【R18】猫は異世界で昼寝した

nekomata-nyan

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228 お約束すぎる妨害工作

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228 お約束すぎる妨害工作

※もうすぐこの作品完結予定です。次は年末あたりに、R18ではなく『なろう』に投稿した作品を少しいじって、という心づもりです。

◇ ◇ ◇

 ショッピングモール開店当日。

臨時に増やした乗合馬車は、早朝から街道に連なっている。

街道外れの林に、ゲルト一家の子分たちが集結していた。

ゲルト一家は、キャンベル商会と裏でつながるヤクザ者たちだ。
子分たちは、理由も聞かされず、「とにかく馬車を止めて、通れなくしろ」と、親分から命令されていた。

その目的は、子分たちも当然見当がついている。

彼らは内心びくびくものだ。なにせイスタルト王の商売を妨害するのだから。

また、王の共同経営者は、恐ろしい魔導師だという噂も聞いていた。

だが、親分の命令は絶対だ。

「いくぞ!」
 アニキ分は、やけくそで号令をかけた。
「おう」
 十人の悪党モブキャラどもは、仕方なく突撃した。

「でた~! 待ってたよ!」
 少女が御者席から飛び降りた。
悪党どもにとって不運なことに、その馬車に乗っていたのはクレオだった。

クレオはライトソードをモブキャラに、一閃、二閃、三閃……。光が走るたび両足を刈っていく。
計二十本のすねが、きれいに折れたところで完全決着。

「安心してね。
ショッピングモールで、車いすも販売してるから!
どうぞごひいきに!」

魔法主体のメンバーやコピー乙女なら、気絶させられるだけで済んだだろう。

合掌……。


 一方ショッピングモールでは、前日からの泊まり込み客や、朝一番で乗り込んだ近隣客が、どっと詰めかけていた。


「うあ~! 出店がいっぱい!」
「ふーどこーと、っていうらしいよ」

「もふもふ動物園!」
「はいはい。手を離しちゃダメよ。
迷子になっちゃうから」

「ちょこばななって何?」
「くれーぷってなんだろう?」
「たこやき? 早く食べてみようよ!」

「朝ごはん食べたばかりでしょ」
「食べたい! 食べたい! 食べたい!」


 親子連れや、若いカップルなど、微笑ましい光景が繰り広げられている。

人相の悪い連中が五組、二人ずつに別れ、人混みにまぎれていた。

「アニキ、なんか場違いな感じしません? 
なんつ~か…健康的?」
「とにかくなんでも因縁つければいいんだ。
俺たちは不健康が売りなんだから」

「はあ……。じゃ、ちょこばなな、ってやつ買ってみます。
なんかあれ、真っ黒で不気味ですよね?」
 そう言ってチンピラAが、並んでいる客を押しのけ、最前列に割り込む。

「お客さん、困りますね。
ちゃんと並んでください」
 超美麗の売り子が、冷たく笑って言う。

「あ~、なんだって?」
 チンピラAは、すごもうとして、ピキンと固まった。

「一家とあなたの名前、大きな声で言ってください。
そして何をしようとしていたのかも」
 美麗売り子は、冷ややかな声で命じる。

「キーツ一家! 
名前はミック。
ちょこばななの中にハエをいれて、因縁つけようとしました!」

「そうなんですか。下っ端のようですね? 
あなたのアニキ? 
その人に、思い切り抱きつきなさい。
そしてディープにキスを」

「はい! ミック、いきまーす!」
 チンピラAは、人混みから外れたところで、様子をうかがうアニキ分に駆け寄った。

「アニキ、前から大嫌いでした!」
 グイ、ガバ、ブチュー! 

あっけにとられていたアニキ分は、弟分に抱きしめられ、激しく唇を奪われた。

そのチンピラが選んだチョコババナは、フラワーが担当していた。
世にも不幸なチンピラ義兄弟は、彼女の育児ストレス発散の、手段とされた。
フラワーの精神魔法は、目を合わせるだけで、相手を操れる域に達していた。

この義兄弟コンビに、愛が生まれたかどうかは知らない。


ショッピングモールに来ていた、キーツ一家全員は、何らかの形でひどい目にあい、拘束された。

彼らの背後で、チア衣装のコピー乙女がキツネダンスを踊る。
手錠をかけられたムサイチンピラたちは、意思に反し、両手の指でキツネを作り、体をリズミカルに揺する。

日頃から、キーツ一家を疎んでいた客たちは拍手喝采。

それらのアトラクションは、グランドオープンに毒花を添えた。

乗合馬車襲撃犯は、肉体的ダメージをこうむり、ショッピングモール妨害犯は、精神的ダメージを負った。
どちらがより不運だったのか、読者様の判断にゆだねます。


 時刻は午後六時。日没前にショッピングモールは閉店。嫁や愛人たちが中央広場に集合。
 コピー乙女たちは、チア衣装のままで、後片付けや明日の商品を準備している。
 衣装が変えられないのは、コピー乙女たちの欠点といえば欠点だが、ふりふりのスカートがひらひらと……。
 コピーされた当人にとっては、いささか気恥ずかしい。

 もちろん発案者俊也にとっては超眼福。

「みんな、ご苦労さん!
売り上げは見積もりの倍以上!
明日二日目も頑張っていきましょう!
ささやかだけど、楽しんで!」
 俊也が嫁や愛人たちをねぎらい、祝宴は開始された。

「みんな、お酒が入る前に、俊也さんを胴上げしよう!」
 クレオが提案する。彼女は大使館で、某関西の球団が、日本一になった場面を見てしまった。
 全然上がってないじゃん!
 あれじゃつまんない。
 そんな感想を持ってしまった。

「どうしたの?
みんな、やらないの?」
 クレオの提案に乗ってくるものはいなかった。妊婦のブルーは、この場にいなかった。
 つまり、みんな良識をわきまえた者ばかり。

「ノリが悪いわね。
じゃ、一人胴上げ!」
 クレオは俊也に駆け寄った。俊也の顔はひきつった。

「クレオさん、いやクレオ様!
できたら……、ぎぃや~~~!」
 俊也の体は、高く舞い上がった。

「おらい~、おら~~い!」
 ぽすん。クレオは見事俊也を、お姫様抱っこでキャッチ。

「俊也さん、気持ちよかった?」
 クレオには、悪気のかけらもない。だから余計にタチが悪い。

「俊也さん! 俊也さん!」
 クレオは慌てた。気づいたら俊也は、ひきつった顔のまま、目を大きく開け気絶しているようだ。
 十数メートルの高さに飛ばされ、ゴムもないままバンジージャンプを強制された状況、想像していただきたい。

「クレオさん、アニキの弱点教えて上げる。
水と高いところが超苦手なの」
 哀れな兄に代わり、朝陽がそう言った。菜摘と共に彼女は、今日助っ人に来ていた。

「ハハハ……、まずかった?」
 クレオは笑ってごまかそうとした。

「多分、一週間ぐらいエッチしてもらえないよ」
 ルラの言葉に、膝から崩れ落ちるクレオだった。
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