあった。
「だが、まだこれから先どういった道に進もうとは決めてないのだろ」
「そうですね。今のところ生きたいように生きたいとしか考えてません」
「ふむ…………自由さを求めるのであれば、冒険者という選択肢もあるな」
「冒険者、ですか」
冒険者ギルドに登録した者たちの名称であり、ギルドに届いた依頼をこなし……モンスターの素材や薬草などを売却して金を稼ぐ者たち。
バトムスもある程度はどういった存在なのか、どういった活動をしながら生活しているのかは知っているが、そこまで強い興味は持っていなかった。
「……ゆっくり生活出来ないと思うので、多分候補止まりですね」
「そうか。まぁ……バトムスの諸々を考えれば、確かに良い道とは断言出来ないか」
ゼペラには冒険者の知り合いが何人かおり、アブルシオ辺境伯が治める街の冒険者ギルドのトップ、ギルドマスターとも顔見知りであるため、バトムス以上にある程度の事は知っている。
(バトムスの成長具合、性格を考えれば、間違いなく多くの者たちに絡まれてしまうだろう。そしてこのままバトムスが順調に成長すると仮定した場合……屍の山が築き上げられてしまう)
下手な絡み方をしてしまうバカが悪いと言えばそこまでなのだが、全ての芽を摘み取ってしまうのは……街が保有する戦力などを考えれば、あまりよろしくない。
「料理人、にはならないんだったな」
「そうですね。自分で作ることには多少興味はありますけど、仕事にしようとは思いませんね」
まだ身長が足りないということもあって、厨房には立てない。
料理人たちにとっては、ザ・パトロン的な存在ではあるが……自身の現状を理解しているため、料理人たちの領域に下手に踏み込まない様にしようと心がけている。
「…………当然、騎士にも興味はないか」
「執事にすら興味がありませんからね」
愚問であることは解っているが、一応訊いておきたかったゼペラ。
既にモンスターと戦闘して討伐に成功し、戦闘者としての童貞を捨てたことは彼の耳にも入っていた。
故に、もしやそちらの方に興味があるかもしれない……といった淡い希望を抱いていたが、あっさりと打ち砕かれてしまった。
その後も将来の話が続き、他にも友人関係や諸々の話を尋ね続ける。
既に普段は就寝している時間を過ぎており、前世であれば余裕で起き続けることが出来たものの……今現在、精神はともかく肉体は完全に五歳児。
圧倒的に早い眠気が訪れる。
(おっと、では次が最後にしようか)
最後に、祖父は孫にずっと気になっていた事を尋ねた。
「バトムス……お前は、何故これまでのようにルチア様に失礼な態度を取り、執事見習いとして仕事をサボり続ける」
「え、えっと……」
「大丈夫だ。説教をしたい訳じゃない。ただ、純粋に気になっただけだ」
「そ、そうですか…………最初にルチア……様に出会った時に態度が気に食わなかったって言うのもあります。ただ、それ以上に……弟の俺がこんな感じの方が、ハバト兄さんも生きやすいだろうなって思って」
「っ………………そう、か」
悲しくなったのではない。怒りのマグマが湧き上がったわけでもない。
ただ……バトムスに関して、過去最大の衝撃を受けてしまった故に、上手く言葉が出てこなかった。
異常ではあるが、非常に面白い存在。
それが祖父であるゼペラから見て、孫のバトムスであった。
だが、今バトムスが説明した内容は……心が一定レベルまで成熟していなければ、出てこない考え。
(仙人の生まれ変わり……なのか? だとすれば解る部分も…………しかし、それ相応の幼さ……子供らしい部分はある…………)
バトムスと別れた後も、赤ワインを呑みながら考え続けるゼペラであったが、明確な答えが出てくるわけがなく、ついでに全く酔いも回らなかった。
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