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171 南大陸から来た少女
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ミスト王国最南端。港町ギース。南大陸との交易で栄える街だ。
宿敵ナームに大勝利。祝勝ムードは街の活気を高め、いまだにその名残がある。
ミスト船籍の商船から、一人の少女が下りた。
褐色の肌に、ポニーテールでまとめた長い黒髪。ひきしまった肢体に、鋭角に深く整った容貌。
切れ長の黒い目の、野性的な光が印象的だ。男のような動きやすい服装に、腰には長剣を帯び、大きな杖を右手で持っている。
左手は背負った荷物袋の端を持つ。
彼女の出身は、エジパト首長連合国。パトラン族首長の五女。名をクレオ・パトランという。
実年齢四十二歳。見た目はハイティーン。
パトラン一族には、大きな秘密がある。秘密だから今のところ内緒だけど。
彼女の目的は、魔法の修行と婿探し、というより種探し。
早い話、彼女に勝てるような、魔導師の種を得ることだ。
目的地は、もちろん魔法王国イスタルト。クレオは以前から、イスタルトに憧れていた。
ミストの商人から、最近耳寄り情報を得た。イスタルトのカントという街に、とんでもない魔導師がいるという。
その商人いわく、
『今度のナームとの戦争、どっかから雇った魔導師が、あっという間にやっつけたらしいですよ。
ミストの兵は、出る幕なしって感じです。
王はその魔導師のこと、秘密にしてますが、そんな離れ技がやれるのは、カントの大魔導師しかいないっていう噂です』
そのとんでも大魔導師は、平民年齢でいえば二十前後。
絶対その大魔導師の種をゲットする!
クレオは固く決意し、故郷を後にした。
父親も「そうか、必ずその男をゲットしろ」と後押ししてくれた。
カントに一番早く行ける港はギース。そんな事情で、今彼女はここにいる。
ふむ。なかなか活気がある街だ。今日はこの街で宿をとって、とりあえず馬を買おう。
彼女は宿を探すため、ギースの街並みを歩き始めた。
あれあれ? だんだん寂れてきてない?
クレオは宿を決めあぐねるうちに、薄汚れた路地に迷い込んだ。彼女は生粋の方向オンチという属性を持っていた。
後はお約束の展開が、待ち受けるのみ。
「これこれ、若い娘を、そう乱暴に扱ってはいけないな」
クレオは眉をひそめて言う。三人の男が妙齢の美しい少女を取り巻き、その中の一人が、少女の腕をつかんで引っ張っている。
少女の身なりから、裕福な家で育ったと思われる。
事情はわからないが、クレオは男三人が悪党と決めつけていた。
「余計なことに首を突っ込むな。
お嬢さん、我がままは、もうなしにしてください」
娘の腕をつかんでいる男が、苦々しげに言った。
「いやです!」
娘は激しく抵抗する。
「仕方ない」
男は仲間に目くばせした。一人が娘の左腕をつかみ、もう一人が両足を持ち上げた。
「かどわかし?
どう見てもかどわかしだよね?」
クレオは一応聞いてみた。
「うるせえ、かどわかしじゃねえよ!」
男がはき捨てる。
「助けて~~~!
かどわかしです!」
娘が助けを求めた。
どっちを信用する? クレオはちょっぴり迷った。
男が娘に敬語を使ったことに、ひっかかったのだ。それに「わがままは、もうなしにしてください」という言葉。
娘と男は知り合いのようだ。
え~い! 手加減すれば問題なし!
クレオは杖の先で、男たちの腹にあて身をくらわせた。男たちも娘も、言葉を発する隙がないほどの速さだった。
宿敵ナームに大勝利。祝勝ムードは街の活気を高め、いまだにその名残がある。
ミスト船籍の商船から、一人の少女が下りた。
褐色の肌に、ポニーテールでまとめた長い黒髪。ひきしまった肢体に、鋭角に深く整った容貌。
切れ長の黒い目の、野性的な光が印象的だ。男のような動きやすい服装に、腰には長剣を帯び、大きな杖を右手で持っている。
左手は背負った荷物袋の端を持つ。
彼女の出身は、エジパト首長連合国。パトラン族首長の五女。名をクレオ・パトランという。
実年齢四十二歳。見た目はハイティーン。
パトラン一族には、大きな秘密がある。秘密だから今のところ内緒だけど。
彼女の目的は、魔法の修行と婿探し、というより種探し。
早い話、彼女に勝てるような、魔導師の種を得ることだ。
目的地は、もちろん魔法王国イスタルト。クレオは以前から、イスタルトに憧れていた。
ミストの商人から、最近耳寄り情報を得た。イスタルトのカントという街に、とんでもない魔導師がいるという。
その商人いわく、
『今度のナームとの戦争、どっかから雇った魔導師が、あっという間にやっつけたらしいですよ。
ミストの兵は、出る幕なしって感じです。
王はその魔導師のこと、秘密にしてますが、そんな離れ技がやれるのは、カントの大魔導師しかいないっていう噂です』
そのとんでも大魔導師は、平民年齢でいえば二十前後。
絶対その大魔導師の種をゲットする!
クレオは固く決意し、故郷を後にした。
父親も「そうか、必ずその男をゲットしろ」と後押ししてくれた。
カントに一番早く行ける港はギース。そんな事情で、今彼女はここにいる。
ふむ。なかなか活気がある街だ。今日はこの街で宿をとって、とりあえず馬を買おう。
彼女は宿を探すため、ギースの街並みを歩き始めた。
あれあれ? だんだん寂れてきてない?
クレオは宿を決めあぐねるうちに、薄汚れた路地に迷い込んだ。彼女は生粋の方向オンチという属性を持っていた。
後はお約束の展開が、待ち受けるのみ。
「これこれ、若い娘を、そう乱暴に扱ってはいけないな」
クレオは眉をひそめて言う。三人の男が妙齢の美しい少女を取り巻き、その中の一人が、少女の腕をつかんで引っ張っている。
少女の身なりから、裕福な家で育ったと思われる。
事情はわからないが、クレオは男三人が悪党と決めつけていた。
「余計なことに首を突っ込むな。
お嬢さん、我がままは、もうなしにしてください」
娘の腕をつかんでいる男が、苦々しげに言った。
「いやです!」
娘は激しく抵抗する。
「仕方ない」
男は仲間に目くばせした。一人が娘の左腕をつかみ、もう一人が両足を持ち上げた。
「かどわかし?
どう見てもかどわかしだよね?」
クレオは一応聞いてみた。
「うるせえ、かどわかしじゃねえよ!」
男がはき捨てる。
「助けて~~~!
かどわかしです!」
娘が助けを求めた。
どっちを信用する? クレオはちょっぴり迷った。
男が娘に敬語を使ったことに、ひっかかったのだ。それに「わがままは、もうなしにしてください」という言葉。
娘と男は知り合いのようだ。
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