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第105話 巣立つ、よね?
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(ん~~~、今日も平和だな~~~)
そんな事を心の内で呟くバトムスの足元に、複数のコボルトの死体が転がっていた。
「バトムスさん、こっちの解体終わりました」
「おぅ、さんきゅ」
歳上の妹分であるシエルと共に複数体のコボルトを討伐したバトムスは……孫自慢大会の火から随分と日が経ち、十歳まで成長していた。
それなりに成長している……とはいえ、まだ十歳。
同世代の者たちと比べれば、体格的にはやや上の方に入るといった程度。
「さてと……まだ明るいし、もうちょい探索しようと思うんですけど、良いですか」
「おぅ、勿論構わないぞ」
本日彼らの護衛を努めている騎士はジーニス。
バトムスだけではなく、常日頃ともに行動しているシエルも成長しており、現段階であれば……二人だけでも、Dランクのモンスターを一応討伐出来る。
そこにBランクモンスターである従魔のパーズがいれば、狩りに関してはもう護衛は不要かと思われるが……まだ、大人達から許可は出ていない。
(あいつらも強くなったもんだよな~~~)
バトムスの狩りに偶に同行するようになり、既に数年が経過。
実戦的な意味での成長となれば、彼ら護衛の騎士が一番バトムスの成長を見ていると言っても過言ではないかもしれない。
(十歳でゴブリン数体は当たり前で、コボルトが数体でも殺れて……コボルトの一般的な上位種、オークとかのDランクモンスターでも一体なら殺れる…………はぁ~~~~~。ほんと、こっちの道に進まないのが勿体ないって、年々思ってしまうな)
自分は凡人だと語るバトムスではあるが、その肉体は日々成長している。
モンスターとの戦闘を積み重ねることで身体能力や魔力量も増量中。
加えて、バトムスの場合は幼い頃から考えて動くという行動を行っていた。
今でもそれは続いている。
だからこそ……頭で考えた行動を、それ通りに体を動かす技術が発達していた。
それは個人の才能云々ではなく、技術に近い能力であるため、間違いなく同世代の中でバトムスが優れている点と言えた。
「……ジーニスさん、何か言いたげですね」
「はは、バレてたか」
「えぇ」
「…………相変わらず、そっちの道に進むつもりはないんだろ」
「ないですね」
ジーニスの一応の確認に対し、バトムスはあっさりとした態度で断った。
予想通りの反応過ぎて、苦笑いも零れないジーニス。
「俺としては、こうして自分が扱う素材を自分で手に入れられれば、それで十分なんで」
「本当に、嫌ってほど自立しるな~」
「良い事じゃないですか。自立って大事だと思いますよ」
適当に言葉を返すバトムスだが……一応、隣に並んで歩いている人物に対して投げていた。
「~~~~♪」
バトムスと同じく歳を取り、十二歳に成長したシエル。
身長は順調に伸びており、同世代の男子よりもやや高く……成長期に突入しており、体付きに女性らしさが表れていた。
(こいつ……ちゃんと三年後のことを考えてるのか?)
バトムスがシエルのことを保護したのは、シエルが十歳の時。
五年間……バトムスはシエルを自分の傍に置き、保護することにした。
文字を読めるように、書けるように……戦闘訓練だけではなく、興味があるのであれば料理や錬金術に関しても知識を与える。
そして五年後、シエルが十五歳になれば好きなように生きるんだと伝えていた。
一応、そのままバトムスの傍に……妹分として居ても構わないのだが、親分であるバトムスはそれがシエルの為になるとは思っていなかった。
「バトムスさん、今日の夕食はなんでしょうか」
「……さっきオークを倒せたし、食べられるだけ食べちゃうか」
「良いですね!!」
本人と日常会話をしている限り、自分の元から巣立つ予感を全く感じられないバトムス。
(そりゃ俺が衣食住揃えてるから、住み心地が良いのはあるかもしれないけど、後三年も今経験を積んでる事を磨き続ければ、十分稼ぐ力はあるだろうから……騎士候補の連中と恋仲になっても構わないから、それが自立する切っ掛けにならないかな~~~)
街から出ずとも、距離的に自分の元から巣立てば良いと思い、顔見知りの騎士候補たちを脳内に思い浮かべる。
(…………別にあいつの父親って訳じゃないから、強さとか求めるわけじゃないけど、そういえばシエルの奴、大半の騎士候補より強かったな)
女子、なのは間違いない。
ただ、シエルは先祖返りを経験し、狼人族となった。
獣人族は人族よりも身体能力に優れており……現段階では、順調に素の身体能力も成長しているシエルに敵う騎士候補は中々いない。
(ジョゼフの奴なら、模擬戦をやって勝つ時も全然あるし、ダチだから気が許せるっていうのもあるけど……ん~~~~。それは完全に俺の私情だし、ジョゼフの気持ちを無視することになるよな~~)
妹分の将来に関して頭を悩ませるバトムス。
すると、何年振りか……明確に、彼らの耳に悲鳴が耳に入った。
そんな事を心の内で呟くバトムスの足元に、複数のコボルトの死体が転がっていた。
「バトムスさん、こっちの解体終わりました」
「おぅ、さんきゅ」
歳上の妹分であるシエルと共に複数体のコボルトを討伐したバトムスは……孫自慢大会の火から随分と日が経ち、十歳まで成長していた。
それなりに成長している……とはいえ、まだ十歳。
同世代の者たちと比べれば、体格的にはやや上の方に入るといった程度。
「さてと……まだ明るいし、もうちょい探索しようと思うんですけど、良いですか」
「おぅ、勿論構わないぞ」
本日彼らの護衛を努めている騎士はジーニス。
バトムスだけではなく、常日頃ともに行動しているシエルも成長しており、現段階であれば……二人だけでも、Dランクのモンスターを一応討伐出来る。
そこにBランクモンスターである従魔のパーズがいれば、狩りに関してはもう護衛は不要かと思われるが……まだ、大人達から許可は出ていない。
(あいつらも強くなったもんだよな~~~)
バトムスの狩りに偶に同行するようになり、既に数年が経過。
実戦的な意味での成長となれば、彼ら護衛の騎士が一番バトムスの成長を見ていると言っても過言ではないかもしれない。
(十歳でゴブリン数体は当たり前で、コボルトが数体でも殺れて……コボルトの一般的な上位種、オークとかのDランクモンスターでも一体なら殺れる…………はぁ~~~~~。ほんと、こっちの道に進まないのが勿体ないって、年々思ってしまうな)
自分は凡人だと語るバトムスではあるが、その肉体は日々成長している。
モンスターとの戦闘を積み重ねることで身体能力や魔力量も増量中。
加えて、バトムスの場合は幼い頃から考えて動くという行動を行っていた。
今でもそれは続いている。
だからこそ……頭で考えた行動を、それ通りに体を動かす技術が発達していた。
それは個人の才能云々ではなく、技術に近い能力であるため、間違いなく同世代の中でバトムスが優れている点と言えた。
「……ジーニスさん、何か言いたげですね」
「はは、バレてたか」
「えぇ」
「…………相変わらず、そっちの道に進むつもりはないんだろ」
「ないですね」
ジーニスの一応の確認に対し、バトムスはあっさりとした態度で断った。
予想通りの反応過ぎて、苦笑いも零れないジーニス。
「俺としては、こうして自分が扱う素材を自分で手に入れられれば、それで十分なんで」
「本当に、嫌ってほど自立しるな~」
「良い事じゃないですか。自立って大事だと思いますよ」
適当に言葉を返すバトムスだが……一応、隣に並んで歩いている人物に対して投げていた。
「~~~~♪」
バトムスと同じく歳を取り、十二歳に成長したシエル。
身長は順調に伸びており、同世代の男子よりもやや高く……成長期に突入しており、体付きに女性らしさが表れていた。
(こいつ……ちゃんと三年後のことを考えてるのか?)
バトムスがシエルのことを保護したのは、シエルが十歳の時。
五年間……バトムスはシエルを自分の傍に置き、保護することにした。
文字を読めるように、書けるように……戦闘訓練だけではなく、興味があるのであれば料理や錬金術に関しても知識を与える。
そして五年後、シエルが十五歳になれば好きなように生きるんだと伝えていた。
一応、そのままバトムスの傍に……妹分として居ても構わないのだが、親分であるバトムスはそれがシエルの為になるとは思っていなかった。
「バトムスさん、今日の夕食はなんでしょうか」
「……さっきオークを倒せたし、食べられるだけ食べちゃうか」
「良いですね!!」
本人と日常会話をしている限り、自分の元から巣立つ予感を全く感じられないバトムス。
(そりゃ俺が衣食住揃えてるから、住み心地が良いのはあるかもしれないけど、後三年も今経験を積んでる事を磨き続ければ、十分稼ぐ力はあるだろうから……騎士候補の連中と恋仲になっても構わないから、それが自立する切っ掛けにならないかな~~~)
街から出ずとも、距離的に自分の元から巣立てば良いと思い、顔見知りの騎士候補たちを脳内に思い浮かべる。
(…………別にあいつの父親って訳じゃないから、強さとか求めるわけじゃないけど、そういえばシエルの奴、大半の騎士候補より強かったな)
女子、なのは間違いない。
ただ、シエルは先祖返りを経験し、狼人族となった。
獣人族は人族よりも身体能力に優れており……現段階では、順調に素の身体能力も成長しているシエルに敵う騎士候補は中々いない。
(ジョゼフの奴なら、模擬戦をやって勝つ時も全然あるし、ダチだから気が許せるっていうのもあるけど……ん~~~~。それは完全に俺の私情だし、ジョゼフの気持ちを無視することになるよな~~)
妹分の将来に関して頭を悩ませるバトムス。
すると、何年振りか……明確に、彼らの耳に悲鳴が耳に入った。
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