僕が玩具になった理由

Me-ya

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心の行き場-最終章-

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「…僕は…お兄さんと約束したから…お兄さんの元にずっと居るって。これは、眞司とは関係ない…僕とお兄さんとの約束だから…だから、僕は眞司とは行けない…ううん、行かない」

「…俺がこんなに頼んでも…?」

「……ごめん…」

「…俺より、兄貴の方が良くなった…?」

俺の言葉に、首を横に振る優紀。

「…眞司の事は好きだよ…初めて眞司を見た時からずっと…今まで…」 

「…それなのに、兄貴を選ぶのか?」

―俺の事が好きなのに?

「………ごめん」

またしても優紀に謝られ、言葉を失う。 

―全て、俺のせい。

雅樹の外見に騙され、惑わされて優紀を捨てた時に…道は別れ、全ては決まった。

雅樹に囚われ―何度、後悔した事か…優紀を身代わりにして兄貴から逃げ出したのに…相変わらず俺は誰かの玩具のままで…主人が兄貴から雅樹に代わっただけだなんて…。

これじゃ、何の為に優紀を身代わりにしたのか…。

だから、何とかして雅樹の元から逃げ出し…優紀を取り戻して一緒にと…そう思っていたのに…。

俺は言葉もなく…何て言ったらいいのか、分からないまま…目の前の優紀を呆然と見詰める事しかできずにいた。

「…大丈夫だよ」

俺がその場から動かず、何も言えずにいるのをどう思ったのか、優紀は穏やかに言う。

「…お兄さん、僕が本当に嫌がる事はしないし…本当は、優しいんだよ…不器用なだけで。それに…眞司が居なくなると…お兄さんには、もう、僕しかいないから…」

そこまで優紀が言った時。

ドコッ!

いきなり優紀がベッドの外に倒れ込んだ。

―兄貴が優紀を蹴飛ばしたのだ。

「…優紀!!」

ベッドの外へと倒れ、そのまま動かない優紀に驚き、駆け寄ろうとした俺は、しかし、男性二人にいつの間にか左右を押さえられ、椅子に引き戻される。

「離せ!!優紀!!優紀!!」

床に倒れた優紀は、ピクリとも動かない。 
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