上 下
50 / 230

50 猫の仕事は寝子

しおりを挟む
 翌朝、カナは気持ちよく目覚めた。昨夜は気持ちいいどころではなかった。

ルラによれば、ナイトと合体した俊也は、天才セックス師そのものだという。

未体験の青い果実も、まだ苦痛しか感じないはずの超青い果実も、そして、もちろん熟れきった果実も、等しく超快感を与える。

処女でも痛くしないし、出血もないと。

実際その通りだった。またこうも聞いた。オティンティンをズキュンされるとき光るという。

女の子のあそこに合わせ、サイズを変えるとも。それもその通りだった。

自分のおっぱいや、あそこで戯れるとき、カナはちらっとシンボルを見た。

いざ、あれが自分の娘さんに入るかと思うと、若干不安に感じられた。

だが、徐々に細長いサイズへ変わった。

それからのことは、残念ながらよく覚えていない。

ひたすら気持ち良かった。ひたすら愛しかった。ひたすら乱れてしまった。

最後に……熱く感じられた。

その後彼は、猫又ナイト2に変身した。聞かされていたがびっくりした。
だが、全然怖くなかった。

清浄の魔法が施され、満たされていた中が、空しく感じられた。

発射された瞬間、ほっこりした温みが、局部から全身に広がった。

それが、魔法が施された瞬間、急に冷っと、という感じ。

実際に体液は、きれいに飛ばされたのだと思う。「事後処理」の必要もなかった。

だから四人も妊娠しちゃったんだよね。気持ち、わかるわ~。
長くあの温みと満腹感を味わっていたい。女として自然な感情だ。

そのときカナは理解した。十人の嫁の気持ち。自分に与えられた俊也との時間は、信じられないほど満たされる。

その時間を大事にしたい。他者にも大事にしてもらいたい。

その共通の思いが、十人の嫁を固く結び付けている。

私は……、日本の現地妻でいいや。独占したら、間違いなくあの快感に溺れてしまう。

カナは、また気づいた。嫁たちが異様に寛容なのは、自分の時間を持ちたいからだ。もっと言えば、溺れてしまい、「自分」を失いたくないのだ。
 

カナはそっとベッドを抜け出した。ナイトがう~んと背伸びした。

起きるのかな、と思ったが、また深く眠ったようだ。窮屈だったのかな、とカナは反省する。

カナは一晩中ナイトを胸の中に抱きしめていたから。



 カナは身だしなみを整え、リビングに。メンバーと新たなメンバーは、全員そろっていた。

朝陽はカレシとテレトークしたいということで、裁判の後、すぐ帰った。

あのときの俊也の顔は見物だった。朝陽は「やったた顔」で、魔法陣に乗った。
カナは、シスコンアニキ認定を、俊也に下した。

ちょっぴりザマー気分になれたことは、ないしょだ。


「ドウダッタ?」
 ルラがたどたどしい日本語で聞いてきた。ホットミルクを飲んでいるようだ。

あ~、妊婦にはカフェインやアルコールは禁物。

俊也さんが教えたのだろう。妊婦四人はみんなミルクを……って、

「ルラさん、日本語喋れるようになった?」

「キキトリ、マアマア。
ヤキトリ、オイシイ。
ハツオン、マダマダ。
ヨミ、カンジ、ムツカシスギ。
カナダケ、クギリ、ヨクワカラナイ。
トクニジョシ、ムツカシイ。
ニホンジョシ、ムツカシイ? 
ダカラ、ハズカシイ」
 
カナは感心した。家庭教師俊也は、よく言っていた。助詞の使い方が一番難しくて重要だと。

なにげに使えるから、カナはぴんとこなかった。だが、難しいと感じられるのは、優秀な生徒の証であろう。

またジョーク(品質は別として)を交えられるのは、余裕の証。

「ゼンゼン、ハズカシクナイ。マリョク、ハカッテ」
 カナは敬意を持って、ことさらゆっくり発音した。カナが何より感心したのは、日本語を覚えようというルラの誠意だ。この世界では全く必要ないのに。

カナはルラに歩み寄った。

「ワオ~、チョッピリ、アガッテル。
ダケド、タブン、ニホンデツカエナイ」
 ゆうべ量ったとき、意外なことにわずかな魔力が感じられた。だが、ゼロコンマ以下の魔力が、四倍になっても増量はしれている。

種火ファイア程度なら使えても、多分気絶してしまう。

まあ魔法はあきらめた方がいいだろう。魔力の器の限界は生まれながら決まっている。年齢を重ね、習熟するにつれ、器は大きくなるが、いつかは増えなくなる。

現にルラの魔力量は、中出しでもほとんど変わらなくなった。器の限界が近づいたのだ。

妊娠初期につき、最近ご無沙汰だということもあるだろうが。

「コッチラナラ、ツカエル?」
 カナは幾分気落ちしながら聞いた。やはり魔法は憧れだった。

「タブンカノウ。ダケド、キゼツスル。
アキラメル、ヨイ」
 ルラの返事を聞き、カナはがっくり。ゆうべ「わずかにある」と俊也に通訳してもらい、ずいぶん期待していたのだが、使いものにならないレベルなのだ。

まあいい。私は日本の現地妻なのだから。この微妙なニュアンスは、通訳抜きでは無理だろう。


「ナイト、オコシテ、イイ?」

「ドウゾ。オコサナイ、オキナイ」
 だよね~、ナイトは、あちらでもいつも寝ていた。猫の語源は「寝子」。「子(ね。ネズミの意)子」だともいわれている。
現代ではもう「子子(ねこ)」の仕事は、ほとんど終わっていると言っていい。「寝子」の仕事は永遠だ。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

クラス転移したところで

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:85pt お気に入り:0

おおぅ、神よ……ここからってマジですか?

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:45

【R18】スキ美味⁉︎ 〜美味しくいただきました〜

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:114

便利すぎるチュートリアルスキルで異世界ぽよんぽよん生活

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:4,799pt お気に入り:4,483

クラス転移したけど能力が低いのでリセマラされる前にバックレる

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:127pt お気に入り:539

(R18) 悪役令嬢なんて御免です!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:291pt お気に入り:4,109

召喚されない神子と不機嫌な騎士

BL / 完結 24h.ポイント:220pt お気に入り:465

処理中です...