執事なんかやってられるか!!! 生きたいように生きる転生者のスローライフ?

Gai

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第95話 気に入らない

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「なっはっは!!! なるほどなるほど……ふっふっふ。いやぁ~~~~、ゼペル。おもろい子じゃな」

「あぁ、そうだな。私もそう思うよ」

自分の孫が居る前で、他の同年代の子を褒めるのはあまり良くない。
そもそも自分の孫を自慢する為に連れて来たのに、頭おかしいんじゃないかと言われかねない行動。

しかし、バトムスの言葉や態度から……やはり普通の子ではないと認識させられ、ファルトンは思わず大きな声で笑いながらバトムスを褒めてしまった。

(…………既に理解しているのか、それとも本能的に理解しているか……そこまでは解らないが、普段は表に出ようとしないのも納得ですね~~~)

ここ数年間の間に行われた社交界の中で、間違いなくトップ五には入るビックリ行動を起こしたバトムス。
そのビックリ行動を賞賛する声は多くあるが、同時に彼が本来は執事候補として表に出ることはなく……そもそも執事になろうとしていないというのも、それなりに有名な話であった。

その二つの情報を聞いた者たちからすれば、いったいどういう事なのかとツッコミたい。
しかし、本人と直接会って会話してみると、解る者には解る危うさを有している。

(なるほど……執事候補として魅力的な存在ではあるけど、本当に主と認めた者が危機に陥れば、危険な行為も厭わない…………おそらく大丈夫だろうと思われるラインを見極めてそうだからこそ、怖い部分もある、か)

ゲルダンとシャルプはバトムスが執事候補としての適性が意外に高い反面、諸刃の剣と化しかねない要素を見抜き……それを本人が自覚してるのではないかと思うと、よりバトムスという少年への興味を増した。

(………………執事候補としての道には興味が無い、学ぶ気がないと聞いていたが、それでも……戦闘面での勝負ならばとゼペルが推すのも解るな)

対して、爺ちゃんズの中で一番体格の良いガリダスはバトムスの思考力などよりも、食べる量や……ガリダス並みの武闘派人間だからこそ解る、鍛え続けているものの肉体。
それらに強い興味を持った。

日頃から動いている時間が長いからこそ、比例して食べる量も増える。
バトムスの食べる量は、まさに日頃から動き続けている子供が食べる量。
加えて、戦闘に関する観察眼は、鑑定系のスキルを上回っているガリダスだからこそ解る部分がある。

(…………マルダーより、討伐したモンスターの数を上回っているかもしれんな)

ゼペラ以外の四人も、孫たちが贔屓目抜きで戦闘能力に関しては頭一つか二つ抜けていると判断したからこそ、戦闘限定で孫たちの自慢をし合うことに同意した。

(ん~~~~……考える力だけじゃなく、魔力も八歳にしては、よく練られているねぇ。魔法のスキルさえ会得出来れば、直ぐに彼の力になるだろう…………まいったねぇ)

魔力に関してはガリダスと似ており、鑑定スキルだけでは得られない情報を視れるゲルダン。
バトムスが常日頃から自分の孫であるノストと同じく、魔力を使っているのが窺える。

(ちょっと、困るね)

(これは困るねぇ)

(ふむ……困ったな)

(なっはっは!!!! こいつは困ったなぁ)

四人の執事たちは顔にこそ出さないが、心の中で困った困ったと呟いていた。

四人の眼に狂いがなければ、おそらく自分の孫はゼペルの自慢の孫であるバトムスに負けてしまう。
孫たちにアドバイス出来る内容はあれど、ネルドたちもバトムスと同じ八、もしくは九。

受けたアドバイスを即実行出来るほどの経験値や技術力は、まだなかった。

(後でゼペルがドヤ顔を浮かべるだろうけど……うん、ネルドにとっては良い経験、良い刺激になったと納得するしかないかな)

この時点で、シャルプたち爺ちゃんズは自身の孫たちの勝利を諦め、孫たちにとって良い経験にはなるだろうという心構えにシフトしていた。

(気に入らねぇ……)

(……負けたくない、ないですね)

(気に入りませんね)

(…………気に入らんな)

だが、孫たちは違った。
ファスラル、ノスト、マルダーの三人はバトムスの態度が気に入らなかった。

何故……自分たちがそう感じているのか、細かく説明することは出来ない。

ただ、三人はバトムスから零れる「まっ、俺が勝つだろうな」といった余裕感漂う雰囲気が、様子が気に入らなかった。
加えて、爺ちゃんズが長年の経験から本音を隠すことが上手くとも、家族であり過ごす時間がそれなりに長いと……なんとなく本能的に解るとこがある。

祖父はバトムスに強い興味を持っている。
少し前まで、絶対にお前が勝つと口にしていた時と、少し雰囲気が違うと。

三人ほどバトムスが気に入らないと感じている訳ではないネルドも、祖父であるシャルプの興味がバトムスに移っていることに思うところはあった。

(はぁ~~~~、こういうの、四面楚歌? って言うんだっけ)

子供だからこそ、爺ちゃんズみたいに感情を隠すことが出来ないため、言葉にこそ出していなかったが、バトムスにはバレバレであり……バトムスはバトムスでその状況に苦笑いを浮かべるしかなかった。
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