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152 朝のおかわり

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 翌朝、ミーナはなんとも心地よい目覚めを迎えた。

引きずっていたはずの、長旅の疲れが一切ない。

隣をみたら、俊也の姿が見えない。

フフ…くすぐったい。猫ひげが太腿をくすぐった。

そうだった。眠ったら俊也さんは、猫に変身する。

ナイトは布団の中で、大きく伸びをしたようだ。自分の足の間で眠っていたらしい。

俊也さんのスケベ魂は、まさしく本物。

あん……。そんなとこ、ぐりぐりしちゃ、ダメ……。

ゆうべはすごいの一言。俊也のおかげで、ミーナは初めて性の悦びを知った。男性であれほど献身してくれる人がいるのか。

繊細な優しさと、圧倒的な力。

これはミネットも夢中になっちゃうよね。

ミーナは経産婦ながら、性体験はそれほど多くない。
マーク・ダイニーとは一度だけ。ロン王はセックスに対し、極端に淡泊だった。

新婚当初も、月に一度でも通ってきたら多い方だった。
ここ数年、彼がミーナの寝室に通うことはなかった。

たった一晩の情交は、ミーナのしおれかけた性感を一挙に開花させてしまった。

ミーナはふと気づく。なんだか体中に生気がみなぎっているような。

ひょっとして、はっきり感じられるほど魔力が上がってる? 

ミーナは飛び起きた。おっぱいを触ってみる。

なに、これ? 

張りがはっきり感じられる。腕のお肌も……。

ナイトがびっくりして布団から這い出した。

「ごめん。起こしたみたいね」
つん。ミーナはゆうべ聞いたことを思い出して、ナイトの鼻に鼻をくっつける。

素っ裸の俊也が、抱きついてきた。お腹に当たってる……。

あのすごいやつが。俊也はパオーンをミーナの腹部に押し付け、彼女の唇に標的を定めた。

 また、なの? フフフ……。大歓迎! ミーナは俊也の情熱的な朝チューに応じた。

「気づいてる? ミーナのおっぱい、張りが出てきたね?」
 俊也はおっぱいをもみながら言う。
「はい。気づいてます」

「お肌も、いい感じになってる」
 そう言って俊也は、おっぱいぱふぱふを楽しむ。結構なパフパフ感ですこと。そ~れ、ぱふぱふ、ぱふぱふ……。なんだか「おかあちゃん」感が薄れ、寂しくもある。
 そういえば、ルマンダも最初は今より相当柔らかかったかも。
 仰向けでも崩れにくくなっているのは歓迎だけど、ほっぺたやジュニアが埋まる感じではなくなった。
 
 きっとミーナも、若返っちゃうんだよね? 今のうちに……、

 そ~れ、ぱふぱふ、ぱふぱふ……。

 ミーナは思っていた。俊也さん、いつまでじらすの!

 え~い! ミーナは態勢を入れ替え、俊也ジュニアを両手でつかんだ。

「え~っと、入内前に侍女から教わりました。
口や舌で、殿方のこれを……、たいそう喜んでいただけると」
 ミーナは、言葉を濁しながら、ぱくんちょ……。

『絶対歯を当ててはなりません』
 侍女の注意を思い出しながら、ふんぐ、ふんぐ、じゅぽじゅぽ……。

 ミーナ、生まれて初めてのトライ。
生まれて初めてトライする気になれた。それが正解かもしれない。

 だって、俊也さん、あんなところやあんなところも、なめてくださったんだもん!


 ルラは目玉焼きを、俊也とミーナの前に置いた。

貴族出身の嫁たちは、料理下手の呪いを、多少克服している。
単純に焼くだけなら、まともな目玉焼きが完成する。それに塩やコショウを振る作業を試みたら、とたんに呪いが発動する。
塩・コショウ少々が、塩漬け・コショウ漬け目玉焼き一丁上がり。

まことに呪われているとしか、形容のしようがない。オムレツなどという、超高度な卵料理に挑戦する気力は、とうについえている。

エレンが焼いただけのベーコンを添える。フラワーがオーブントースターで、焼いただけの食パンを皿に乗せる。

三人ともやけにニヤけている。ミーナは結構な年齢だが、顔を上げることができなかった。

「他の皆様は?」
 ミーナは、誰にともなく聞いた。

「とっくに朝食は済ませてます。
気になってるんでしょ? 
共同作業の成果、量りましょうか?」
 エレンが悪い顔をして言う。

「はい……」
 ミーナは、消え入りそうな声で答える。

「失礼」と言い、エレンはミーナのおでこにおでこを当てる。

「やっぱりね。二人とも起きるのが遅いと思ったら。
昨日の三倍は、魔力量増えてます。
後で練習場教えますから、自分で確かめてください」

「はい……」
 ミーナは、また蚊の泣くような声で応えた。

「全然恥ずかしいことじゃないですよ。
セックスは自然の営みです」
 ルラはミーナさん、かわいい! と思いながら、顔をひきしめる。

「そうそう。
朝のおかわり、格別だったでしょ?」
 フラワーは、耐えきれずからかってしまった。

「はい……、いや、あの……」
 正直に答えかけ、ミーナは真っ赤になってしまった。

こらえきれず、館三幹部は爆笑してしまった。

ミネットの初めてのときより、よほど初々しい反応だった。

三幹部は容易に想像がついた。ミスト屈指の名門に生まれ、王の正妃として暮らす生活が、どのようなものだったかの。
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