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144 ミネットの反応は?
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俊也は再び日本の大使館へ。大使館にいるミネットに事情を話すためだ。
どんな反応をするだろう?
「お帰りなさい!」
魔法陣を出てすぐ、ミネットが飛びついて来た。
俊也はハグで、ミネットの体を受け止める。
「ただいま」
ちゅっ、キスを施す。
「タイゾー君が、変なお寿司屋に連れて行ってくれた。
カウンターに、レーンが付いてないの!」
「ほほ~、それは変な店だね」
タイゾー君とは、静香の祖父だ。いい年してロリコン色が濃いようだ。
それを承知の上で、静香は嫁たちをどんどん紹介している。
ちなみに、静香は狙い通り一発で妊娠していた。
静香は、ちょっぴり後悔していた。安定期がくるまで俊也は断固挿入不可の方針だったから。
「それでね、ミネットがモデルの絵を買ってくれたのよ。
なんと金貨五百枚!」
「静香、いいの? もう四点目だよ」
俊也は笑顔で見守る静香に言う。
タイゾー君はユーノ、エンラン、マサラの絵をすでに購入している。そして、国産車の中で最高グレードのワンボックスカーも。
「いいのよ。
あの年で、もうお金の使い道なんてないんだから」
ちゅっ。静香もあいさつのキス。
静香は愛人でいいと言ったが、俊也は彼女を入籍した。
したがって、日本の法律上は彼女が正妻だ。
出産も彼女が一番早いだろう。それを見越しての入籍だった。
「よいしょっと……。ミネット、大切な話がある。
静香も聞いて」
俊也はミネットをお姫様だっこし、そのままベッドへ移した。
カラオケとAV設備が整ったこの部屋は、一応大使館の居間代わりになっている。
ミラーボールや、鏡張りの天井が、やや落ち着かない。
「話って?」
ベッドの端に腰掛け、ミネットが聞く。
「一つには、ミストの魔法研修団を受け入れることになった。
団長はなんと元王妃だってさ。
他に三人予定しているそうだ。
要するに、俺とのエッチで魔力を上げてくれ、ということだね。
それと、もう一つ大事な話。
君のお父さんのことがわかった。
君のお父さん、本当の名前はアルフ・オズモン。
ミスト王国の元騎士団員。
ミストでも指折りの魔法戦士だったそうだ」
ミネットは顔をこわばらせうなずく。
「本当は、君の伯父さんに当たる人だ。
そして、エレンは君の叔母さんにあたる。
意味、わかるね?」
そう前置きし、俊也は事情を詳しく語った。
こわばったままのミネットの表情は、彼女に似つかわしくなく、ひどく無表情だった。
「そうなんですか?
だけど、私には全然関係のない話だから」
そう言ってミネットは、部屋から出て行った。
俊也は王国語がわからない静香に、状況を説明した。
「そうか、そんなことがあったんだ?
だけど、なんとなく元王妃さんの気持ちもわかるな。
多分エレンさんのお兄さんが、大好きだったんだよ。
王に召されたら、断るわけにいかないだろうし、マークさんとセックスしたのは、せめてもの抵抗だったんだろうね。
俊也君、夫としての出番だよ。
早く行ってあげなさい」
俊也は思う。さすがロマンチスト静香。
彼女の想像は可能性の一つでしかない。
だが、せめてそうであってほしいと願う俊也だった。ミネットのために。
ミネットは建物の外で、ぼんやりたたずんでいた。俊也は彼女の肩をぽんと叩く。
「ミネット、今の君は幸せ?」
「えっ……。もちろんですよ」
不意の質問に、ミネットは意表をつかれた。
俊也が自分を追ってくることはわかっていた。多分自分は、俊也さんを待っていたのだろう。慰められるために。
そして思う。自分を心配し、追ってきてくれる人がいる。
これを幸せと言わず、何と言えばいいのだ。
「よかった。ならいいじゃない。散歩しようか?」
ミネットは俊也の言葉に、こくんとうなずいた。
「稲がだいぶ色づいてきたね。日本人にとって、米は特別に大切な作物なんだ」
大使館の周辺は、ほとんどが稲田だった。稲穂は色づき、重そうに頭を垂れている。
もうすぐ収穫だろう。
「稲、米、ご飯。最初教えられたとき、混乱しました。
大切なものだから、呼び方を細かく変えるんですね?」
「そうだろうね。寿司のごはん、シャリって呼ぶんだよ」
「シャリ? どうしてご飯じゃないんですか?」
「シャリというのは、骨のことなんだ。
白いことの共通性?
驚くかもしれないけど、日本人にとって骨は、信仰の対象ともなる。
仏教が日本で一番盛んだと、教えたことがあるだろ?
仏舎利といって、仏教の始祖の骨を細かくして分け、寺院で信仰のシンボルとなっている。
聖職者の骨だけじゃなくて、墓の中の先祖の骨も拝む。
単に色の共通性だけじゃないと思うな。
米も骨も尊ぶ対象として。
そういうことだと思う」
「すてきな話ですね」
ミネットは俊也の手に手を重ねる。
俊也はしっかり握りしめてくれた。
「先祖も生きてる時は、なんだかな、って思う人もいる。
憎悪を抱くような人も。
だけど、その人がいなければ自分はありえない。
そのことだけは、忘れない方がいいね」
ミネットは、やっとわかった。それが言いたかったんだ?
「だけど、産んだ責任があるでしょ?
その責任を放棄した人、尊ぶ気になれません」
「だよね。君のお父さん…、エルフィンさんは、どうして君を育てたのかな?」
その質問に、ミネットはまた意表をつかれた。
妹の娘だから?
自分の子でもないのに、すべてを捨てて、私のためだけに生きてくれた。
どうしてなんだろう?
「最初は『家』への責任だけだったと思う。
だけど、育てていくうちに、どうしようもなく君を愛してしまった。
今のまっすぐな君を見てると、そういうことだと思う。
もう少し心の余裕ができたら、君の母親が、どうして君を捨てなければならなかったのか。
そのことも考えてあげて。
もう一つ。
お父さんは幸せそうだったか、君の母親は幸せなのか。
できたらそれも考えて。アイス、買いに行こう」
「ハーゲン・×ッツで」
ミネットは、笑顔で俊也を見上げる。
わかりましたよ。俊也さん。
それが「おもいやり」の精神ですよね?
ミネットは、その日本的な精神を美しいと思う。
俊也さんは「おもいやり」の人。
だから大勢の嫁たちを抱え込むことができる。
だが、それは俊也さんの危うさでもある。
事実、私の生みの母親のため、見知らぬ女性を受け入れようとしている。
「俊也さん、無理しないで下さいね。
またお嫁さんが増えそうで」
「だよね~。どうしようか?」
「微妙にニヤケてません?
そうか、楽しみなんだ?」
ミネットは、俊也をからかう余裕ができた。
「ばれた?
やっぱり出会いって楽しみじゃない?
君の生みのお母さん、関係ないと言ったよね?
関係ないところから、新しく出会ってみない?
先入観は捨てて」
ミネットは、なるほどと思う。
自分を捨てた母親としてではなく、一人の女性として。
そう考えたら同情できる。元王妃は、多分自分より幸が薄かっただろう。
私には「お父さん」がいた。生活に余裕はなかったが、「お父さん」は、不幸に見えなかった。
そして今は、俊也さんや多くの嫁仲間がいる。
受け入れられそうな人なら、受け入れよう。ミネットは、そんな気持ちになれた。
「それで、元王妃さんは、どれぐらい館にいるんですか?」
ミネットが聞く。
「多分一生。彼女には帰る場所がないんだ」
ミネットは驚いて立ち止まった。
「どうして?」
「どこへ行ける?」
聞き返され、ミネットは考えた。
ミスト王宮へは絶対帰れない。
実家も…そんなに迷惑かけちゃったら、いたたまれないだろう。
再婚は?
王に離縁された元王妃じゃ、みんな敬遠するかな?
そうか、本当に行くところがないんだ……。
「なら、仲良くしなきゃ、ですよね?
家なきオバサンとは」
ミネットはそう言って、俊也の腕に腕をからめてきた。
「そうだね。ミネットはいい子だ」
「子ども扱いするんじゃありません!
夜のお相手も立派に務めてるんですから!」
「そうでした。感度も一段と良くなってる感じ」
「もう! やらしいんだから!」
ミネットは、いっそう体を寄せた。
どんな反応をするだろう?
「お帰りなさい!」
魔法陣を出てすぐ、ミネットが飛びついて来た。
俊也はハグで、ミネットの体を受け止める。
「ただいま」
ちゅっ、キスを施す。
「タイゾー君が、変なお寿司屋に連れて行ってくれた。
カウンターに、レーンが付いてないの!」
「ほほ~、それは変な店だね」
タイゾー君とは、静香の祖父だ。いい年してロリコン色が濃いようだ。
それを承知の上で、静香は嫁たちをどんどん紹介している。
ちなみに、静香は狙い通り一発で妊娠していた。
静香は、ちょっぴり後悔していた。安定期がくるまで俊也は断固挿入不可の方針だったから。
「それでね、ミネットがモデルの絵を買ってくれたのよ。
なんと金貨五百枚!」
「静香、いいの? もう四点目だよ」
俊也は笑顔で見守る静香に言う。
タイゾー君はユーノ、エンラン、マサラの絵をすでに購入している。そして、国産車の中で最高グレードのワンボックスカーも。
「いいのよ。
あの年で、もうお金の使い道なんてないんだから」
ちゅっ。静香もあいさつのキス。
静香は愛人でいいと言ったが、俊也は彼女を入籍した。
したがって、日本の法律上は彼女が正妻だ。
出産も彼女が一番早いだろう。それを見越しての入籍だった。
「よいしょっと……。ミネット、大切な話がある。
静香も聞いて」
俊也はミネットをお姫様だっこし、そのままベッドへ移した。
カラオケとAV設備が整ったこの部屋は、一応大使館の居間代わりになっている。
ミラーボールや、鏡張りの天井が、やや落ち着かない。
「話って?」
ベッドの端に腰掛け、ミネットが聞く。
「一つには、ミストの魔法研修団を受け入れることになった。
団長はなんと元王妃だってさ。
他に三人予定しているそうだ。
要するに、俺とのエッチで魔力を上げてくれ、ということだね。
それと、もう一つ大事な話。
君のお父さんのことがわかった。
君のお父さん、本当の名前はアルフ・オズモン。
ミスト王国の元騎士団員。
ミストでも指折りの魔法戦士だったそうだ」
ミネットは顔をこわばらせうなずく。
「本当は、君の伯父さんに当たる人だ。
そして、エレンは君の叔母さんにあたる。
意味、わかるね?」
そう前置きし、俊也は事情を詳しく語った。
こわばったままのミネットの表情は、彼女に似つかわしくなく、ひどく無表情だった。
「そうなんですか?
だけど、私には全然関係のない話だから」
そう言ってミネットは、部屋から出て行った。
俊也は王国語がわからない静香に、状況を説明した。
「そうか、そんなことがあったんだ?
だけど、なんとなく元王妃さんの気持ちもわかるな。
多分エレンさんのお兄さんが、大好きだったんだよ。
王に召されたら、断るわけにいかないだろうし、マークさんとセックスしたのは、せめてもの抵抗だったんだろうね。
俊也君、夫としての出番だよ。
早く行ってあげなさい」
俊也は思う。さすがロマンチスト静香。
彼女の想像は可能性の一つでしかない。
だが、せめてそうであってほしいと願う俊也だった。ミネットのために。
ミネットは建物の外で、ぼんやりたたずんでいた。俊也は彼女の肩をぽんと叩く。
「ミネット、今の君は幸せ?」
「えっ……。もちろんですよ」
不意の質問に、ミネットは意表をつかれた。
俊也が自分を追ってくることはわかっていた。多分自分は、俊也さんを待っていたのだろう。慰められるために。
そして思う。自分を心配し、追ってきてくれる人がいる。
これを幸せと言わず、何と言えばいいのだ。
「よかった。ならいいじゃない。散歩しようか?」
ミネットは俊也の言葉に、こくんとうなずいた。
「稲がだいぶ色づいてきたね。日本人にとって、米は特別に大切な作物なんだ」
大使館の周辺は、ほとんどが稲田だった。稲穂は色づき、重そうに頭を垂れている。
もうすぐ収穫だろう。
「稲、米、ご飯。最初教えられたとき、混乱しました。
大切なものだから、呼び方を細かく変えるんですね?」
「そうだろうね。寿司のごはん、シャリって呼ぶんだよ」
「シャリ? どうしてご飯じゃないんですか?」
「シャリというのは、骨のことなんだ。
白いことの共通性?
驚くかもしれないけど、日本人にとって骨は、信仰の対象ともなる。
仏教が日本で一番盛んだと、教えたことがあるだろ?
仏舎利といって、仏教の始祖の骨を細かくして分け、寺院で信仰のシンボルとなっている。
聖職者の骨だけじゃなくて、墓の中の先祖の骨も拝む。
単に色の共通性だけじゃないと思うな。
米も骨も尊ぶ対象として。
そういうことだと思う」
「すてきな話ですね」
ミネットは俊也の手に手を重ねる。
俊也はしっかり握りしめてくれた。
「先祖も生きてる時は、なんだかな、って思う人もいる。
憎悪を抱くような人も。
だけど、その人がいなければ自分はありえない。
そのことだけは、忘れない方がいいね」
ミネットは、やっとわかった。それが言いたかったんだ?
「だけど、産んだ責任があるでしょ?
その責任を放棄した人、尊ぶ気になれません」
「だよね。君のお父さん…、エルフィンさんは、どうして君を育てたのかな?」
その質問に、ミネットはまた意表をつかれた。
妹の娘だから?
自分の子でもないのに、すべてを捨てて、私のためだけに生きてくれた。
どうしてなんだろう?
「最初は『家』への責任だけだったと思う。
だけど、育てていくうちに、どうしようもなく君を愛してしまった。
今のまっすぐな君を見てると、そういうことだと思う。
もう少し心の余裕ができたら、君の母親が、どうして君を捨てなければならなかったのか。
そのことも考えてあげて。
もう一つ。
お父さんは幸せそうだったか、君の母親は幸せなのか。
できたらそれも考えて。アイス、買いに行こう」
「ハーゲン・×ッツで」
ミネットは、笑顔で俊也を見上げる。
わかりましたよ。俊也さん。
それが「おもいやり」の精神ですよね?
ミネットは、その日本的な精神を美しいと思う。
俊也さんは「おもいやり」の人。
だから大勢の嫁たちを抱え込むことができる。
だが、それは俊也さんの危うさでもある。
事実、私の生みの母親のため、見知らぬ女性を受け入れようとしている。
「俊也さん、無理しないで下さいね。
またお嫁さんが増えそうで」
「だよね~。どうしようか?」
「微妙にニヤケてません?
そうか、楽しみなんだ?」
ミネットは、俊也をからかう余裕ができた。
「ばれた?
やっぱり出会いって楽しみじゃない?
君の生みのお母さん、関係ないと言ったよね?
関係ないところから、新しく出会ってみない?
先入観は捨てて」
ミネットは、なるほどと思う。
自分を捨てた母親としてではなく、一人の女性として。
そう考えたら同情できる。元王妃は、多分自分より幸が薄かっただろう。
私には「お父さん」がいた。生活に余裕はなかったが、「お父さん」は、不幸に見えなかった。
そして今は、俊也さんや多くの嫁仲間がいる。
受け入れられそうな人なら、受け入れよう。ミネットは、そんな気持ちになれた。
「それで、元王妃さんは、どれぐらい館にいるんですか?」
ミネットが聞く。
「多分一生。彼女には帰る場所がないんだ」
ミネットは驚いて立ち止まった。
「どうして?」
「どこへ行ける?」
聞き返され、ミネットは考えた。
ミスト王宮へは絶対帰れない。
実家も…そんなに迷惑かけちゃったら、いたたまれないだろう。
再婚は?
王に離縁された元王妃じゃ、みんな敬遠するかな?
そうか、本当に行くところがないんだ……。
「なら、仲良くしなきゃ、ですよね?
家なきオバサンとは」
ミネットはそう言って、俊也の腕に腕をからめてきた。
「そうだね。ミネットはいい子だ」
「子ども扱いするんじゃありません!
夜のお相手も立派に務めてるんですから!」
「そうでした。感度も一段と良くなってる感じ」
「もう! やらしいんだから!」
ミネットは、いっそう体を寄せた。
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