【R18】猫は異世界で昼寝した

nekomata-nyan

文字の大きさ
41 / 230

41 筋肉少女×2と、ナンパお出かけ

しおりを挟む
レジと魔法戦士の二人は、馬より速い速度で、街への最短距離を疾走していた。

猫の持久力はあまりないが、この世界は魔力に満ち溢れている。したがって魔力を自然に補給できる。

よって、三人は労せず長時間疾走できる。特に森林や丘陵地帯。魔物の多くもそこに住んでいる。

猫又ナイトによれば、魔物も少なからず魔力を持っているそうだ。

ただし、魔法陣や言霊を操れないので、魔法は使えない。

レジと魔法戦士は、ひのえ熊に遭遇。魔物とは野性の動物が、魔力の影響で、遺伝子が変異し、肉体が強化された物を指す。

だから魔物は、魔力が希薄になる人間界と一歩距離を置いている。

未熟な魔法使いの、中クラス程度の魔法では、歯がたたない魔物も存在する。だが、魔物にとって人間は天敵であり、強い魔物は、ためらいなく攻撃してくる。


近くに人間の気配がある。多分猟師だろう。

ひのえ熊は最大体長五メートルに達する。一抱えもある樹木を一撃でへし折る力を持っている。

それに体格のわりに俊敏だ。こんなモンスターに出会ったら、ベテラン猟師でも超ヤバイ。

猟師たちは危険覚悟で森林に入るが、うまくやつから逃げられる保証はない。

レジはこの熊を始末すると決めた。


「俺が仕留める。ブルー、挑発。イザベル、弓で威嚇攻撃」
 レジは簡単に戦術を決め、大木を駆けのぼった。

三人はひのえ熊と、何度か戦った経験がある。素早く動けるブルーが、熊の注意をひきつけ、遠くからイザベルが矢で熊の目を狙う。

遠近感を失った熊の上部から、短槍を装備したレジが、一気に下降し、熊の後頭部を狙う。

三人は本格的に戦闘を開始する前に、思い思いの補助魔法で強化。

レジとブルーは、熊パンチを二三発くらっても、軽傷ですむ防御力強化魔法。イザベルは逃げ足強化。

そしてそれぞれの武器、短槍・長剣・矢に火属性の付与。哺乳類の多くの魔物は、植物属性だ。ひのえ熊は雑食だから、効果は低いが、一応火属性は弱点だ。


「お~い! のろま熊、おいしい美少女だぞ! 
ほら、お尻の肉だけは、柔らかそうだろ!」
 ブルーが熊の前に立ちふさがり、お尻ふりふり。

熊は二本足で立ち上がり、「ぐわ~!」と威嚇。

すかさずイザベルが「ファイアアロー!」と唱え、矢を射る。

矢は炎をまといながら、過たず熊の右目に命中。

熊はドサッと前のめりに倒れた。

「あれ?」
 三人はびっくり。威嚇のはずが、とどめを刺してしまったようだ。

活躍の場を完全に失ったレジは、肩を落として大木から降りてきた。

「イザベル、ゆうべの伽、俊也さんとしたのね? 
しかも中出しの清浄魔法なし? 
今妊娠しちゃったらまずいよ」
 ブルーはイザベルを糾弾する。

「だって~……、レジさんとしたら、ムキムキになっちゃうんだもん。
あなた、相当来てるよ」
 イザベルは手厳しく反撃。

「それはわかるんだけどさ。
お腹のシックスパック、全然色っぽくないし、胸だって筋肉におっぱいが、ちょこんと乗ってる感じ。
どうやったら脂肪つくのかな? 
冬に向けて脂肪蓄えたいんだけど」

「だよね~」
 
ブルーは、はたと気づいた。ごまかされてる。
「じゃなくて~、問題は……」

「はい、気を付けます! 次からは清浄魔法付きで」

「ならよろしい」
 ブルーは潔く矛を納めた。

実はブルー、レジモードとのセックスが大好きなのだ。いくら腹上で激しく暴れても、レジさんは平気だから。

俊也さんとなるとそうはいかない。驚くほどもろいから、受身一辺倒となってしまう。

筋肉少女にはなりたくないが……、相当なってしまっているが、レジさん形態は捨てがたい。

筋肉少女の悩みはけっこう深い。
 

 レジは人間の匂いをたどり、五人の猟師を発見。レジは木に登り、身を隠す。
猫目猫耳二本の尻尾は隠したい。


「おじさ~ん、さっきひのえ熊に襲われちゃった。
この子、こう見えて超ド級の魔法戦士。
襲う相手が悪すぎた。
ひのえ熊といえば、皮は高額で取引できるし、肉は最高でしょ? 
私たち、運べないから上げるわよ」
 ブルーが気さくに声をかけた。「この子」とは、もちろんイザベルを指す。

こんな深い森で美少女二人に遭遇し、オジサンたちの鼻の下は大いに緩んだ。

一人は赤毛の筋肉質少女。腰に見事なこしらえの長剣を帯びている。愛嬌あふれる丸顔の中でも、やや垂れた茶色の目が印象的。

もう一人は、栗色の髪と目を持ったクールビューティー。赤毛の女の子より背が高く、ほっそりとして見えるが、多分脱いだら意外にマッチョなのではないか。

これも見事な装飾が施された短弓を装備し、腰にはダガーを吊っている。

そして、二人が身に着けている服装は、きわめて軽微だ。ジーンズにハーフブーツ。赤と白のトレーナー。

猟師たちが見たこともない服装だった。そして、こんな森の奥に、決して入るべきではないスタイルだ。もちろんユニ×ロで俊也が買い求めた逸品。

「マジでお嬢ちゃんたちが倒したのか?」
「マジだお。案内する。付いてきて」
 二人の美少女は走り始めた。

必死で付いていく猟師たちは思った。
あんな服装で、この森に入れるはずだ。とてつもない俊敏性……。

「お嬢ちゃん、もう少しゆっくり! ぜいぜい……」
 すぐ息が切れた猟師たちだった。

 猟師たちは、ひのえ熊がばったり倒れた地点に着いた。

「でかいな……」
「こんなのに襲われたら、五人でもかなわない」
「おい、見ろよ! 矢一本で仕留めてるぞ!」
 猟師たちは、びっくりして熊を囲む。右目に深く矢が突き刺さっていた。これは脳まで届いている。

目の周辺が焼け焦げているところを見ると、炎の魔法を付加したと想像できる。

多分脳内は焼けただれているだろう。

優れた魔導師の魔法が付加された場合、傷自体より、体内で爆発する魔力が脅威だ。

矢はありふれているが、相当以上の魔力の持ち主だ。

「いい毛皮がとれるな。右目以外は無傷だ」
「うん。高く売れる。さばいても肉、全部は運べないぞ」
「高値の付く部位だけ持って帰ろう。お嬢ちゃん……」
 気づいたら、二人の姿は消えていた。猟師たちは、ぽかんとし、目を見合せた。

「夢か?」
「バカ、現に熊の死体がある」
「だよな……」
 タヌキとキツネの魔物にでも、化かされた? 

幸いなことに、猟師たちの感想が、二人の少女に伝わることはなかった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...