現世で死んだ俺は新たな世界へと生まれ変わる途中で邪神に拐われました。ありがとう! 感謝します邪神様っ!

夜夢

文字の大きさ
43 / 227
第2章 改革

18 ミーニャを強くしよう

しおりを挟む
 公爵を落としてから一週間、俺はまだ王都にいた。と言うのも、まだ幼い少女達を放ってはおけないので調教がてら王都でミッションコンプリートした自分に休暇を与えていた。放っておいても教団はモーリーが回すし、兵はミューズが自発的に鍛えてくれる。もし武力的な問題が起きてもデルモートが解決してくれるだろう。

「……あれ? 俺いらなくね?」
「ご主人さまっ、ご奉仕はいかがでしょうか?」
「ああ、もらおうかな。おいで」
「はいっ」

 少女達も明るくなり、何も問題はない。問題はないのだが、王からは未だ呼ばれていない。まぁ急いでいるわけでもないし一向に構わないが。

 そんな空いた時間で俺はミーニャの力を確認する。

「あるじ、ミーニャどう?」
「ん、今鑑定してるから待て」

 加減したとはいえ俺の殺意を受けても気絶しなかった。無意識に甘くなっていた可能性も否めないが、オーナーは失神していたしな。少女に殺意を向けるなど無理だ。

「ふむふむ……」

 俺はミーニャの能力を見て驚いた。

「あるじ、まだ?」
「いや、終わった。そうだな、ミーニャはまだまだ伸びるぞ」
「つよくなる?」
「そうだ」

 驚いた事に、ミーニャの限界レベルは千近くあった。さらに目をひいたのはスキル。ここの人間は二つ三つくらいしか持ってないようだが、ミーニャはまだ発現していないスキルも含め十以上はある。

「ミーニャ、獣人って全員強いのか?」
「つよい。なかでも、ミーニャたちがいちばん!」 

 だろうな。もし限界まで鍛えようものなら人間なんかに捕まるはずもない。今のミーニャはまだレベル5。

「ふ~む。素早さの数値も高い。なぁ、お前どうやって捕まったんだ?」 
「……うぅ。ハラいっぱい、ねる。おきたらしらないばしょ……」
「……そうか」

 眠っている内に拐われたのか。なら捕まるのもわかる。でないと捕まる理由が見つからない程にそしつがあった。

「ちなみにだが、ミーニャのいた場所の人間はどのくらい強かった?」 
「う~……、よくわからない。でも、ここにいるニンゲンはよわい。めちゃくちゃよわい」
「なるほど……」

 どうやら大陸間で人間の強さも異なるらしい。他の大陸の人間がどれくらい強いか基準はわからないから何とも言えないが、ひとまずここの人間は弱いとだけ覚えておこう。

「さてミーニャ。お前は強くなりたいか?」
「うんっ! ミーニャつよくないたい!」
「よし、なら鍛えてやろう」
「ほんと!?」

 ミーニャの耳がピコピコと動いている。可愛いな。

「ああ。まずは北の森と呼ばれている場所で鍛えようか」
「うん!」

 俺は少女達にもし来客があったら今はいないから戻ったら俺から向かうと伝えてもらうように言伝てした。さらにそれだけだと不安だったため、ナビリア商会から大人の女奴隷を購入し、少女たちの世話を頼んだ。家事スキルを持った奴隷だ。

「俺が戻るまで皆の世話を頼む。金は好きに使ってくれて構わない。期待しているぞ?」
「はい、ご主人様。こんなに良くしていただきありがとうございます。ご主人様の期待を裏切るような真似はいたしません。ですので……戻られたらまた……」
「ああ。働きぶりに応じて愛してやろう」
「あぁ……、頑張りますっ!」

 屋敷の事を任せた俺はミーニャを連れ北の森へと転移した。

「さて、ミーニャ。まずはレベルを上げていこう。ミーニャのレベルは今5だ。だが限界レベルは1021。まだまだ強くなれるからどんどん魔物を狩っていこう」
「がうっ! ミーニャたたかうすき!」

 白虎族は戦闘民族か。いや、狩猟民族かもしれないな。

「がぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」

 ミーニャはレベル5ながらも、その素早さを生かし敵を翻弄しながら伸ばした爪で容赦なく引き裂いていった。

「ミーニャ、倒した魔物の肉はこっちに持ってこい。俺が解体しておいてやるよ。今日は食べ放題だ」
「あぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん!」

 さらにスピードアップした。

「ふむ。あの爪は不思議だな。もしかしてあれが【白虎爪】というスキルか?」

 おそらく種族の固有スキルだろう。あの爪は何でも引き裂いていく。それこそ死霊系の魔物も関係なく引き裂いて霧散させている。ミーニャは消えた魔物を見て首を傾げていたが、すぐにまた次の魔物へと飛び掛かる。

「……オークキングすら瞬殺か。ミーニャのレベル5は普通のレベル5じゃないな。人間で言えば50くらいはあるんじゃないかな」

 さらにレベルが上がる事でミーニャの動きは早くなっていく。レベル10になった時点でミーニャは森で最強となってしまっていた。

「あるじあるじ! にく! にく!」
「ほいほい。ちゃんと切り分けておいたぞ~。右からオークキングステーキ、ミノタウロスのすき焼き、ワイバーンの唐揚げ、プチドラゴンの竜骨スープだ」
「ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 ミーニャは俺の料理にはまっていた。最初は生肉を食っていたが、屋敷でも料理は食えていたので振る舞って見た所、生肉よりこちらが好きになったようだ。ちなみに屋敷では奴隷シェフが料理を担当していた。

「あるじ! ミーニャとふうふなる! ミーニャまいにちしあわせ!」
「そうかそうか。幸せか……。無理矢理拐われてきただろうに。幸せなら良い。その内ミーニャの親に会いにいかなきゃな」
「っ! いくーー!」
「よし、ならまだまだ強くならなきゃな。頑張れミーニャ」
「あぉぉぉぉぉぉぉん!」

 俺は敵のいなくなった北の森から場所をダンジョンへと移し、さらにミーニャを鍛えるのであった。 
しおりを挟む
感想 792

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

処理中です...