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第1章 はじまり
第13話 アリア、騎士に戻る
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「これはどういう事だアイン! いったいなぜこんな事になっている!?」
駆け付けたアリアの最初の言葉がこれだった。アインはアリアに対し急ぐ必要性があり、全て解決してしまった事を話した。
「なるほど、王に危機がか。第一王子は死に、首謀者は第二王子ガレイル……と」
「とりあえず地下牢屋に改革派の騎士を全員捕まえてある。これから国家反逆罪で全員処刑になる予定だ」
「処刑か。私はアインの力でなんとかなったが……私と同じく騎士を辞めるしかなかった者達は納得しないだろうな」
「ああ、その事で話が」
アインは王にアリア達の事を話していた。
「辞めた騎士全員が騎士団に復帰できる!?」
「ああ。改革派の騎士がごっそり消えるわけだからな。この国はこれから人手不足になる事必至、そこでアリア達を騎士団に戻す話になったんだ」
「し、しかし中には腕や足を失った者もいる。剣も握れぬ騎士など……」
アインは一瞬目を点にし、アリアに言った。
「アリア、お前な。自分の身に何が起こったか忘れてないか?」
「え? あ──!」
「俺ならなかった事にできる。別に復讐させるために集めさせたわけじゃないんだよ。追放された騎士を集めさせた本当の理由は凄惨な目に合っても騎士を続けたい気概がある者に機会を与えたかったからだ。アリアが連れてきた騎士を見て俺が治すかどうか決める。騎士に相応しい者は治すし、騎士に戻れる機会を与える」
「アイン、お前は……」
アリアは一度顔を伏せ、少ししてから顔を上げる。そこには騎士の顔があった。
「アイン、追放された者達は私が説得する。だから元通りにしてやって欲しい」
「ああ。どうするかはアリアに任せるよ。国を守るに相応しい騎士を集めてきてくれ」
「わかった!」
その一週間後、国民全てに向け、国王による宣言がなされた。
「これより我が国は魔国クリミナルに対し一切従わぬものとする! 犯罪者は厳しく取り締まりを行い、相応の罰を与える! そして……まず最初に裁かれなければならぬ愚か者に今から罰を与える! 執行官!」
「はっ!」
台車の付いた台にギロチンが乗せられ運ばれてくる。屈強な騎士数人がガレイルを連れ、ギロチンに押し付けた。
「この者は兄である第一王子を殺め! ワシをも殺めようとしていたっ! その配下である改革派の騎士共も人にあるまじき罪を犯し! 国を自分らの都合の良いように操ろうとしていたっ! わかるか! これが魔国クリミナルに支配された世界の未来だ! ワシはそのような未来なぞ望まぬっ! 例え我が子だろうと罪は許さぬっ! やれいっ!」
「はっ!」
ガレイルの頭部が黒い布に覆われ、合図と共に鋭い刃が重力に従い落下した。大量の鮮血と黒い布が下にあるたらいに転がった。
これを見た国民は国王が本気で魔国クリミナルに対し反旗を翻したのだと捉え、歓声をあげた。
「国王は本気だ! これでもう略奪に怯える事はなくなるんだっ!」
「犯罪者は許すなぁぁぁっ!」
「そうだっ! 正しき者が馬鹿を見る世界なんて間違ってる!」
「犯罪者に罰をっ!!」
国民は犯罪者に虐げられていた日々でかなり鬱憤が溜まっていたようだ。国王が正しく罰を与えた事で生きる事に希望を見出だした。
それから次々と改革派の騎士らも処刑されていき、最後にユーリカとアインが両隣に立たされた。
「民よ、この娘はワシの娘ユーリカ・マードレック! そして、この青年は今回ワシを救ってくれたアインじゃ。 アインはかつてワシの守護騎士を務めていたバランの息子じゃ! 今回の功績を受け、アインとユーリカの婚約を発表する! アインはこの世状においても何者にも屈せず、正しき道を歩む者! この婚約を期に魔国クリミナルに対抗する国とするのじゃ! 民よ、今こそ立ち上がれ! 世界をあるべき姿に戻すのじゃ!」
「「「「「お……おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」」」
この宣言は地下に潜っていた冒険者組合にも届いた。宣言から数日後、地下で細々と活動していた冒険者は本来の活動に戻り、国内にいた盗賊や魔物は次々と排除されていった。
「っしゃあぁぁぁぁっ! くたばれ犯罪者ぁぁぁっ!」
「ち、ちくしょうっ!! 俺らはクリミナルの庇護下にあるんだぜっ!」
「知るかよっ!! クリミナルなんぞこの国から排除したらぁぁぁぁっ!」
「があぁぁぁぁぁぁっ!? く、くそぉ……っ」
そしてアリアの連れて来た元騎士達はアインのスキルで健在だった頃の姿に戻されていた。
「き、ききき奇跡だ……! エリクサーもないのに腕や足が生えた……っ!」
「は、生えただけじゃないわよ! 私なんて汚される前に戻ってるのよ!?」
「アイン様は神か……っ! お、俺はアイン様に従う! アイン様の騎士になるぞ!」
「俺もだ!」
「私も! なんなら側室でも──」
「「「させないわよ!?」」」
そこにアリアも混じっていた。
「お前らな……」
「アイン!」
「え?」
「アインッ!」
「と、父さん? 母さんまで!?」
村で隠居していた両親が王都に姿を見せた。
「驚いたぞアイン! まさか国を救っていたなどと……。さすが俺の息子だ!」
「まさか王女様と婚約だなんて……。しかも国王を救ったなんて! あなたは無茶ばかりして」
アインは心配する母親にこう告げた。
「無茶なんてしてないよ、母さん。こんなの無茶の内にも入らないさ。俺の目標は打倒ディザームだし。これはその一歩でしかないんだよ」
「……アイン」
その言葉に父バランは興奮していた。
「良く言った! これは隠居している場合じゃないな。アイン、お前はお前の信じる道を往け。年は食ったが腕は衰えてねぇ。この国の事は心配するな。アインの騎士団は俺が鍛え直してやるよ。アリア、腕は鈍っちゃいねぇだろうな!」
「は──ははっ! 再び師匠の胸を貸して下さいっ!」
「よし、まずは国王に挨拶だ。アイン、城に行くぞ」
「……いつもいきなりなんだよなぁ、父さんは」
「何か言ったか? 置いてくぞ」
「はいはい、今行きますよ」
こうしてマードレック王国は魔国クリミナルから一番遠い国だが、今も魔国に抗う国の一つに加わるのだった。
駆け付けたアリアの最初の言葉がこれだった。アインはアリアに対し急ぐ必要性があり、全て解決してしまった事を話した。
「なるほど、王に危機がか。第一王子は死に、首謀者は第二王子ガレイル……と」
「とりあえず地下牢屋に改革派の騎士を全員捕まえてある。これから国家反逆罪で全員処刑になる予定だ」
「処刑か。私はアインの力でなんとかなったが……私と同じく騎士を辞めるしかなかった者達は納得しないだろうな」
「ああ、その事で話が」
アインは王にアリア達の事を話していた。
「辞めた騎士全員が騎士団に復帰できる!?」
「ああ。改革派の騎士がごっそり消えるわけだからな。この国はこれから人手不足になる事必至、そこでアリア達を騎士団に戻す話になったんだ」
「し、しかし中には腕や足を失った者もいる。剣も握れぬ騎士など……」
アインは一瞬目を点にし、アリアに言った。
「アリア、お前な。自分の身に何が起こったか忘れてないか?」
「え? あ──!」
「俺ならなかった事にできる。別に復讐させるために集めさせたわけじゃないんだよ。追放された騎士を集めさせた本当の理由は凄惨な目に合っても騎士を続けたい気概がある者に機会を与えたかったからだ。アリアが連れてきた騎士を見て俺が治すかどうか決める。騎士に相応しい者は治すし、騎士に戻れる機会を与える」
「アイン、お前は……」
アリアは一度顔を伏せ、少ししてから顔を上げる。そこには騎士の顔があった。
「アイン、追放された者達は私が説得する。だから元通りにしてやって欲しい」
「ああ。どうするかはアリアに任せるよ。国を守るに相応しい騎士を集めてきてくれ」
「わかった!」
その一週間後、国民全てに向け、国王による宣言がなされた。
「これより我が国は魔国クリミナルに対し一切従わぬものとする! 犯罪者は厳しく取り締まりを行い、相応の罰を与える! そして……まず最初に裁かれなければならぬ愚か者に今から罰を与える! 執行官!」
「はっ!」
台車の付いた台にギロチンが乗せられ運ばれてくる。屈強な騎士数人がガレイルを連れ、ギロチンに押し付けた。
「この者は兄である第一王子を殺め! ワシをも殺めようとしていたっ! その配下である改革派の騎士共も人にあるまじき罪を犯し! 国を自分らの都合の良いように操ろうとしていたっ! わかるか! これが魔国クリミナルに支配された世界の未来だ! ワシはそのような未来なぞ望まぬっ! 例え我が子だろうと罪は許さぬっ! やれいっ!」
「はっ!」
ガレイルの頭部が黒い布に覆われ、合図と共に鋭い刃が重力に従い落下した。大量の鮮血と黒い布が下にあるたらいに転がった。
これを見た国民は国王が本気で魔国クリミナルに対し反旗を翻したのだと捉え、歓声をあげた。
「国王は本気だ! これでもう略奪に怯える事はなくなるんだっ!」
「犯罪者は許すなぁぁぁっ!」
「そうだっ! 正しき者が馬鹿を見る世界なんて間違ってる!」
「犯罪者に罰をっ!!」
国民は犯罪者に虐げられていた日々でかなり鬱憤が溜まっていたようだ。国王が正しく罰を与えた事で生きる事に希望を見出だした。
それから次々と改革派の騎士らも処刑されていき、最後にユーリカとアインが両隣に立たされた。
「民よ、この娘はワシの娘ユーリカ・マードレック! そして、この青年は今回ワシを救ってくれたアインじゃ。 アインはかつてワシの守護騎士を務めていたバランの息子じゃ! 今回の功績を受け、アインとユーリカの婚約を発表する! アインはこの世状においても何者にも屈せず、正しき道を歩む者! この婚約を期に魔国クリミナルに対抗する国とするのじゃ! 民よ、今こそ立ち上がれ! 世界をあるべき姿に戻すのじゃ!」
「「「「「お……おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」」」
この宣言は地下に潜っていた冒険者組合にも届いた。宣言から数日後、地下で細々と活動していた冒険者は本来の活動に戻り、国内にいた盗賊や魔物は次々と排除されていった。
「っしゃあぁぁぁぁっ! くたばれ犯罪者ぁぁぁっ!」
「ち、ちくしょうっ!! 俺らはクリミナルの庇護下にあるんだぜっ!」
「知るかよっ!! クリミナルなんぞこの国から排除したらぁぁぁぁっ!」
「があぁぁぁぁぁぁっ!? く、くそぉ……っ」
そしてアリアの連れて来た元騎士達はアインのスキルで健在だった頃の姿に戻されていた。
「き、ききき奇跡だ……! エリクサーもないのに腕や足が生えた……っ!」
「は、生えただけじゃないわよ! 私なんて汚される前に戻ってるのよ!?」
「アイン様は神か……っ! お、俺はアイン様に従う! アイン様の騎士になるぞ!」
「俺もだ!」
「私も! なんなら側室でも──」
「「「させないわよ!?」」」
そこにアリアも混じっていた。
「お前らな……」
「アイン!」
「え?」
「アインッ!」
「と、父さん? 母さんまで!?」
村で隠居していた両親が王都に姿を見せた。
「驚いたぞアイン! まさか国を救っていたなどと……。さすが俺の息子だ!」
「まさか王女様と婚約だなんて……。しかも国王を救ったなんて! あなたは無茶ばかりして」
アインは心配する母親にこう告げた。
「無茶なんてしてないよ、母さん。こんなの無茶の内にも入らないさ。俺の目標は打倒ディザームだし。これはその一歩でしかないんだよ」
「……アイン」
その言葉に父バランは興奮していた。
「良く言った! これは隠居している場合じゃないな。アイン、お前はお前の信じる道を往け。年は食ったが腕は衰えてねぇ。この国の事は心配するな。アインの騎士団は俺が鍛え直してやるよ。アリア、腕は鈍っちゃいねぇだろうな!」
「は──ははっ! 再び師匠の胸を貸して下さいっ!」
「よし、まずは国王に挨拶だ。アイン、城に行くぞ」
「……いつもいきなりなんだよなぁ、父さんは」
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