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第4章 東の大陸編
02 最上位精霊リヴァイアサン
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精霊リヴァイアサンは魚人族の守護精霊であり、信仰の対象でもある。そのリヴァイアサンからアーレスは良い人間だと告げられたミューズはアーレスをどう扱うか頭を悩ませ、処分を一時保留とした。
「保留?」
「はい。あなたに対する処分は一時保留とします」
「わかった。ああ、一つだけ。玄武はどうなる?」
ミューズはこくりと頷き、玄武に対する処分を口にする。
「玄武にはこの後処分を告げる予定よ。即時里から追放となるでしょう」
「待て! 俺達は今東の大陸にある玄武達の隠れ里に向かってるんだ。先に行かれたら俺が迷うだろ」
「知らないわ。そもそもあなたにはしばらく里に残ってもらうつもりだもの」
「……は?」
ミューズは自分の腹を撫でながら言った。
「あなたは長である私を孕ませた。そしてリヴァイアサン様とも会話ができる。そう簡単に手放すわけにはいかないわ」
「……俺に何をさせるつもりだ」
「それは明日告げます。それと、今日から里にある空き家に泊まって下さい。それではまた明日」
「わかったよ、リヴァイアサンも行って欲しくなさそうだしな。今は従うとしよう」
この後、玄武が呼ばれ追放を言い渡された。
「むぅ……、困った事になったな」
「すまんな。ひとまず玄武は先に東の大陸に向かい朱雀達と合流しててくれ」
「わかった。ではわしらは合流し、東の大陸の港町【オルニース】で待つ」
「オーケーだ。諸々片付けたらすぐ向かうから待っててくれ」
そう約束を交わし、玄武は一人里から東の大陸へと向かった。そしてアーレスは見張りをしていた人魚の案内で里にある空き家に向かった。
「これを家と呼ぶか……」
「なんか違う?」
長の屋敷でも思った事だが、案内された空き家にも扉はなく、家具もない。アーレスは人魚ではないため、この環境には慣れなかった。
「こんなの家じゃない。ただの穴蔵じゃないか」
「う~ん……私達水の中じゃないと動けないから……」
「ふむ……。水の中じゃベッドを出したところで意味ないし、ここは我慢するとしよう」
アーレスは人魚の事情も踏まえ、この宿ともいえない宿を受け入れる事にした。
「じゃあ私はもう行くね~。あ、卵いっぱい産むから期待しててねっ」
「人魚って多排卵種だったんだなぁ……」
さすがに砂の上に寝るのは嫌だったので、アーレスは空間倉庫からベッドを取り出しレザーで覆った。
「ないよりはマシってとこかな。さて……明日は何を求められる……ん?」
アーレスは何かの気配に気付き入り口を見る。
《や、やあ》
「リヴァイアサン? どうした?」
声を掛けるとリヴァイアサンは嬉しそうに家の中に入ってきた。
《本当に僕と会話できてるんだね!》
「ああ、精霊使いだからなぁ。他の精霊とも沢山会話したし、魔法も教えてもらったよ」
《凄いなぁ~。じゃあ僕も魔法を教えてあげた方が良いの?》
アーレスは首を横に振った。
「いや、俺から強制はしてないんだよ。精霊自ら教えても良いと認めたら俺が習う感じでやってきてるんだ」
《ほぇ~。凄いね! 精霊魔法って上位精霊にもなればそれだけで世界を好きにできる力になるのに》
「世界を好きに……か。好きにできる力はあると思うけどさ、俺も今まで色々と戦ってきてわかったんだよ。俺が気に入らないのは人間。それも薄汚れた欲望だけを撒き散らし弱者をいたぶる人間だけだってな」
《うん》
「別に平和の使者とか語る気はないけどな。ま、結局のところ、俺は俺自身が気に入らない奴を殺れる力があれば満足ってわけよ」
《そっか》
リヴァイアサンは水中を蛇のように泳ぎながら言った。
《僕も人間は嫌いだよ。だってさ、何にもしてない人魚達を殺したり見せ物みたいに扱ったりしてさ。そんなの許せないよ……》
「うんまあ、気持ちはわかるぞ。もし俺がリヴァイアサンの立場だったらそいつがいる国ごと滅ぼすな。ムカつくし」
《そうだよね! でも人魚──魚人族は海から出たら弱くなっちゃうんだ。だから弔い合戦をしたくてもできなくて……》
「だから通り掛かった船とか沈めてるわけか」
海底にはいくつも船の残骸が転がっている。
《ねえ、もし僕が魔法を与えたら代わりに人間を滅ぼしてもらえる?》
「人間全てか?」
《ううん。東の大陸にある商業国家【ユーテリア】って国だけで良いの》
「商業国家ユーテリアねぇ。約束はできないが……もしその国がクソみたいな国だったらまとめて沈めてやろう」
《ホントッ!? なら僕の魔法を教えてあげるよ! 何が良いかなぁ~? 【メイルシュトローム】? 【タイダルウェイブ】?》
リヴァイアサンは乗り気になり水の最強魔法の教えようとしてくる。
「そうだなぁ、使える魔法全部教えて欲しいかな。それまで一緒にいてやれるだろ?」
《そっか! 全部教えればそれだけ一緒にいられるんだ! じゃあ僕の使える魔法全部アーレスに教えるよ!》
「ああ、よろしく頼むよリヴァイアサン」
《うんっ! あ、じゃあそろそろ僕ミューズのとこに戻るね! また明日!》
「ああ、また明日な」
リヴァイアサンは満面の笑みを浮かべミューズの屋敷へと戻っていった。
「……マジか。リヴァイアサンの魔法っていったら上位精霊の災害級魔法より上の伝説級魔法じゃねぇか。まさかこんな海底で最上位精霊の一角に出逢えるとは……。そう考えると今の状況は幸運でしかなかったな」
アーレスは魚人族との出会いに感謝し、ベッドで横になるのだった。
「保留?」
「はい。あなたに対する処分は一時保留とします」
「わかった。ああ、一つだけ。玄武はどうなる?」
ミューズはこくりと頷き、玄武に対する処分を口にする。
「玄武にはこの後処分を告げる予定よ。即時里から追放となるでしょう」
「待て! 俺達は今東の大陸にある玄武達の隠れ里に向かってるんだ。先に行かれたら俺が迷うだろ」
「知らないわ。そもそもあなたにはしばらく里に残ってもらうつもりだもの」
「……は?」
ミューズは自分の腹を撫でながら言った。
「あなたは長である私を孕ませた。そしてリヴァイアサン様とも会話ができる。そう簡単に手放すわけにはいかないわ」
「……俺に何をさせるつもりだ」
「それは明日告げます。それと、今日から里にある空き家に泊まって下さい。それではまた明日」
「わかったよ、リヴァイアサンも行って欲しくなさそうだしな。今は従うとしよう」
この後、玄武が呼ばれ追放を言い渡された。
「むぅ……、困った事になったな」
「すまんな。ひとまず玄武は先に東の大陸に向かい朱雀達と合流しててくれ」
「わかった。ではわしらは合流し、東の大陸の港町【オルニース】で待つ」
「オーケーだ。諸々片付けたらすぐ向かうから待っててくれ」
そう約束を交わし、玄武は一人里から東の大陸へと向かった。そしてアーレスは見張りをしていた人魚の案内で里にある空き家に向かった。
「これを家と呼ぶか……」
「なんか違う?」
長の屋敷でも思った事だが、案内された空き家にも扉はなく、家具もない。アーレスは人魚ではないため、この環境には慣れなかった。
「こんなの家じゃない。ただの穴蔵じゃないか」
「う~ん……私達水の中じゃないと動けないから……」
「ふむ……。水の中じゃベッドを出したところで意味ないし、ここは我慢するとしよう」
アーレスは人魚の事情も踏まえ、この宿ともいえない宿を受け入れる事にした。
「じゃあ私はもう行くね~。あ、卵いっぱい産むから期待しててねっ」
「人魚って多排卵種だったんだなぁ……」
さすがに砂の上に寝るのは嫌だったので、アーレスは空間倉庫からベッドを取り出しレザーで覆った。
「ないよりはマシってとこかな。さて……明日は何を求められる……ん?」
アーレスは何かの気配に気付き入り口を見る。
《や、やあ》
「リヴァイアサン? どうした?」
声を掛けるとリヴァイアサンは嬉しそうに家の中に入ってきた。
《本当に僕と会話できてるんだね!》
「ああ、精霊使いだからなぁ。他の精霊とも沢山会話したし、魔法も教えてもらったよ」
《凄いなぁ~。じゃあ僕も魔法を教えてあげた方が良いの?》
アーレスは首を横に振った。
「いや、俺から強制はしてないんだよ。精霊自ら教えても良いと認めたら俺が習う感じでやってきてるんだ」
《ほぇ~。凄いね! 精霊魔法って上位精霊にもなればそれだけで世界を好きにできる力になるのに》
「世界を好きに……か。好きにできる力はあると思うけどさ、俺も今まで色々と戦ってきてわかったんだよ。俺が気に入らないのは人間。それも薄汚れた欲望だけを撒き散らし弱者をいたぶる人間だけだってな」
《うん》
「別に平和の使者とか語る気はないけどな。ま、結局のところ、俺は俺自身が気に入らない奴を殺れる力があれば満足ってわけよ」
《そっか》
リヴァイアサンは水中を蛇のように泳ぎながら言った。
《僕も人間は嫌いだよ。だってさ、何にもしてない人魚達を殺したり見せ物みたいに扱ったりしてさ。そんなの許せないよ……》
「うんまあ、気持ちはわかるぞ。もし俺がリヴァイアサンの立場だったらそいつがいる国ごと滅ぼすな。ムカつくし」
《そうだよね! でも人魚──魚人族は海から出たら弱くなっちゃうんだ。だから弔い合戦をしたくてもできなくて……》
「だから通り掛かった船とか沈めてるわけか」
海底にはいくつも船の残骸が転がっている。
《ねえ、もし僕が魔法を与えたら代わりに人間を滅ぼしてもらえる?》
「人間全てか?」
《ううん。東の大陸にある商業国家【ユーテリア】って国だけで良いの》
「商業国家ユーテリアねぇ。約束はできないが……もしその国がクソみたいな国だったらまとめて沈めてやろう」
《ホントッ!? なら僕の魔法を教えてあげるよ! 何が良いかなぁ~? 【メイルシュトローム】? 【タイダルウェイブ】?》
リヴァイアサンは乗り気になり水の最強魔法の教えようとしてくる。
「そうだなぁ、使える魔法全部教えて欲しいかな。それまで一緒にいてやれるだろ?」
《そっか! 全部教えればそれだけ一緒にいられるんだ! じゃあ僕の使える魔法全部アーレスに教えるよ!》
「ああ、よろしく頼むよリヴァイアサン」
《うんっ! あ、じゃあそろそろ僕ミューズのとこに戻るね! また明日!》
「ああ、また明日な」
リヴァイアサンは満面の笑みを浮かべミューズの屋敷へと戻っていった。
「……マジか。リヴァイアサンの魔法っていったら上位精霊の災害級魔法より上の伝説級魔法じゃねぇか。まさかこんな海底で最上位精霊の一角に出逢えるとは……。そう考えると今の状況は幸運でしかなかったな」
アーレスは魚人族との出会いに感謝し、ベッドで横になるのだった。
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