現世で死んだ俺は新たな世界へと生まれ変わる途中で邪神に拐われました。ありがとう! 感謝します邪神様っ!

夜夢

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第2章 改革

11 ダンジョンは……

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 ダンジョンの存在を確認した俺はすぐさま魔都デルモートへと転移し、冒険者組合へと向かった。

「ダンジョン……ですか?」
「ああ、ミューズ領で見つけたんだ。一階は死霊系の魔物ばかりでな。倒すと宝箱を落とすんだよ」
「宝箱……。ち、ちょっと組合長を呼んできます」

 しばらく待つと二階に呼ばれたので俺は二階に上がった。そして詳しく話を聞きたいと組合長が言ったので、俺はダンジョンの様子を詳しく説明した。

「ジェイド、そりゃ無理だ」
「は? なんで?」
「当たり前だろ!? スケルトンキングやらワイト、ならワイトキングもいるだろうよ。そんな高ランクな魔物を倒せる冒険者なんぞこの大陸にはいねぇよ」
「……なん……だと?」 

 俺は愕然としていた。

「いやいや! あんな雑魚を倒せない? 冗談だろう?」
「冗談なわけあるか。北の森に現れるゴーストですら聖女に頼ってたんだぞ? そんな俺らがワイトやらハイゴーストなんて相手にできるわけねぇだろうが」
「……ああ……、そう……だったな。はぁぁ……、無理か」
「無理だな。南の森に出るようなワードッグとかゴブリン、ビッグボア程度ならなんとか狩れるがよ、そこはどうやっても無理だ」
「そうか。イケると思ったんだがなぁ……」 
「ま、他にもっと優しいダンジョンでも見つけたら教えてくれ。その時は組合もちゃんと動いてやるからよ」
「……ああ。邪魔したな」

 思いっきり当てが外れた。

「くそう……」

 俺はミューズ領に戻り、街道作りをストップさせた。

「無理……? そうですか」
「ああ。冒険者は来ない。だが……代わりの策を考えた」
「え?」

 俺は代替案として自分でダンジョンに潜り、そこで宝を集めると提案した。そしてその宝をこの地だけで売る事にした。

「これなら珍しい物欲しさに客も集まるだろう」
「珍しい物……出ますかね?」
「多分な。まだ一階部分しか調査はしていないが、もっと潜れば必ず良い物が手に入ると思う。今は時間がないから潜れないが、後で必ず潜ると約束する。だから町には巨大な商店街を作っておいてくれ。頼めるか?」
「わかりました。ジェイド様の言う事を信じます。では少し設計図を見直しましょう」
「すまないな」

 こうして俺はダンジョンをいったん見送る事にした。

 その他の開発は順調に進んでいく。後は任せても大丈夫だろうと思った俺は残る二人の貴族の内、ライゼ辺境伯のいる領地へと向かう事にした。聞いた話だとライゼ辺境伯の領地は貧しさに苦しんでいるのだとか。また、辺境伯夫婦は子に恵まれないとも聞いている。その辺を上手くつけば辺境伯も味方になってくれるだろう。

 俺は全ての作業を職人達に任せ、王都南にあるライゼ辺境伯領へと向かった。

「いやぁ~……、酷いなこれは……」

 俺は辺境伯の領地に入りすぐに話が真実であると理解した。畑はあるが、大地は痩せ細っており、作物もまともに育っていない。町は貧民だらけ。ついでに辺境伯の屋敷も歴史を感じさせる赴きだった。つまりはボロい。

 俺は特に約束をとりつけたわけでもない辺境伯の屋敷に入り、呼び鈴を鳴らした。

「はい、どちら様?」

 扉を開いて出てきたのは質素なドレスに身を包んだ痩せた女性だった。見るからに薄幸そうである。

「あ、俺は魔都デルモートを治めているジェイドと申しますが。ライゼ辺境伯様はご在宅でしょうか?」
「ジェイド……? ああ、ジェイド男爵? 邪神教徒の?」
「はい。それでライゼ殿は……」
「夫は昨日王都へ……。一ヶ月は戻りません」
「え? そうですか。王都に……」

 俺はどうしようか迷った。

「あの……、もしよろしければお話だけでも伺いましょうか? せっかく遠い所から来ていただいたのですし」
「良いんですか? 約束していたわけでもないのに……」
「ええ。私も他の領地の話は興味がありますもの。さ、御上がり下さい」
「は、はあ……」

 俺は婦人に促されるまま屋敷に入った。屋敷の中には調度品などもなく、貧しさが窺えた。

「何もないでしょう? 全て民のために売り払ってしまいましたのよ。それでも全然足りませんが……」
「そんなに困っているのですか? 辺境伯と言えば国王とは親類のはず、助けてもらうとか……」
「親類とは言ってもかなり離れていますから。今ではほとんど血が入っていませんの。それに……我が家は私達の代で終わりかもしれませんので……」

 ああ、子がいないと言っていたあれか。

「子息ができないとか……」
「ええ。昨日も一応試しましたのよ? 結果は変わらずですが……」
「なるほど。行為は平均何回くらいでしょう?」
「一晩に一回かしら……」
「え? た、たった一回?」
「え、ええ。夫ももう高齢ですので……。二回目はその……ね?」

 なるほど。元気がなくなると言う事か。

「それは辺境伯殿がまだ若かった頃も?」
「ええ。夫は民のために毎日忙しく駆け回っていたもので……。やっと出来て一回……。私達なんて話をしているのでしょうね。いやですわ……」

 俺は最後に婦人にこう尋ねた。

「ああ、最後に一つ」
「はい?」
「辺境伯殿のサイズは?」
「え?」
「アレのサイズですよ」
「な、何を言って……」

 俺は真剣な表情で訴えた。

「大事なことです。サイズは?」
「は、はぁ……。こ、これくらい……」

 婦人は自らの小指を立てて示した。

「なるほど。理由がわかりました」
「えっ!? な、なんですのその理由とはっ!」

 婦人は掴みかからんばかりの勢いで身を乗り出してきた。

「簡単ですよ。まず、回数が少な過ぎます。それと、短すぎて奥まで届いてないのですよ。もしかしたら婦人の失礼、穴が酸性が強く、辺境伯殿の種を殺しているのかと思っていましたが……、どうやら単純に奥に入っていなかった事が原因でしょう」
「そ、そんな……。では夫のがその……アレ過ぎて出来なかったと?」
「単純に言えばそうですね。ああ、でもまだわかりませんよ。本当に奥様の酸性が強いのかもしれませんし、もしかしたら辺境伯殿に種がないのかもしれない。俺は医者ではないので詳しくは調べてみない事には……」

 婦人は言った。

「何度も調べました。王都でも有名な先生にも見てもらいましたがお互いに異常は見つからなかったのです。なので……私達はもう半ばあきらめていましたの」
「そうですか。大変でしたね。ああ、ですが体位を変えればなんとかなるかもしれませんね」
「教えて下さいっ! 私っ、なんとしても子が欲しいのですっ!」
「……え?」
「その……、口で言われても体位などわかりませんので……。その……もしよろしければ実践して……」

 俺は婦人の鬼気迫る勢いに負け、二週間実践教育を施してやった。結果、婦人は俺の子を孕んでしまった。どうやら本当に辺境伯のが小さすぎたらしい。

「大丈夫……、夫とは出発前にしていましたもの。偶然当たった事にすれば……!」
「いやいや、バレますって。俺と辺境伯じゃ見た目も全然違うし……」
「大丈夫! 夫も昔はあなたに似ておりました! その……ここは似ても似つきませんが……ぽっ」
「気に入ったのですか?」
「それはもうっ! 素晴らしい日々でした! 本当はこんなに素晴らしいものだったのですね……。全然知りませんでしたわ」
「……これは俺達だけの秘密にしましょう。二週間後また来ます。その時は知らないフリをして下さいね?」
「……はい。お待ちしておりますわ、あなた……」

 最後のセリフが引っ掛かったが、俺は一度ミューズの町へと戻り出直す事にするのであった。  
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