【R18】猫は異世界で昼寝した

nekomata-nyan

文字の大きさ
97 / 230

97 盗賊団襲撃イベント

しおりを挟む
  昼食休憩後も、イザベルはミネットの隣に座っている。
仲間の人と…嫁仲間の人たちと、何かこしょこしょ話していたが。

みんな自分を見て、にやにやして笑った。何がおかしいのか、ミネットは気になったが聞けなかった。

そして、馬車に乗ってからは、両親のことをしきりに聞かれた。

父親については、いくらでも話せた。母親について、話すことは何もなかった。
物心がついてから、ずっと二人きりだった。それが普通だと思っていた。

両親がそろっているのが、普通だと知ってからも、ほとんど気にならなかった。

私の普通はお父さんと暮らすこと。そう信じていたから。

だから、母親について聞いたこともないし、父親も話すことはなかった。

「どうしてお母さんのこと、そんなに聞くんですか?」
 ミネットは、素朴な疑問を口にした。

「どうでもいいといえば、どうでもいいんだけど。
ローランが言ってた。
あなたの魔力量、平民のものでは、間違いなくないって。
もちろん、それでどうってことはない。
もうやめにしようか。
ごめんね。うるさく聞いて」

「まあ、いいんですけど……。秘儀になんか関係するんですか?」
 イザベラは、あれ以来「秘儀」について説明しなかった。

なんでも、俊也さんたちの館では「嫁のラスボスと彼女の両腕」が控えているそうだ。

その「ラスボス」と会ってからの話とのこと。

ちょっぴり怖い。

「関係するかもしれない。まあ、カントの館に帰ってからのお楽しみ」
 イザベルはそう言って、含み笑いをした。

「私、なんか変ですか? 食事の後だって……」

「ごめん。気にしてた? 全然変じゃないよ。
あなたが、とってもきれい。そんな話。
思いがけない拾いもの? みんなそう言ってたから、期待していいよ」
 
何を期待すればいいのだろう? 相変わらず意味わかんね~。
なんとなく、ごまかされている気がしてならない。まあ、みんないい人たちだとはわかった。

俊也さんもね。


不意にイザベルが弓を構えた。
「この辺、こんなに治安が悪いの?」
 そう言って、イザベルは矢を放った。

ずっと前方の木の上から、男が落ちた。弓を構えていたようだ。

イザベルは続けて矢を放つ。
木陰の男が倒れた。他の馬車からもどんどん魔法が放たれる。
あれはアイスアローだ。

早っ! 
何十人乗っているのだと思うほど。そうか、一人で何本、いや、何十本も一度に放っているのだ。

すげ~……。魔法を極めたら、あんなことができるんだ! 
イザベルの矢と魔法の矢が、外れることはなかった。少なくとも、ミネットが見た範囲では外れなかった。

戦闘は、あっという間に終わった。

「もう一度聞くけど、あんなのがぞろぞろいるの?」
 イザベルは、弓を油断なく構えて聞く。

「私は知りませんけど、いましたね。私も武器を取ってきます」
 そう言って、ミネットは馬車の荷台に移った。

布袋に包んだ長剣を胸に抱え、御者台に帰る。

「それって、お父さんの形見?」
 イザベルが聞く。

「はい。父は手入れするだけで、決して使いませんでしたけど」
 ミネットは剣を袋から取り出す。見事な造りだ。

「見せてもらえる?」
「まだ敵がいるかもしれません!」
 ミネットは緊張の面持ちで、剣を腰だめにする。

「息をしている敵は、もういないかな? 穴だらけになってる」
 イザベルは弓をおろした。ミネットは、かくんと力が抜け、すとんと腰を落とした。

「あなた、魔法が得意じゃなかった?」
 そう言えば……。どうして杖じゃなくて、剣を選んだのだろう? そうか、こっちの方が、ずっと強そうだから? 全然使えないのに。
ミネットは大笑いしてしまった。

私ってバカだ。死んだお父さんを、まだ頼っている。

「みんなあっちへいっちゃってるよ~。俊也さ~ん、どうしますか?」
 ブルーが、生存者を確認したのだろう。大声で先頭馬車の俊也に声をかけた。

「何もなかったことにしよう。片付けるのムリ! しゅっぱ~つ!」
 俊也が大声で応えた。

馬車隊は再び動き始めた。

「あの~、俊也さんて、強いんですか?」
 ミネットはそう聞いた。こんな強い女の人たちを、何人も嫁にしている。弱いはずはないのだが、どう見ても強く見えない。

「場合によってはね。今はめちゃくちゃ弱い」
 イザベルは、ミネットに代わって手綱を取った。

「場合によっては?」
 ミネットが聞く。
「だから館に着いてからのお楽しみ。場合によっては多分世界一強い。十分ぐらいね」
 相変わらず意味わかんね~……。まあ、どう考えてもみんなお父さんより強い。安心して頼っちゃおう。お父さんは、もう守ってくれない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...