職業『精霊使い』に覚醒したら人類圏から追放されました(完結)

夜夢

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第3章 打倒、聖フランチェスカ教国編

18 賢神敗れる

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 賢神アニエスは自分の持てる全ての魔法をアーレスに向かって放った。

「はぁ……っ、はぁ……っ! はは……あはははっ! これだけやれば流石に死んだでしょっ!」
「あいつは……土煙で何も見えんではないか」

 そこで武神アンバーはアーレスのいた位置を指差し口を開いた。

「無駄だったようだな。奴の生命力は微塵も減っておらんよ」
「……え?」

 驚く賢神アニエスの前で風が巻き起こる。

「おいおい、まさか今のは本気か? ガードする必要もないくらい弱い魔法だったぞ」
「あ……う……う、嘘……? む、無傷!?」

 土煙が晴れた先では無傷のアーレスが肩に付いた埃を払っていた。

「む、無傷なんてあり得ないわっ! 頭おかしいんじゃないの!?」
「何もおかしい事はないだろう。あんたの魔法攻撃力より俺の魔法防御力が高かった。それだけの話だ」
「ば、化け物……っ!」

 アーレスはニヤリと嗤い、右手にダークソードを発現させる。

「さて、次は俺の番だな。ああ、後ろの奴ら。これは一対一の戦いだ。何があっても手は出さないんだよな?」
「ああ、死ぬか降参するまで動かんよ」
「約束は守れよ? はっ!!」
「き、きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 二時間後。

「……」
「まだやるんかのう……」
「あわわわ……、アニエスさんがぁぁぁ……」

 アーレスはダークソードでアニエスの衣服のみを切り裂き、組伏せながら遊んでいた。

「おらおら、俺を殺すんじゃなかったのか?」
「うあぁぁぁっ、も、もう止めっ! こ、降んむっ!? んうぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?」

 アーレスはアニエスの口を塞ぎながら欲望を撒き散らしてやった。

「あ……うぁ……っ」  
「おら、休んでんじゃねぇよ」
「ま、まだあぁぁぁぁっ!?」
「当たり前だろ。まあ、俺のモノになるって誓うなら止めてやっても良いがな」
「な、なるっ! なりますっ! だからもう──」
「じゃあ契約な。裏切ったら死ぬ。わかったか?」
「わかったから抜いてぇぇぇっ!」

 アーレスはたっぷり楽しんだ後、賢神アニエスに奴隷契約を結ばせ解放した。

「さてと、次は誰がやる?」
「俺だが……服を着ろ。そんなモノをぶら下げたまま闘う気か?」
「闘神ヴェルティゴだったっけ? 当たり前だ。まだそこに相手がいるからなぁ?」
「ひっ!? わ、私に汚いモノを向けないでよ!」

 勇者マドカは顔を真っ赤にしながら手で顔を覆っていた。かなり指の隙間が大きいので表情は丸わかりだ。

「……わかった。では次だ。いくぞ」
「きな」

 闘神ヴェルティゴは一足飛びでアーレスとの距離を縮め、オーラをまとわせた左フックでアーレスの顎を狙う。

「が──はっ!」
「遅いねぇ。悪いが野郎には興味ないんでね。退場してもらおうか」
「バカ……な……ごふっ!」

 アーレスのダークソードが闘神ヴェルティゴの心臓を貫き、そのまま斜めに切り裂いた。

「なっ!? ヴェルティゴが一発も当てられんだと!?」
「ヴェルティゴッ! あ、あの変態……強いっ!」

 アーレスは獄炎魔法で闘神ヴェルティゴの遺体を焼却し、残る二人を見る。

「次」
「私が行こう。マドカ殿……なるべく私が削るでの。後は頼んだぞい」
「アンバー! ま、待って!!」

 武神アンバーはゆっくりとアーレスの前に立ち、構えをとる。

「あらゆる武を極めし私を簡単に殺せるとは思わんでくれよ」
「御託はいい。きな」
「舐めるな若造がっ!!」

 武神アンバーはそのまましゃがみ、アーレスに足払いをかける。アーレスはその足がくる位置にダークソードを置き、武神アンバーの右足の膝から下を切断した。

「があぁぁぁぁぁっ!」
「それじゃバランス悪いだろ? 左足も斬ってやろう」
「がっ!! ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 一瞬で両足を失った武神アンバーは痛みで床を転げ回った。

「あぁぁ……アンバー……ッ!!」
「があぁっ、つ、強すぎるっ!」
「ふん……」

 アーレスは失血で顔面蒼白になっている武神アンバーを見下ろしながら言った。

「強すぎる? はっ、お前らが弱すぎるんだよ」
「な、なん──」
「お前らさぁ、職業だけで俺に勝てるとでも思ってたのか?」
「どういう意味だ……っ」
「大方職業を得た時点でここに連れてこられ、命惜しさに教皇の言いなりになり、親衛騎士隊とやらになったんだろ。それからロクに修行もせずによ」
「ば、ばかにするな! 私達は日々辛い修行を──」
「辛い? 辛いってなぁなんだ? 食料なしで深い森でもさ迷ったか?」
「は?」
「それとも戦争にでも参加して人を殺しまくったかよ」
「す、するわけないだろう!」

 アーレスは溜め息を吐いた。

「はぁ。どうせ訓練所やらで汗流して終わりだろ。温いんだよ!」
「あ──」

 武神アンバーの首が床に転がった。

「さて、最後の一人になったな。勇者だって?」
「うっ──」
「俺は魔王の夫だ。勇者なら教皇なんぞ守ってないで魔王を殺りに来いよ。なあ?」
「く、くるなっ! 殺すぞっ!」

 勇者マドカの構える剣はガタガタと震えていた。

「お前、何人殺した」
「え?」
「威勢は良いが……もしかしたら人を殺した事もないんじゃないか?」
「く、くるなっ! くるなぁぁぁぁぁっ!」

 アーレスは脅えながら剣を振り回すだけの勇者マドカに容赦なく近づき、喉を掴んで持ち上げた。

「ぐっ──あぁぁぁ……っ!」
「異世界からきた勇者の味はどんな味だろうな。楽しみだ」
「や、やだっ! 止め──」

 アーレスは勇者マドカから下着を剥ぎ取り、床に組伏せる。そして後ろから容赦なく貫いた。

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「初めてか。敵に犯される気分はどうだ?」
「い、痛いよぉっ! なんで……なんで私だけこんな目にっ! 無理矢理知らない世界に飛ばされてっ! 無理矢理初めてを奪われてっ!」
「なんで? それは教皇の味方をして世界中の人間に被害をもたらしたからに決まってるだろう。職業のせいで人生を狂わされ、中には地下牢で騎士に延々犯されながら死んだ奴もいる。お前はそんな奴らに手を貸していたんだよっ!」
「あぁぁぁぁっ! 動かないでぇぇぇぇっ!」

 アーレスは抵抗しようとする勇者マドカに激しく腰を打ち付けながら心を折っていく。

「お前は勇者なんかじゃない。沢山の人間を不幸に陥れた愚者だ。ああ、それか教皇にいいように操られた道化師だな」
「道化……」
「お前は今お前のせいで苦しみながら死んでいった女と同じ思いをしてんだよ。これがお前が今までしてきた事だ。おら、出すぞ」
「あ……」

 それから勇者マドカの抵抗は消え、アーレスにされるかまま欲望を受け入れ続けていった。

 そして数時間後。勇者マドカはアーレスに向かい深々と頭を下げていた。

「私が間違ってました。私は……自分の命惜しさに教皇に手を貸していました! もう二度と道は間違えませんっ! 私もアーレス様の奴隷にしてくださいっ!」
「良いだろう。お前もアニエスと同じく、俺に逆らったら死ぬ契約を結んでやる。俺の命令には絶対服従だ、良いな?」
「はいっ!」

 こうしてアーレスは賢神アニエスと勇者マドカを奴隷にし、いよいよ最後の巨悪である教皇メイギス・フラジャイルの前へと向かうのだった。
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