【R18】猫は異世界で昼寝した

nekomata-nyan

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100 貴族の発想、こわ!

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 一週間後。いくつかのアクシデントはあったが、一行は無事カントへ到着。

ふもとの牧場主に声をかける。荷物を下ろしたら、馬を預けるから。

シルバーストーンで買った馬も、案外元気だった。飼馬代の元がとれるか怪しいが、馬肉にするのはかわいそすぎ。いっしょに預けることにした。

ついでに六人の元村人を紹介する。六人には、主に馬の世話を任せるつもり。
その牧場で、本格的に仕込んでもらう予定だ。

俊也はミネットの扱いに迷ったが、ユーノが言うことには、「とりあえずメイド。それでいいんじゃないですか」

とりあえずそれでいいかと納得し、とりあえずそれでいくことにした。


「ただいま!」
 
俊也は迎えの嫁たちにあいさつ。「おかえりなさ~い」と、満面の笑顔で迎える嫁たちに、キス&ハグで応える。

それはいいんだけど……。

カナは遊びに来ていたのだろうから納得できる。
どうして琴音ちゃんとハグ&キス? 

あれっ、琴音ちゃんがいるな、と思ったら、どさくさにまぎれ、唇を奪われてしまった。

カナは琴音を引き離し、お説教モードに入ってしまった。

「カナちゃんが、取り急ぎ相談したいんだって。取り急ぎ相談に乗って」
 ルラが、なにやらわけあり顔でそう言い、俊也の腕を確保。リビングへ向かった。

新しいメンバーを紹介したかったのだが。まあ、荷物を運んだ後でいいか。

取り急ぎだそうだから、取り急ぐことにした。

数分後、「え~~~!」 と、俊也の叫びに似た声が、リビング中に響いた。


「そりゃ、そんな映像投稿したらそうなるよ」
 俊也は、カナの報告にあきれ返った。なんと、ネットに魔法の実践と、魔法の学習風景を投稿したそうだ。
大反響過ぎる反応に、カナはすっかりおびえている。

しょんぼりしたその様子を見たら、俊也は叱れない。
カエルのつらに何とかの琴音には、あきれるやら、わずかに敬意を抱くやら。

この子、スゲータマだ。
「別にいいじゃん」
の一言でかたづけてくれた。

言いだしっぺはカナ、それに乗ったのはルラたち三人。台風の目は琴音だった。

「どうしてそんなこと、やっちゃった?」
 俊也はルラ達三人に聞く。

「ベツニイイジャン。ね~?」
「ね~?」
「ね~?」
 最後に俊也へ向けられた、フラワーの「ね~?」、かなりいらっとする。

「どうするつもり?」
 俊也の表情と声は、珍しくとげとげ。

「俊也なら、なんとかしてくれるでしょ?」
 ルラは見事な笑顔を、俊也に向ける。

「お~い……」
 俊也は深くうなだれる。

「隠す必要、ないと思ったからよ。
地球からこっちへは、絶対攻撃できない。こっちからは攻撃可能。
どの世界でも外交は、パワーバランスが一番でかい。
圧倒的に有利な私たちが、どうしてこそこそしなければならないの? 
この世界では、身を隠す必要があった。
それは攻撃される可能性があるから。
違ってる?」
 ルラの言葉に、俊也はうなずくしかなかった。

違ってない。

「俊也がこの世界との、つながりを隠したかった理由もわかる。
あなたやカナの家族を、巻き込みたくなかった。そうでしょ?」
 
今度もうなずくしかなかった。

「『新撰組萌ゆ』、あのアニメ、ある程度歴史に基づいているわけでしょ? 
尊王攘夷? 
攘夷論の原因は、ぺろ~り提督が、力づくで開国を迫った」

「ぺろ~り、じゃなくて本物はペリーだけど。
あのアニメの世界観は別として、アメリカやロシアなんかが、開国を迫ったのは事実」
 俊也は力なく応える。

ちなみに。『新撰組萌ゆ』は、かつてブルーがはまったアニメの題名だ。

「アメリカやロシアに力があった。それに、日本から本土を攻撃される可能性は皆無。
だから不平等条約を押し付けた。
要するに、地球人がうるさいようなら、こちらから不平等条約を、押し付ければいいだけ。
とりあえず、日本に開国を迫る? 
いっそアメリカか中国にする?」
 
俊也は大きくため息をついた。基本おっしゃるとおりです、ルラさん。

大貴族の娘の発想、怖っ!

「カナと琴音は、私たち魔法の国、公認広報。駐地球大使は、もちろん猫又ナイト大先生。収拾よろしく」
ルラは、澄まし顔でちょこんと頭を下げる。

よろしくと言われてもね……。どうする? 

ハハハ、アメリカや中国、ロシアに戦争ふっかけてやるかぁ~。

戦略核なんて目じゃないもんね~。

だって、こっちに届きませぇ~ん。

こっちには、人間戦術核があるもんね~……。

日和見外交しか手がない日本人として、相当痛快かもしれない。

危険な思想に傾きかけた俊也だった。


「俊也、私たち三人、ずっと遊んでるばかりだと思った?」
 リラがにやにやして言う。

「なんかやった? ネット以外にも」
 俊也が幾分おびえながら聞く。

「ジャン! どこでもまほうじ~ん!」
 エレンがどや顔でトランクを開く。トランクの中には複雑な魔法陣が描かれていた。

「これなら持ち運びに超便利。一々猫又ナイト大先生の、お手を煩わせることはない。アンリ」
 ルラが傍らに控えるアンリに声をかける。

アンリは、緊張の面持ちでトランクの中に立つ。
アンリは、トランクの底から、ポリ製円筒状のものを持ち上げ、中側から密封する。

「清浄!」
 エレンが清浄魔法をかける。

「トランクBへ転位!」
 フラワーが転移魔法をかける。

あ~ら不思議、アンリはトランク多分Aから、トランクBに転移。

「アメリカか中国に、開国迫るとしたら超便利でしょ? これなら税関に止められることはない。
お伴がついていれば、何度も変身する必要もない。
よろしければお使い下さい。旦那様」
 ルラはにっこりとほほ笑む。

参ったな~。マジでやれっていうの? 

最近とみに苦労性が進行した俊也だった。

「私たちが原因つくったから、私たちがお供したいんだけど、そういうわけにいかないと思うの」
 エレンが言う。

「三人でいつも話してるの。魔法とは何かって。
脳、あるいは精神が大きく影響していることは間違いない。
魂と言い換えてもいい。
まあ、議論の内容は、またゆっくりできるときに聞いてもらう。
その魔法の理論に、一石を投じる出来事が進行中なの。
出発前、ルマンダと妊婦さんセックスしたでしょ? 
魔力量増大の止まっていたルマンダに、大きな変化があった。
つまり、著しく魔力量が増えたの。
これはお腹の中の赤ちゃんが、影響していると考えるしかない。
ルマンダの赤ちゃんは、人間的な脳、精神や魂でもいいよ、それがかなり形成されている」
 フラワーが大真面目な顔で説明する。

「最近お話ができるんですよ。赤ちゃんと。
オヤジ、どこへ行ってたんだ、ですって。ね~?」
 ルマンダはお腹に向けて話しかけた。

「お、俺も話せる?」
 俊也はルマンダのお腹に耳をあてた。

「耳じゃ聞こえませんよ。ね~?」
 ルマンダは幸せそうに笑い、俊也の頭を抱いた。


「結論を言う。転移魔法でミックスするのは、精神の形成された生物が二体以上、同時に転移した場合だと推定される。
だから妊婦に転移魔法は絶対禁止。
実験で推定を検証する勇気はない。
よって、私たち四人は、モブキャラすれすれに、当分甘んじるしかない。
以上。ヨロシク!」
 ルラの言葉に合わせ、四人の妊婦嫁がぴしりと敬礼。

よろしくやるしかないか。ウフ、なんだかワクワク感も。

この三人、きっとじれったかったんだ。どうして日本でこそこそするのかって。

確かに正面突破という手はある。
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