53 / 63
第4章 侵略
第51話 同盟締結
しおりを挟む
酒場で水竜のお守りをしている所にライハがやって来た。
「すまない、待たせた」
「いや、適当に楽しんでるから構わないよ」
酒場の店主がホクホク顔で大量の金貨を数えていた。
「もう金を手に入れたのか?」
「まぁね。大工に俺の発明品を売ったんだ」
「ほう? それは興味深いな」
話をずらすライハにアースは直球を投げ掛ける。
「決まったんだろ? どうすんの?」
「……我らはアース殿の提案を受け入れる。デモン大陸には一切近付かないものとし、同盟を受け入れよう」
「そ。なら明日城に行くから書類用意しといてよ」
「ああ。でだ、同盟に関してこちらからも要求を出しても良いだろうか?」
「なに?」
ライハはアースに条件をつけた。
「まず、アース殿の持つ知識と技術が欲しい」
「却下だ。高度な知識は争いを生む。戦に関しない事のみなら協力しよう」
「手厳しいな。まぁ、それで良い。私が欲しい知識と技術は生活に関してだ。戦などしないに越したことはないからな」
「それなら協力しよう」
「ありがとう。ではこの大陸の南に町を一つ作って欲しい。出来れば港町で商業をメインで頼む」
「良いだろう。大工を借りても良いか?」
「ああ。やり方は全て任せる。町が出来上がったその時はアース殿が出す条件を全て飲もう」
ライハはアースに町を一つ作らせ、その技術を得ようとしていた。アースもまた別に秘匿する気はないし、むしろ生活の技術に関してなら広めても良いだろうと考え、この提案を受けた。
「では明日仮の調印式を執り行おう。本当の調印式は町が出来上がってからと言う事で構わないかな?」
「ああ、それで良い。では明日の朝そちらに向かう」
「感謝する、アース殿」
それだけ告げ、ライハは酒場を後にした。
「同盟を呑んだか。あの人間はグラディス帝国の奴等とは違うみてぇだな」
「うん、善人だけどなんとか利を得ようって賢さもある。油断ならない相手だよ」
「条件は昼間言ってたアレで行くのか?」
「うん。とりあえずアレで問題ないと思う」
「しかし……町か。どうすんだよ?」
「港町だってね。ま、なんとかなるでしょ」
そして翌日、仮の同盟を締結したアースは大工を雇いに向かった。
「ああ、あんたか。あんたから買った工具は最高だぜ! 前より数倍は早く仕事が片付くようになったよ」
「それはどうも。所でさ……」
アースは大工に南に港町を建設する計画を告げた。
「南か、あそこに港町を作るってこたぁ……。王様はバーミリオン王国と本気で取り引きするみてぇだな」
「みたいだね。でさ、一応どんな町にするか図面引いてきたんだけど……」
アースは大工に町の図面を見せた。
「……なんだぁ……こりゃ……」
「設計図だよ」
「そりゃ見ればわかる! だが……こんなの見た事もねぇぞ……」
アースの引いた図面は町の全体図、タワーマンション、鉄骨を使った倉庫などだ。
「資材なんかは空を飛べばいくらでも上に運べるし、材料もこちらで全部用意します。親方達は俺から新しい建物について学ぶ事が出来る。どうかな?」
「……やる! こんなワクワクすんなぁ初めてだ! しかしよ、資材足りんのか?」
「もちろん。では一週間後に町の建設予定地まで来て下さい。その間に整地を終わらせておきますので」
「一週間後だな、りょうかいだ。くぅ~、楽しみだ!」
アースは大工達を雇い入れ、先に建設予定地へと向かう。その前に火竜達にあるモノを手渡した。
「あ? なんだこりゃ?」
「マジックバッグだよ。兄さん達にはこれを持ってダンジョンに行ってもらいたくてさ」
「ダンジョンに?」
「うん。今ある資材だと微妙に足りないかもしれないからさ。それに鉄鉱石とか色々集めてきてくれないかな?」
「そりゃ構わねぇけどよ、これどんくらい入るんだ?」
「ん~……、城百戸分かな。色々発明で試行錯誤してたら出来てさ。時空石ってのがあればそれも集めてきてほしいな」
「そりゃ激レアアイテムじゃねぇか。最下層まで行けってか?」
「兄さん達なら楽勝でしょ?」
「ちっ、わぁったよ。水竜、風竜、ダンジョン行くぞ」
「「は~い」」
こうしてアースは南に、火竜達はダンジョンに素材狩にそれぞれ向かっていった。
建設予定地に着いたアースはまず大地を平らに均し、船を接岸させる港部分までを完成させた。
「よし、次だ!」
港を完成させたアースは設計図に合わせ平らになった 大地に水路を通す。町の中央に噴水公園を作り、水路に橋をかける。
「次は外壁だな」
後は建物を建てるだけにしたアースは海から町をぐるっと囲うように高い外壁を設けた。ちなみに外壁には魔導砲は設置していない。あれはまだ人間には渡せない技術だ。
「完成完成! 後は鉄筋やら鉄骨やらを量産して親方達が来るのを待とう」
アースは図面から資材がどれだけ必要かをピックアップし、タワーマンション用、倉庫用に資材の量産を開始した。
「発明、発明、発明、発明、発明…………」
アースはひたすらスキル【発明】で鉄筋を作っていく。レベルアップしたおかげで魔力は十分にある。
「さてと、とりあえずタワーマンションは五棟、倉庫は二つほど作るとして……。基礎だけでも打っておくか」
アースは大工達がくるまでに基礎工事を終わらせようとひたすら働くのであった。
「すまない、待たせた」
「いや、適当に楽しんでるから構わないよ」
酒場の店主がホクホク顔で大量の金貨を数えていた。
「もう金を手に入れたのか?」
「まぁね。大工に俺の発明品を売ったんだ」
「ほう? それは興味深いな」
話をずらすライハにアースは直球を投げ掛ける。
「決まったんだろ? どうすんの?」
「……我らはアース殿の提案を受け入れる。デモン大陸には一切近付かないものとし、同盟を受け入れよう」
「そ。なら明日城に行くから書類用意しといてよ」
「ああ。でだ、同盟に関してこちらからも要求を出しても良いだろうか?」
「なに?」
ライハはアースに条件をつけた。
「まず、アース殿の持つ知識と技術が欲しい」
「却下だ。高度な知識は争いを生む。戦に関しない事のみなら協力しよう」
「手厳しいな。まぁ、それで良い。私が欲しい知識と技術は生活に関してだ。戦などしないに越したことはないからな」
「それなら協力しよう」
「ありがとう。ではこの大陸の南に町を一つ作って欲しい。出来れば港町で商業をメインで頼む」
「良いだろう。大工を借りても良いか?」
「ああ。やり方は全て任せる。町が出来上がったその時はアース殿が出す条件を全て飲もう」
ライハはアースに町を一つ作らせ、その技術を得ようとしていた。アースもまた別に秘匿する気はないし、むしろ生活の技術に関してなら広めても良いだろうと考え、この提案を受けた。
「では明日仮の調印式を執り行おう。本当の調印式は町が出来上がってからと言う事で構わないかな?」
「ああ、それで良い。では明日の朝そちらに向かう」
「感謝する、アース殿」
それだけ告げ、ライハは酒場を後にした。
「同盟を呑んだか。あの人間はグラディス帝国の奴等とは違うみてぇだな」
「うん、善人だけどなんとか利を得ようって賢さもある。油断ならない相手だよ」
「条件は昼間言ってたアレで行くのか?」
「うん。とりあえずアレで問題ないと思う」
「しかし……町か。どうすんだよ?」
「港町だってね。ま、なんとかなるでしょ」
そして翌日、仮の同盟を締結したアースは大工を雇いに向かった。
「ああ、あんたか。あんたから買った工具は最高だぜ! 前より数倍は早く仕事が片付くようになったよ」
「それはどうも。所でさ……」
アースは大工に南に港町を建設する計画を告げた。
「南か、あそこに港町を作るってこたぁ……。王様はバーミリオン王国と本気で取り引きするみてぇだな」
「みたいだね。でさ、一応どんな町にするか図面引いてきたんだけど……」
アースは大工に町の図面を見せた。
「……なんだぁ……こりゃ……」
「設計図だよ」
「そりゃ見ればわかる! だが……こんなの見た事もねぇぞ……」
アースの引いた図面は町の全体図、タワーマンション、鉄骨を使った倉庫などだ。
「資材なんかは空を飛べばいくらでも上に運べるし、材料もこちらで全部用意します。親方達は俺から新しい建物について学ぶ事が出来る。どうかな?」
「……やる! こんなワクワクすんなぁ初めてだ! しかしよ、資材足りんのか?」
「もちろん。では一週間後に町の建設予定地まで来て下さい。その間に整地を終わらせておきますので」
「一週間後だな、りょうかいだ。くぅ~、楽しみだ!」
アースは大工達を雇い入れ、先に建設予定地へと向かう。その前に火竜達にあるモノを手渡した。
「あ? なんだこりゃ?」
「マジックバッグだよ。兄さん達にはこれを持ってダンジョンに行ってもらいたくてさ」
「ダンジョンに?」
「うん。今ある資材だと微妙に足りないかもしれないからさ。それに鉄鉱石とか色々集めてきてくれないかな?」
「そりゃ構わねぇけどよ、これどんくらい入るんだ?」
「ん~……、城百戸分かな。色々発明で試行錯誤してたら出来てさ。時空石ってのがあればそれも集めてきてほしいな」
「そりゃ激レアアイテムじゃねぇか。最下層まで行けってか?」
「兄さん達なら楽勝でしょ?」
「ちっ、わぁったよ。水竜、風竜、ダンジョン行くぞ」
「「は~い」」
こうしてアースは南に、火竜達はダンジョンに素材狩にそれぞれ向かっていった。
建設予定地に着いたアースはまず大地を平らに均し、船を接岸させる港部分までを完成させた。
「よし、次だ!」
港を完成させたアースは設計図に合わせ平らになった 大地に水路を通す。町の中央に噴水公園を作り、水路に橋をかける。
「次は外壁だな」
後は建物を建てるだけにしたアースは海から町をぐるっと囲うように高い外壁を設けた。ちなみに外壁には魔導砲は設置していない。あれはまだ人間には渡せない技術だ。
「完成完成! 後は鉄筋やら鉄骨やらを量産して親方達が来るのを待とう」
アースは図面から資材がどれだけ必要かをピックアップし、タワーマンション用、倉庫用に資材の量産を開始した。
「発明、発明、発明、発明、発明…………」
アースはひたすらスキル【発明】で鉄筋を作っていく。レベルアップしたおかげで魔力は十分にある。
「さてと、とりあえずタワーマンションは五棟、倉庫は二つほど作るとして……。基礎だけでも打っておくか」
アースは大工達がくるまでに基礎工事を終わらせようとひたすら働くのであった。
2
あなたにおすすめの小説
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる