143 / 230
143 ミストとの密約
しおりを挟む
※矛盾がある表現、11/15日、一部訂正しました。
一週間後。
日本でいた俊也は、急きょ館に呼び戻された。なんでもミスト王国から特使が、派遣されたそうだ。
アン、アンコンビも共に帰った。常設魔法陣があるリビングには、特使がいるそうなので、ルラが部屋に描いた魔法陣を使う。
転移魔法は、館の最高機密だから。
「俊也・青形です」
「ミスト王国、フィード・アングルです。
国王からは、主に対外交渉を仰せつかっております」
俊也とフィードは握手を交わす。
「どのようなご用件でしょう?」
「すでにルラ様に、ミスト国王からの親書はお渡ししました。
改めてお話しさせていただきます。
親書の内容を一言で申し上げれば、ミストの魔法研修使節団を、アオガタ様に受け入れていただきたい。
使節団の詳細は、まだ詰めておりませんが、団長は元ミスト王妃、ミーナ・オズモン様に決定しております。
それと、団長以外三名を予定しております」
俊也はびっくりしてルラを見た。
ルラは深刻な表情でうなずく。
王妃の浮気がばれちゃったんだ。
「親書には、書けないことがあったんですね?」
俊也は念のため遠まわしに聞く。
「さようでございます。ミネット様は、金髪碧眼であること。
ミーナ様は、王妃となられる直前まで、金髪碧眼のマーク・ダイニー様に、魔法の指導を仰いでいたこと。
ミーナ様がご懐妊され、出産のためご実家に帰られていたこと。
ミーナ様は、残念ながら、流産され、同時期に御次兄のアルフ様が失踪なされたこと。
それらの事実で、お量り下さい」
おおよそは、三幹部が、推理した通りだった。
「その点に関しては理解しました。
魔法研修使節団についてです。
大体の想像はつきますが、想像の通りなのでしょうか?」
外交では、言質(げんち)を取られないことが基本。俊也は慎重に言葉を選んだ。
「多分そうだと思います。
団長はこの地に骨をうずめる覚悟で、魔法を修めます。
団員は、ほどよいところでミストに帰ります。
最低一年は、青形様直々に指導を仰ぎたい。
場合によっては、二年三年になっても差し支えありません。
我が王は、見目よく気立てのよい娘を選ぶ所存です。
どうか手とり足とりねんごろに、とは、我が王の言葉です」
「念のためにお聞かせ下さい。
お断りした場合は?」
「団長は一途な方ですから。
魔法を究める悲願がかなわない場合、おそらくは自ら命を絶たれるかと。
オズモン家の近未来も、憂慮すべき事態に、なるやもしれません。
オズモン家は、わが国建国以来の名門。
王はオズモン騎士団長、ミーナ様の御長兄ですが、その方の武勇を、深く頼りになさっておられます」
俊也は話を聞き終え、深くため息をついた。
はっきり言って脅迫じゃん!
俊也はルラ、フラワーをうかがう。二人は軽くうなずいた。
そしてエレンを見る。
エレンは両手を合わせ、深く頭を下げた。ミーナの実の父親は、想像通りエレンの兄だったのだ。
「わかりました。
私が責任を持って、使節団員を育てます。
念のために。
団員は女性であること。
それにある程度の魔力が必須条件です。
それと、妊娠したら私の指導が滞ります。
一人前になる前、妊娠してしまったら不都合ですよね?」
「一年では、無理だということですか?」
「基礎の魔力量にもよりますが、はっきり言って無理でしょう。
二年か三年、それを過ぎたら次世代はあきらめる。
それでどうですか?」
フィード伯爵は、しばらく考えた。やはり次世代は欲しい。
それもできるだけ多い方が望ましい。
「わかりました。
五年間おあずけします。
魔法も次世代も、よろしくお願いします」
「一つだけ、条件をつけてよろしいですか?」
今まで黙っていたルラが口をはさんだ。
「どのような?」
フィード伯爵が聞く。
「研修使節団は極秘扱いで。
イスタルトで広まってしまったら、問題となりそうです」
「なるほど。
当方にとっても、その方が好都合です。
固くお約束いたします」
こうして、密約は成立してしまった。
一週間後。
日本でいた俊也は、急きょ館に呼び戻された。なんでもミスト王国から特使が、派遣されたそうだ。
アン、アンコンビも共に帰った。常設魔法陣があるリビングには、特使がいるそうなので、ルラが部屋に描いた魔法陣を使う。
転移魔法は、館の最高機密だから。
「俊也・青形です」
「ミスト王国、フィード・アングルです。
国王からは、主に対外交渉を仰せつかっております」
俊也とフィードは握手を交わす。
「どのようなご用件でしょう?」
「すでにルラ様に、ミスト国王からの親書はお渡ししました。
改めてお話しさせていただきます。
親書の内容を一言で申し上げれば、ミストの魔法研修使節団を、アオガタ様に受け入れていただきたい。
使節団の詳細は、まだ詰めておりませんが、団長は元ミスト王妃、ミーナ・オズモン様に決定しております。
それと、団長以外三名を予定しております」
俊也はびっくりしてルラを見た。
ルラは深刻な表情でうなずく。
王妃の浮気がばれちゃったんだ。
「親書には、書けないことがあったんですね?」
俊也は念のため遠まわしに聞く。
「さようでございます。ミネット様は、金髪碧眼であること。
ミーナ様は、王妃となられる直前まで、金髪碧眼のマーク・ダイニー様に、魔法の指導を仰いでいたこと。
ミーナ様がご懐妊され、出産のためご実家に帰られていたこと。
ミーナ様は、残念ながら、流産され、同時期に御次兄のアルフ様が失踪なされたこと。
それらの事実で、お量り下さい」
おおよそは、三幹部が、推理した通りだった。
「その点に関しては理解しました。
魔法研修使節団についてです。
大体の想像はつきますが、想像の通りなのでしょうか?」
外交では、言質(げんち)を取られないことが基本。俊也は慎重に言葉を選んだ。
「多分そうだと思います。
団長はこの地に骨をうずめる覚悟で、魔法を修めます。
団員は、ほどよいところでミストに帰ります。
最低一年は、青形様直々に指導を仰ぎたい。
場合によっては、二年三年になっても差し支えありません。
我が王は、見目よく気立てのよい娘を選ぶ所存です。
どうか手とり足とりねんごろに、とは、我が王の言葉です」
「念のためにお聞かせ下さい。
お断りした場合は?」
「団長は一途な方ですから。
魔法を究める悲願がかなわない場合、おそらくは自ら命を絶たれるかと。
オズモン家の近未来も、憂慮すべき事態に、なるやもしれません。
オズモン家は、わが国建国以来の名門。
王はオズモン騎士団長、ミーナ様の御長兄ですが、その方の武勇を、深く頼りになさっておられます」
俊也は話を聞き終え、深くため息をついた。
はっきり言って脅迫じゃん!
俊也はルラ、フラワーをうかがう。二人は軽くうなずいた。
そしてエレンを見る。
エレンは両手を合わせ、深く頭を下げた。ミーナの実の父親は、想像通りエレンの兄だったのだ。
「わかりました。
私が責任を持って、使節団員を育てます。
念のために。
団員は女性であること。
それにある程度の魔力が必須条件です。
それと、妊娠したら私の指導が滞ります。
一人前になる前、妊娠してしまったら不都合ですよね?」
「一年では、無理だということですか?」
「基礎の魔力量にもよりますが、はっきり言って無理でしょう。
二年か三年、それを過ぎたら次世代はあきらめる。
それでどうですか?」
フィード伯爵は、しばらく考えた。やはり次世代は欲しい。
それもできるだけ多い方が望ましい。
「わかりました。
五年間おあずけします。
魔法も次世代も、よろしくお願いします」
「一つだけ、条件をつけてよろしいですか?」
今まで黙っていたルラが口をはさんだ。
「どのような?」
フィード伯爵が聞く。
「研修使節団は極秘扱いで。
イスタルトで広まってしまったら、問題となりそうです」
「なるほど。
当方にとっても、その方が好都合です。
固くお約束いたします」
こうして、密約は成立してしまった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる