盗賊稼業も楽じゃない?目指せ大盗賊!

夜夢

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第2章 グリッド盗賊団

第17話 第3皇子

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    先ず初めに悪徳貴族を的に掛ける。コイツらは死んでも国からは追われない。寧ろ感謝されて良いだろう。実際皇帝を含め誰も疑っていない。ただ1人を除いて。

「やはりおかしい…。死んでいるのは悪い噂が絶えない者達ばかりだ。けれど家族からは事故死と…。死に方は様々…。風呂で溺死、階段から落ちての転落死、急性アルコール中毒に騎馬の訓練中に落馬して死亡…。どれも確かにありえる死に方だが…。こうも短期間に続くものか?」

    今の所、疑いの域を出ないが、ミハエルは確実に怪しんでいた。それもその筈。いつ自分の婚約者の家に不幸が訪れるか分からないからだ。

    その不幸は今正に起こっているのだが…。

「あっあっ♪グリッド様ぁっ♪リアナはもう果ててしまいますぅっ♪」

「良いよ?じゃあ一緒に逝こうか。どこに欲しい?」

「も、勿論…リアナの奥にっ…♪リアナの子宮にグリッド様の熱い子種をっ♪あっ…い…くぅっ♪」

    グリッドは彼女の胎内に容赦無く大量の精を流し込む。それももうここ数日で何度もだ。こうなった切っ掛けは彼女が偶然グリッドの店を訪れてからだ。彼女は店にあったドレスを試着していた所をグリッドに犯された。その際、彼女はグリッドの虜となり、今では自ら喜んで店に通う様になっていた。

「何時も来てくれるけど…婚約者さんは知ってるの?」 

「まだそんな事を言ってるのですか?私は…最初に貫かれた日からグリッド様の事が…♪」

「けどさ~。リアナにはミハエルって婚約者が居るでしょう?ミハエルと俺じゃ格も違うし、何故俺を?」

    リアナは接続部をくねらせながら言った。

「だって…グリッド様の方が素敵なのですもの…♪優しいし…こんなに気持ち良くして下さるし…。彼は顔は良いけど真面目過ぎて疲れるのです。」 

「おいおい、それじゃ俺が不真面目みたいじゃないですか?」

「あら?試着室に押し入り後ろから激しく何度も貫いた癖に…♪」

「あまりに可愛かったからつい…ね。」

「ふふふっ♪嬉しい…♪こんなに注がれても子が出来る心配が無いだなんて…遊び人とは凄い職業ですねぇ。」

「まぁ大分レベルを上げなきゃならないけどね。それより…今日はどうする?」

    リアナは言った。 

「連日の貴族の不審死を気にしてミハエル様が我が家を訪れる予定です。」

「はは、そんな日に別の男とこんな事してるなんてねぇ?大丈夫?」

「バレたらバレたで婚約を破棄するだけですわ。グリッド様は恨まれるでしょうけど♪」

「皇子には睨まれたくないねぇ。折角軌道に乗ってきた店が潰されそうだ。」

「それは大変♪潰れたら我が家で買いなおさないと♪」

「はは、その時は頼むよ。さ、もう行きなさい。腹に俺の精を溜めたままでね。」

「ええ、ではまた明日…♪」

    リアナは微笑んで店を出ていった。

「酷い女だなぁ。婚約者がいながらに別の男となんて。」

「マイラさんか。国の動きは?」

「今んとこ無し。疑っているのはミハエルだけだね。どうする?」

「…そうだなぁ。そろそろ…殺るか。マイラ、リアナを拐って魔導ハウスに入れといて。で、彼女の家にミハエルを1人で町の地下水路に呼び出す旨の手紙を。」

「了解。相手は魔法剣士に聖騎士だ。気を付けなよ?」

「ふふっ、大丈夫さ。じゃ頼むよ。」

    その後、マイラは家に戻る途中のリアナを言葉巧みに魔導ハウスへと誘導し、薬で眠らせた後、魔導ハウスを玉に戻した。玉になっている際はどうやっても出られないのが魔導ハウス。実に便利だ。

    その後、手紙を受け取った彼女の親はミハエルにそれを見せた。

「り…リアナが…さ、拐われた?」

「ああ。ど、どうしたら…。ミハエル様…!」

「…僕が行けば良いんだね?なら…行くよ。」

「ああ…どうか…宜しくお願い致します!」  

「任せて。」

    ミハエルは呼び出された場所へと向かう最中、考えていた。

「やはり今回の貴族の死には裏があった…!リアナ…今助けに行くよっ!」

    首都には地下水路が設けられていた。民の生活排水等が地下に流れ込む仕組みだ。実に臭う。

「リアナ!何処だっ!返事をしてくれっ!」

    ミハエルは臭いも気にせず地下水路を走り回る。首都全体を走る地下水路はかなり広い上に世捨て人の溜まり場となっている。大体はカジノで身を滅ぼした連中だ。

「ありゃあ…第3皇子じゃねえか?」

「あ?何してんだありゃ?」

「おい!此処に女が拐われて来なかったか!」

「あ~?知らねえよ。仮に知ってたとしてよ?タダで教えると思うか?」

    と、浮浪者は手を伸ばした。

「ちっ。ほら。」

    ミハエルは男に金貨を1枚渡した。

「ありがとよ。で、女だっけ?」

「ああ。」

「知らんな。」

「は?じゃあ返せよ。」

「バカだな。知らないってのも情報だろうが。騙される方が悪いのさ。けけけけ。」

「くっ!時間を無駄にしたっ!いや…つまりは此方には居ないと言う事か。しかし…信用しても良いのか…。」

「早く行った方が良いんじゃねぇか?こんな場所に女が来たらよ、分かるだろう?今頃ぐっちゃぐちゃに汚され…ぐはっ!な、何しやがる!」

「黙れ、クズが。いずれ此処も掃除してやる!精々悪足掻きでもするんだな!」

    そう言ってミハエルは違う方向に走って行った。

「くそがっ!くたばれっ!!」

    ミハエルは必死に探し回る。

「くそぉっ!見つからないっ!!何処に居るんだっ!」

    そこに変装したグリッドが姿を見せた。

「お兄さんお兄さん。」

「なんだ…!って…子供?何故こんな所に…。」

「お兄さん、女の人探してるんだって?僕居場所知ってるよ?」

「な、何っ!?ど、何処に居るっ!金なら払うっ!場所を教えてくれっ!」

    グリッドは言った。

「地下水路には隠し部屋がいくつかあってね。あそこを真っ直ぐ進んで右に曲がった先の行き止まりの壁に仕掛けがあるんだ。レバーを引くと壁が開くから…。」

「そこに居るんだなっ!ありがとう!少ないが取っておけ。」

    と、ミハエルは白金貨を1枚渡し走って行った。

「少な。じゃあね、ミハエル。サヨウナラ。」

    グリッドは笑って変装を解いた。

「はぁっ、はあっ!み、見つけたっ!此処だ!れ、レバーは?あ、あった!今助けるよ、リアナ!」

    ミハエルは焦ったままレバーを引く。冷静な状態ならまず引っ掛からない罠に、ミハエルはハマった。

「え?うわっ…落とし穴っ!?ぐぅっ…!」

    ミハエルは罠にハマった。下に落ちたミハエルを何かが噛んだ。

「つっ!?な、何…あぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

    ミハエルは見た。自分の回りに大量の蛇が居る。 

「か、噛まれた?ま、先ずい【キュ…くあぁぁぁぁぁっ!」

    ミハエルの首に蛇が飛び付き喉を潰す。

「かひゅっ…!?が…かは…っ。」

    詠唱を妨害されたミハエルにはもう為す術がない。最後は全身を噛まれ痛みと毒の回る苦しみで穴の上を見上げていた。そして見た。

(お前が…犯人…だった…のか…………。)

    穴の上では笑う少年が1人立っていたのであった。
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