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187 ナビス平原を開墾しよう
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魔法陣移動可能な館の嫁は、ナビス平原に集合。
ナビス平原は、ざっと千百ヘクタールほどか。ミスト側ナーム側にも、山地で隔てられた盆地だ。比較的暖かい地域だが、冬が訪れる前、ある程度整地しておく必要がある。
「生態系変えちゃうけど、木は全部伐採。
この平原には、山から時々ひのえ熊やシルバーウルフが下りてくるらしいけど、基本的にはホワイトコヨーテが最大の敵だ。
見かけたら、かわいそうだけど殺処分……」
俊也は開墾の基本方針を、嫁たちに説明する。
彼の構想は、なるべく長方形型で区画整理をし、基点につながる、石畳の太い道をまずつくることだ。
その基点とは、ミストとナームを結ぶ直線に一番近い地。
ミスト軍の仮設城砦が設けられている。
「まず、くいに沿って二メートルほど掘る。
そこに邪魔な岩や石を集める。
岩や大きな石はなるべく細かく。
じゃ、とりかかって」
嫁たちは「ラジャー!」と応え、さっそく作業を始めた。
彼女たちは、山を削って整地する作業に慣れている。山を削るより楽な作業だ。
仮設城砦の見張り台から、ロン王とフィード伯爵は、嫁たちの作業を見守っていた。
「インプロージョンで大まかに掘って、風魔法で土を耕作予定地に飛ばす。
土ぼこりがまわないよう、雨を降らせながら……。
見事な手際だ」
ロン王はひとり言のように、感嘆の言葉をもらす。
「単に穴を掘るだけなら容易ですが、あの魔力操作は、並みの魔導師では不可能です。
確かに見事と言うしかありません」
フィードは、一つうなずいて応える。
「おお! 大岩が転がっていく。
あれはどのような魔法だ?」
「わかりません。重さをなくす魔法でもあるのでしょうか?
今度俊也殿に…館は秘密主義ですから、教えてもらえるかどうかわかりませんな。
深く考えない方が、よろしいかと」
「そうだな。俊也殿たちが、どうやってここへ来たのかも」
「上級魔導師たちが、追い求めている転移魔法でしょう。
その秘密は、絶対明かさないと思います。
むしろその方が平和です。
そんな魔法が公になったら、おちおち眠れません」
「ハハハ、俊也殿の機嫌を損ねたら、わしなど真っ先に暗殺されるだろう」
「おそらく、堂々と魔法を落とすのでは?
英雄の池はご覧になりましたか?
あれを王宮に落とされたら、ひとたまりもありません」
フィードの言う「英勇の池」とは、先の戦で、ミネットが小山のふもとに作った大穴だ。
ちなみに、その小山は「英勇の山」と名付けられている。「正体不明」の傭兵魔導師を顕彰し、ミスト兵が、誰となく言いだしたその名前は、王の許しを得て、正式名となっている。
「その気になったら、世界を征服できるな?」
「その気に絶対ならない。
それは断言できます。
王、あのお土産、多分前のように強力な作用はないだろうと、言付かっております。
お試しください」
「おお、さようか。
あまりに子が増えすぎても困る。
ほどほどに飲んでみよう」
フィードの言う「あのお土産」とは、館謹製の強精ドリンクだ。
もちろん「特急畑」以外の薬草が原料で、主成分も薄めている。
「お望みなら、子づくりドリンク、いつでもお申し付けください。
カントの密偵は、めでたく俊也殿の寵を受けたそうです。
ライラを通したら、大抵の要求は飲むでしょう」
「俊也殿の弱点はやっぱり女か?」
「畏れながら違います。俊也殿の強みです」
「ハハハ、一本取られた。
そなたの言う通りだ」
ロン王は、目を細めて嫁たちの作業を見守り続けた。
ナビス平原は、ざっと千百ヘクタールほどか。ミスト側ナーム側にも、山地で隔てられた盆地だ。比較的暖かい地域だが、冬が訪れる前、ある程度整地しておく必要がある。
「生態系変えちゃうけど、木は全部伐採。
この平原には、山から時々ひのえ熊やシルバーウルフが下りてくるらしいけど、基本的にはホワイトコヨーテが最大の敵だ。
見かけたら、かわいそうだけど殺処分……」
俊也は開墾の基本方針を、嫁たちに説明する。
彼の構想は、なるべく長方形型で区画整理をし、基点につながる、石畳の太い道をまずつくることだ。
その基点とは、ミストとナームを結ぶ直線に一番近い地。
ミスト軍の仮設城砦が設けられている。
「まず、くいに沿って二メートルほど掘る。
そこに邪魔な岩や石を集める。
岩や大きな石はなるべく細かく。
じゃ、とりかかって」
嫁たちは「ラジャー!」と応え、さっそく作業を始めた。
彼女たちは、山を削って整地する作業に慣れている。山を削るより楽な作業だ。
仮設城砦の見張り台から、ロン王とフィード伯爵は、嫁たちの作業を見守っていた。
「インプロージョンで大まかに掘って、風魔法で土を耕作予定地に飛ばす。
土ぼこりがまわないよう、雨を降らせながら……。
見事な手際だ」
ロン王はひとり言のように、感嘆の言葉をもらす。
「単に穴を掘るだけなら容易ですが、あの魔力操作は、並みの魔導師では不可能です。
確かに見事と言うしかありません」
フィードは、一つうなずいて応える。
「おお! 大岩が転がっていく。
あれはどのような魔法だ?」
「わかりません。重さをなくす魔法でもあるのでしょうか?
今度俊也殿に…館は秘密主義ですから、教えてもらえるかどうかわかりませんな。
深く考えない方が、よろしいかと」
「そうだな。俊也殿たちが、どうやってここへ来たのかも」
「上級魔導師たちが、追い求めている転移魔法でしょう。
その秘密は、絶対明かさないと思います。
むしろその方が平和です。
そんな魔法が公になったら、おちおち眠れません」
「ハハハ、俊也殿の機嫌を損ねたら、わしなど真っ先に暗殺されるだろう」
「おそらく、堂々と魔法を落とすのでは?
英雄の池はご覧になりましたか?
あれを王宮に落とされたら、ひとたまりもありません」
フィードの言う「英勇の池」とは、先の戦で、ミネットが小山のふもとに作った大穴だ。
ちなみに、その小山は「英勇の山」と名付けられている。「正体不明」の傭兵魔導師を顕彰し、ミスト兵が、誰となく言いだしたその名前は、王の許しを得て、正式名となっている。
「その気になったら、世界を征服できるな?」
「その気に絶対ならない。
それは断言できます。
王、あのお土産、多分前のように強力な作用はないだろうと、言付かっております。
お試しください」
「おお、さようか。
あまりに子が増えすぎても困る。
ほどほどに飲んでみよう」
フィードの言う「あのお土産」とは、館謹製の強精ドリンクだ。
もちろん「特急畑」以外の薬草が原料で、主成分も薄めている。
「お望みなら、子づくりドリンク、いつでもお申し付けください。
カントの密偵は、めでたく俊也殿の寵を受けたそうです。
ライラを通したら、大抵の要求は飲むでしょう」
「俊也殿の弱点はやっぱり女か?」
「畏れながら違います。俊也殿の強みです」
「ハハハ、一本取られた。
そなたの言う通りだ」
ロン王は、目を細めて嫁たちの作業を見守り続けた。
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