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第1章 異世界らしい。
04 冒険者ギルドって…
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駆け出し冒険者達からまぁまぁ有益な情報を引き出した愛斗は今日、漸く冒険者として足を踏み出そうとしていた。
けどなぁ…正直働かなくても死ぬまで遊んで暮らせるしなぁ。あ、でも折角異世界まで来たんだし、魔法は興味あるなぁ。魔力が何なのかは知らないけど。そもそもだ、異世界人な俺にも使えるのかね?定番の神とやらにも出会ってないしな。チート能力とかは期待薄だな。
愛斗はそんな事を考えながら冒険者ギルドへと向かい、歩いていた。1ヶ月この町で暮らしたお陰で町の地理は大体把握している。大体と言うのは、スラムを除いての事である。未だに冒険者ですらない愛斗は正直スラムが怖かった。
「あんな危険そうな場所はまだ無理だ。暫くは表で生活だよな。お、冒険者ギルドが見えてきたな。」
愛斗は冒険者ギルドの扉を開き、受付へと真っ直ぐ進んだ。ここで愛斗が選んだ受付は勿論男性の受付だ。野郎の冒険者ってのは大体が受付嬢か女冒険者に好意を持っている。無駄な争いは避けたい。ましてや勝ち目が全く無い勝負などする気も無い。
「すまない、冒険者登録をお願いしたいのだが。」
「はい、ありがとうございます!我がギルドは常に人材不足!どんな方でも大歓迎です!ささ、こちらの用紙に記入をば。」
なんだこいつ…やけに馴れ馴れしい…いや、いかんいかん。此処はアウェーだ。平常心平常心。
愛斗は問題なく用紙に必要事項を記入していく。文字は既に覚えていた。
「これで大丈夫かな?」
「はい………大丈夫です。では、続いてステータスの確認を致しますので、あちらの部屋にお越し下さい。」
「分かった。」
愛斗は受付の男に案内され、ステータスを調べる為の個室へと案内された。
「この部屋内はあらゆるスキルが無効となっております。中央にある台座の上に水晶玉があるでしょう?それに触れてから【ステータスオープン】と念じてみて下さいさい。」
「ここで見た事は他の冒険者には?」
「勿論、個人情報なので開示は致しません。ご安心下さい。ささ、どうぞ。」
愛斗は促されるまま、台座の上にある水晶玉に触れ念じた。
「【ステータスオープン】!」
目の前にウインドウの様な物が開かれ、そこに愛斗のステータスらしき情報が記載されていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前:椎名 愛斗
種族:人間(異世界人)←()内は本人にしか見えない。
職業:夢追い人@レベル1
レベル:001
体力:100/100
魔力:120/120
力:25
素早さ:40
防御:20
賢さ:9999
運:100/100
スキル
【瞬間記憶能力】【異世界の知識】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
壊れてるな。…うん。
「なんだよ!?この職業、夢追い人って!?職業ですらねぇよ!?更に何だこの賢さ極振りのステータスはよ!?こんなんで異世界生きられかぁぁぁっ!?」
スキルはスキルとも呼べない元からある力だ。
しかし、男性職員の反応は違った。
「で、でででででで出たっ!!ぎ、ギルマスぅぅぅぅぅぅっ!!」
男性職員はいきなり部屋から飛び出し、何処かへと走っていった。
「なんだ?慌てる程のステータスなのかこれ。とてもそうは思えないが。」
そんな事を考えていると、先程の男性職員がすっげー美人を連れて帰って来た。
「はぁ…はぁ…。ほ、本当に出たの?職業夢追い人…。」
「は、はいっ!あれをご覧下さいっ!!」
連れて来られた美人なお姉さんは愛斗の表示されたステータスを見て…粗相をした。
ドバァァァァァァァッ。
「う、うぉぉぉぉぉっ!?な、何だ!?」
「ぎ、ギルマス?」
「はっ!あ、貴方はもう宜しいです。あ、後は私が引き継ぎますので。くれぐれも彼の事は内密に。良いですね?」
「は?」
「イ・イ・デス・ネ?」
ギルマスと呼ばれたお姉さんは黒い笑顔で男性職員に言った。
「い、いいいいイエス、マム!!し、失礼しましたぁっ!!」
男性職員は慌てて部屋を飛び出した。って言うか、あいつは慌て過ぎだな。うん。
カチャリ。
不意に鍵が閉まる音が聞こえた。見るとあのいきなり号泣したお姉さんが後ろ手に鍵を閉めていた。
「は?」
「申し訳ありません。私もこんな姿を誰かに見られたくないので、鍵を掛けさせて頂きました。」
「ま、まぁ…分かるよ、うん。成人した女性が感情失禁なんてな…。」
「ち、違いますよ!?これは…その心の汗です。」
「は?」
「ですから!涙ではなく!その…余りの嬉しさに心が汗を流してしまいました…。」
「はっ?な、何で!?何処に喜ぶ要素があるんだよ!?」
美人のお姉さんは言った。
「先ず、私は当ギルドのマスターで名を【リリィ・アグニス】と申します。」
「あ、ああ。俺は見ての通り、椎名 愛斗だ。」
リリィはいきなり愛斗の手を握って懇願した。
「夢追い人なんて超レア職業の人は此処で初めてよ。何が何でもこのギルドで登録して貰うわっ!ね、良いでしょ?もう用紙も記入済みでしょ!」
愛斗はリリィを怪しんでいた。
「そんなあからさまな勧誘で登録する訳ねぇだろうが!?怪しすぎるわっ!大体夢追い人って何だよ?職業なのか?ただの世捨て人じゃねぇか。」
「へ?何…言ってるの?アナタ、知らないの!?この夢追い人って職業はね…」
そこからリリィの職業解説が始まった。不信感満開だが、取り敢えず職業について話を聞く事が出来た。
どうやら夢追い人ってのは最初はゴミみたいに弱いが、何か夢を1つ自力で叶える事でレベルが上がり、夢追い人→夢を叶えた人→夢を与える人→未踏達と言った具合に職業が変化していく仕組みらしい。これは滅多に見ない職業で、かつて夢を与える人まで行った人物は巨大な国を築き、民に安寧を与えた人物にまでなったと言う。
「ほぉ~ん。そんな大層な職業には見えないがねぇ。見ろよこのステータス。この町最弱じゃねぇの?」
「まぁ…いずれレベルが上がれば分かりますよ。夢を叶えるには力も必要…って事で1レベルが上がる度にステータスが格段に上がる筈です。あ、職業レベルでは無いですよ?肉体のレベルです。」
「んじゃ何か?ある意味最強なのかこの職業。」
「だからそう言ってるじゃないですか!ですので是非とも我がギルドで登録を!あらゆるサポートを致しますので!何卒っなにとぞ~っ!」
何だこの女…。何かヤバい雰囲気を感じる。
「わ、分かった。登録は此処でするから!後、サポートは必要ない。俺は俺のやり方で生きる。口出しは無用だ。少しでも干渉してみろ、直ぐに姿を消すからな?」
「そ、そんなぁ~…。わ、分かりました。では、取り敢えず登録だけと言う事で…。」
「ああ。直ぐに終わるのか?」
「う~ん…。愛斗様のカードは特別製になりますので…。取り敢えず後、二時間は掛かりますね。何か他に質問は御座いますか?」
「特別製って何で?」
「それは後程カードと共に説明致します。他には?」
「じゃあこの町の冒険者の平均レベル、それと有名な冒険者、関わらない方がいい冒険者、それらについて教えてくれ。」
「本来は個人情報なのですがね…。でも、大体皆知っている事なら教えましょう。まず………」
それからガラテアの町に居る冒険者達について話を聞いた。関わらない方が良い冒険者は、どいつもこいつも一癖も二癖もある様な奴等ばかりだった。
どうやら俺の異世界生活は前途多難らしい。マナトは天を仰ぐのであった。
けどなぁ…正直働かなくても死ぬまで遊んで暮らせるしなぁ。あ、でも折角異世界まで来たんだし、魔法は興味あるなぁ。魔力が何なのかは知らないけど。そもそもだ、異世界人な俺にも使えるのかね?定番の神とやらにも出会ってないしな。チート能力とかは期待薄だな。
愛斗はそんな事を考えながら冒険者ギルドへと向かい、歩いていた。1ヶ月この町で暮らしたお陰で町の地理は大体把握している。大体と言うのは、スラムを除いての事である。未だに冒険者ですらない愛斗は正直スラムが怖かった。
「あんな危険そうな場所はまだ無理だ。暫くは表で生活だよな。お、冒険者ギルドが見えてきたな。」
愛斗は冒険者ギルドの扉を開き、受付へと真っ直ぐ進んだ。ここで愛斗が選んだ受付は勿論男性の受付だ。野郎の冒険者ってのは大体が受付嬢か女冒険者に好意を持っている。無駄な争いは避けたい。ましてや勝ち目が全く無い勝負などする気も無い。
「すまない、冒険者登録をお願いしたいのだが。」
「はい、ありがとうございます!我がギルドは常に人材不足!どんな方でも大歓迎です!ささ、こちらの用紙に記入をば。」
なんだこいつ…やけに馴れ馴れしい…いや、いかんいかん。此処はアウェーだ。平常心平常心。
愛斗は問題なく用紙に必要事項を記入していく。文字は既に覚えていた。
「これで大丈夫かな?」
「はい………大丈夫です。では、続いてステータスの確認を致しますので、あちらの部屋にお越し下さい。」
「分かった。」
愛斗は受付の男に案内され、ステータスを調べる為の個室へと案内された。
「この部屋内はあらゆるスキルが無効となっております。中央にある台座の上に水晶玉があるでしょう?それに触れてから【ステータスオープン】と念じてみて下さいさい。」
「ここで見た事は他の冒険者には?」
「勿論、個人情報なので開示は致しません。ご安心下さい。ささ、どうぞ。」
愛斗は促されるまま、台座の上にある水晶玉に触れ念じた。
「【ステータスオープン】!」
目の前にウインドウの様な物が開かれ、そこに愛斗のステータスらしき情報が記載されていた。
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名前:椎名 愛斗
種族:人間(異世界人)←()内は本人にしか見えない。
職業:夢追い人@レベル1
レベル:001
体力:100/100
魔力:120/120
力:25
素早さ:40
防御:20
賢さ:9999
運:100/100
スキル
【瞬間記憶能力】【異世界の知識】
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壊れてるな。…うん。
「なんだよ!?この職業、夢追い人って!?職業ですらねぇよ!?更に何だこの賢さ極振りのステータスはよ!?こんなんで異世界生きられかぁぁぁっ!?」
スキルはスキルとも呼べない元からある力だ。
しかし、男性職員の反応は違った。
「で、でででででで出たっ!!ぎ、ギルマスぅぅぅぅぅぅっ!!」
男性職員はいきなり部屋から飛び出し、何処かへと走っていった。
「なんだ?慌てる程のステータスなのかこれ。とてもそうは思えないが。」
そんな事を考えていると、先程の男性職員がすっげー美人を連れて帰って来た。
「はぁ…はぁ…。ほ、本当に出たの?職業夢追い人…。」
「は、はいっ!あれをご覧下さいっ!!」
連れて来られた美人なお姉さんは愛斗の表示されたステータスを見て…粗相をした。
ドバァァァァァァァッ。
「う、うぉぉぉぉぉっ!?な、何だ!?」
「ぎ、ギルマス?」
「はっ!あ、貴方はもう宜しいです。あ、後は私が引き継ぎますので。くれぐれも彼の事は内密に。良いですね?」
「は?」
「イ・イ・デス・ネ?」
ギルマスと呼ばれたお姉さんは黒い笑顔で男性職員に言った。
「い、いいいいイエス、マム!!し、失礼しましたぁっ!!」
男性職員は慌てて部屋を飛び出した。って言うか、あいつは慌て過ぎだな。うん。
カチャリ。
不意に鍵が閉まる音が聞こえた。見るとあのいきなり号泣したお姉さんが後ろ手に鍵を閉めていた。
「は?」
「申し訳ありません。私もこんな姿を誰かに見られたくないので、鍵を掛けさせて頂きました。」
「ま、まぁ…分かるよ、うん。成人した女性が感情失禁なんてな…。」
「ち、違いますよ!?これは…その心の汗です。」
「は?」
「ですから!涙ではなく!その…余りの嬉しさに心が汗を流してしまいました…。」
「はっ?な、何で!?何処に喜ぶ要素があるんだよ!?」
美人のお姉さんは言った。
「先ず、私は当ギルドのマスターで名を【リリィ・アグニス】と申します。」
「あ、ああ。俺は見ての通り、椎名 愛斗だ。」
リリィはいきなり愛斗の手を握って懇願した。
「夢追い人なんて超レア職業の人は此処で初めてよ。何が何でもこのギルドで登録して貰うわっ!ね、良いでしょ?もう用紙も記入済みでしょ!」
愛斗はリリィを怪しんでいた。
「そんなあからさまな勧誘で登録する訳ねぇだろうが!?怪しすぎるわっ!大体夢追い人って何だよ?職業なのか?ただの世捨て人じゃねぇか。」
「へ?何…言ってるの?アナタ、知らないの!?この夢追い人って職業はね…」
そこからリリィの職業解説が始まった。不信感満開だが、取り敢えず職業について話を聞く事が出来た。
どうやら夢追い人ってのは最初はゴミみたいに弱いが、何か夢を1つ自力で叶える事でレベルが上がり、夢追い人→夢を叶えた人→夢を与える人→未踏達と言った具合に職業が変化していく仕組みらしい。これは滅多に見ない職業で、かつて夢を与える人まで行った人物は巨大な国を築き、民に安寧を与えた人物にまでなったと言う。
「ほぉ~ん。そんな大層な職業には見えないがねぇ。見ろよこのステータス。この町最弱じゃねぇの?」
「まぁ…いずれレベルが上がれば分かりますよ。夢を叶えるには力も必要…って事で1レベルが上がる度にステータスが格段に上がる筈です。あ、職業レベルでは無いですよ?肉体のレベルです。」
「んじゃ何か?ある意味最強なのかこの職業。」
「だからそう言ってるじゃないですか!ですので是非とも我がギルドで登録を!あらゆるサポートを致しますので!何卒っなにとぞ~っ!」
何だこの女…。何かヤバい雰囲気を感じる。
「わ、分かった。登録は此処でするから!後、サポートは必要ない。俺は俺のやり方で生きる。口出しは無用だ。少しでも干渉してみろ、直ぐに姿を消すからな?」
「そ、そんなぁ~…。わ、分かりました。では、取り敢えず登録だけと言う事で…。」
「ああ。直ぐに終わるのか?」
「う~ん…。愛斗様のカードは特別製になりますので…。取り敢えず後、二時間は掛かりますね。何か他に質問は御座いますか?」
「特別製って何で?」
「それは後程カードと共に説明致します。他には?」
「じゃあこの町の冒険者の平均レベル、それと有名な冒険者、関わらない方がいい冒険者、それらについて教えてくれ。」
「本来は個人情報なのですがね…。でも、大体皆知っている事なら教えましょう。まず………」
それからガラテアの町に居る冒険者達について話を聞いた。関わらない方が良い冒険者は、どいつもこいつも一癖も二癖もある様な奴等ばかりだった。
どうやら俺の異世界生活は前途多難らしい。マナトは天を仰ぐのであった。
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