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第1章 再誕
14 紅騎士フレイ
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「って事があったんだけどよ」
「あぁ、フレイはバカだからねぇ……」
「許せませんな! 我らが魔王ジェイド様にそのような振る舞いっ! 魔王様、殺ってしまいましょう!」
モーリーはいつもの臆病風はどこにやら、中々過激な発言を披露してくれた。
「そうだな、あの鶏殺っちまうか」
「殺れ殺れ~」
「お任せしますぞ、魔王様!」
完全に人任せなモーリーは後で絞めるとして、俺はリーシャにフレイの能力について尋ねた。
「ん~……。フレイは火を操るんだよ。一番強力な技は【紅炎】だよ。相手を一瞬で溶かしちゃう恐ろしい技なんだ」
「ほ~う」
「しかもあいつはバカだからさぁ、多分魅了も効かないよ?」
「ああ、確かにバカだったな。だが、バカならバカなりにやり方ってもんがあるんだよ。ま、明日から町で奴を探してみるわ。お前らは危ないからここで待ってろよ?」
「わかった~」
「もちろんですとも!」
この後、モーリーは俺にボコられた。慣れてきたからか最近少し調子に乗っているようだ。シメる所はきっちりシメておかないとな。
そして翌日から俺は町に出て紅騎士の野郎を探し始めた。そうして探す事三日目、奴は俺の前に現れた。
「……チッ。嫌な面見ちまったぜ」
「同感だな。俺もお前の面を見たら吐き気に襲われたわ」
「アァァァッ!? テメェ……、あんま調子に乗ってんじゃねーぞゴラァッ! 雑魚の癖にイキッてんじゃねぇっ!」
「ははははっ、そのセリフはそっくりそのままお前に返してやんよ。吹けば消えるような火しか出せねぇ癖に何が三騎士だよ? そこらにいるオッサンのタバコにでも火ぃ着けとけば?」
「この野郎がぁぁぁぁぁぁぁぁっ! 優しくしてりゃあ調子に乗りやがって! 殺っちまぁぞゴラァッ!!」
良い感じにヒートアップしてきたな。
「殺ってみろよ。ただ……ここじゃ邪魔が入らないとも限らないからなぁ。死にそうになったお前に聖神教徒が助太刀に入るかもしれねぇしよ?」
「ふざけんなっ!! テメェなんぞタイマンで殺ってやんよ! 誰にも殺らせねぇっ!!」
「ふん、信じられっかよ」
「……逃げんのか?」
「今ホッとしただろ?」
「このっ……!」
今にも血管がぶち切れそうなフレイに俺はこう言った。
「だからよ、邪魔が入らない場所で殺り合おうって言ってんだよ」
「あ?」
「お前らの仲間が大量に死んだ森。そこで一対一でとことんまで殺り合おうや。深夜一人で森に来いよ。場所は森の中の開けた場所だ。ちゃんとその足りない頭にインプットしたか? なんなら手紙にしてやろうか? あ、字が読めねぇわな。バカだから」
「こんのやらぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! 絶対ぶっ殺すっ!! 必ず来いっ!! 逃げんなよっ!!」
「お前がな。じゃあな」
そう言って俺は奴に背を向けその場を去った。その時俺の顔は多分笑っていただろう。
「……くくくっ、バカは扱いやすくて良いな。それで言ったら一番危なそうなのはあの蒼騎士だな。黄金騎士はしっかり挑発されてたが、あいつは気にもしていなかった。感情に乱れがないやつはマジでやりにくい相手だ。あいつは最後にしよう」
そして時刻は深夜。約束の時間に俺達は約束の場所で対峙していた。
「よく逃げずに来たな。誉めてやるぜ」
「うるせぁぁぁぁぁぁっ!! 待ち遠しかったぜぇぇぇぇ……っ! 貴様を殺せるこの瞬間がよぉぉぉ……!」
こいつ、あれからずっと怒ってやがったのか。ミスったな。めっちゃ遅れてくれば良かったわ。まぁ良い。
俺はフレイに向かってこう提案した。
「おい」
「あ?」
「これからする殺しあいについて俺から提案があるんぁがよ。聞くか?」
「はっ、今さら命乞いか? 良いぜぇ? 俺の尻を舐めたら許してやらんこともねぇぞ?」
「死ね」
「んだとっ!?」
「提案とは戦い方についてだ」
「あ?」
「すぐに終わったらつまらないだろ? 俺は簡単にお前を殺れるが、お前にもチャンスをやりたくてよ」
「はぁぁぁっ!? 逆だろ逆! 俺を誰だと思ってやがる! 聖神教の三騎士だぞ? お前なんぞ病人で殺せんだよっ!!」
「だから、一発二発で終わったらつまらないって言ってんだよ。良いか? 俺の提案はこうだ」
俺は目の前のバカにもわかりやすくルールを説明してやった。
「お互いが一発ずつ相手の面を殴り合う。先に地面に倒れたら負け。攻撃スキルはナシ。純粋に拳と拳の勝負だ。ああ、使いたいなら使っても良いが、その時お前は一生卑怯者のレッテルを背負って生きていく事になるからよ。それでも良いなら使えよ」
「……野郎。良いぜ、その条件で殺ってやるよ。先攻はどっちだ?」
「どっちでも良いぜ。面倒だからコインで決めるか。表なら俺から、裏なら逆だ。良いな?」
「なら俺がコインを投げるぜ。お前はなんかうさんくせぇからな」
「好きにしろ」
フレイはポケットからコインを一枚取り出し指で弾く。そうして地面に落ちたコインが示した面は……。
「表だな。じゃあ俺からやらしてもらうわ。当たる前に動いたら反則負けな。そん時は全裸で町中を走り回らせるからよ」
「もういい、早く始めろオラ」
「じゃあいくわ」
俺は拳を握り締め、フレイの前へと向かうのであった。
「あぁ、フレイはバカだからねぇ……」
「許せませんな! 我らが魔王ジェイド様にそのような振る舞いっ! 魔王様、殺ってしまいましょう!」
モーリーはいつもの臆病風はどこにやら、中々過激な発言を披露してくれた。
「そうだな、あの鶏殺っちまうか」
「殺れ殺れ~」
「お任せしますぞ、魔王様!」
完全に人任せなモーリーは後で絞めるとして、俺はリーシャにフレイの能力について尋ねた。
「ん~……。フレイは火を操るんだよ。一番強力な技は【紅炎】だよ。相手を一瞬で溶かしちゃう恐ろしい技なんだ」
「ほ~う」
「しかもあいつはバカだからさぁ、多分魅了も効かないよ?」
「ああ、確かにバカだったな。だが、バカならバカなりにやり方ってもんがあるんだよ。ま、明日から町で奴を探してみるわ。お前らは危ないからここで待ってろよ?」
「わかった~」
「もちろんですとも!」
この後、モーリーは俺にボコられた。慣れてきたからか最近少し調子に乗っているようだ。シメる所はきっちりシメておかないとな。
そして翌日から俺は町に出て紅騎士の野郎を探し始めた。そうして探す事三日目、奴は俺の前に現れた。
「……チッ。嫌な面見ちまったぜ」
「同感だな。俺もお前の面を見たら吐き気に襲われたわ」
「アァァァッ!? テメェ……、あんま調子に乗ってんじゃねーぞゴラァッ! 雑魚の癖にイキッてんじゃねぇっ!」
「ははははっ、そのセリフはそっくりそのままお前に返してやんよ。吹けば消えるような火しか出せねぇ癖に何が三騎士だよ? そこらにいるオッサンのタバコにでも火ぃ着けとけば?」
「この野郎がぁぁぁぁぁぁぁぁっ! 優しくしてりゃあ調子に乗りやがって! 殺っちまぁぞゴラァッ!!」
良い感じにヒートアップしてきたな。
「殺ってみろよ。ただ……ここじゃ邪魔が入らないとも限らないからなぁ。死にそうになったお前に聖神教徒が助太刀に入るかもしれねぇしよ?」
「ふざけんなっ!! テメェなんぞタイマンで殺ってやんよ! 誰にも殺らせねぇっ!!」
「ふん、信じられっかよ」
「……逃げんのか?」
「今ホッとしただろ?」
「このっ……!」
今にも血管がぶち切れそうなフレイに俺はこう言った。
「だからよ、邪魔が入らない場所で殺り合おうって言ってんだよ」
「あ?」
「お前らの仲間が大量に死んだ森。そこで一対一でとことんまで殺り合おうや。深夜一人で森に来いよ。場所は森の中の開けた場所だ。ちゃんとその足りない頭にインプットしたか? なんなら手紙にしてやろうか? あ、字が読めねぇわな。バカだから」
「こんのやらぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! 絶対ぶっ殺すっ!! 必ず来いっ!! 逃げんなよっ!!」
「お前がな。じゃあな」
そう言って俺は奴に背を向けその場を去った。その時俺の顔は多分笑っていただろう。
「……くくくっ、バカは扱いやすくて良いな。それで言ったら一番危なそうなのはあの蒼騎士だな。黄金騎士はしっかり挑発されてたが、あいつは気にもしていなかった。感情に乱れがないやつはマジでやりにくい相手だ。あいつは最後にしよう」
そして時刻は深夜。約束の時間に俺達は約束の場所で対峙していた。
「よく逃げずに来たな。誉めてやるぜ」
「うるせぁぁぁぁぁぁっ!! 待ち遠しかったぜぇぇぇぇ……っ! 貴様を殺せるこの瞬間がよぉぉぉ……!」
こいつ、あれからずっと怒ってやがったのか。ミスったな。めっちゃ遅れてくれば良かったわ。まぁ良い。
俺はフレイに向かってこう提案した。
「おい」
「あ?」
「これからする殺しあいについて俺から提案があるんぁがよ。聞くか?」
「はっ、今さら命乞いか? 良いぜぇ? 俺の尻を舐めたら許してやらんこともねぇぞ?」
「死ね」
「んだとっ!?」
「提案とは戦い方についてだ」
「あ?」
「すぐに終わったらつまらないだろ? 俺は簡単にお前を殺れるが、お前にもチャンスをやりたくてよ」
「はぁぁぁっ!? 逆だろ逆! 俺を誰だと思ってやがる! 聖神教の三騎士だぞ? お前なんぞ病人で殺せんだよっ!!」
「だから、一発二発で終わったらつまらないって言ってんだよ。良いか? 俺の提案はこうだ」
俺は目の前のバカにもわかりやすくルールを説明してやった。
「お互いが一発ずつ相手の面を殴り合う。先に地面に倒れたら負け。攻撃スキルはナシ。純粋に拳と拳の勝負だ。ああ、使いたいなら使っても良いが、その時お前は一生卑怯者のレッテルを背負って生きていく事になるからよ。それでも良いなら使えよ」
「……野郎。良いぜ、その条件で殺ってやるよ。先攻はどっちだ?」
「どっちでも良いぜ。面倒だからコインで決めるか。表なら俺から、裏なら逆だ。良いな?」
「なら俺がコインを投げるぜ。お前はなんかうさんくせぇからな」
「好きにしろ」
フレイはポケットからコインを一枚取り出し指で弾く。そうして地面に落ちたコインが示した面は……。
「表だな。じゃあ俺からやらしてもらうわ。当たる前に動いたら反則負けな。そん時は全裸で町中を走り回らせるからよ」
「もういい、早く始めろオラ」
「じゃあいくわ」
俺は拳を握り締め、フレイの前へと向かうのであった。
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