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第2章 改革
14 ナビリア商会
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男は数日後通報を受けた王国兵が回収していったようだ。王国兵達は闇組織のアジトに踏み込んだ際に眉をしかめたそうだ。
それもそのはず。俺は男の手下全員の首を落とし、等間隔で男の部屋まで並べて案内してやった。そしてその室内には苦しみぬき、血の樽に沈められた男の姿が。引き上げられた男の顔は絶望に染まっていたそうだ。
「きいたか? 闇組織の事件」
「ああ。殺った奴は不明だけどかなりサイコパスらしいな。相手は悪人だがよ、ちょっとその死に方には同情するわ……」
「だな。犯人は誰なんだろうなぁ……。早く捕まえて欲しいよ」
俺はその話を朝食を採りながら笑顔で聞いていた。
「お、この目玉焼き半熟じゃん! 中々わかってんじゃん」
朝食は素晴らしく美味かった。さすがは王都の宿屋だ。
「あんまり高級な料理は飽きるからなぁ。俺にはこれくらいがちょうど良いわ」
俺は高級宿ではなく、そこそこ立派な宿屋に泊まっていた。この方が落ち着くのである。
「さてと、そろそろ行きますかね」
俺は金を大量に用意し、ナビリア商会へと向かう。理由は後でわかる。
「いらっしゃいませ。失礼ですがお客様、ここには誰かの紹介で?」
「いや、立派な店構えだと思ってふらっと」
店員は俺を上から下まで吟味するように見る。
「失礼ですが、ここの商品はお客様が買えるような値段ではございません。お引き取り願いますでしょうか」
「本当に失礼だな。人を見た目で判断するなんてよ。もしかしたら俺は金持ちかもしれないじゃないか」
「そうだとしてもです。ここは貴族御用達の高級店、品位と言うものがありますので」
「ほ~う。じゃあ俺が貴族なら問題ないんだな?」
「はい」
俺は国王からもらった勲章を見せた。
「ジェイドだ。爵位は子爵。お前の目は節穴のようだな」
「なっ!? こ、こここここれは大変失礼いたしましたぁっ! 貴族様とは知らずに大変な無礼をっ!!」
俺はわざと大きな声で騒ぎ立てる。
「何が品位だ。それに高級店だと? どれもこれも安物ばかりじゃないか。こんなシケた品で満足してるような奴らも大した事ねぇんじゃねぇか?」
「お客様……! 他のお客様の御迷惑になりますので……」
「迷惑だ? それはこっちのセリフだ! はるばる王都まできて良さそうな店だから入ったらよ、俺は貧乏そうだから出ていけとお前は言ったんだ。大した品もおけないショボい店がよ……、俺を舐めてんのか! あぁんっ!?」
「ひっ……! け、決してそのような……」
その時だった。騒ぎを聞き付けたのだろう、中々恰幅の良いオーナーがのしのしと奥の部屋から歩いてきた。
「どうした? 騒ぎになっているぞ」
「オーナー! あの……、私がこちらの貴族様を見た目で貧乏そうだと判断してしまい……」
オーナーは俺をチラリと見る。
「……ご苦労さん。お前は明日から来なくて良いぞ。これは今までの給料だ。それを持って今すぐ消え失せろ」
「そ、そんなっ!」
なんか悪い事したな。サッパリしたけど。
オーナーは店員を叱りつけた顔とはうって代わり、ニコニコ顔で揉み手をしながら俺に話し掛けてきた。
「いやぁ~、教育がなってなくて申し訳ない。今後この様な事はないと約束しましょう」
「いや、もう来ないよ。ここには俺が求めるモンはないようだからな」
「おや、これでも当商会は王都一の品数を誇っておるのですが……。お客様のお眼鏡には敵いませんでしたかな?」
「ああ。どうやらここにはないらしい。身の回りを世話してくれそうな若い女……」
「お客様、少々こちらへ」
「あん?」
オーナーは俺を手招きした。
「値のはる物はここには並べていないのですよ。盗難されても困りますからねえ。奥に別室があります。そこで商談といきましょう。失礼ですがご予算は……?」
「予算か。百億ゴールドくらいなら即金で支払えるが」
「ひ、百っ!? ひ、ひひひ……。これは本当に失礼いたしました。まさかその様な資産家とは知らず……。ささ、こちらへ」
「本当に満足する品があるんだろうな?」
「もちろんですとも!」
俺はオーナーに案内され別室に向かった。そこには隠し扉があり、隠し部屋があった。その隠し部屋にさらに隠し階段があり、俺は地下へと通された。
「こちらには気持ちが良くなる草や気分が晴れるサッパリなどがあります」
「いらん」
「こちらには世界各国から買い付けた武器が……」
「ちょっと気になるな」
俺はそこでとある島国から取り寄せたと言う刀を見つけた。
「いやぁ~、さすがにお目が高い。それは滅多に入らない代物ですぞ」
「……そのようだな。これは良い品だ」
俺は目釘を抜き、茎を確かめる。そこにはこれを打ったと思われる刀匠の銘が刻まれていた。
「妖刀……烏丸……か」
「よ、読めるので?」
「ああ。博識だからな」
「す、素晴らしい!」
さらに鞘を持ち刀身を確かめる。
「ほう。刀身は黒か。良いじゃないか」
「はい! そちら一億ゴールドとなっております!」
「買おう」
「ありがとうございますっ!」
俺は刀を腰に差し一億ゴールドをキャッシュで支払う。一億ゴールドものキャッシュを見たオーナーは舞い上がっていた。おそらくこれは一億もしないのだろう。
「一億ゴールドもの大金をまるで惜しみもせず払うなど……。ですがお客様、本当に欲しい品はそれではございませんよねぇ?」
オーナーの顔が下卑たものへと変わる。
「ここからは品物にもよりますが……多少値は張ります。そして、入る前に約束していただきたい。この先で見たものは口外しないとね。もし口外されたら……貴族であれど命の保証はできかねます」
「ほう? そこまで念を押すならさぞかし良い品があるんだろうな?」
「ええ。ここでしか買えない貴重な品をたっぷりとご提供しておりますゆえ。是非とも財布の紐をゆるめていただければと……」
「それは品を見てからだ」
「ほっほ……。さあ、こちらです……」
俺は念書を書かされ、さらに奥へと連れていかれるのであった。
それもそのはず。俺は男の手下全員の首を落とし、等間隔で男の部屋まで並べて案内してやった。そしてその室内には苦しみぬき、血の樽に沈められた男の姿が。引き上げられた男の顔は絶望に染まっていたそうだ。
「きいたか? 闇組織の事件」
「ああ。殺った奴は不明だけどかなりサイコパスらしいな。相手は悪人だがよ、ちょっとその死に方には同情するわ……」
「だな。犯人は誰なんだろうなぁ……。早く捕まえて欲しいよ」
俺はその話を朝食を採りながら笑顔で聞いていた。
「お、この目玉焼き半熟じゃん! 中々わかってんじゃん」
朝食は素晴らしく美味かった。さすがは王都の宿屋だ。
「あんまり高級な料理は飽きるからなぁ。俺にはこれくらいがちょうど良いわ」
俺は高級宿ではなく、そこそこ立派な宿屋に泊まっていた。この方が落ち着くのである。
「さてと、そろそろ行きますかね」
俺は金を大量に用意し、ナビリア商会へと向かう。理由は後でわかる。
「いらっしゃいませ。失礼ですがお客様、ここには誰かの紹介で?」
「いや、立派な店構えだと思ってふらっと」
店員は俺を上から下まで吟味するように見る。
「失礼ですが、ここの商品はお客様が買えるような値段ではございません。お引き取り願いますでしょうか」
「本当に失礼だな。人を見た目で判断するなんてよ。もしかしたら俺は金持ちかもしれないじゃないか」
「そうだとしてもです。ここは貴族御用達の高級店、品位と言うものがありますので」
「ほ~う。じゃあ俺が貴族なら問題ないんだな?」
「はい」
俺は国王からもらった勲章を見せた。
「ジェイドだ。爵位は子爵。お前の目は節穴のようだな」
「なっ!? こ、こここここれは大変失礼いたしましたぁっ! 貴族様とは知らずに大変な無礼をっ!!」
俺はわざと大きな声で騒ぎ立てる。
「何が品位だ。それに高級店だと? どれもこれも安物ばかりじゃないか。こんなシケた品で満足してるような奴らも大した事ねぇんじゃねぇか?」
「お客様……! 他のお客様の御迷惑になりますので……」
「迷惑だ? それはこっちのセリフだ! はるばる王都まできて良さそうな店だから入ったらよ、俺は貧乏そうだから出ていけとお前は言ったんだ。大した品もおけないショボい店がよ……、俺を舐めてんのか! あぁんっ!?」
「ひっ……! け、決してそのような……」
その時だった。騒ぎを聞き付けたのだろう、中々恰幅の良いオーナーがのしのしと奥の部屋から歩いてきた。
「どうした? 騒ぎになっているぞ」
「オーナー! あの……、私がこちらの貴族様を見た目で貧乏そうだと判断してしまい……」
オーナーは俺をチラリと見る。
「……ご苦労さん。お前は明日から来なくて良いぞ。これは今までの給料だ。それを持って今すぐ消え失せろ」
「そ、そんなっ!」
なんか悪い事したな。サッパリしたけど。
オーナーは店員を叱りつけた顔とはうって代わり、ニコニコ顔で揉み手をしながら俺に話し掛けてきた。
「いやぁ~、教育がなってなくて申し訳ない。今後この様な事はないと約束しましょう」
「いや、もう来ないよ。ここには俺が求めるモンはないようだからな」
「おや、これでも当商会は王都一の品数を誇っておるのですが……。お客様のお眼鏡には敵いませんでしたかな?」
「ああ。どうやらここにはないらしい。身の回りを世話してくれそうな若い女……」
「お客様、少々こちらへ」
「あん?」
オーナーは俺を手招きした。
「値のはる物はここには並べていないのですよ。盗難されても困りますからねえ。奥に別室があります。そこで商談といきましょう。失礼ですがご予算は……?」
「予算か。百億ゴールドくらいなら即金で支払えるが」
「ひ、百っ!? ひ、ひひひ……。これは本当に失礼いたしました。まさかその様な資産家とは知らず……。ささ、こちらへ」
「本当に満足する品があるんだろうな?」
「もちろんですとも!」
俺はオーナーに案内され別室に向かった。そこには隠し扉があり、隠し部屋があった。その隠し部屋にさらに隠し階段があり、俺は地下へと通された。
「こちらには気持ちが良くなる草や気分が晴れるサッパリなどがあります」
「いらん」
「こちらには世界各国から買い付けた武器が……」
「ちょっと気になるな」
俺はそこでとある島国から取り寄せたと言う刀を見つけた。
「いやぁ~、さすがにお目が高い。それは滅多に入らない代物ですぞ」
「……そのようだな。これは良い品だ」
俺は目釘を抜き、茎を確かめる。そこにはこれを打ったと思われる刀匠の銘が刻まれていた。
「妖刀……烏丸……か」
「よ、読めるので?」
「ああ。博識だからな」
「す、素晴らしい!」
さらに鞘を持ち刀身を確かめる。
「ほう。刀身は黒か。良いじゃないか」
「はい! そちら一億ゴールドとなっております!」
「買おう」
「ありがとうございますっ!」
俺は刀を腰に差し一億ゴールドをキャッシュで支払う。一億ゴールドものキャッシュを見たオーナーは舞い上がっていた。おそらくこれは一億もしないのだろう。
「一億ゴールドもの大金をまるで惜しみもせず払うなど……。ですがお客様、本当に欲しい品はそれではございませんよねぇ?」
オーナーの顔が下卑たものへと変わる。
「ここからは品物にもよりますが……多少値は張ります。そして、入る前に約束していただきたい。この先で見たものは口外しないとね。もし口外されたら……貴族であれど命の保証はできかねます」
「ほう? そこまで念を押すならさぞかし良い品があるんだろうな?」
「ええ。ここでしか買えない貴重な品をたっぷりとご提供しておりますゆえ。是非とも財布の紐をゆるめていただければと……」
「それは品を見てからだ」
「ほっほ……。さあ、こちらです……」
俺は念書を書かされ、さらに奥へと連れていかれるのであった。
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