【R18】猫は異世界で昼寝した

nekomata-nyan

文字の大きさ
144 / 230

144 ミネットの反応は?

しおりを挟む
 俊也は再び日本の大使館へ。大使館にいるミネットに事情を話すためだ。

どんな反応をするだろう?

「お帰りなさい!」
 魔法陣を出てすぐ、ミネットが飛びついて来た。

俊也はハグで、ミネットの体を受け止める。

「ただいま」
ちゅっ、キスを施す。

「タイゾー君が、変なお寿司屋に連れて行ってくれた。
カウンターに、レーンが付いてないの!」

「ほほ~、それは変な店だね」
 タイゾー君とは、静香の祖父だ。いい年してロリコン色が濃いようだ。

それを承知の上で、静香は嫁たちをどんどん紹介している。

ちなみに、静香は狙い通り一発で妊娠していた。

静香は、ちょっぴり後悔していた。安定期がくるまで俊也は断固挿入不可の方針だったから。

「それでね、ミネットがモデルの絵を買ってくれたのよ。
なんと金貨五百枚!」

「静香、いいの? もう四点目だよ」
 俊也は笑顔で見守る静香に言う。

タイゾー君はユーノ、エンラン、マサラの絵をすでに購入している。そして、国産車の中で最高グレードのワンボックスカーも。

「いいのよ。
あの年で、もうお金の使い道なんてないんだから」
ちゅっ。静香もあいさつのキス。

静香は愛人でいいと言ったが、俊也は彼女を入籍した。
したがって、日本の法律上は彼女が正妻だ。

出産も彼女が一番早いだろう。それを見越しての入籍だった。

「よいしょっと……。ミネット、大切な話がある。
静香も聞いて」
 俊也はミネットをお姫様だっこし、そのままベッドへ移した。

カラオケとAV設備が整ったこの部屋は、一応大使館の居間代わりになっている。

ミラーボールや、鏡張りの天井が、やや落ち着かない。

「話って?」
 ベッドの端に腰掛け、ミネットが聞く。

「一つには、ミストの魔法研修団を受け入れることになった。
団長はなんと元王妃だってさ。
他に三人予定しているそうだ。
要するに、俺とのエッチで魔力を上げてくれ、ということだね。
それと、もう一つ大事な話。
君のお父さんのことがわかった。
君のお父さん、本当の名前はアルフ・オズモン。
ミスト王国の元騎士団員。
ミストでも指折りの魔法戦士だったそうだ」
 ミネットは顔をこわばらせうなずく。

「本当は、君の伯父さんに当たる人だ。
そして、エレンは君の叔母さんにあたる。
意味、わかるね?」
 そう前置きし、俊也は事情を詳しく語った。

こわばったままのミネットの表情は、彼女に似つかわしくなく、ひどく無表情だった。

「そうなんですか? 
だけど、私には全然関係のない話だから」
 そう言ってミネットは、部屋から出て行った。

俊也は王国語がわからない静香に、状況を説明した。

「そうか、そんなことがあったんだ? 
だけど、なんとなく元王妃さんの気持ちもわかるな。
多分エレンさんのお兄さんが、大好きだったんだよ。
王に召されたら、断るわけにいかないだろうし、マークさんとセックスしたのは、せめてもの抵抗だったんだろうね。
俊也君、夫としての出番だよ。
早く行ってあげなさい」
俊也は思う。さすがロマンチスト静香。

彼女の想像は可能性の一つでしかない。

だが、せめてそうであってほしいと願う俊也だった。ミネットのために。


 ミネットは建物の外で、ぼんやりたたずんでいた。俊也は彼女の肩をぽんと叩く。

「ミネット、今の君は幸せ?」

「えっ……。もちろんですよ」
 不意の質問に、ミネットは意表をつかれた。

俊也が自分を追ってくることはわかっていた。多分自分は、俊也さんを待っていたのだろう。慰められるために。

そして思う。自分を心配し、追ってきてくれる人がいる。
これを幸せと言わず、何と言えばいいのだ。

「よかった。ならいいじゃない。散歩しようか?」
 ミネットは俊也の言葉に、こくんとうなずいた。


「稲がだいぶ色づいてきたね。日本人にとって、米は特別に大切な作物なんだ」
 
大使館の周辺は、ほとんどが稲田だった。稲穂は色づき、重そうに頭を垂れている。
もうすぐ収穫だろう。

「稲、米、ご飯。最初教えられたとき、混乱しました。
大切なものだから、呼び方を細かく変えるんですね?」

「そうだろうね。寿司のごはん、シャリって呼ぶんだよ」

「シャリ? どうしてご飯じゃないんですか?」

「シャリというのは、骨のことなんだ。
白いことの共通性? 
驚くかもしれないけど、日本人にとって骨は、信仰の対象ともなる。
仏教が日本で一番盛んだと、教えたことがあるだろ? 
仏舎利といって、仏教の始祖の骨を細かくして分け、寺院で信仰のシンボルとなっている。
聖職者の骨だけじゃなくて、墓の中の先祖の骨も拝む。
単に色の共通性だけじゃないと思うな。
米も骨も尊ぶ対象として。
そういうことだと思う」

「すてきな話ですね」
 ミネットは俊也の手に手を重ねる。

俊也はしっかり握りしめてくれた。

「先祖も生きてる時は、なんだかな、って思う人もいる。
憎悪を抱くような人も。
だけど、その人がいなければ自分はありえない。
そのことだけは、忘れない方がいいね」
 
ミネットは、やっとわかった。それが言いたかったんだ?

「だけど、産んだ責任があるでしょ? 
その責任を放棄した人、尊ぶ気になれません」

「だよね。君のお父さん…、エルフィンさんは、どうして君を育てたのかな?」
 
その質問に、ミネットはまた意表をつかれた。

妹の娘だから? 

自分の子でもないのに、すべてを捨てて、私のためだけに生きてくれた。

どうしてなんだろう?

「最初は『家』への責任だけだったと思う。
だけど、育てていくうちに、どうしようもなく君を愛してしまった。
今のまっすぐな君を見てると、そういうことだと思う。
もう少し心の余裕ができたら、君の母親が、どうして君を捨てなければならなかったのか。
そのことも考えてあげて。
もう一つ。
お父さんは幸せそうだったか、君の母親は幸せなのか。
できたらそれも考えて。アイス、買いに行こう」

「ハーゲン・×ッツで」
ミネットは、笑顔で俊也を見上げる。

わかりましたよ。俊也さん。

それが「おもいやり」の精神ですよね? 

ミネットは、その日本的な精神を美しいと思う。

俊也さんは「おもいやり」の人。

だから大勢の嫁たちを抱え込むことができる。

だが、それは俊也さんの危うさでもある。

事実、私の生みの母親のため、見知らぬ女性を受け入れようとしている。

「俊也さん、無理しないで下さいね。
またお嫁さんが増えそうで」

「だよね~。どうしようか?」
「微妙にニヤケてません? 
そうか、楽しみなんだ?」
 ミネットは、俊也をからかう余裕ができた。

「ばれた? 
やっぱり出会いって楽しみじゃない? 
君の生みのお母さん、関係ないと言ったよね? 
関係ないところから、新しく出会ってみない? 
先入観は捨てて」
 
ミネットは、なるほどと思う。

自分を捨てた母親としてではなく、一人の女性として。

そう考えたら同情できる。元王妃は、多分自分より幸が薄かっただろう。
私には「お父さん」がいた。生活に余裕はなかったが、「お父さん」は、不幸に見えなかった。

そして今は、俊也さんや多くの嫁仲間がいる。

受け入れられそうな人なら、受け入れよう。ミネットは、そんな気持ちになれた。

「それで、元王妃さんは、どれぐらい館にいるんですか?」
 ミネットが聞く。

「多分一生。彼女には帰る場所がないんだ」
ミネットは驚いて立ち止まった。

「どうして?」

「どこへ行ける?」
 
聞き返され、ミネットは考えた。

ミスト王宮へは絶対帰れない。

実家も…そんなに迷惑かけちゃったら、いたたまれないだろう。
再婚は? 

王に離縁された元王妃じゃ、みんな敬遠するかな?

そうか、本当に行くところがないんだ……。

「なら、仲良くしなきゃ、ですよね? 
家なきオバサンとは」
 ミネットはそう言って、俊也の腕に腕をからめてきた。

「そうだね。ミネットはいい子だ」 

「子ども扱いするんじゃありません! 
夜のお相手も立派に務めてるんですから!」

「そうでした。感度も一段と良くなってる感じ」

「もう! やらしいんだから!」
 
ミネットは、いっそう体を寄せた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生?したら男女逆転世界

美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。 ※カクヨム様にも掲載しております

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

異世界亜人熟女ハーレム製作者

†真・筋坊主 しんなるきんちゃん†
ファンタジー
異世界転生して亜人の熟女ハーレムを作る話です 【注意】この作品は全てフィクションであり実在、歴史上の人物、場所、概念とは異なります。

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

処理中です...