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37 昼間からお楽しみですか? 

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 翌朝、空は厚い雲に覆われていた。今にも降り出しそうな気配。

 宿が空いているようなら、もう一泊ということで話はまとまった。全然急がない旅だし、雨の中での旅は避けたい。

 カウンターに問い合わせたところ、予約は入っていないとのこと。同じ部屋割りで、もう一泊することに。

 思った通り、大粒の雨が降りだした。連泊の判断は大正解だった。

 そうと決まったら、せっかくの温泉。朝食後ひと休みし、朝ぶろを決め込む。


 俊也が浴室に入ったところ、例の商家の跡取りがいた。

「おはようございます。
ゆうべはお楽しみのようだったですね」
 心に余裕が余りある俊也は、絶対言いたくなかったセリフを。
 そのセリフは、非リア充を自ら認めるものだから。

 青年は苦笑で流した。

「おかげでうまくいきました。
妻に聞いたのですが、あの方々、全員が奥様でいらっしゃるとか。
見るからに高貴な方もいらっしゃる。
いや、これ以上は聞きません。
死刑になるそうですから」
 さすが商家の跡取り息子。例の触れと、俊也一行を結び付けたようだ。

 それにしては、この冷静さ。一門の人物と俊也は判断した。

「まあ、そっとしておいてください。
余計な取りざたをされないかぎり、人畜無害です」
 俊也は青年の意を汲んで流す。

「あの~、聞いてもよろしいでしょうか?
いや、もちろんあなた方の、御身分ではありません。
なんといいますか、再戦に関してなのですが……」
 青年は遠慮がちに言う。

「あ~……。朝お見かけした奥様、歩き方が変でした。
かなり出血なされたのでは?」

「そうなんです! 
せっかくご教授いただいたのに、私の致し方が悪かったのか……」

「あなたは、いわゆる巨根です。
奥様はお見かけしたところ、お若いようだし、かなり細身です。
奥様の痛みがなくなるまで、控えた方がいいかもしれませんね。
それか、なんだったら、嫁に頼みましょうか?
治癒魔法」
 本音は自らの手で…、舌で治療を施したいところだ。満たされ過ぎるほど満たされているが、「人妻」とは、なんたる淫靡な響きよ!

だが、俊也に「寝取り」の野心はない。「痴情のもつれ」は、人間関係の極大トラブルメーカー。
 状況が許す異性と「痴情」で「もつれ」あったら、それでいいんじゃない? 

 超めんどくさそうな「許されぬ愛」は、まっぴらごめんだ。

 何? 『なんでもいいから、もつれてみたい』?

 ノーコメントで。


 俊也の提案に、商家の跡取りは食いついてきた。
「ほんとうですか!
是非お願いします!」

 なるほど、相当気持ちよかったんですね。わかるわ~~~!
俊也は、わけあり顔でうなずいた。覚えたばかりのころは、そんな気持ちになっちゃうよね!

商家の跡取り君、『今夜もお楽しみですね!』


 温泉から出て、ローランに治癒魔法を頼んだところ、すでに女湯でほどこしたとのこと。

 若奥様は、体にお湯をかけるだけで、湯船に入ろうとしなかったのだ。
 はは~ん、と察したルラが、ローランに治癒魔法を命じたらしい。

 さすが俺の嫁!

 ところで、治癒魔法は、たしか、直接触れた方が効果的だとか……。

 裸のローランが、「はじめて」を経た「人妻」のあそこに手を当て……。

 同性でも裸と裸。しかもあの「人妻」いかにもすれてなさそう。

 しかも局部ですよ? キョクブ!

 人妻は羞恥心で体を硬くし、ローランは……、うん、彼女は平気だね。
多分本物の医療従事者的な?

それはそれで、そそる?

なんかエロい! 超エロイ!

 妄想をふくらませる俊也だった。


 さて、商家の跡取り君、『昼間からお楽しみですか?』
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