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第61話 話は聞いている
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「……で………………して、…………っていうのを造りたいなって思ってて」
「ふむ……なるほど。それは、かなり面白い物だね」
バトムスの口から出た内容は、まだこの世にないマジックアイテムの構想だった。
その構想に対し、エルリックは心の底から面白いと感じた。
ただ……今のバトムスでは、到底造れる内容の物ではない。
「そうなると、バトムス君が自分で全て造るとなれば……並行して行っている趣味の方も必要になってくるね……もしかして、それを見越して鍛冶の研鑽も積んでいたのかな」
「それは偶々ですよ。元から鍛冶にも興味があったので」
表情から察するに、本当に偶々だと思える。
しかし、バトムスが普通の平民の子ではないということは、エルリックも十分理解している。
エルリックの弟子はファエリナとバトムスだけではなく、これまでに少なくとも十人以上の弟子がいた。
そんな彼らと比べて、バトムスは十歳以下としてはあまりにも理解力が高く、その影響も相まって成長速度が速い。
だからこそ、本当に偶々なのかとエルリックが疑ってしまうのも無理はなかった。
「そうか……しかし、実際に造れるように……挑めるようになるのは、最低でも…………五年か六年は必要だと思うよ」
「はい、それは解ってます」
現在、バトムスは錬金術の方面では一応マジックアイテムに分類されているポーションを造ることは出来るが、鍛冶に関してはまだ体格的に何かを造ることが出来ない。
今のバトムスが行えるのは、刃を研ぐという行為のみ。
それも、八歳という年齢を考慮すれば危険なのだが……ここ最近はただ整える為に研いでいるだけではなく、変形させる為に研ぐという行為も行っていた。
「……それとね。これを造るには、多分だけど一体分だけじゃ足りないと思う」
「っ、そうなんですか」
「個人的な見解だけどね。造るには、複数体分が必要になる。じゃないと、複数回どころか、一度で使い切ってしまう可能性が高いかな」
バトムスがエルリックに相談した内容の物は、戦闘に関するマジックアイテム。
上手く造れば、文字通り戦闘者たちにとって切り札となる武器。
だが、大前提として本当に切り札になるからこそ、バトムスも使い捨ての物になるとは予想していた。
「複数体分ってなると……低ランクモンスターなら、今でも自力で集められそうですけど、ランクが上がってくるとなると、集めるのが難しそうですね」
「そうだね。もう少し細かい部分を明確に出来れば、その辺りの問題も解決するとは思うけど…………現段階の要素だけで組み立てるなら、周辺にダンジョンが欲しいところだね」
「ダンジョン、ですか」
一獲千金の地、誘惑の地獄、魔境や魔窟……様々な内容で呼ばれる場所。
幾重にも層が重なっているが、その層が実際に地下に重なっている訳ではない。
何故モンスターが何体も何体も誕生するのか、何故宝箱という存在があるのか……どのようにして宝箱の中に入っている物を用意しているのか。
多くの謎を持つ場所ではあるが……冒険者たちにとっては、人生を逆転させる、名声を高める為にはもってこいの場所。
「………………めんどそうですね」
「ふふ、そこには惹かれないんだね」
「いや、まぁ……正直なところ、多少は面白そうだなって思うところはありますよ。ただ、色々と話は聞いてるんで」
バトムスと話す大人たちは、バトムスが歳相応の子供ではない事を理解している。
だからこそ、尋ねられた事に対して楽しい側面だけではなく、辛く……恐ろしい側面も伝えていた。
順調に強くなっているバトムスではあるが、自身の限界値はある程度理解している。
加えて、基本的にダンジョンという魔境は一人で挑む場所ではない。
(今は……ってか、さすがに俺ぐらいの歳で冒険者として活動している奴はいないだろうけど、十五とか十六……十代後半になれば、サラッと問題無くパーティーを組めたりするんかな~~~)
バトムスにはパーズという頼もしい相棒がいるものの、やはり二人だけで挑むのは危険すぎる。
「素材は自分で取りたいとは思いますけど、それで死んだら意味無いんで……その時の状況次第と言うか」
「そうなると、今からでも縁を造っておいた方が良いかもしれないね」
「縁っすか……子供の俺にですか?」
「ふふ。バトムスになら、難しい話ではないでしょう」
本人は、過大評価し過ぎですと答える。
それでも、師であるエルリックはバトムスならばそこまで難しい話ではないと思っている。
(とはいえ、偶には師らしく弟子を助けようかな)
当然、今回バトムスが相談してくれた内容に関しては、誰にも伝えられない。
それは同業者や冒険者だけではなく、弟子の一人であるファエリナにも伝えない。
今後、バトムスが第一人者となりうるアイデア。
エルリックは詳細については考えはするものの、自身で造ってみようとは欠片も思わなかった。
「ふむ……なるほど。それは、かなり面白い物だね」
バトムスの口から出た内容は、まだこの世にないマジックアイテムの構想だった。
その構想に対し、エルリックは心の底から面白いと感じた。
ただ……今のバトムスでは、到底造れる内容の物ではない。
「そうなると、バトムス君が自分で全て造るとなれば……並行して行っている趣味の方も必要になってくるね……もしかして、それを見越して鍛冶の研鑽も積んでいたのかな」
「それは偶々ですよ。元から鍛冶にも興味があったので」
表情から察するに、本当に偶々だと思える。
しかし、バトムスが普通の平民の子ではないということは、エルリックも十分理解している。
エルリックの弟子はファエリナとバトムスだけではなく、これまでに少なくとも十人以上の弟子がいた。
そんな彼らと比べて、バトムスは十歳以下としてはあまりにも理解力が高く、その影響も相まって成長速度が速い。
だからこそ、本当に偶々なのかとエルリックが疑ってしまうのも無理はなかった。
「そうか……しかし、実際に造れるように……挑めるようになるのは、最低でも…………五年か六年は必要だと思うよ」
「はい、それは解ってます」
現在、バトムスは錬金術の方面では一応マジックアイテムに分類されているポーションを造ることは出来るが、鍛冶に関してはまだ体格的に何かを造ることが出来ない。
今のバトムスが行えるのは、刃を研ぐという行為のみ。
それも、八歳という年齢を考慮すれば危険なのだが……ここ最近はただ整える為に研いでいるだけではなく、変形させる為に研ぐという行為も行っていた。
「……それとね。これを造るには、多分だけど一体分だけじゃ足りないと思う」
「っ、そうなんですか」
「個人的な見解だけどね。造るには、複数体分が必要になる。じゃないと、複数回どころか、一度で使い切ってしまう可能性が高いかな」
バトムスがエルリックに相談した内容の物は、戦闘に関するマジックアイテム。
上手く造れば、文字通り戦闘者たちにとって切り札となる武器。
だが、大前提として本当に切り札になるからこそ、バトムスも使い捨ての物になるとは予想していた。
「複数体分ってなると……低ランクモンスターなら、今でも自力で集められそうですけど、ランクが上がってくるとなると、集めるのが難しそうですね」
「そうだね。もう少し細かい部分を明確に出来れば、その辺りの問題も解決するとは思うけど…………現段階の要素だけで組み立てるなら、周辺にダンジョンが欲しいところだね」
「ダンジョン、ですか」
一獲千金の地、誘惑の地獄、魔境や魔窟……様々な内容で呼ばれる場所。
幾重にも層が重なっているが、その層が実際に地下に重なっている訳ではない。
何故モンスターが何体も何体も誕生するのか、何故宝箱という存在があるのか……どのようにして宝箱の中に入っている物を用意しているのか。
多くの謎を持つ場所ではあるが……冒険者たちにとっては、人生を逆転させる、名声を高める為にはもってこいの場所。
「………………めんどそうですね」
「ふふ、そこには惹かれないんだね」
「いや、まぁ……正直なところ、多少は面白そうだなって思うところはありますよ。ただ、色々と話は聞いてるんで」
バトムスと話す大人たちは、バトムスが歳相応の子供ではない事を理解している。
だからこそ、尋ねられた事に対して楽しい側面だけではなく、辛く……恐ろしい側面も伝えていた。
順調に強くなっているバトムスではあるが、自身の限界値はある程度理解している。
加えて、基本的にダンジョンという魔境は一人で挑む場所ではない。
(今は……ってか、さすがに俺ぐらいの歳で冒険者として活動している奴はいないだろうけど、十五とか十六……十代後半になれば、サラッと問題無くパーティーを組めたりするんかな~~~)
バトムスにはパーズという頼もしい相棒がいるものの、やはり二人だけで挑むのは危険すぎる。
「素材は自分で取りたいとは思いますけど、それで死んだら意味無いんで……その時の状況次第と言うか」
「そうなると、今からでも縁を造っておいた方が良いかもしれないね」
「縁っすか……子供の俺にですか?」
「ふふ。バトムスになら、難しい話ではないでしょう」
本人は、過大評価し過ぎですと答える。
それでも、師であるエルリックはバトムスならばそこまで難しい話ではないと思っている。
(とはいえ、偶には師らしく弟子を助けようかな)
当然、今回バトムスが相談してくれた内容に関しては、誰にも伝えられない。
それは同業者や冒険者だけではなく、弟子の一人であるファエリナにも伝えない。
今後、バトムスが第一人者となりうるアイデア。
エルリックは詳細については考えはするものの、自身で造ってみようとは欠片も思わなかった。
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